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B.耳抜きのメカニズム.

1.耳抜きとは!  前書き(まず初めに)の部分に重複している個所があります。

二つの操作(中耳腔圧平衡)・(副鼻腔群圧平衡)を一回で行う動作の事を言いますが、抜けない時は別々に行わなければいけません。

1)中耳腔(耳骨周囲の空間を含む)の耳管中耳側内圧の圧平衡.

2)副鼻腔群内圧の圧平衡.(前頭洞、上顎洞、蝶形洞、他、下記に詳しく説明があります)

耳抜きである圧平衡とは、外圧と同じ圧力にする事(圧平衡)を指し、耳抜きを行う場所では、電車移動時のトンネル内、エレベーターの上昇・下降時、山等への高所移動(上昇・下降時)、飛行機での上昇・下降時、或いは水中に潜降、水面へ浮上しようとした時、また、時として温度差のあるお風呂等で、耳腔内と副鼻腔群内で起きる空腔内圧力の不均衡に対して平衡(内圧=外圧)を取る事を言います。

地上に於いての[耳抜き]とは、耳腔内・副鼻腔群内より外圧が低くなる、あるいは高くなる為、外圧(外気)を耳腔内や副鼻腔群内へと導き、圧力の平衡を作る動作/操作を「耳抜き」と言います。

水中に於いての[耳抜き]とは、水圧で圧迫された耳の中耳腔内・副鼻腔群内の圧力が低くなる為、圧力の高い空気を肺から導き、中耳腔内・副鼻腔群内の圧力平衡を取る動作/操作を[耳抜き]と言っています。

地上から高所・空中に於いての[耳抜き]動作/操作は、唾を飲んだり、顎を動かしたり、又は鼻を摘んで唾を飲む、及び顎を動かす動作によって耳管を開き、又副鼻腔群のサイナスを開いて空気の流れを導き出す。

ただし、急上昇・急降下ジェット機のパイロットは耳抜きの動作は同じだが、素早く行わないと空間認識失調(平衡・天地喪失)(Vertigo)を起こす可能性が大。

航空機搭乗による耳抜き

飛行機搭乗時の耳抜き 画像をクリックすると大きなサイズが見れます.

地上・日常生活での[耳抜き]動作/操作では、唾を飲んだり、下顎を動かしてあくびの動作をしたり、又は鼻を摘んで唾を飲む、下顎を前後左右に動かす動作によって耳管を開き、また、副鼻腔群のサイナスを開き空気の流れを導き出す。 ゆっくりとした耳抜き法でOK !

水中に於いての[耳抜き]動作/操作では、唾を飲んだり、下顎を動かしてあくびの動作をしたり、又は鼻を摘んで唾を飲む、下顎を前後左右に動かす動作によって耳管を開き、また、副鼻腔群のサイナスを開き、肺からの空気の流れを導き出す.

と、ここ迄は同じだが、地上での圧力変化に比べ、水中での圧力変化が著しく大きく違い鼓膜を傷める可能性(鼓膜の穿孔・裂孔)が高い為、個人に有った「素早く確実な耳抜き法」を覚えなければならないのです。

あらためて、ジェットパイロットに於いて、急激な上昇や下降を繰り返すとダイバーと同じ様に圧力変化が著しく、耳を傷めるよりも空間認識失調(平衡・天地喪失)(Vertigo)による危険性(墜落)が高くなりますが、ダイバーの場合では更に高い圧力を受ける急速な潜降、急速な浮上を行うと、副鼻腔群、耳管、内耳、肺、体内の空腔部(胃や腸)等に圧力による障害・傷害(生死に関わる)が発生します。

水中での耳抜き法

【水中耳抜き法】耳を痛めたくない方→→的確でゆっくりとした耳抜き法/素早い耳抜き法 の両方を覚える必要性があります

重要 0.3気圧は地上から約3,000mの高度に当たり、水中では僅かに水深3mで0.3気圧 !

2.耳抜きが不完全だと何故危険!?

水中の場合、一度も耳抜きをせずに10m潜ると鼓膜が破けるか、又は耳腔内に漏出したリンパ液(脳脊髄液又は体液)、あるいは、充血した血管が切れて漏出した血液によって鼓膜の破損や耳骨変形による損傷を防ぐ作用が生ずるが、完全ではなく耳疾患障害による治療が必要となり、特に耳骨の変形障害や内耳蝸牛管内の聴覚神経を痛めた場合には難聴や耳鳴りを生じ、内耳三半規管を傷めると平衡感覚障害を生ずる可能性があります。

耳抜きをしているが、抜けているかどうかが判断出来ない場合、その水深から2〜3m下へ降りると鼓膜へと圧迫感や痛みを生じますので、改めて耳を抜けば正常ですが、感覚が無い場合は中耳内に水が入っている恐れがあります。ゆっくりと浮上して潜水を止めるか、中耳内より水・湿気を排出して下さい。この場合も中耳炎になる可能性があります。(中耳内より水・湿気の排出法は下段に記載)

耳抜きをしているが、抜けているかどうかが判断出来ない場合、その場から上に2〜3m浮上すると鼓膜が浮く感覚、或いは耳の中でキュキュ、チュチュ等の排出音が起きる筈ですが、感じなかった場合、中耳内に水が入った可能性があります。耳抜きをしながら浮上は出来ますが、時としてリバースブロックを起こす可能性があります。根気よく耳抜きをして浮上して下さい。中耳炎になる可能性があります。尚、耳抜きが正常に行われていて、中耳内・耳管内に水や水分が無い場合では、排出音がしない場合もあります。(中耳・耳管内より水・湿気の排出法は下段に記載)

耳抜きの不完全や不具合により、内耳リンパ瘻による脳脊髄液リンパの漏出が起きた場合、肩こり、慢性的な頭痛、平衡感覚異常、難聴、耳鳴り、めまい、吐き気、視覚障害等が出る場合がありますが、内耳リンパ瘻(脳脊髄液リンパの漏出)の場合、治療が相当大変で、生活に支障を来たす為、絶対にやってはいけない障害です。

耳の抜け方には個人差があります。また、耳や副鼻腔群への圧障害・圧傷害等も個人差があります。

高度3,000mの気圧≒水深3mの気圧は同じ !!

気圧の同圧

簡単な図ですが、とても重要です。

高度・気圧換算表

見づらい場合は図をクリックして下さい. 拡大版を閲覧できます。

水圧と体積変化図

水深  水圧  圧力=大気圧  絶対圧  ゲージ圧  密度  体積変化を表した図です。

耳抜きの動作解説図

体積変化図

空気の体積変化図です。

3.時間を掛けて耳抜きをしている方は!?

外圧の掛かった鼓膜内部の状態 →中耳腔に陰圧空間を作り、鼓膜及び内耳窓と蝸牛窓を中耳腔内部へと引っ張る力が生じます。この時、鼓膜付け根や耳骨取り付け部に大きな負荷が掛かります。

陸上では圧力差が小さく問題としませんが、水中では大きい為、注意が必要です。

耳が抜けずに鼓膜への外圧迫によって鼓膜の付け根に充血を起こして炎症をもたらし、中耳炎の原因を作る可能性が有ります。

更に、ひどい場合には中耳腔内の陰圧過多によって、内耳窓の引き出し破裂(穿孔、破窓、裂損)により脳脊髄液リンパの漏出が起き、聴覚や平衡感覚失墜(三半規管の障害)、メニエール 症候群等を引き起こし、更に耳骨損傷や変形による難聴も起き、同一の原因として耳鳴り、視覚障害、頭痛、肩こり、吐き気等も起きてくるのです。

また、この様な障害が起きなくても鼓膜が伸びて一過性、又は継続的な低音域の難聴気味になります。

内耳窓破裂(穿孔、破窓、裂損)による最悪の症状では、低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)が起きる可能性が有り、生活に困難な支障を生じさせる為、間違っても起こしてはいけない障害と症状です。(二重に記載してあります)

【リンパ漏(ろう)【リンパ瘻(ろう)がありますが、リンパ漏は外因的な圧力によって生じる脳脊髄液リンパの漏れを指し、リンパ瘻(外リンパ瘻)とは内因的に働く中耳圧、内耳、脳脊髄液圧の平衡が崩れて漏れ出す状態を言います。

ただし、ダイビングでの潜水によって起きる場合は、この二つの状態を誘導し、誘発する為、潜水加圧・減圧性リンパ瘻(漏)とも言います。

つまり、潜降時スクイーズでの中耳腔陰圧によって内耳窓・蝸牛窓を中耳腔へと引き出す作用や、浮上時に耳管峡部のリバースブロックによって中耳腔内の陽圧を内耳窓に過大に掛ける為に起きるのです。

低髄液/脳脊髄液とは脳の保護や脊髄内及び内耳内(三半器官・蝸牛管)に満たされた専用のリンパ液で、体液等の一般のリンパ液とは成分が微妙に違います。図での比較

ゆっくりとした耳抜きを許しているのは乳突洞・側頭骨含気蜂巣が介在しており、多少の圧力変化には乳突洞・側頭骨含気蜂巣内での空気層が追随して補っている。しかし、それにも限界がある。

中耳腔に対する含気クッション層は乳突洞・側頭骨含気蜂巣であり、副鼻腔群では篩骨洞と蝶形骨洞への導管通路(サイナス)がこれに当たっている

一番困るのは時間を掛けて耳抜きをする為に、中耳内腔に陰圧が出来、耳管が中途半端に開く事で口腔内及び鼻腔内の高湿気や直接に唾や海水・淡水が耳管へと誘導される事で、耳管内壁が湿気や水分を帯びて耳管壁の張り付きによる[耳抜きのしずらさ]と浮上時の[リバースブロック]/[浮き耳]を起こす事で有る。

耳抜きの出来・不出来によって、下降と上昇を繰り返す様なゆっくりとした耳抜きは、通常の潜降方法には適さず、ビーチ等のスロープ状、或いは潜降ハシゴ等の所で体を固定して出来る場所が限定なのです。船に取り付けた潜降ハシゴでも良いが波により上下する場合は不向き。

4.ゆっくり潜水(潜行、潜降)の弊害と対策
注意
 水深3m(0.3気圧、絶対圧1.3気圧)〜水深6m(0.6気圧、絶対圧1.6気圧)、更に水深9m(0.9気圧、絶対圧1.9気圧)までの潜降に於いて、耳抜きを行う為に上下へと昇降を繰り返して耳抜きを行う時、よくあるのが片側の耳が抜けても、もう一方の耳が抜けない場合が多々ある。

片側の耳が抜けない為、上下への昇降を繰り返して耳抜きをして行くが、時間を掛けて鼓膜をかばい過ぎた結果、抜けない方の鼓膜周辺へと血液が充血し保護しようと作用する。

この緊張した中での血液の充血は、鼓膜付け根の炎症を徐々に引き起こしていると思わなければならず、更に、この緊張した中での顔面への血液循環は悪く、充血に向かう血液の低温化によって鼓膜周囲及び中耳内腔を冷やす為、中耳腔内圧が下がり、逆に耳が抜けなくなるのです。この時、耳管峡部の張り付きを誘導し、或いは耳管峡部のスクイーズ気味と言った方が良いのかもしれない。

ここで、無理をし、間違った耳抜き法を取ると、耳管開口部から多くの湿気・つば・海水(淡水)等を中耳内へと送気誘導してしまい、耳管峡部壁の張り付きによる閉塞が起こり易く、更に耳が抜けなくなってゆきます。

また、途中で潜水潜降を止めて浮上をする際、耳管閉塞によるリバースブロックによって、更に鼓膜周辺の炎症を進め中耳炎を起こす結果となってゆきます。

間違った耳抜き法を指導者によって習う、あるいは自分で覚えた事で、自らを危険にさらす事を認識しなければいけないのですが、早い話、耳抜きの抜き加減が判らないから、危険に陥るとも取れます。

耳は中耳より内耳につながり、聴覚だけでなく、平衡感覚も司り、脳内の脳脊髄液とつながるもっとも重要で危険な部位でもある為、耳抜きほどダイバーにとって特別に重要視しなければいけない部位となっています。

つまり、的確に耳抜きを覚える為には、どのくらいの送気圧を中耳へ送って良いかの判断目安が必要

この判断と練習の仕方は・・・(*^_^*)

[耳抜きの送気圧力]
危険域と許容範囲、許容程度を述べて置くと、皆さんは鼻炎性の風邪を引いた時に鼻をかむ筈だが、鼻を強くかんだ時、鼓膜が外に張り出して、“痛い!” 或いは、痛みやその状態に驚いて鼻をかんでる手をゆるめたりする筈だ。この痛みは鼓膜の変形による鼓膜付け根の痛み、及び耳骨変形で耳骨取付・接触部位に起きる痛みによって反射及び自覚・自慰反射が起きる為だ。

この状態の痛み以上が鼓膜や中耳に対してやってはいけないバロメーターとなります。
むずかゆい、ホワンとした鼓膜の浮いている状態は安全範囲。

ここで、鼓膜付け根・耳骨周囲の痛みまでは論外として、鼓膜が浮く(外に張り出す)程度では影響はさほどなく、日常でも良く起きていて、高層階のエレベーター、飛行機、電車移動中のトンネル、山道の移動中、時として温度差のあるお風呂場で起こる為、つばをのんだり、鼻をつまんでつばを飲む、あくびをする、鼻をつまんで下あごを動かす等をして対処している筈なのである。軽い圧力の場合は無意識に行っている。

自主・自己訓練
普段からつばを意識的に飲む練習、あくびをいつでも出来る練習、口を大きく開ける練習(下あごを大きく引いて空気を吸い込む)、更に一歩進んで、下あごを大きく引いて空気を吸い込み発声練習をしながら下あごを左右に動かす。[耳管閉塞症、耳管開放症(更に中耳内空気を引き抜く練習が必要)の方にもお薦め]

耳管開口部及び耳管峡部が開き、耳管を通して発声音が耳の左右鼓膜付近で大きく聞こえるが、聞こえ易い方は耳抜きが直ぐ出来、聞こえ辛い方は耳抜きに問題が起きる為、聞こえ辛い方を特に練習する。

総体的に、この練習方法は耳管開口部とその周囲、耳管全体、耳管峡部とその周囲の神経と連動する筋肉を過敏にする方法です。退化している部分を過敏化するのです。
実際には顔全体の神経と筋肉、下顎部とその周囲の神経と筋肉の運動でもあるのです。

下顎部の矯正によって耳管開口部及び耳管峡部を開き易くする練習で、その恩恵としてきつい顔がふっくらとし、歯の噛み合わせが良くなります(笑)

練習器具・道具では、適当な大きさのビニール袋を思いっきりパンパンになるまで膨らます、ゴム・紙風船を割れる寸前まで膨らませる、縁日で売っているゴム・紙風船おもちゃで遊ぶ、吹きづらいトランペットや吹きづらい笛を吹く、専用の器具としてスウェーデン製オトベント等が適しています。

この他では、サクランボの種飛ばし、手のひら(掌)に水を溜めて息で吹き飛ばす、手のひら(掌)の上の小さな紙や一円玉・五円玉・十円玉等を鼻息や息で吹き飛ばす等の練習があります。

自主・自己訓練は気道より上で行い、練習器具・道具では腹式呼吸と腹筋を使う事です。

ゆっくり潜降を行う場合、どの水深でも確定のぴったり停止(潜降中、浮上中)が出来る方はこの限りではありません(*^_^*)

最近、潜って行く事を潜行と記述する方がいるが、潜行とは斜めに潜って行くゆっくり潜水の事を指し、垂直に潜って行く事は潜降と覚えて貰いたい。しかし、斜めに潜っても潜降は潜降なのだが・・・!?

4.この他、耳抜きに対し問題とするストレス他.

ストレスから来る顔面や耳周辺の血行障害での一過性低体温化による耳管閉塞や、内耳内リンパ不安定による精神的動揺や恐怖による行動回避動作が起きる場合がある。
つまり、精神的動揺によって耳は抜けなくなり、恐怖によって潜降出来なくなる、あるいは逃避行動(水面浮上)を起こす。

下の図の丸の所は耳抜きによって圧平衡を行う部位ですが、耳抜きが不完全ですと、副鼻腔群及び中耳腔内の圧傷害が起きてしまいます。→スクウィーズ(Squeeze)[skwiːz]

スクウィーズ/スクイズ/スクイーズとはチューブに力を掛けて絞り出す、雑巾をひねって絞る様子を言います。
(例:レモンを絞るレモンスクイザー)

スクイーズ解説図

ここでの圧傷害と圧障害とは、耳抜きが不完全の為に中耳内空腔が低圧(陰圧)となり、血液又は体液が周辺部位に集まる事で、中耳内空腔の一時的一過的に組織や構造変形が起き、最初に影響を受け易いのが鼓膜の付け根部分だ。

また、耳抜きをして潜水が出来たとしても、浮上時に副鼻腔群及び中耳腔内の空気が膨張して正常に抜けなければ、鼓膜周囲に痛みを伴う為に水面に上がる事は出来ないのだが、緊張のあまりか痛みを忘れて浮上してしまう場合がある。結果として、鼓膜裂損、損壊等の圧傷害・圧障害(発症部位によって言い方が違う)が発生してしまう。

重要

中耳腔とは、中耳(鼓膜の内側空間、耳骨と内耳窓の周囲)に耳管狭部中耳側空間を含めたものを指します。

中耳腔の含気腔容量は凡そ3.5cc〜17ccと個人差が相当あり、平均的に8〜10cc程度(片側)。

含気腔容量には乳突洞・側頭骨含気蜂巣の容積も含んでいる。

耳管は平時には閉じており、唾を飲んだりあくびをした時だけ瞬時(0.3sec)開閉します。

万が一、浮上時に副鼻腔群及び耳腔内の空気が抜けてくれなければ圧傷害が✗点の所で起きる。

浮上時→ブロック(リバースブロック/オーバープレッシャー)

リバースブロック解説図

副鼻腔スクイーズ部位図

鼻甲介図副鼻腔断面図

耳抜きの出来・不出来に左右する重要な鼻腔〜上・中・下の鼻甲介と鼻道〜咽頭部.

副鼻腔群の位置と容量図

重要 
副鼻腔群の含気容量
は凡そ80ccだそうだが、これはコップ半分弱の水と等しい。(6オンスタンブラーで180cc)
この水を空気に入れ替えれば、察しはつくと思うが潜降中や潜水中では口の中を陰圧にすると副鼻腔群にスクイーズが起きてしまう事となる。

その為、肺には十分なる空気を蓄えた状態で潜降或いは潜水し、いつでも口の中や咽頭及び副鼻腔群へ外気圧相当の空気を送気出来る様に準備が必要です。

この送気と言う動作は、耳抜きの動作(耳への耳抜き、副鼻腔群への耳抜き)であり、マスククリアーやレギュレータクリアーにも不可欠なのです。

また、リバースブロックが起きた場合でも、コップ半分の空気を送り出す、吸い出す、コップ半分相当の空気を戻すと言う考え方が必要となりますが、実際にはもう少し余裕をもって送る、あるいは戻すと思っていた方が妥当です。

最初から難しい説明でした(^_^;) 詳しくは下記の説明を読んで下さいね(*^_^*)

6.耳抜き(圧平衡)に関する用語 図の参照.

耳抜き圧平衡を取る(2つの言葉 を含む) 
1.中耳内圧平衡=イアーズ イコライジング.   2.副鼻腔群圧平衡=サイナス イコライジング.

押し耳/刺し耳この言葉は造語であり、鼓膜を外から中へ、又は内側へ押し込んでいる事を表す。
外圧によって押し込んでいる状態をスクウィーズ(Squeeze)[skwiːz]という。
1.中耳内腔圧収縮=ミドルイアー ズ スクウィーズ.   2.副鼻腔群内腔圧収縮=サイナス スクウィーズ.

☆イアーズは耳管(ユースターキー氏管)を指していて、サイナス(連絡管・連絡導管)は副鼻腔群を含めて指している。

押し耳状態図

耳だけでは無く、副鼻腔群の前頭洞や上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞他、からだ全体にも外圧は掛かっている。
今まで状態を表す的確な言葉が無かったので造語してみた。 総じて・・・【押し耳】又は[刺し耳]と言う(*^。^*)

浮き耳状態図

7.耳管及び中耳内閉塞域空気膨張、副鼻腔群内閉塞域の空気膨張による各種障害の発生

各種障害とは、障害としての一過性難聴、耳鳴り、平衡感覚障害(メニエール症候群)、吐き気他。

障害によって起きる傷害では、内出血、リンパ漏(脳髄液リンパ漏と体液リンパ漏)、前庭窓・蝸牛窓の破窓、各種の炎症及び鼓膜の棄損や裂損、継続的耳鳴り他。   リンパ漏(外因性)=リンパ瘻(内因性).

8.耳に関係する語句.  耳の関係(重複するところ有り)

外耳 :耳介、外耳道(聴道) 
中耳 :鼓膜、つち骨、きぬた骨、あぶみ骨、耳管口.
側頭骨の中に出来た含気腔で中耳腔とも呼ばれる.
耳管→鼓室→乳突洞→乳突蜂巣の順番で空気の通り道を形成.

内耳 :骨迷路、前庭、前庭窓(卵円窓)、骨半規管、蝸牛、前庭階、鼓室階、蝸牛窓(円形窓/正円窓)、膜迷路、球形嚢、 卵形嚢、耳石器官、内リンパ管、外リンパ管、半規管、蝸牛管、蓋膜、コルチ器官、有毛細胞、感覚毛、支持細胞、基底膜、ラセン神経節、内リンパ、外リンパ、聴神経(聴覚神経)、蝸牛神経、第8脳神経、前庭神経、この他にも有り。

耳の構造 右耳の断面図

耳詳細構造図

参考

外耳道 長さ約3cm、鼓膜の大きさは約9mm、内径凡そ6mm.

環境によって外耳道内径の変化が起きるが、特にスイマーズイアー、ダイバーズイアーは顕著に現る。

1.内側2/3の骨部と外側1/3の軟骨部に分かれ、軟骨部での皮膚は耳毛・皮脂腺・耳垢腺・汗腺などの皮膚付属器を有している。

2.外耳音波伝道では、2000〜3000Hzの周波数の音波の音圧を約10dBほど増幅する。

鼓膜(こまく) 約10ミリ×9ミリの楕円形、厚さ約0.1ミリの膜. 外耳道に対して、45度傾斜

1.外耳と中耳の境をなし、鼓膜の内側(中耳腔側)にはツチ骨が付いている。
2.鼓膜の緊張部は外側から皮膚層・線維層・粘膜層の層に分かれる。
3.鼓膜の前上方部は弛緩(しかん)部と言い、線維質層を欠いて薄い。
4.鼓膜は鼓室と外耳道との気圧が等しい時に最も効率良く振動し、良く音を伝える。
5.鼓膜の破損や穿孔などでの鼓膜の損傷では、有効振動面積の減少によって、音が蝸牛窓から直接内耳に入る事で聴力は著しく低下してしまう。

鼓室 中耳の内、耳管を除いた部分を総じて言う。

1.咽頭側壁から陥没したもので咽頭の粘膜がそのまま続くが、その粘膜の役割は微妙に違う。
2.側頭骨の錐体の中にあり空気を含む腔所で、外壁の鼓膜と内壁側の前庭窓を耳小骨が連絡。
3.耳小骨筋が2種類あり、ツチ骨と耳管軟骨部を結ぶ鼓膜張筋(三叉神経)とアブミ骨と後鼓室壁を結ぶアブミ骨筋(顔面神経:緊張等の収縮によってアブミ骨を固定し、過大音から内耳を守る)。

※大きな音を聴いた場合、顔面神経の緊張による収縮によってアブミ骨筋が働きアブミ骨の振動を止める事で、過大音による内耳の損傷を抑止・抑制する。(過大音抑止・抑制/内耳の保護.1)

中耳

中耳腔の含気腔容量は凡そ3.5cc〜17ccと個人差が相当あり、平均的に8〜10cc程度(片側)

含気腔容量には乳突洞・側頭骨含気蜂巣の容積も含んでいる。

音波伝搬及び増幅では面積比・てこ比・遮へい効果によって凡そ40㏈の音圧増幅効果。

1.面積比で見た時、25dBの増幅があるが、鼓膜:前庭窓の面積は17:1で、鼓膜の振動が前庭窓に伝わる時にエネルギーが集約される。

2.てこ比で見た時、2.5dBの増幅があるが、ツチ骨:キヌタ骨で作るてこ比は1.3:1。

3.蝸牛窓遮へい効果を見た時に12dBの損失を予防している。
これは鼓膜に穴が空いたりすると、音波が蝸牛窓からも入る事で、前庭窓からの音波とを相殺してしまう為である。(過大音抑止・抑制/内耳の保護.2)

耳管 鼓室と咽頭を連絡する管を言う

1.鼓室は耳管と咽頭を経て外部に通じるので、鼓室内圧は外気圧と同様に保たれる仕組み。

2.耳管は鼓室前壁に始まり上後外側から下前内側に向かって斜走し咽頭側壁に開いている。

3.耳管の長さは個人差もあるが、約 33mm〜約35mmほど。

4.鼓室側は骨部、咽頭側は軟骨部と言われ、その境界を峡部と言う。

普段は閉鎖しているが、つばを飲んだりあくびやそしゃくをする事で、口蓋帆張筋(迷走神経支配)の収縮により開閉される。

5.耳管は通常(地上)に於いて、乳突洞・側頭骨含気蜂巣→中耳腔→耳管咽頭口への生体ガス排出の為の一方通行とみなしている。

外部の圧力が急激に変化した時だけ、内耳内圧の安定化の為、この一方通行が一過的に相互通行へと変わる。

乳突洞・側頭骨含気蜂巣 側頭骨には多数の含気腔が存在し、この部分を指して言う。

1.機能的は不明な部分が多いが、少なくとも粘膜を通じたガス交換や、空気層を持つ事で内外圧に対してのクッション層及び衝撃吸収層になっている。

2.鼓室と外気に気圧差が生じた場合、耳管を開けば解消するが、乳突蜂巣の粘膜上皮細胞のガス交換によってもある程度は調節出来る。
ただ、この機能は耳管の開閉に比べれば劣るものの、睡眠中などのあくびや嚥下運動が行われにくい状況では重要な役割を果たしていると考えられる。

耳腔での圧平衡が上手く取れない場合、含気蜂巣の空気によってある程度補う作用と効果がある。
また、ダイビング等で耳が抜けずに無理をした場合、圧平衡の圧力補正を行う為に、まず最初に含気蜂巣内の空気で圧力の補正をし、不足の場合は含気蜂巣粘膜の膨潤が起き、更に不足の場合は粘膜細胞破層でリンパ液(体液)の漏出で補おうとする。
それでも不足の場合は粘膜内の毛細血管破断による血液の漏出が起きて鼓膜の損傷・穿孔及び内耳の機能損傷を防いでいる。

しかし、浮上時に起きるリバースブロック(中耳腔内圧上昇)への対応はクッション的な緩衝程度で効果が薄い。

内耳 内耳は鼓室の更に奥に存在し、鼓室に於いて前庭窓(卵円窓)と蝸牛窓(正円窓)の2つの窓で内耳に通じている。 蝸牛窓(正円窓は円形窓とも言う)

1.前庭窓より音が入り、蝸牛窓より音が出て音質や音域、音圧を調整している。

2.前庭窓にはアブミ骨がはまり込み、鼓膜の振動を内耳に的確に伝えている。

3.内耳は蝸牛管・前庭器官・半規管の部分に分かれ、その内部構造は複雑な為、迷路と言う。

4.内耳は2〜3mmの比較的厚い骨に包まれていて、これを骨迷路と言う。
更に骨迷路の内部には膜で出来た仕切りがあり、これを膜迷路と言う。

5.膜迷路の内部は内リンパ液、膜迷路の外側で骨迷路の内側の部分は外リンパ液で充当される。

6.外リンパ液は蝸牛小管によって脳脊髄液とつながり、内リンパ液は硬膜壁で閉鎖されている。

前庭窓より振動音が入り、蝸牛窓より振動音を中耳腔内へ戻す事で音質や音域、音圧を調整している。
(過大音抑止・抑制/内耳の保護.3)

蝸牛 蝸牛とは螺旋(らせん)状の器官であり、内耳の蝸牛に伝えられた音振動は内部に満たされているリンパ液を介在して、基底板に伝播している。

1.基底板上には外有毛細胞・内有毛細胞などの感覚細胞群で構成されるコルチ器管が存在し、中耳から伝達された機械的な音振動を電気信号に変換している器官。

前庭と半規管で平衡感覚、体幹位置、移動・回転加速度の関係を司っている

前庭 前庭の内部には卵形嚢・球形嚢のこぶ状の嚢がふたつがあり、耳石器と総称される。

平衡感覚器

1.卵形嚢・球形嚢の内壁には平衡感覚を受ける平衡斑と言われる組織がある。
機能としての平衡斑は耳石で直線加速度を感じ取る作用を持つ。

半規管 外側半規管・前半規管・後半規管の3本の管から構成されており、それぞれが互いに直角に交わる事で体幹位置を把握している。

1.3本の半規管はその付け根部分が少し膨らみ、膨大部と言われる。
2.その膨大部には有毛細胞があり、その上面にあるゼラチンの様なクプラに包まれているが、膨大部のクプラで回転加速度を感じ取っている。

3.有毛細胞はクプラのゆれを感じて脱分極をし、その電気的刺激を前庭神経に送る。

半規管構造図半規管内部構造

内耳での音の感知

1.アブミ骨底から前庭窓/卵円窓に伝えられた振動は、まず外リンパを振動させて波動を生じさせる。
2.外リンパの波動が膜を通して内リンパに伝わり、蝸牛頂の蝸牛孔を経て鼓室階におよび、正円窓(円形窓/蝸牛窓)の膜から中耳腔へと抜けていく。

3.基底板が振動し、内耳感音系へと伝わっていく。

4.周波数の高い音ほど蝸牛の入り口近くで受け、周波数の低い音ほど蝸牛の頂点側で強く反応する感音作用がある。

前庭階・鼓室階→外リンパ液  蝸牛管→内リンパ液 外リンパ液内リンパ液脳脊髄液の事.

△聴覚の脳への音信号伝導と音の内容認識
コルチ器(コルチ器官)

3列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞の毛が搖れて脱分極化し、電気刺激を蝸牛神経に送る。

聴覚の受容器である有毛細胞先端の毛には機械的な刺激に応答して通過させるイオンチャンネル部がある。
(有毛細胞の毛は蓋膜に固定)

蝸牛管内部のリンパはK+濃度が高く、音刺激によって毛が動かされるとK+チャンネルが開き、K+が細胞内に流入するが、このイオンの流れによって有毛細胞は脱分極化し、神経伝達物質を放出する事でインパルスが有毛細胞から蝸牛神経に伝達される。

コルチ器→らせん神経節→橋の蝸牛神経核→外側毛帯を上行→中脳の下丘→視床の内側膝状体→側頭葉のHeschl回.

1.蝸牛の受容器からの神経インパルスは背側と腹側の蝸牛神経核(Cochlear nucleus)に入る。
2.シナプスを変え、大部分は対側の上オリーブ核(Superior olivary nucleus)へ伝達される。
3.3次ニューロンは上オリーブ核から外側毛帯を通り下丘(Inferior colliculus)に到達。
4.下丘から出る4次ニューロンは内側膝状体(Medial genuculate)に入り、5次ニューロンとなって皮質の聴覚野Auditory cortex)に情報を伝達。

聴覚の一部の繊維は脳幹網様体に連絡しており、大きな音などに反応して脳を活発化させる.

△下は同じ内容だが判りやすいかも・・・。

音波→外耳道→鼓膜→ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨→卵円窓(前庭窓)→前庭階のリンパ振動→鼓室階のリンパの振動→コルチ器の基底板振動→3列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞が蓋膜に触れることで毛が折れ曲がる→有毛細胞が脱分極を起こす→有毛細胞が興奮→蝸牛神経に興奮が伝わる→らせん神経節→橋にある蝸牛神経核→二次ニューロンへ線維を乗り換える→(@又はA)

⒜反対側に交叉し台形核へ→三次ニューロンへ乗り換え→上行→中脳下丘→B
同側の台形体でシナプス→三次ニューロンへ乗り換え→上行(外側毛帯)→中脳下丘→B
B四次ニューロンへとシナプス→視床の内側膝状体→シナプス→側頭葉のHeschl

中耳内より水・湿気を排出図

9.耳管口[(開口部)又は(咽頭口)]と耳管の位置を確認して下さい。上図・下図

耳管咽頭口の位置を見ると上顎と下顎の付け根に近い事が判る。唾を飲んだり、あくびの動作、大きく下顎を引く動作によって耳管咽頭口を強制的に開かせる事が出来る。

耳管位置図

耳管位置図2

☆ ここからは重要ですので一読して下さい。重複していますが簡単な説明です。

音の伝達 :外耳道→鼓膜→つち骨→きぬた骨→あぶみ骨→前庭窓(卵円窓)→ 蝸牛内部を満たすリンパ液→基底膜→コルチ器官(有毛細胞により電気信号へ)→聴神経→大脳の聴覚中枢へ.

平衡感覚 :それぞれ直角に交わる3つの半円形の管を半規管と言い、頭を回転させると半規管の中の リンパ液に流れが生じ、半規管の膨大部にある有毛細胞の感覚毛を動かして、頭の回転加速度についての信号を前庭神経に伝える。

また、平衡斑は耳石器官の球形嚢と卵形嚢にそれぞれ有り、ゼラチン質の膜に覆われ、その中に有毛細胞の感覚毛が埋まっている。

頭を垂直に保った時に卵形嚢斑は水平で感覚毛は上を向き、球形嚢斑は垂直面 の前後にあって感覚毛は外側を向く。

この感覚毛が受ける微妙な力の変化から頭への重力及び直線加速度を感じ取る.

"緊張感"半規管や耳石器官の信号によって、眼球を動かす外眼筋や全身の骨格筋の反射的な緊張の変化を起こす.(耳石器官=球形嚢と卵形嚢)。

重要 内リンパ管は球形嚢と卵形嚢との間につながつており、その先は側頭骨をおおつている、硬膜下で盲管となり終わっている。

外リンパ管は脳髄よりつながり半規管を覆う様にリンパ液で充填され、蝸牛管の先端で内リンパ管とつながっている。

ここでのリンパ液(外リンパと内リンパ)は脳脊髄液の事.

リンパ液の違い

重要な事は、硬膜の中と外のリンパの微小圧力が少なからず聴覚や平衡感覚並びに上記で述べた緊張感や視覚及び思考力にも影響を与える。

脳髄は、脳脊髄液と呼ばれるリンパ液に囲まれ安定性を保っているが外部及び内部から発生するストレスによって脳脊髄液の成分電位が変化して運動機能や思考力及び生理的に多大な影響を与える。

脳脊髄液は一般のリンパ液とは違い間質液(水分調整)がなく又栄養分である蛋白質をもほんのわずかしか含まない。(血清中6.8g/dl、脳脊髄液中0.02g/dl)

脳脊髄液は血液と神経細胞との間の成分交換の仲介を行っているが、脳の内部には存在せず周りを覆っている。

脳脊髄液の成分調整は血液脳関門と言われる部分で行われるが、ストレスによっても変異をきたし血液脳関門が血流を増減することで早い回復性を担っているのですが・・・。
この血液脳関門は脳脊髄液リンパの成分電位の安定化を早く図ろうとする為、大量の血液を脳へと流す関所的な役割も果たしている事が、逆の危険作用を生む場合があるのです。

例えば、私たちダイバーは、ここで述べたストレスによって、脳脊髄液リンパの成分電位の変化によって運動機能や思考力及び生理的に多大な影響を受ける事で起きるパニックや運動機能萎縮、生理的作用ではディープ潜水中の酸素中毒や窒素酔い、浮上中では呼吸障害や減圧症等を誘発しかねない事を含んでいます。

初心者では最初から全てがストレスの中にある為、「なるほど!」と納得しながら耳抜きをして潜りましょう!
出来ない事は全てストレスへと変わり、更に恐怖へと変わって(パニック、逃避行動)潜ってはいられなくなります。これは、脳が持っている生命維持の一つの行動なのです。

ベテラン域のダイバーでは、ディープダイビングやカレントダイビング、ケーブダイビング、レックダイビング、その他のストレスの掛かる潜水に於いて、それまでに得て来た知識や経験等により、緊張度の増すストレスを回避、或いは低減化を訓練によって熟達する必要があるのです。

たかが耳抜きと思わないで下さい。耳抜きによって起きるストレスは、精神的なストレスと生体・生理機能に多大な影響を与え、生命を危険にさらします

耳抜きは、耳の中耳と内耳、聴覚神経、副鼻腔群等に最初の高度ストレスを与える為、自分に合った適切な耳抜き法を覚えましょう。
参考 血液脳関門・・・脳に於ける血液の関所的役割.  門脈・・・体内に於ける血液の関所的役割.

10.右脳と左脳の関係→右脳と左脳のキャッチボールはストレスの回避につながる!

水中では大きな声で喋ったり、自分への激励や自分自身への命令をして下さい!!

ダイビングを始めたばかりの初心者はうまく潜れるかな? 耳抜けるかな? と思いつつ潜るものですが、その動作が分散され集中する事が出来ません。

一つ一つの動作を確実に行うには、レギュレーターをくわえたままで喋る事を覚えましょう

喋ると言う動作は、右脳で肯定をし左脳で否定をすると言った脳の心理的な部分を補います

恐怖や不安感を増長する左脳に対し、右脳は肯定しきれませんので直接声を出して右脳の肯定力を強化する働きが必要となります。

頭の中で考え、心理的に自分の動作をコントロールする事は非常に難しく、左脳の要求する危険回避性には負けてしまう恐れがあります。(心理不安によりパニックを起こす可能性)

これを補う方法が、声を出して直接右脳に訴え、安心させ、自分の正当性を心理意識に出せる唯一の方法なのです。

例えば、潜降しま〜す! 声を出して「よ〜し、は〜い、潜降〜」と言ったり、耳抜きをする場合は「耳抜き!右よ〜し、左よ〜し、耳オッケ〜、耳グッド」と、声を掛けます(脳に直接伝える事で安心感の増大)。つまり、左脳と右脳の連携のキャッチボールを行い、左脳の持つ恐怖感や不安感を冒険心や興味心へと転換(本来の目的)すれば良いのです。

このキャッチボールがうまく行かず、左脳が勝り、右脳が負けるとパニックの一歩手前となり、次の段階(緊張による呼吸不安と不必要なフィンキックによるCO2増大)で本当のパニックに陥ってしまいます。

また、左脳に不安を与えない為には脳内での溶存酸素量が関係してきます。

緊張をする事で呼吸のタイミングを失い、溶存酸素が不足して来ると、生命維持欲求の問題として呼吸中枢は左脳へ不安だという信号を送り出してしまいますので、潜降時の動作一つ一つ(耳抜き、マスククリアー、BCの操作等)に、必ず息を吸ってから、一つの動作を行う様に心掛けるべきです。

ここで述べている事は、正常な呼吸によってしかうまく脳のコントロールが出来ない事を意味しています。

呼吸と言う動作(呼息と吸息)は息を吸う事で脳に安心感(適度な酸素量の増大)を与え、息を吐く事で適度に緊張と運動性(素早さ、運動の加速的行動)を与えます。

この時、筋肉の収縮により緊張と運動性は持続しますが、この筋肉の収縮により血中の溶存酸素量を保持しょうと働くので脳に対しての不安感は起きて来ません。(一時的ですが訓練により持続性が増します)

「耳抜き」で有っても、心理不安として常に左脳へ働きますので、右脳を安心させて下さい。

水中にいるベテランダイバー、インストラクター、プロの作業ダイバー達は常に喋っているのです(*^_^*)

何はともあれ水中では大きな声で喋って下さい。(喋る練習をして下さいね!)

 

耳に関わる病気のページへリンクしております。 一読して下さい。

11.鼻に関係する語句.(重複する所あり)

外鼻 :鼻背(はなすじ)、鼻尖(はなさき)、鼻骨、鼻中隔軟骨、外側鼻軟骨、小鼻翼軟骨、鼻翼 (こばな)、外鼻孔、大鼻翼軟骨、線維脂肪組織.

鼻中隔 :鼻中隔軟骨、篩骨鉛直板、鋤骨.

鼻腔 :嗅部(嗅裂)、上鼻道、中鼻道、下鼻道、鼻前庭、外鼻孔、内鼻孔(鼻限)、嗅球、上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介、咽頭扁頭、耳管口(耳管咽頭口)、咽頭口、軟口蓋、鼻咽頭、硬口蓋、鼻涙管、鼻中隔、後鼻孔、嗅神経、キーセルバッハ部.

副鼻腔群 :前頭洞、篩骨洞、、蝶形洞、上顎洞、乳突洞(側頭骨の乳様突起にある)、連絡通路(連絡通管、連絡導管、サイナス)によりつながる.

耳管 :中鼻甲介奥の咽頭鼻部より中耳腔へ.

乳突洞 :中耳腔と連絡し、尚且つ中鼻甲介奥の咽頭鼻部と耳管を介して連絡する。乳突洞は乳突蜂巣とも呼ばれる。

前頭洞 :中鼻道中央少し前の上側より通じる。

上顎洞 :中鼻道中央部より通じる。

篩骨洞 :中鼻道中央少し上より通じ、また上鼻道中央からも通じる。

蝶形骨洞 :上鼻甲介奥より通じる。

鼻涙管 :涙嚢より出て鼻腔外側壁に沿って下方に向かい両側の下鼻道へ出て、鼻水と成る

副鼻腔位置説明図

副鼻腔断面図鼻甲介図

各洞の名称と場所(→右の絵も参照)         各洞への連絡管(導管、サイナス)と開口位置

各導管はサイナスだが、それぞれに名称有り.

下向きの矢印は粘液の出口(鼻水)及び通気口

重要 

12.鼻の部位と役割

吸い込んだ空気の塵を除き、加温や調温及び加湿をし、中鼻道を通過中に70%近くの塵を除き、温度も25℃〜37℃、湿度も35〜80%位になる。

また、匂いを感ずる嗅粘膜の広さは約2.4cuで、ここに嗅覚受容細胞があり、粘膜面に分泌された粘液中に多数の嗅毛を出している。

匂いの元となる微細な粒子が、この粘液に溶けて嗅毛を刺激すると電気信号が発生し、嗅球を経て大脳新皮質の嗅覚中枢に伝わり、匂いとして感ずる。

副鼻腔群の通常の働きは、頭蓋骨を軽くするのは言うまでも無いが、声に音色を付ける作用も有る。

(個々に鼻歌等の音色が違う)

鼻本来の持つ役割は、副鼻腔群の呼吸性線毛上皮細胞から粘液を分泌し、線毛は小微粒子を鼻咽腔へ送り出す作用が有り、上記で述べた塵の排除や加温、加湿や粘液の分泌の量により雑菌、ウィルス等を流し出し鼻水として鼻腔より出される。

耳管も呼吸性線毛上皮細胞の為、あえて副鼻腔群の中に留めているが、これは細胞の組織的な分類で有り、器官的に粘液の分泌等は少なく、閉鎖された空間の保護作用と調圧・調湿に重点が置かれ、耳管内や中耳に水が入った場合、及び内炎症に於ける分泌液排出時に呼吸性線毛上皮細胞が活発化し、繊維線毛の動きによって耳管咽頭口へと排出する。呼吸性線毛上皮細胞→分泌液、湿気、水の排出を行う。

呼吸性線毛上皮細胞とは、偽重層上皮(pseudostratified epithelium)とも言われ、表在上皮細胞、介在上皮細胞、基底上皮細胞から構成される上皮組織の1つ。 多列上皮とも呼ばれている。

偽重層上皮

13.気圧変化での器官の圧感覚状態

圧力の変化を受ける部位として、耳では中耳と内耳、副鼻腔では耳管を含める前頭洞、乳突洞、篩骨洞、蝶形洞、上顎洞、鼻涙管の内部に空間を持つ器官で、次の気圧感知を受ける。

単に副鼻腔群とした場合、耳管は耳の部位に、鼻涙管は副鼻腔群として見る。

飛行機の離着陸、エレベーターの昇降、トンネル、山越等でも鼓膜の変化(圧迫感、膨張感)を感じ易く、副鼻腔群でも感じる場合は鼻詰まりの時に前頭洞や篩骨洞、鼻涙管等に膨張感、圧迫感が有り、過敏な人は天気の変化でも感じる場合が有る。

耳や副鼻腔群が顕著に圧力を感じるのは、やはり水の中であろう。

14.外耳、中耳、内耳、副鼻腔群に掛かる圧力について

人間の体表組織や体腔内組織はその表面に圧力を掛けると、その圧力を押しのけようと内圧(毛細管血液やリンパ液が集中する)が働くが、この時に耐えきれる圧力が問題だ !?

圧力を掛け過ぎると内出血を伴う圧障害又は圧傷害を起こす。

単純に言えば"あざ"や"打ち身"と同じで、どの位の圧力で圧障害を起こすんだろうか?

個人差が相当有るが健康体の人を取ってみると、0.3気圧〜0.5気圧程で、体を鍛えたスポーツマンで0.7気圧に耐え、肌の張りも相当あると言う事だろう !!

体表組織、体腔組織でも同じ条件であるが、胃や腸に関してはメカニズムが少し違う様だ。

(胃や腸にもスクイズでの圧障害と圧傷害が有るのだが・・・今回は説明を省く)

肺より送気出来る圧力0.3〜0.5気圧位で胸筋や腹筋が弱ってくると送気出来る圧力も必然的に弱くなるが、胸筋や腹筋を鍛えたスポーツマンでは0.7気圧にも及ぶ。

例えば、耳抜きの水深に換算すると3m〜5m(7m)の水深圧で、陸上に於いてその圧力で長々と耳抜きをすると鼓膜の周囲に圧障害と圧傷害を起こしかねないし、鼓膜が伸びて一時的な難聴となる。

注意 これは、水面から3m以内の所で耳抜きを長々と無理やりにした場合、耳管の内部からの送気圧力0.3〜0.5気圧を中・内耳腔圧平衡を取る為に送り続けると、鼓膜を外に押し出して鼓膜の付け根の炎症や一過的に耳骨の変形等で耳の聞こえが悪くなる。

耳抜きを長々と無理やりにした場合であり、瞬時の耳抜きでは鼓膜に掛かる外圧で相殺されて問題は無い。

また、耳が抜けず鼓膜に外水圧が掛かりっぱなしになると、鼓膜が中耳腔内へ押され、鼓膜が若干だが伸び、また、一過性の耳骨の変形で音の聞こえが悪くなる。

鼓膜周囲の圧傷害を起こした場合、耳の奥がむず痒い場合は鼓膜周囲に内出血が起きている恐れがあり、中耳炎になる可能性が有り注意が必要。

それ以上の圧力が掛かれば鼓膜が破れるか、伝導骨変形及び損傷、内耳損傷や聴覚神経障害が起きる恐れがある。

ここで注意をしなければいけないのは、痛み(外圧圧迫痛)を伴った耳抜きを時間を掛けてしてはいけない事と、うねり等による急激な圧力変化に気を付けなければいけない。

耳抜きは数を重ねる事により、外耳道、鼓膜及び鼓膜周囲、中耳、耳管そして副鼻腔群の周囲の神経や筋肉組織が敏感になり、圧力を感じ易くなり、また抜き易く成って行く。

これは、圧迫感や痛みを感じ易くなり、耳抜きの動作が速くなる事で回避している。

(抜けずらい方はチェック)

注意 病後の人や肺疾患等お持ちの方、年配者では、鼓膜や体腔等の表皮組織が弱く、鼻をかんだり咳をしただけでも鼓膜が破けたり、副鼻腔群損傷、肺胞等の損傷が起きる場合が有ります。

15.鼓膜が破れたら !!

潜水に於いて鼓膜の外側に水圧が掛かる事で、圧痛や圧迫感を受けた時に「耳抜き」による圧平衡を取れば問題が無いが、圧迫感や痛みを感じない程にほかの事に気を取られていた場合では、一瞬、又は激痛の走る中で鼓膜に亀裂及び穴が開く。

1.中耳腔内に水が入り、急激に内部が冷やされ、特に半規管の脳骨髄液リンパが冷やされて平衡感覚が狂い、目が回り、天地が分からなく成ってしまい、溺れる可能性がある。

2.平衡感覚を司っている三半規管の外リンパと内リンパも冷やされ、急性のメニエール症候群となり、めまいや吐き気なども併発する。

陸上に於いては、耳の外耳道部分を手の平で塞ぐ様に押さえ、耳の後ろの丸みのある骨の部分をよく温めると意外と早くめまいや吐き気が治って行く。(外耳道内の空気を閉じ込めて温める)

水中では陸上の方法と同じだが、手の平で、又は人差し指又は中指で外耳道を塞いだ後に、耳抜きの要領で空気を耳の方へ送り、これ以上の水が入らない様にし、内部を温める。

最良な方法として、鼓膜の破けた、又は、痛みの有る側の外耳道に人差し指、あるいは中指を入れて塞いだ後、鼻をつまんで空気を送り(耳抜きによる排水)、内部の水を外耳道側へ押し出す。 注意としては破れた鼓膜側を下側にして行う事と、親指付け根にて耳の後ろを温める。

この後、急ぎ水面に上がるのだが、自分の吐いた小さめな泡を目安にするか、コントロールド・ポディティブ・ボイアントアセント、又は通常の緊急浮上で浮上する。(訓練が必要)

16.浮上後の処置

鼓膜に穴があいても、その穴の大きさが意外と気になるものである。医者に掛かればこの位の穴が開いていますよ! しばらくは安静にして通院して下さいと!!

乾いた空気を吸いいきむ事で鼓膜の敗れた耳へと送気するとシュー等の音がします。外耳道を下に向けていきむと内部の水も排出されます。

鼓膜に穴が開き、中耳を介して内耳の一部まで海水に暴露されたと言う事は、多くの雑菌等にさらされ、つい、耳のむず痒さの為、自分の指等を外耳道の中に入れてしまうものである。

外耳道を殺菌しながら水分をとり(綿棒を使用)、速やかに耳鼻科へ直行です。

耳の内部で痛みが発したら赤信号!! こんな事で中耳炎、内耳炎の長い闘病生活に入りますか!!
耳は大事な器官です。 大事にしましょう(*^_^*)

17.鼻炎とアレルギー 連絡管(導管、連絡導管)=サイナス

アレルギー等により鼻腔内部及び副鼻腔群の血管が収縮し血行不良が起こると、冷えが始まり、鼻腔内部及び副鼻腔群より粘液の分泌が多くなる。

鼻腔内部の炎症で周囲の腫れによる鼻づまりの症状でも、各副鼻腔群の連絡管(導管、サイナス)も同じ症状が現れていく。

特に前頭洞、鼻涙管、耳管の3つの管が長く、鼻涙管を除く前頭洞、耳管に顕著に現れ、連絡管(導管、サイナス)が閉塞状態となり"耳が抜けない"前頭洞が抜けない"状態になつてしまう。

鼻水の出る場所と器官は? 図解1  図解2

鼻炎に関しては色々な現象による症状が有りますので良く調べて下さい(^^ゞ

star病気の検索(Yahoo)star1家庭の医学(萬有製薬検索)star2耳鼻科50音辞典

18.鼻炎対策として(一例です)

@ ミントティーに皮付リンゴをすりおろして飲用するとアレルゲンに対して効果が有る。

A ティーツリーオイルをマスク等に数滴たらして鼻から吸う。

B ゴマオイル、特に大白という銘柄が良く、このオイルを5〜10分程加熱する。

冷やした物を密閉の容器に入れて使うが、必要な時に鼻の鼻腔に直接2〜3適を点鼻する。

この後、1〜1分30秒程上を向いている。

終了後にゴマオイルが鼻から出てきたり、口の中に入ってしまった場合は、鼻をかんだり、良くうがいをする。

1日に2〜3度(必要に応じて適選)点鼻すると効果をはっきする。(インドのアーユルベーダより)

参考

大白(白ゴマ)は香りを抑えたタイプで、鼻には刺激が弱い。

◎ゴマ特有の成分セサミン、セサモリンなど7つの効用

1.ヘタリにくく消化吸収がよい 2.ビタミン類の分解を防ぎ、吸収を助ける 3.老化の防止と抗ガン性 4.結核菌の生育阻害作用(殺菌作用) 5.二日酔いの防止(アルコール代謝促進) 6.高脂血症の防止 7.ストレス性疾患に効果あり

19.点鼻スプレーと服用薬について

点鼻スプレーの効用

この状態を一時的に回避する為に充血解除用点鼻スプレーが販売されている。

スプレー以外にも内服用錠剤も販売されていて、成分はエフェドリンやフェニレフリン系で、商品名もナーベル、プリビナ、プリビナールその他の商品群。

中途で薬効が切れる恐れ有り !

点鼻スプレーや服用薬の危険性

点鼻又は服用(錠剤の方が効果が長い)してから2時間位の効果があるが、個人差も有り、途中で薬効が切れる場合が有る為に、使用に際して注意が必要で有る。

潜水開始時間の30分位前に使うと効果があるが、注意して使用し、万が一の事を考え、リバースブロックの解除法を覚えて頂きたい。

20.寒さと耳抜き  連絡管(導管、連絡導管)=サイナス

外気温や水温が低い場合でも耳が抜けなくなる事が有る。

寒さにさらされると、末梢の毛細血管が細くなり、血液を体内に取り込み体表面の血行が悪くなる事で、体表面の温度が時間を追って下がって行く。

この時、顔面も同じ状態で冷えが進行して顔がこわばってくる。

この冷えにより血管が収縮し、鼻や副鼻腔群、連絡管(導管、サイナス)も冷えて充血が始まり、粘液の分泌が多くなり、連絡管(耳管、前頭洞連絡管)=サイナスが閉塞し易くなる。

21.体温低下、鼻水の出る場所と器官は? 図解1  図解2  図を参照して下さい。

疲労・睡眠不足による血糖値低下でも同じ事が起きるので注意をされたい。

ダイビングでの2本目以降に疲労や血糖値低下で顕著に現れるので注意をされたいが、高カロリー、高脂質、高たんぱくの食べ物によって軽減される(飴、チョコレート等)

この他にマウスピースの噛み過ぎでも耳が抜けなくなる。

あごの関節に力が入り、顔面筋が強張って血行が悪くなり、冷えて耳管の閉塞が起きる。

酸素過剰(ディープダイビング、過剰換気)による体温の低下での耳抜き・リバースブロックの発生。
対策
:動きを止めて呼吸を停止させ、二酸化炭素(CO2)を体内に増やし体温を上昇させる事で回避出来る。

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