Copyright(C)PROTECS JAPAN by Hidenori.Kunitsugu All Right Reserved.

P-4

ここからは[耳抜き法]の実技に関した項目.

C.耳抜きの実技編.

耳抜きをする前の注意事項:「耳抜き」をする時は、口の中や鼻の所に水(海水、唾液、鼻水)が有ってはいけません。(湿気程度は大丈夫です。 水には海水だけで無く、淡水や唾液・鼻水も含まれます)

耳抜きをする時、耳管やサイナスへ水分や湿気を送ってしまう事で、耳管閉塞(イアーズブロック)や副鼻腔群のサイナス閉塞(サイナスブロック)を起こす為のトラブル防止策です。

文字が見づらい場合はクリックして拡大版を確認して下さい。

1.重要 副鼻腔群と中耳腔の含気容量(容積)を表しています。

副鼻腔群の容量は凡そ80ccだそうだが、これは小さなコップに 約半分位の水と等しい。

 (取り敢えず、計量カップで水を測って見るのも・・・納得の行く方法です(*^^)v)

この水を空気に入れ替えれば、察しはつくと思うが、潜降中や潜水中では口の中を陰圧にすると副鼻腔群にスクイーズが起きてしまう事となる。

その為、肺には十分なる空気を蓄えた状態で潜降或いは潜水し、いつでも口の中や咽頭及び副鼻腔群へ外気圧相当の空気を送気出来る様に準備が必要なのです。

中耳腔の片耳の含気容量は3.5〜17ccと個人差があり過ぎるが、平均的に片耳8〜10cc程度と思っていれば良い。

この送気と言う動作は耳抜きの動作(耳への耳抜き、副鼻腔群への耳抜き)であり、マスククリアーやレギュレータクリアーにも送気が必要です。

また、リバースブロックが起きた場合でも、コップ 約半分の空気を送り出す、吸い出す、コップ約半分相当の空気を戻すと言う考え方が必要となって来ます。

このコップ(6オンスタンブラー:180cc)約半分の空気を口腔操作(口の中と下顎を動かす)、或いは咽頭・喉頭や腹腔を動かす事で耳管或いは副鼻腔群へと送り出す圧力を作り出し、一連の耳抜き動作や操作が出来ている。 この時、咽頭蓋や口蓋は弁の役割をしている。

2.一般での耳抜き法

注意

耳抜きの中で、唾を飲んで抜く方法も耳抜きです。しかし、この方法は耳の圧平衡を取る為の動作時間が掛り、抜けずらい為、潜降スピードが速いと逆に耳を傷める場合が有ります。 ビーチでのスロープを使ったゆっくりとした潜降の時に[唾飲み耳抜法]を使いましょう。

下の図を見て頂くと、陸上では鼓膜の外側に外気圧が掛かっているが、1気圧以下しか無く、耳抜きによる送気をすると、0.3〜0.5気圧もの圧力を中耳側から鼓膜へと掛け、正常な位置にある鼓膜が外側へと張り出てしまう為、鼓膜及び鼓膜の付け根に負荷が掛かる。

水中ではどうだろう!?  水中では鼓膜の外側まで水没して水圧により鼓膜が奥へと押し込まれて折、耳抜きによる中耳内への送気圧力0.3〜0.5気圧を掛けても、鼓膜を押し込む外圧(水圧)によって圧力の相殺が起きる為、耳抜きによって鼓膜は正常な位置に戻り圧平衡が取れるが、陸上よりも水中の方が負荷・負担が少ない。

3.講習等で習う一般的な耳抜き方法

1.鼻をつまんで"うん" 又は"フン"と言う.

2.鼻をつまんで"う〜ん"といきむ.

3.鼻をつまんで唾を飲む.・・・・・・・・・ツインビー法

4.鼻をつまんで下あごを動かす.・・・バルサルバ法

5.鼻をつまんであくびの動作(下あごを奥に大きく引く)

6.上記の複合で、耳抜きをしながら首を回す、または左右に振る.(効果は薄い)

4.耳抜きが上手く出来なかった時の対処法

1.抜けない方の耳を上に向けて耳抜きをやり直す。(効果は薄い)
注意点:強く耳抜きをすると下側となる耳管へ水(鼻水・唾)を送り易い。

2.耳が抜けない所から少し上がって(1〜2m浮上)耳抜きをやり直す。
注意点:上がり過ぎると効果が無い。(繰り返しの耳抜きとなり、潜降に時間を要す)

3.あきらめて潜水を中止する!! 

5.普段の練習法

 耳抜きの練習だけで無く、スノーケルクリアー、マスククリアー、レギュレータクリアーの練習にもなります。

1. 鼻をつままないで、"うん"とか"フン"と鼻へ息を送る (声を出す、鼻から強く空気を出す).

2. 下顎を引いたり、動かす事で鼓膜を動かす(顎の所で"かくかく"と音がする).

3. 下顎を動かし、鼻から息を吸う(下顎を大きく奥に引き"あくび"の練習).

4. 唾を遠くへ飛ばす(さくらんぼの種飛ばし). 手の平に1円玉、五円玉、十円玉あるいは小さな紙を置き、息又は鼻息で飛ばす練習.

5. プールや海洋での練習の場合、手の平に水を溜めて、口の息又は鼻息でおもいっきり吹き飛ばす!

6. ゴム・紙風船を膨らます。 (風船ガムや普通のガムを噛む、膨らますなども良い練習になる) .

専用の練習具 耳管通気具(鼻送気バルン) 製品名:オトヴェント スウェーデン製製 2,100円(要確認) 

6.「いきみの練習法」注意 注意 注意 注意 注意 要注意練習法(危険 むやみにしてはいけません)
陸上での練習法 一度に2〜3回迄で、連続してやってはいけない. 中・内耳圧痛他が起きる。

鼻をつまんで、ゆ〜っくりと息を吸った後、いきむと耳へ空気を送って行くが、意識を鼓膜と耳の中へ持って行き、鼓膜が外に張り出るのを確認する。鼓膜が両方とも浮いたら鼻の手を放して圧力を抜く。
最初の息を吸う時では、1.息を吸ってから鼻をつまむ. 2.鼻をつまんで息を吸う. どちらでも同じです。

この時に、片側の鼓膜だけが張り出て、もう一方の鼓膜が出ない感じがする場合は、その状態を維持したまま、耳の中を意識して、更にいきみ、息の力を掛けると抜ける(鼓膜が浮く)。

注意 瞬間的な圧力は掛けないで下さい。ゆっくりとしたいきみだけによる送気です。

この練習法は中耳及び内耳に対して連続した圧力が掛かります。
鼓膜が外に出た以上の圧力を掛けると、内耳、中耳、伝導骨、鼓膜の付け根周囲に痛みを伴いますので、やり過ぎは耳を傷める原因となります。

要注意 練習法
耳の弱い方、年配の方は特に注意が必要です。 1日に2〜3度程度で止めて下さい。
度を超えて行うと中耳炎や内炎症、耳骨変形、難聴になり易くなります。
更に、内耳窓破窓による内耳瘻を原因とする肩こりやめまい、及び平衡感覚障害、耳鳴り等も起きます。


解らない、解りづらい場合は相談用メール又は相談用掲示板にて質問を受けています。

7.耳鼻科の医師が進める耳抜き法 陸上・高所耳抜き法の為急速な潜降には不向き!

1. ツインビー法・・・・・・・ 鼻をつまんで唾を飲む。

2. バルサルバ法・・・・・  鼻をつまんで下あごを動かす。鼻をつまんで歯を噛み合わせる。鼻をつまんで下あごを引く様にしてあくびの動作。

3. 2つの併用タイプ(ローリーテクニック)・・・鼻をつまんで唾を飲み込みながら下あごを動かす。

この方法はいつでも練習が出来ますので根気良く、まずは練習を!!

ただし、急激な圧力変化には不向きですが、練習によって対応可能です。

エレベータや飛行機の機内、電車の中では有効ですが、訓練により速い動作で潜水にも適する様になります。

8.プロダイバーの行う耳抜き法 [水中耳抜き法]急速潜降、全潜水潜降を可能とする。

単発法・・この耳抜きをする場合、口の中に多少でも水が無い事(僅かはやむ得ない)

※注意:この単発法を陸上ではやらないで下さい.・・・鼓膜、中耳を痛めます。

1. 息を吸い込み、鼻をつまんで一気に鼻の奥に向かって"フン"と瞬時に送るが、この時の背筋は真直ぐで行う。

2. 1.で耳抜きの抜けが悪い場合は1.のしぐさと同じだが体を前に丸めながら腹筋を使って耳抜きを行う。

単発法の特徴は、耳抜きとマスクブローを同時・瞬時に出来る.

与圧法・・鼓膜に外圧を少しずつ掛けながら耳抜きを行う方法. 

1. 水深1m毎に耳抜きをして行くので、耳抜きを強くやらなくても大丈夫.

単発法、ツインビー法、バルサルバ法、ローリーテクニックが使える.

連続法・・急速潜降等に有効.

1. 大きく息を吸い込み、次に鼻をつまんで鼻の奥に向かってハミングする。

この時のハミングは"ウ〜ン"や"ブ〜ン"と力を入れて連続的に圧力を掛けながら潜降して行く。

1回の連続ハミングで3〜5m以上の潜降が可能ですが、練習によりそれ以上の潜降が可能となります。

9.フリーダイビングでの耳抜き法. スキンダイビング用

1. ツインビー法・・・・・・・ 鼻をつまんで唾を飲む。

2. バルサルバ法・・・・・ 鼻をつまんで下あごを動かす。鼻をつまんで歯を噛み合わせる。鼻をつまんで下あごを引く様にしてあくびの動作。

3.ハンズフリー法・・・「随意耳管開放法」、自慰通管法と言い、最初はあくびの練習から行う.訓練が必要。

4.フレンゼル(マウスフル)法・・・空気を取り込み、口・気道・肺へ空気をパッキングする一つの方法で訓練が必要。特に腹部や胸部の柔軟性を必要とし、腹式呼吸の延長線上にある。

深い水深へと潜る場合、3.と4.の習得、そして精神的なストレス回避が不可欠となります。

10.副鼻腔群(前頭洞・各サイナス)耳抜き法 (注意が必要です)

ここの項は副鼻腔群への、特に前頭洞への[耳抜き法]圧平衡法ですが、浮上時に前頭洞連絡導管(サイナス)にブロック(閉塞)が起きる可能性があります。

ブロック解除の為に「リバースブロックの解除法」も同時に覚えて下さい。 尚、「リバースブロックの解除法」は耳管ブロック(閉塞)解除にも有効です。

潜降中に眉間部分が痛くなったら、また鼻骨の付け根部分が痛くなったら導管又は連絡管(サイナス)が通気をしていません. 時として血の匂いがする場合が有ります。

抜けていないと気が付いたら、少しだけ水深を浅く取りなおし、再度耳抜きをします。無理をすると鼻血の原因になります。

抜けない場合は神経を眉間回り(前頭洞)に集中して、下記の様に対処します。

1.大きく息を吸って鼻をつまみ前頭洞を意識しながら強く"いきむ" 、この時に キュキュかプチプチ或いはキューウ〜音と共に通気する。

◎「いきみ」の強弱でも、抜けるには個人差が有ります。

◎キュキュかプチプチ或いはキューウ〜音がした場合、浮上時にサイナスのブロックが起きる恐れがあります。
「リバースブロックの解除法」を覚えて下さい!

2. 1.で抜けない場合は、3m〜5m位の範囲で浮上と潜降を繰り返し、抜き直しを2回ないし3回程行ってみる。 これで抜けなければ、やむえず潜水を中止をする。

大きく息を吸って鼻をつまみ前頭洞を意識しながら強く"いきむ"(2.は誘導法)

前頭洞がどうしても抜けない場合は潜水を中止し、体を休めてください。

疲れている時や風邪を引いている時には無理をしてはいけません。

特に2本目のダイビング時、食事抜き等では血糖値低下による体温低下により、各サイナスのブロックや耳管ブロック(圧平衡の不安定)が起き易くなります。

11.耳抜きと耳鳴り

ダイビングを楽しんで行く中で、たまに耳が抜けずらい場合が有る。
耳の圧平衡が取れない状態を長く続けると、平衡感覚を司る三半規管内のリンパ液に影響し、そのリンパ液を充当している脳髄内圧へと関連して行く。 これは大脳皮質を刺激する事となり、この事がストレスへと変わってしまう。

このストレスは脳内血液や耳、顔面の循環血液にも及び、緊張感による血管収縮により一種の酸欠を引き起こす。
酸欠は一時的に部位体温の低下を来すが、部位体温の維持の為に産熱並びに血管の拡張が起こり循環血液量を増やそうとし、当然として脳髄リンパ液の圧力にも影響を及ぼし、さらに三半規管と蝸牛管の内部リンパ圧力にまで及ぶ。
これは内耳の音の聴覚神経器官である蝸牛管のリンパ液にも影響し耳鳴りとして脳の大脳皮質の聴覚受容体へ信号として送ってしまう。 耳抜きという動作は単に圧平衡と云う事ではなく、精神的な安定も司っている。

陽圧で+0.3気圧以上、陰圧で-0.3気圧以上の圧力を一定の時間受けていると内耳変調をきたし、平衡感覚不調、メニエール症候群の吐き気やめまいを起こし、特に受ける圧力が高いと蝸牛管の聴覚神経に傷を付けたり、聴覚神経破断等も起き、耳鳴りを確定で起こしてしまう。

この他には内耳窓(前庭窓、蝸牛窓)の破窓が起き、内耳炎等の炎症によって耳鳴りが起き易い。
また、耳骨変形により耳の聞こえにも問題が起き、これが原因での耳鳴りも有る。

もう一度、耳抜きという動作をすばやく的確に行う事を再考して頂きたい。

一般的な耳鳴りとしては、血行障害による内耳や中耳内圧への異常、脳内リンパ圧の高低圧や脳内血管の収縮、膨張による組織障害での耳鳴りが有るが、この他の原因として心臓に関わる循環器障害や内臓の障害等多岐に及ぶ。

前述の中に血行障害が有るが、肩こりや視力、歯痛、難聴などでもストレスを受けますので耳鳴りは当然として起き易くなるのですが、一時的に直す為には首筋や耳の後ろ、頭を冷やす事で、血液の温度や体液、周囲温度を調整する事で多少はしのげる。 しかし、一時しのぎでは直らないので、原因の究明を図りたいものです。

尚、最近では脳内の硬膜や髄膜剥離による脳髄圧及び延髄の圧力低下又は圧迫による耳鳴りも起きているので、よくよく原因を調べる必要が有ります。

ダイビングでは水圧による刺激を中耳や内耳へと直接的な圧力として受ける為、中途半端な耳抜きや半抜け状態での聴覚圧障害は、陸上に住む私達にとって重大な後遺障害を残す事となる。

耳抜きの練習具(リンクされています)個々にお買い求め下さい。

耳管通気具(鼻送気バルン) 製品名:オトヴェント スウェーデン製 2,100円? (税込み) 

自分で作る方は縁日や雑貨屋で売っているゴム風船で作る事が出来、ゴム風船を膨らませる事でも十分練習になります。

このPAGEは【耳抜き・浮き耳と仲良くなるページ】の4PAGE目です。
このサイトのHOMEPAGE/PROTECS JAPAN