【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】 study-four_f-1からの続きです。

----------------------------------------------------------------------

----------------フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用↓------------

9.免疫  (近い内に組み替えますので参考にして下さい)

lymph-4図(この図はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 からの引用ではありません)

       
lympha-4図は全身のリンパ管とリンパ節の位置関係、脾臓の位置。

免疫(めんえき)とは

病原体などの非自己物質を認識し、排除する生体防衛機構のこと。

精密かつダイナミックな情報伝達を用いて、細胞、組織、器官が複雑に連係している。

稀に、免疫制御機構の異常から自己成分に対しても免疫が発動されることもあり、自己免疫疾患という。

抗体による免疫応答が過敏に働き、逆に生体に不利益をもたらした場合を、アレルギーという。

免疫機構の概観

免疫とは、ヒトや動物などが持つ、体内に入り込んだ「自分とは異なる異物」(非自己)を排除する、生体の恒常性維持機構の一つである。

一般に、薬物や化学物質などの排除には、肝臓の酵素による代謝が働くのに対し、免疫はそれよりも高分子であるタンパク質(ヘビ毒やハチ毒など)や、体内に侵入した病原体を排除するための機構として働くことが多い。

特に病原体による感染から身を守るための感染防御機構として重要であり、単に「免疫」と呼ぶ場合には、この感染防御免疫のことを指す場合も多い。

免疫(感染防御免疫)は、体内に侵入するバクテリアやウイルスなどを妨害する障壁を創造、維持することで生体を防御する機構である。

感染源がこの障壁を突破したとしても、自然免疫が感染源に対応する。

自然免疫にはある特殊な細胞が備わっており、それらは侵入物が自己を再生産したり宿主に対し重大な被害をもたらす前に発見、排除する。

自然免疫を突破した感染源に対応するのは獲得免疫である。獲得免疫は一度感染源に接触することで発動し、発動後は感染源を発見し次第選別、強力に攻撃を仕掛けていく。

獲得免疫は抗体や補体などの血中タンパク質による体液性免疫の他に、リンパ球などの細胞による細胞性免疫によって担われている。

リンパ球には分化成熟して免疫グロブリンを産生するB細胞のほかに、胸腺で分化成熟するT細胞などがある。その他、食作用によって抗原を取り込んで分解してT細胞に提示する樹状細胞なども免疫機能の発現に関与する。

これらの細胞は骨髄で産生され、胸腺やリンパ節、脾臓などのリンパ系組織での相互作用をへて有効な機能を発揮するようになる。一般的に『免疫』と聞いて多くの人が思い浮かべるのはこの作用である。

免疫機構の構成要素

自然免疫 獲得免疫
非特異的な反応 感染源と抗体の特異的な反応
感染源との接触で即最大効果を発揮 接触から最大効果までは時間がかかる
体液性で細胞が仲介する 体液性で細胞が仲介する
免疫記憶なし 接触により免疫記憶を形成
ほぼ全ての生物で見られる 高度な脊椎動物でのみ見られる

上皮障壁

細胞上皮(いわゆる皮膚だけでなく、粘膜や腸管などを含む)には生体を感染から守る障
壁があり、機械的、化学的、生物学的に守っている。

自然免疫

微生物が上皮障壁を突破すると、自然免疫に関する細胞や機構が動員されて宿主を守る。

自然免疫の防御は非特異的であり、裏を返せば多くの感染源に対し有効な手段で選別、対応しているといえる。

注意したいのは、自然免疫では長期にわたる防御能は得られないことである。

自然免疫は原始的な生命も持っており、植物、カビ、昆虫、原始的な多細胞生物などでは生体防御の主役を担う。

かつては下等動物だけの原始的な免疫と思われていた。しかしToll様受容体、Nodタンパク質、RIG-I(病原微生物に対するセンサー)などの研究が20世紀末から進展し、自然免疫が高等動物にも存在するのみならず、獲得免疫が成立する前提として重要なメカニズムである(たとえばマクロファージや樹状細胞が病原体の存在により直接活性化される)ことが明らかとなった。

体液障壁および化学障壁

炎症(ダイビングでの重要項目)

炎症の特徴は、発赤、疼痛、熱感、腫脹の四つである。サイトカインと呼ばれる特定の物質群によって起こり、いずれも感染に対する免疫機構の正常な反応である。

損傷した細胞から遊離するサイトカインには、白血球同士での情報伝達に関与するインターロイキン、坑ウイルス作用を持つインターフェロン、マクロファージなどを呼び寄せるケモカイン、更に成長因子や細胞毒性因子なども含まれる。これらのサイトカインや他の化学物質によって感染拡大への防御能ができ、感染源の駆逐と損傷した組織の回復が促される。

補体

補体とは、抗体の機能を補助、あるいは補完するたんぱく質及び機構である。補体機構の最終産物C5b6789は別名細胞膜障害性複合体とも言い、感染した細胞や感染源の細胞膜を破壊することで、サイトリシス溶菌を起こす。

これを免疫溶菌現象、あるいは免疫溶菌反応といい、細菌への防御においては好中球の貪食と並び重要な機構である。

ヒトの補体機能に相当するものはある程度原始的な生物でも持ち合わせており、哺乳類に限らず、植物、魚類、無脊椎動物の一部にも見られる。

自然免疫での細胞防御

正常なヒトの血液を電子顕微鏡で見たもの。赤血球、リンパ球、単球、好中球、そして多数の小さな血小板が見える。

白血球は学術的にはロイコサイト leukocyte と言う。

ロイコサイトは特定の器官や組織に結合しているのではなく、独立して動く単一の細胞からなる器官である。生まれ持ってのロイコサイトにはマスト細胞(肥満細胞)、好酸球、好塩基球、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ファージ細胞(マクロファージ、好中球、樹状細胞)などがあり、ロイコサイトは感染源を直接破壊するか貪食するなどして駆逐する。

自然免疫はまた、獲得免疫を促進する。

マスト細胞は結合組織や粘膜に留まり感染防御や傷の回復、時にはアレルギーやアナフィラキシーにも関連する。

好塩基球と好酸球は好中球と関係があり、寄生虫防御で重要なケミカルメディエーターを分泌する。また、喘息などのアレルギーにも関与する。

ナチュラルキラー細胞は腫瘍細胞やウィルスに感染した細胞を非特異的に破壊する(ちなみにこれは炎症反応には含まない。)

ファージ細胞とは、文字的には食細胞という意味であり、これらの細胞は感染源や粒子を貪食する、すなわち食う。細胞内では感染源は酵素と酸によって加水分解される。

ファージ細胞は普段は体内を巡回して感染源を探しているが、サイトカインによって特定部位に集合することができる。 マクロファージは最も重要なファージ細胞であり、侵入した感染源を追って組織や細胞間スペースにも入れる。好中球はファージ細胞の中で最も数が多く、体内を巡るロイコサイトの内50〜60%を占める。大抵の場合、感染の現場に最初に到着する。

マクロファージ上や好中球上のレセプターにバクテリア分子が結合するとバクテリアの貪食や破壊が始まる。 樹状細胞は組織の中に存在するファージ細胞で、肌、鼻、肺、胃、腸など外部環境に関係する。ニューロンの樹状突起に形が似ていることからこう呼ばれるが、神経機能には関与してない。

樹状細胞は抗体産生において、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをしている。

自然免疫は感染の最初の段階で働くが、多くの感染源は自然免疫を回避するための戦略を発達させてきた。これに対抗して、自然免疫はしばしば特異的な獲得免疫を誘起する。

特異的な獲得免疫

獲得免疫では抗原提示を介して自己と非自己との選別が行われ、獲得免疫は抗原特異的である。

この特異性によって、特定の感染源や感染した細胞を最大限排除し、各感染源を意味のある抗原として記憶(免疫記憶)することが可能となっている。

同様の感染が同様の感染源によって起こった場合、記憶細胞は排除のため速やかに集合する。

リンパ球

T細胞(MHCクラスT)と抗原、T細胞(MHCクラスU)と抗原のそれぞれの結合。

抗原は赤で示されている。

獲得免疫に関与する細胞は、リンパ球と呼ばれるロイコサイトの一種である。

B細胞とT細胞がその主なものであり、骨髄の造血幹細胞に由来する。

B細胞は体液性免疫に関与し、T細胞は細胞性免疫に関与する。

B、T両細胞は各自の特定のターゲットを認識、反応するための細胞ごとに微妙に異なるレセプター分子を持っている。

T細胞が非自己を認識するには、感染源が小片まで分解されて特殊な自己レセプターである主要組織適合遺伝子複合体 (major histocompatibility complex; MHC) と共に提示されねばならない。

T細胞にはキラーT細胞ヘルパーT細胞の二つの主要な分類があり、キラーT細胞はMHCクラスTに結合した抗原のみを認識し、ヘルパーT細胞はMHCクラスUに結合したもののみを認識する。

一方、B細胞の抗原特異的レセプターは全く異なる。それらはB細胞表面に結合した抗体分子であり、平常時でも抗原を認識する。

B細胞上の抗体は、将来そのB細胞が産生する抗体のサンプルであるが多少の違いが存在する。

キラーT細胞 (Tc)

キラーT細胞は異物や異常な抗原を細胞表面に提示している細胞を直接攻撃する。

キラーT細胞(Tc細胞)は、ウィルスなどに感染したかもしくは機能不全に陥った細胞の細胞死を引き起こすT細胞である。

不活化されていたTc細胞は、自身の持つT細胞受容体(TCR) とペプチドが結合したMHCクラスT分子とが強い相互作用を示すことで活性化する。

MHC−ペプチド複合体はT細胞上の他の受容体によって認識、T細胞へ結合される。この新しいレセプターはCD8と呼ばれる。活性化したTc細胞は、感染した細胞や特定のMHCクラスT−ペプチド複合体を持つ細胞を探して体中を移動する。そのような細胞を発見するとTc細胞はサイトカインを遊離し、標的細胞の細胞膜に穴を開けてイオンや炎症物質などを流入させて細胞破裂をもたらす。

ウィルスに感染した細胞の場合、宿主細胞の死亡はウィルスの死亡をも意味する。Tc細胞の活性化は厳重に制御されており、一般的にはMHC−抗原複合体からの強力なシグナル、すなわちヘルパーT細胞からのシグナルを必要とする。

ヘルパーT細胞 (Th)

ヘルパーT細胞(Th細胞)は免疫反応を仲介し、獲得免疫の構築や最大限に活用する時に重要な役割を演じる。Th細胞には細胞を障害する能力はない。従って感染した細胞や感染源を直接排除することはできない。

自分が直接攻撃しない代わりに、他の免疫細胞への指示を司ることで免疫反応を管理統制している。

Th細胞はMHCクラスU分子に結合した抗原を認識できるTCRを持っており、このMHCクラスU−抗原複合体はTh細胞のCD4によって認識される。

Th細胞が活性化されるとサイトカインが遊離し、多くの細胞を活性化する。

Th細胞が要する活性化刺激はTc細胞のそれよりも弱く、Tc細胞や抗体を産生するB細胞の活性化を促進する。

B細胞および抗体産生

抗体は2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖から構成される。可変部によって抗体は抗原を認識することが出来る。また、マクロファージは定常部に対する受容体を持っている。

B細胞が特異的な抗原を発見すると抗原を取り込み、分解する。分解された抗原の欠片を特異的なMHC分子上に提示し、その抗原と特異的に結合するT細胞を引き寄せ、そのT細胞がB細胞を活性化する。

活性化されたB細胞は特異的な抗体を無数に生産、結合できる抗原を求めて血管やリンパ管の中を巡回する。抗体が抗原に結合することで、Tc細胞や補体に攻撃されやすくする。

これをオプソニン化という。

免疫記憶

能動免疫

    ・ 能動免疫 active immunity は、ワクチンなどの抗原を投与して誘導する免疫反応。

受動免疫

  ・ 受動免疫 passive immunity は、抗体、キラーT細胞といった既存の作用物質を投
        与して起こす免疫反応。

免疫の獲得

ヒトの免疫障害

免疫不全

ある種のウイルスに感染することによって免疫機能が破壊され、様々な感染症・合併症を引き起こす病気がいわゆるエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)である。

またこのウイルスをヒト免疫不全ウイルス (HIV) と呼ぶ。先天的に免疫機能が破綻しており、様々な感染症などを引き起こす病気はまとめて原発性免疫不全症候群と呼ばれる。

自己免疫疾患

自己免疫疾患を参照

過敏症

アレルギーを参照

免疫反応の応用

ワクチン接種や血清療法は、免疫機構の抗原抗体反応を利用したものである。

抗体の実体は免疫グロブリンとよばれるタンパク質で、細菌などの抗原に特異的に結合して抗原の不活性化に働く。

---------------フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用↑--------------

ダイビングに於いて、僅かに取り込んだ窒素N2や血漿中に溶けている酸素O2もマクロファージの攻撃対象だが、白血球も対処しようとして増産される。更にリンパ管の中を通過するのは細胞外液だけではなく、アンモニアNH3、アンモニウムイオンNH4+、尿素、尿酸も通って行く為、ダイビングの場合は特に白血球が増える。

10.ダイビングに於ける脱水(潜水中と潜水後)

ダイビングに於いて、一般の脱水症状を呈するのは何一つ変わらないと思われがちだが、ダイビングに於いて、体に掛かって来る運動量は陸上の2〜3倍位とも言われる。

これは、体の捻じれを含めた全身の運動で、1日に2ダイブのダイビングで凡そ3800㎉〜4500㎉の体力消費が有るとされる。

1ダイブ1時間であっても2ダイブなら2時間でこれ程のカロリー消費をするのだ。

とすると、それに伴って乳酸も出す事となり、乳酸の加水分解も起き、目に見えない汗や膀胱への貯尿も起きている。

これは、腎性脱水腎外性脱水をも考慮しなければいけない事となる。

尚、この拙稿【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備 知識】内で多く取り上げているオーバーキックとオーバーワークでの呼吸数増大や心拍数増大も、腎性脱水腎外性脱水を安易に引き起こす為に決して良いものでは無いと言える。

これに加えて、ダイビングでは水浸と言われる体を水に浸ける事での心理反射イマージョンでの利尿効果と、水深を増して潜る事での、水中に於ける中性浮力化によって起こる高圧利尿による排尿作用が有るのです。

共に腎臓から膀胱へと導かれますので、一種の腎性脱水と同じ効果が生まれ、脱水へと向かいます。

もう一つの原因として、スキューバダイビングの場合、スキューバのタンク内空気の乾燥度だが、その乾燥の度合いは99.8%以上と言われ、殆ど水分が無い状態ですから、レギュレーターから呼吸をする度に口腔内及び肺内の湿気補給で体内の水分は奪われて行くのです。

やはり、これも腎外性脱水へ向かう系統です。

水中や水面で動けば動くほど喉が渇き、喉がくっつく様な息苦しい違和感になって行きますが、口からレギュレーターをはずしてうがいをすれば、暫くはこの息苦しさから解放されます。

この喉の渇きは、水中に於いての緊張も働いて口元並びに顎に力が入っている事でも原因の元になっているので、口元や顎に力が入らない様に、更に顎を引く動作も、レギュレーターからの空気が喉元に当たる為に注意が必要とされる。

筆者の呼吸の仕方はレギュレーターのマウスピースを軽く咥えるが、咥えた時に口尻をゆるめて軽く海水(又は水)が入る様にしている。

つまり、タンクからの空気は殆ど湿気が無い為に、口の中には常に水分が有る様にしている事で喉が乾かないが、耳抜きの時には、この口の中の水は耳管へ送り出してしまう為に要注意となる。

また、顎に力を入れない様にレギュレーターのエキゾースト(排気弁)から排気をせずに口尻から排気をしている。これは、マウスピースの噛み具合が大変に緩い事を表している。

顎に力を入れない事で、緊張や筋肉疲労、脱水を低減しているのだ。

ただし、口の中に海水を引き込むのは良いのだが、この海水を飲んではいけない。

飲めば血中のナトリウム濃度が上がり脱水化が進む。

マウスピースを強く噛む事で顎に力が入り、更に肩にも力が掛かる事で、疲労感が増し、また、耳抜きも抜けない原因ともなっている。

特に、初心者や中級者に多く、ベテランであっても緊張した時にマウスピースを強く噛んでチップ(出っ張り)を噛み千切ったりもする。これも、練習によって回避出来る様になる。

さて、ダイビングでの脱水についてまとめて見よう。

腎性脱水 運動過多による血流量増大での利尿と、水浸利尿と高圧利尿.

腎外性脱水 発汗、呼吸による口腔や気道の渇きと、体外への水分排気.

になるだろうか! 良く見ると初心者から中級者系の運動量の多い方がなり易いと気が付くし、それ以外でも、長時間潜水している方に当てはまりそうだ。

が、実は潜水での高加圧下では細胞内液、細胞外液での間質液が血漿内へ流入して外水圧平衡を取ろうと移動を始める為、実質では血漿量が増えて体腔の弱い所、及び関節内へと移動する。

また、血液中の血漿の量が増えた事での利尿効果も働き、膀胱へと導いて貯尿する。当然として、尿意も催す。

高加圧下では、外圧と身体内圧力が完全に飽和しない限りでは血漿と細胞外液、細胞の内液は不安定な状態となるが、血液はサラサラの状態。

潜水後、又は浮上後の体の状態では・・・

潜水が終了して浮上を始めると、外水圧も下がって身体内圧力も下がり始めると体腔の弱い部分と関節へ充当されていた血漿は元の状態へと戻ろうとして、血液中へと戻り適正に組織へと配分されて行くが、膀胱へと導かれた水分(体液)は元へとは戻らない。

また、呼吸によって体内の水分を体外へ放出した分もあって、結果的に水面に近付く程、血液内の血漿(水分/体液)は減って行き、ドロドロの血液へと向かって行く。この血液ドロドロの状態は脱水と同じで腎性脱水とも言う。

当然として、ダイビング終了後に水分の補給は不可欠である。腎性脱水と腎外性脱水の両方が潜水中では顕著に起きている事を表している。

潜水中にこの様な脱水状態を起こさない為には、中性浮力を確実に取り、また、運動量を極力減らす事が最良の方法だ。ただし、高圧利尿だけは避けれない。
潜水中に脱水状態が出る場合は、この項の1の脱水の症状を見て下さい。

11.脱水と体液移動での傷害と障害(減圧症誘発).

潜水での高加圧下では血液がサラサラなので、窒素分の飽和以下、又は所定の無減圧潜水なら問題は無い。

しかし、浮上に際して脱水が起きていると血液がドロドロの状態、つまり、血液の粘度が上がる事で血液の流れがスムーズに行かなくなり、大静脈圧過大へと向かって行く。

また、浮上スピードが早くても、マイクロバブルス窒素抱合・抱合体泡の下大静脈血管内への放出圧が高まり、同じく大静脈圧過大へと導いてしまうのである。

更に、浮上に際しての呼吸に於いて、意識的に排気をしなければいけないのと、浮上時にオーバーキックによるオーバーワークも心拍数の増加に結び付く為に、してはいけない行為とされる。

ここまでは、脊椎型・脳型・中枢神経型・メニエル型・チョークス型の減圧症に発症してしまう事を言ったが、細胞内液と細胞外液での関係で細胞外液中の血漿蛋白/アルブミンが尿意によって膀胱へ大量に導かれて減ってしまうと毛細血管壁が閉塞を起こし、細胞内液へ取り込まれた窒素分の血中アンモニアと尿素や尿酸が放出されない為にT型の減圧症発症へと向かってしまう。

これは、いずれも腎性脱水、腎外性脱水がいかに危険かを表している。

水分は静脈側毛細血管から80%、リンパ管から20%を回収しているとされるが、これはあくまでも陸上に於いての事であり、水中での加圧時の治験は無い。

一番の問題とされるのは1回のダイビングでの体力の消費calが1800〜2000㎉と体温の低下を含めた運動量の多さだ。

また、呼吸している空気も乾燥したものであり、呼吸や汗による不感蒸散も著しく脱水へと向かう事となる。

----ダイバーにとって重要です(減圧症関連)血液とは何! と一部重複--------

          
     リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)

浸透圧を考える!T型筋肉内減圧症 と関節内減圧症、無菌性骨壊死発症に関係します。

血漿蛋白質(アルブミン)は肝臓で作られています。

蛋白質(アルブミン)溶液と水とで考えた場合、蛋白質の粒子の大きさは水やナトリウムと比べて非常に大きく、分子量で示すと水18、ナトリウム23に対して、蛋白質のアルブミン粒子は69000と極めて大きい分子数値となる。

例えば、アルブミン溶液と水の間に膜を置いたとしますが、この膜に小さな穴が開いていて、水やナトリウムは通るがアルブミン溶液は通らない膜とします。

この膜の間には両方の間に等濃度になろうとする力が働きますが、水やナトリウムは通ってもアルブミン溶液は通れずに、代わりに水分子がアルブミン溶液に引き寄せられて等濃度になろうとします。この力を浸透圧と言う。

小さな穴の開いた膜を半透膜と言うが、毛細血管の血管壁もこれに当る。

蛋白質の事を膠質とも言い、蛋白質によって生まれる浸透圧の事を「膠質浸透圧」と言う。

血漿中には蛋白質の中で一番多いアルブミンが「膠質浸透圧」の元になっている。(膠質=こうしつ)

毛細血管壁(半透膜)を介して細胞外部(細胞外液)の水分を血管内に取り込む作用を血漿内の蛋白質アルブミンが行っています。

身体に起きるむくみは血管内のアルブミンが少ない為、若しくは腎臓から尿の中へアルブミン(蛋白質)を排出する事で細胞外液を排出出来ずに体細胞にむくみが生じます。

体細胞にむくみを生じさせない為には、血漿中にアルブミンが(蛋白質)がバランス良くなければいけないとされるが、ダイビング中はイマージョンや潜水反射等で、水分を膀胱へ排出させる事も報告されており、当然、このアルブミンも大量に膀胱へと排出されると思われる。

アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っている。と、ここまでは良いのだが・・・・・。

この浸透圧調整に於いて、潜水中に体細胞組織に取り込まれた窒素は、この浸透圧調整によっては体細胞組織より排出されない可能性があるのである。

つまり、この浸透圧により毛細血管壁を通って排出されるべき窒素分の血中アンモニアと尿素及び尿酸が出れずに体細胞組織に残り膨潤化すると筋肉型や関節型の減圧症となってしまうのだ。

特に関節型では骨頭周辺の骨組織に痛みやかゆみ、鈍痛が有るが、これ以外に、骨頭軟骨や緻密質、海綿質、骨髄腔を含めた骨組織で無菌性骨壊死が起きて来る。

この無菌性骨壊死とて、元は骨細胞型減圧症と言われるT型減圧症なのである。

関節型であっても症状がひどい場合、又はひどくなくても繰り返し潜水を行って、周辺部位にその症状が拡大した場合は、関節型から無菌性骨壊死へと進化及び転化して行く事を知って置かなければならない。

これは、職業として潜っているプロダイバーに特に多い。

つまり、アルブミン量が減る事で体細胞組織からの水分中(体液)に含まれた窒素は毛細血管壁を通れない事となる。

この作用は関節や骨組織内でも起きており、T型減圧症発症の筋肉型と関節型に及ぶもの、並びに無菌性骨壊死の原因と思われる。

さて、体組織や体液、そして脱水がいろんな状況下で起きる事が分かったが、ダイビングに於ける減圧症の発症にはもう少し語らなければいけない様だ。

それは、この体液の移動に伴ってもう一度トータル的に考えると説明が足りない事に気がついた。

脱水には@腎性脱水型、A腎外性脱水、B腎性脱水型の血漿蛋白質低下での細胞膜閉塞性脱水(細胞膜=浸透膜)である。

このBの血漿蛋白質低下での毛細血管浸透膜閉塞性脱水では毛細血管を介して水分のやり取りが出来なくなるが、間質液に開口部を持つリンパ管から水分(体液)の排出は出来るが、一方的な放出となる為、飲水等での供給が無ければ体組織への水分供給は出来ない事である。

ダイビング後にむくみが無いのは間質液が貯留されないのでむくむ事は無いが、逆に細胞内液側に脱水が起きている事に気がつかないのである。

時として、この細胞内液側の脱水では重大な組織の壊死が起きる可能性を示しているし、軽く見ても、この症状ではチクチク感やかゆみを訴え、ひどくなると周辺部位の合同の痛みとしての鈍痛が起きるし、ひどい場合は絞られる様な激痛が走る。

Bの血漿蛋白質低下による毛細血管浸透膜閉塞性では、間質液が貯留されてむくみを生じるが、間質液層に開いたリンパ管によって間質液はリンパ節へと導かれ、異物等が除かれて後、リンパ胸管(リンパ総管)に戻ってから静脈中へ返される。

つまり、通常のルートでは無い形で窒素も通って排出される事となるが、下大静脈を通らずに内頚静脈と鎖骨下静脈で上大静脈へと入り心臓へと運ばれる。

リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)図を参照.

脱水の回避の為の水分補給では、腸(小腸と大腸)で吸収される。単なる水でも大丈夫だが、ダイビングの疲労感によっては電解質タイプの飲料水をお薦めする。

大量に飲用する場合は、電解質タイプの飲料水を2〜3倍割して飲むと効果的だ。

lymph-1図(下の図)

上の図は血漿成分の内、細胞外液と細胞内液に分けたものですが、細胞外液に含まれる間質液は血漿蛋白質を含まない成分となっています。

また、細胞内液では蛋白質を蓄えていて膠質浸透圧の保持をして水分供給が出来る様にもなっていますが、ダイビング加圧中には、この蛋白質及びリン成分に窒素分の血中アンモニアと尿素が多く吸収・吸着され再合成されます。

lymph-4図

      
lympha-4図は全身のリンパ管とリンパ節の位置関係、脾臓の位置。

lymph-5図                        

lymph-5図はダイビングでの加圧中を表わしていて、動脈側毛細血管から細胞組織の細胞内液に窒素分の血中アンモニアと尿素が移動している様子を表わしているが細胞内液の蛋白質やリン化合物と結合し合う。

潜降加圧中でも、細胞組織での生体生成ガス(マイクロバブルス)は常に門脈から肝臓に入り、下大静脈側を通して運ばれ、右心房・右心室を通り肺から排出される。

lymph-6図

lymph-6図では浮上中を表わしていて、細胞内液に溜まっていた、或いは結合していた窒素分の血中アンモニアと尿素は静脈側毛細血管及びリンパ管から排出されて行く。

しかし、血漿蛋白質アルブミンが血液中に欠乏していた場合は、膠質浸透圧が働かずに浸透膜が閉塞して静脈側の毛細血管から排出が出来なくなると、リンパ管へ向けて窒素分の血中アンモニアと尿素の排出が行われる。

浮上中でも、生体生成ガス(マイクロバブルス)は常に門脈から肝臓に入り、下大静脈側を通して運ばれ、右心房・右心室を通り肺から排出されるが、生体生成ガス(マイクロバブルス)に窒素分の亜硝酸ガスや硝酸ガスが結合してシャボン玉の油膜状になる事で減圧症の原因を作るが、この油膜の厚さによっては肺で放出されない場合が起きてしまう為、肺から左心房・左心室へと送られて、再び全身に送られる事となり、運が悪ければ動脈側の毛細血管で閉塞を起こす原因ともなる・・・→動脈塞栓型減圧症が起きる。

窒素分の血中アンモニアと尿素は血漿中に溶解して放出される為、静脈側毛細血管が閉塞してしまうと、リンパ管に入って胸管へ向かい、上大静脈へと排出される事となる。

また、このリンパ管を通る事で通常の排出速度とはならずにリンパ管内壁にも窒素分の血中アンモニアと尿素の放出圧負荷が掛かる事となる。

なによりも危険とされるのは、脱水症状を起こした時に細胞組織にも脱水が起きて細胞内液内に窒素分の血中アンモニアと尿素が取り残される事であり、T型の筋肉、関節、骨細胞型減圧症を発症する事だ。

生体生成ガス(マイクロバブルス)・・・!?

腸管(小腸、大腸内の微生物分解)から吸収されたものや細胞内で合成されたもので、成分は水素H、一酸化炭素CO、窒化水素NO、アセトン、アミン類、メタン、窒素、イソプレン、硫化水素、アンモニア、その他のガス等 が呼気又は放屁、又は皮膚から放出されている。

この中で、静脈内気泡と思われるものは水素を基にした炭酸ソーダ気泡(サイレントバブルス)で、上下大静脈へ集まり、右心房・右心室から肺に送られて消泡される炭酸ソーダ気泡(サイレントバブルス)で有る。

現在では、呼気ガスや生体ガスを調べる事での総合的健康管理に於ける生理化学が急激に進んでいるが、水素Hや窒化水素NOの生体的研究では目を見張るものがある。

水素は体内で最も多く産生されており、酸や塩基反応時に重大な役割を持っていて、pHのコントロールにも作用している。

また、水素は活性する事で抗酸化作用が生じ、活性酸素を抑制する能力を持っている。

減圧症を起こすとされる窒素N2は、潜水加圧されると肺で酸化されて血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)となり、血漿(体液)に溶け込み体内へと溶解が始まる。

アンモニア (ammonia)NH3の無機化合物は常温常圧では無色の気体であり、アンモニアは特有の強い刺激臭を持っており、 体内に於いては低刺激性のアンモニア水や毒性の無い尿素、毒性の弱い尿酸に代わって膀胱へ蓄 えられる。

ここで、注意しなければいけないのはダイビング中は常圧では無く、水中の環境圧で体外からと体内からの圧力にさらされる為、極低刺激性・低臭気性・低毒性のアンモニア水溶液(酸塩基平衡反応による)に変わっていても不思議では無いのである。

窒素酸化物としての窒素N2

窒素の酸化物には

 1.一酸化二窒素N2O
 2.一酸化窒素NO
 3.三酸化二窒素N
2O3

 4.二酸化窒素NO
2 (低温・液体では二量体の四酸化二窒素N2O4)
 5.五酸化二窒素N2O5


一酸化二窒素N2Oは麻酔性があり、これを吸入すると笑いの表情を起こすので笑気ガスと言うが、室温では安定しており、300℃以上で窒素N2と酸素O2に分解し始め、酸化剤となる。

一酸化窒素NOは空気中で酸化されやすく亜硝酸NO
2になるが、高温では分解して窒素N2一酸化二窒素N2O、酸素O2を生じる。

三酸化二窒素N
2O3は分解しやすく、気体では一酸化窒素NOと亜硝酸NO2の平衡混合物になると考えられるが、水溶液では亜硝酸NO2となり青色となるが、更に分解して硝酸NO3一酸化窒素NOを生じる。

亜硝酸NO
2は空気中では比較的安定であるが、高温では一酸化窒素NOと酸素O2に分解する。

水に溶けると、亜硝酸NO2硝酸NO3を生じ、酸化剤となる。

五酸化二窒素N2O5は室温でも亜硝酸NO2と酸素O2にゆっくり分解し、水に溶けると硝酸NO3になる。固体中では、亜硝酸イオンNO2+硝酸イオンNO3-になっており、強い酸化剤になる。






アンモニアNH3の合成と分解についての図です。

窒素N2 の特異性

更に窒素分の血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)と尿素は、元々蛋白質や脂肪・脂質及び糖質に安定して合成されて馴染む為、体内への吸収をスムーズにしているものと思われる。また、血漿である細胞外液と細胞内液中に大量に取り込む事が出来る。

ただし、水圧による体外圧と体内圧の均衡が崩れ、体外圧が低くなれば組織より血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)と尿素を分解溶出し 、また、細胞内液と細胞外液から血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)と尿素を静脈中に放出を開始する事も忘れてはいけないが、肺から血液内の血漿中に取り込まれた血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)は色々な物へと合成されて蓄えられていた為に、組織から血漿中に出される時も反応を繰り返して排出されて行く。

当然として肺から放出される時まで窒素N2単体では無いのであるが、肺腔に放出された時から空気の一部としての窒素N2となる。

アンモニア水溶液は水(体液中)に非常によく溶け、酸塩基平衡反応によってアンモニウムイオン NH4+ と水酸化物イオンが生じ塩基性を示す。

水酸化物イオンとは、化学式がOH-と表される陰イオンの事で、水の共役塩基にあたり、水H2Oや水酸化化合物が電離すると生じる。水酸イオンと呼ばれる事もある。

水素の性質
分子量 2.016 地球上の分子の中で最も小さく、軽い水に対する溶解度 2.1ml/100g(0℃) 0.85ml/100g(80℃)、水素は理科等の教科書に於いては「不溶性」と記載されるが僅かに溶解する。

沸点 −252.7℃ 地球上の存在では、常に気体状態。

化学的性質では可燃性、爆発性、酸素と結合して水を生成、爆発下限界4%、還元力が強い為、触媒を介してさまざまな化学合成品の原料となる。

生成法としては水の電気分解、土壌、湖水中の嫌気性細菌、藻類の代謝産物として作られる。

静脈中に形成されるサイレントバブルスの気泡は水素を基にした泡とみられ、これに窒素が組み合わさったり、重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3、重炭酸ソーダNaHCO3炭酸ソーダ H2CO3と複雑に結びつく事でマイクロバブルスである窒素合成気泡の形成を助けているものと思われる。

故に生体生成ガス(マイクロバブルス)は生体の恒常性に不必要で有害な物質ガスで、一部は便として排泄、尿としても貯留・排泄される。不必要で有害な物質ガスの内、亜硝酸ガス硝酸ガスが肺に於いて窒化・還元されると窒素N2として肺から排出・排気される。窒素N2が単体で気泡化する事は無い。

ただ言える事は、ヘンリーの法則に従った理論上での血漿への窒素N2の溶解なのだが、実際は酸化されて血中アンモニアとして体内へと取り込まれる。ダルトンの分圧の法則に従い、大気圧1気圧の地上に居ると、体内圧も外圧に準じて平衡となり飽和(酸塩基平衡)する。

つまり、地上に於いては約0.8気 圧分の窒素N2→酸化されて血中アンモニアが体内に溶解(飽和)して生体的圧平衡(酸塩基平衡)を保っている事となる。

山に登れば外気圧が下がり、それに伴い体内の 窒素圧も下がり平衡を取ろうとするが、ダイビングで潜ればその水深(水圧)に見合った体内圧へと窒素圧が上昇し、体外圧と体内圧の平衡が進み、最終的には外圧と内圧の平衡の取れた飽和の状態となる。

生体内での窒素N2をより詳しく調べようとすると、生物学や生理学であってもこれ以上の
文献が無い事に気が付く。今後の研究に期待を持ちたい。

lymph-7図

ダイビングでの窒素分の吸収と排出を表わしているが、リンパ管からの血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)と尿素の排出は左右の内頚静脈・左右の鎖骨下静脈の所から上大静脈へ流れ込み右心房へ入って行くが、内臓から下半身の血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)と尿素は門脈と肝臓を通ってマイクロバブル化されて下大静脈へ入り、右心房へ入る。

おさらいとして(*^_^*) 

組織からのCO2の運搬

CO2の溶解度はO2よりはるかに大きいが、血漿中に溶解しているCO2は少なく3mℓ/㎗で、静脈血に含まれる55mℓ/㎗のCO2の5%を占める程度だ。

又、CO2の10%は血漿蛋白質、及びヘモグロビンとカルバミノ結合をしている。
                                                                 H            H
カルバミノ結合とは
CO2がアミノ基と結合して CO2+R-N<    R-N<        となったもの。
                                                             H              COOH

血中CO2の85%に相当する大部分は重炭酸塩(NaHCO3)として存在するが、組織で生じるCO2は血液中に拡散CO2+H2OH2CO3⇄H++HCO3となる。

この反応は血中に於いては赤血球内にある炭酸脱水酵素によって速やかに行われる

これは静脈血でのCO2は赤血球内に入り、H+とHCO3⁻を生じるが、H+はヘモグロビンに緩衝され、HCO3⁻は血漿中へ押し出されるこの時にHCO3⁻と入れ替わりにCl⁻が赤血球内に入るこれを塩素(Cl⁻)イオン移動という。

肺ではCO2が呼出されるので、これらの変化は逆向きに進んで行く事となり、この時、赤血球内に増加するHbO2が一種の酸として働き、CO2の放出を促進する。

NaHCO3は真空中では1/2量のCO2しか放出しないが、酸を加えれば全量を放出する。

NaHCO3=1/2NaHCO3+1/2CO2+1/2H2O  NaHCO3+HCl=NaCl+CO2+H2Oとなる。

NaHCO3炭酸水素ナトリウム(重曹) 水溶液はリトマス及びメチルオレンジでアルカリ性を示す。非常に弱いアルカリなのでフェノールフタレインでは色がつかない。

水溶液は65℃以上で二酸化炭素を放ち炭酸ナトリウム水溶液になる。 HCl (塩化水素) NaCl (塩化ナトリウム)

血液の全CO2の含有量は
@溶解CO2          約5%
Aカルバミノ
CO2      約10%
BHCO
3
⁻(重炭酸イオン)  約85%
                       の和となる。

この内、血液CO2分圧(PCO2)として測定されるのは@だけで、他は結合CO2であり、遊離CO2と結合CO2との比は1/20となる。動脈血ではPCO2=40mmHgであり、この時の動脈血の全CO2含有量は遊離CO2が3%、結合CO2が47%、合計50%になる。

組織に於けるガス交換

血液と組織細胞のガス交換も拡散によって行われており、細胞内のガス分圧は測定出来ないが、分泌物などから見たO2分圧は20〜45mmHg、CO2分圧は50〜60mmHgと推定される。

ヘモグロビンの酸素解離曲線から明らかな様に、血液の酸素分圧が20〜45mmHgの範囲ではヘモグロビンの酸素飽和度は著しく低い為、大量の酸素がヘモグロビンから放出されて組織に供給される。

また、酸素解離曲線での勾配が急である為、酸素の供給はその組織の活動の程度によって応えている。

更に、活動組織周辺での温度、CO2、pHが変化し、前述のボア(Bohr)の効果によって大量の酸素が組織に供給される。

この様に細胞組織に於いてはCO2分圧の上昇がHbO2からO2の放出を促進し、に於いてはHbO2の増加がCO2の放出を促進している。HbO2(オキシヘモグロビン/酸素ヘモグロビン)

肺毛細血管の循環時間は0.7〜0.8秒で、激しい運動の時でも0.3秒で1循環する。
血液と空気ガスとの接触は0.5秒もあれば十分平衡に達する。

拡散能はガスの種類によっても異なるが、拡散路の厚さの増大と拡散面積の縮小によって減少する。

注意:二酸化炭素CO2は体内ではCO2では無い! ダイビングでの重要項目

重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸 イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3で存在する。
NaHCO3は重炭酸ソーダとも言う。H2CO3は炭酸ソーダ

潜水での浮上中、余剰・過飽和窒素の放出は門脈〜肝臓でマイクロバブルスを産生して下大静脈から右心房・右心室→肺の排出経路で、もう一つは全身のリンパ管を経由して上大静脈を通り→右心房・右心室→左心房・左心室から門脈系器官と臓器〜肝臓でマイクロバブルスを産生して下大静脈→右心房・右心室→肺の排出経路から肺で窒化・還元されて窒素N2で放出(排出)される。


(この図は呼吸法についての項と、「減圧症自己治癒潜水法」の項にも掲載してあります)

上記の図に判り易い様に生理的体液呼吸を表記して見た。尚、窒素分の排出は大静脈とリンパ管をかえして体外へと排出するが、窒素分がリンパ節を通る事での白血球大量増産へと結びつくと思われ、その量も潜水の終了時から数日間は通常の1.5倍以上の数値となる。

数字的には14000〜16000以上ともなり驚くべき数値なのだ。この事がダイビングに於ける免疫療法効果があるとされ、リンパ線線維腫にも効果が発揮された。

少なからず癌やリンパ線の異常、免疫の異常があった時には是非是非試して頂きたい(*^_^*)

この白血球を増やす方法はディープダイビング等では分かっており、減圧潜水や減圧がギリギリの潜水でも効果があるとされているが、更に効果を求める場合は「減圧症自己治癒潜水法」が最も適すると思われる。

普通に潜り、ダイブコンピュータの指示にも従ったにも関わらずに減圧症になった場合は、リンパ管内の窒素分である血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)と尿素の流れと、下大静脈内の窒素分(マイクロバブルス)の流れ、及び血圧を含めた減圧症罹患を疑わなければいけない。

つまり、血液中の脱水とリンパの流れ、そして細胞内液の脱水が減圧症の発症に起因する。

上大静脈に関わる細胞閉塞性T型減圧症(脱水と浮腫みを伴う細胞閉塞)

下大静脈に関わる動脈塞栓性U型減圧症(浮上時の下大静脈管内圧増大に関わる)

この項の最後に

ダイビング前、ダイビング中、ダイビング後のビールや炭酸飲料の飲用が減圧症に結び付くのではと思っている方が居る様だが、飲用によって取り込まれたビールや炭酸飲料は胃や腸によって分解されるが、まず水H2Oと二酸化炭酸CO2、糖質とに分かれた後、胃壁や腸管を通過する時には水H2Oは水素H2と酸素O2、二酸化炭酸CO2重炭酸イオンHCO3⁻や炭酸水H2CO3、及び糖質として静脈内へ取り込みますが、全てでは無く、一部は腸の中で分解や合成等を繰り返してゲップや放屁(おなら)として排出されます。

故に、ダイビングでのインターバル中に炭酸飲料を飲んだとしても、ダイビング終了時にビールや炭酸飲料を飲んだとしても減圧症には関係は有りませんが、アルコールの飲み過ぎによる脱水や体温・心拍数を著しく上げる事は問題となります。ご注意を(笑)

潜水での脱水  血液の循環 血液とは何? ダイビング中とダイビング後の血液の状態って 血圧

-------------------------------------------------------------------

U.ダイビング中とダイビング後の血液の状態って?

ダイビング中、例えば水深20mでの潜水中では外水圧を体に受けているが、体組織はどの様になり、血管内ではどの様な変化が起きているのかが気になる所だ!?

人間の体は外圧を受けると平衡を取ろうと作用するのだが、水中に置いてはどの様になっているかを理解しなければいけない。

外水圧を受けると体表面組織は圧迫され体細胞を圧縮し、圧均衡を取る。この時の体細胞内の血漿成分は浸透膜から毛細血管の静脈内へと移動して行く。

体表面に対しての圧迫面積も少なくは無く、押し出された血漿はリンパ管及び静脈内から心臓
 〜動脈を介して再び全身へと運ばれる。

さて、過剰と成った血漿(水分)は体の弱い部分へと充当されて行くが、弱いとされるのは胸骨下側の肋軟骨部分と全身の関節内であるので大多数の血漿は肋軟骨部分と全身の関節内及び膀胱へと導かれるのである。

つまり、潜水中の血管内はサラサラの血液なのだ。しかし、ダイビングも終わり、浮上しながら外水圧が下がると今まで充当していた血漿と血漿成分は元の体組織状態へと戻ろうとする。

肋軟骨保護や関節内へ充当されていた血漿と血漿成分は良いとしても、膀胱内へと導かれた血漿(水分)はすぐには戻る事が出来ず、更にダイビング中に産生された疲労物質の乳酸分解の為に大量の水分(血漿)と酸素を必要とする事で安全停止水深辺りから水面、及びダイビング終了後の陸上に於いての血液は水分不足のドロドロの状態と成ってしまうのである。

浮上後は無理をせず、体を休めて、大量の水と高蛋白及び高脂質の物を食し、更に深呼吸なども併用して血液のドロドロ解消に努めるべきである。

ドロドロ血液にはもう一つの原因が有った!  (^_^;)

もう一つの脱水現象 中性浮力とイマージョン(水浸)による「トイレが近い現象」

そして、高圧利尿と言われる潜水での反射、更にリンパ液環流での問題点が!?

陸上に於いての血圧分布図で、 重力(引力)による80mmHgの圧力を受けています。

潜水する事で、この重力圧が薄れ、特に無重力な状態を作るほど、血圧も変ってしまうが、どんな事が体内で起きるかが問題とされる。

人間は水に浸るとイマージョンと言う重力低減によって血圧の乱れが一時期的にも起きる事を知らねばならない。

起きている時は重力(引力)に反する様に足の先端では80mmHg以上の心臓からの吐出圧力を受ている。

これは立位の状態であるから、座ったり横になったりすると、心臓からの吐出圧は下がる事となる。

睡眠時に横になっても8〜15mmHg以上下がる事は知られているが、陸上に於いて全て重力の掛かった状態での事である。

単に無重力と言えば宇宙遊泳などを思い出すが、宇宙飛行士と同じ事が起きる事となる。

重力を失った事での宇宙酔い(メニエール症候群)や筋力の低下がこれであるが、ダイバーでも近い症状が起きる事を忘れてはいけない。

意識的に視覚又はイメージで天地と左右を認知しないと同じくメニエール症候群に陥り、吐き気とめまいを起す。

では、ダイバーの場合はどんな事が起きるのだろうか?

水に入る事で重力を低減及び無重力化出来る事で、心臓からの吐出圧力が低減する。

これは、重力を失った事で血管の負荷が低減される為で、通常では血流量の増大が見られる。

この事は末梢の組織までまんべんなく酸素や栄養分を供給できる事となり、嬉しい限りだが、過剰なる搬入は逆な効果が有る為に心拍数を下げて血流調整を図る事となる。

しかし、それでも尚、過栄養・過供給となる為、大半の血液は門脈を還して調整している。

ダイビング中ダイバーは外水圧を受ける為に、体内の体液は血管を還して移動し、体内の圧力バランスを取ろうと働くが、内臓の機能代謝によって尿の生産が起こり、体液(血漿)の多くを腎臓から膀胱へと導き出されてしまう。「トイレが近い現象」

この時の体液の移動は体腔の弱い所を保護する為に移動するが、特に肋軟骨の保護であり、余った体液は骨の関節部位に収納される。(ヘルニア、関節痛等の治癒効果あり)

この事は、ダイビングを終了して浮上時に再び体液は元の部位へと戻って行くが、尿のの生産によって膀胱へ排出された水分の分だけ体液は不足となってしまう。

結果的に血液の粘度は上がってしまう。また、地上圧に近くなるだけ体内の血圧も僅かづつ上昇する事となる。

ただし、一度膀胱へと尿として貯留されても、必要に応じて水分他の必要な成分は再利用される。

とは言え、すべての水分が戻る訳では無い。ここで述べている利尿作用に関わる脱水では何通りかのスタイルがあり、【潜水での脱水】の項でも詳しく述べているが、ここでも血液の粘性が変わる事を述べて見よう。

ダイビングに於ける脱水(潜水中と潜水後)---潜水と脱水より転載---

ダイビングに於いて、一般の脱水症状を呈するのは何一つ変わらないと思われがちだが、ダイビングに於いて、体に掛かって来る運動量は陸上の2〜3倍位とも言われる。

これは、体の捻じれを含めた全身の運動で、1日に2ダイブのダイビングで凡そ3800㎉〜4500㎉の体力消費が有るとされる。1ダイブ1時間であっても2ダイブなら2時間でこれ程のカロリー消費をするのだ。

とすると、それに伴って乳酸も出す事となり、乳酸の加水分解も起き、目に見えない汗や膀胱への貯尿も起きている。これは、腎性脱水腎外性脱水をも考慮しなければいけない事となる。

尚、この拙稿【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備 知識】内で多く取り上げているオーバーキックとオーバーワークでの呼吸数増大や心拍数増大も、腎性脱水腎外性脱水を安易に引き起こす為に決して良いものでは無いと言える。

これに加えて、ダイビングでは水浸と言われる体を水に浸ける事での心理反射イマージョンでの利尿効果と、水深を増して潜る事での、水中に於ける中性浮力化によって起こる高圧利尿による排尿作用が有るのです。

共に腎臓から膀胱へと導かれますので、一種の腎性脱水と同じ効果が生まれ、脱水へと向かいます。

もう一つの原因として、スキューバダイビングの場合、スキューバのタンク内空気の乾燥度だが、その乾燥の度合いは99.8%以上と言われ、殆ど水分が無い状態ですから、レギュレーターから呼吸をする度に口腔内及び肺内の湿気補給で体内の水分は奪われて行くのです。

やはり、これも腎外性脱水へ向かう系統です。

水中や水面で動けば動くほど喉が渇き、喉がくっつく様な息苦しい違和感になって行きますが、口からレギュレーターをはずしてうがいをすれば、暫くはこの息苦しさから解放されます。

この喉の渇きは、水中に於いての緊張も働いて口元並びに顎に力が入っている事でも原因の元になっているので、口元や顎に力が入らない様に、更に顎を引く動作も、レギュレーターからの空気が喉元に当たる為に注意が必要とされる。

筆者の呼吸の仕方はレギュレーターのマウスピースを軽く咥えるが、咥えた時に口尻をゆるめて軽く海水(又は水)が入る様にしている。

つまり、タンクからの空気は殆ど湿気が無い為に、口の中には常に水分が有る様にしている事で喉が乾かないが、耳抜きの時には、この口の中の水は耳管へ送り出してしまう為に要注意となる。

また、顎に力を入れない様にレギュレーターのエキゾースト(排気弁)から排気をせずに口尻から排気をしている。これは、マウスピースの噛み具合が大変に緩い事を表している。顎に力を入れない事で、緊張や筋肉疲労、脱水を低減しているのだ。

ただし、口の中に海水を引き込むのは良いのだが、この海水を飲んではいけない。飲めば血中のナトリウム濃度が上がり脱水化が進む。

マウスピースを強く噛む事で顎に力が入り、更に肩にも力が掛かる事で、疲労感が増し、また、耳抜きも抜けない原因ともなっている。

特に、初心者や中級者に多く、ベテランであっても緊張した時にマウスピースを強く噛んでチップ(出っ張り)を噛み千切ったりもする。これも、練習によって回避出来る様になる。

さて、ダイビングでの脱水についてまとめて見よう。

腎性脱水 運動過多による血流量増大での利尿と、水浸利尿と高圧利尿.

腎外性脱水 発汗、呼吸による口腔や気道の渇きと、体外への水分排気.

になるだろうか! 良く見ると初心者から中級者系の運動量の多い方がなり易いと気が付くし、それ以外でも、長時間潜水している方に当てはまりそうだ。

が、実は潜水での高加圧下では細胞内液、細胞外液での間質液が血漿内へ流入して外水圧平衡を取ろうと移動を始める為、実質では血漿量が増えて体腔の弱い所、及び関節内へと移動する。

また、血液中の血漿の量が増えた事での利尿効果も働き、膀胱へと導いて貯尿する。当然として、尿意も催す。

高加圧下では、外圧と身体内圧力が完全に飽和しない限りでは血漿と細胞外液、細胞の内液は不安定な状態となるが、血液はサラサラの状態。

潜水後、又は浮上後の体の状態では・・・。

潜水が終了して浮上を始めると、外水圧も下がって身体内圧力も下がり始めると体腔の弱い部分と関節へ充当されていた血漿は元の状態へと戻ろうとして、血液中へと戻り適正に組織へと配分されて行くが、膀胱へと導かれた水分(体液)は元へとは戻らない。

また、呼吸によって体内の水分を体外へ放出した分もあって、結果的に水面に近付く程、血液内の血漿(水分/体液)は減って行き、ドロドロの血液へと向かって行く。この血液ドロドロの状態は脱水と同じで腎性脱水とも言う。

当然として、ダイビング終了後に水分の補給は不可欠である。腎性脱水と腎外性脱水の両方が潜水中では顕著に起きている事を表している。

潜水中にこの様な脱水状態を起こさない為には、中性浮力を確実に取り、また、運動量を極力減らす事が最良の方法だ。ただし、高圧利尿だけは避けれない。

脱水での傷害と障害(減圧症誘発).---潜水と脱水より転載---

潜水での高加圧下では血液がサラサラなので、窒素の飽和以下、又は所定の無減圧潜水なら問題は無い。

しかし、浮上に際して脱水が起きていると血液がドロドロの状態、つまり、血液の粘度が上がる事で血液の流れがスムーズに行かなくなり、大静脈圧過大へと向かって行く。

また、浮上スピードが早くても、窒素分(マイクロバブルス)の血管内への放出圧が高まり、同じく大静脈圧過大へと導いてしまうのである。

更に、浮上に際しての呼吸に於いて、意識的に排気をしなければいけないのと、浮上時にオーバーキックによるオーバーワークも心拍数の増加に結び付く為に、してはいけない行為とされる。

ここまでは、脊椎型・脳型・中枢神経型・メニエル型・チョークス型の減圧症に発症してしまう事を言ったが、細胞内液と細胞外液での関係で細胞外液中の血漿蛋白/アルブミンが尿意によって膀胱へ大量に導かれて減ってしまうと毛細血管壁が閉塞を起こし、細胞内液へ取り込まれた窒素分の血中アンモニアと尿素が放出されない為にT型の減圧症発症へと向かってしまう。

これは、いずれも腎性脱水、腎外性脱水がいかに危険かを表している。

----ダイバーにとって重要です(減圧症関連)血液とは何! と一部重複-------- 
 

                  
     リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)

浸透圧を考える!T型筋肉内減圧症 と関節内減圧症、無菌性骨壊死発症に関係します。

血漿蛋白質(アルブミン)は肝臓で作られています。

蛋白質(アルブミン)溶液と水とで考えた場合、蛋白質の粒子の大きさは水やナトリウムと比べて非常に大きく、分子量で示すと水18、ナトリウム23に対して、蛋白質のアルブミン粒子は69000と極めて大きい分子数値となる。

例えば、アルブミン溶液と水の間に膜を置いたとしますが、この膜に小さな穴が開いていて、水やナトリウムは通るがアルブミン溶液は通らない膜とします。

この膜の間には両方の間に等濃度になろうとする力が働きますが、水やナトリウムは通ってもアルブミン溶液は通れずに、代わりに水分子がアルブミン溶液に引き寄せられて等濃度になろうとします。この力を浸透圧と言う。

小さな穴の開いた膜を半透膜と言うが、毛細血管の血管壁もこれに当る。

蛋白質の事を膠質とも言い、蛋白質によって生まれる浸透圧の事を「膠質浸透圧」と言う。
血漿中には蛋白質の中で一番多いアルブミンが「膠質浸透圧」の元になっている。(膠質=こうしつ)

毛細血管壁(半透膜)を介して細胞外部(細胞外液)の水分を血管内に取り込む作用を血漿内の蛋白質アルブミンが行っています。

身体に起きるむくみは血管内のアルブミンが少ない為、若しくは腎臓から尿の中へアルブミン(蛋白質)を排出する事で細胞外液を排出出来ずに体細胞にむくみが生じます。

体細胞にむくみを生じさせない為には、血漿中にアルブミンが(蛋白質)がバランス良くなければいけないとされるが、ダイビング中はイマージョンや潜水反射等で、水分を膀胱へ排出させる事も報告されており、当然、このアルブミンも大量に膀胱へと排出されると思われる。

アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っていると、ここまでは良いのだが・・・・・。

この浸透圧調整に於いて、潜水中に体細胞組織に取り込まれた窒素分の血中アンモニアと尿素は、この浸透圧調整によっては体細胞組織より排出されない可能性があるのである。

つまり、この浸透圧により毛細血管壁を通って排出されるべき窒素分の血中アンモニアと尿素が出れずに体細胞組織に残り膨潤化すると筋肉型 や関節型の減圧症となってしまうのだ。

特に関節型では骨頭周辺の骨組織に痛みやかゆみ、鈍痛が有るが、これ以外に、骨頭軟骨や緻密質、海綿質、骨髄腔を含めた骨組織で無菌性骨壊死が起きて来る。

この無菌性骨壊死とて、元は骨減圧症と言われるT型減圧症なのである。

関節型であっても症状がひどい場合、又はひどくなくても繰り返し潜水を行って、周辺部位にその症状が拡大した場合は、関節型から無菌性骨壊死へと進化及び転化して行く事を知って置かなければならない。これは、職業として潜っているプロダイバーに特に多い。

つまり、アルブミン量が減る事で体細胞組織からの水分中(体液)に含まれた窒素は毛細血管壁を通れない事となる。

この作用は関節や骨組織内でも起きており、T型減圧症発症の筋肉型と関節型に及ぶもの、並びに無菌性骨壊死の原因と思われる。

さて、体組織や体液、そして脱水がいろんな状況下で起きる事が分かったが、ダイビングに於ける減圧症の発症にはもう少し語らなければいけない様だ。

それは、この体液の移動に伴ってもう一度トータル的に考えると説明が足りない事に気がついた。

脱水には@腎性脱水型、A腎外性脱水、B腎性脱水型の血漿蛋白質低下での細胞膜閉塞性脱水(細胞膜=浸透膜)である。

このBの血漿蛋白質低下での毛細血管浸透膜閉塞性脱水では毛細血管を介して水分のやり取りが出来なくなるが、間質液に開口部を持つリンパ管から水分(体液)の排出は出来るが、一方的な放出となる為、飲水等での供給が無ければ体組織への水分供給は出来ない事である。

ダイビング後にむくみが無いのは間質液が貯留されないのでむくむ事は無いが、逆に脱水が起きている事に気がつかないのである。

Bの血漿蛋白質低下による毛細血管浸透膜閉塞性では、間質液が貯留されてむくみを生じるが、間質液層に開いたリンパ管によって間質液はリンパ節へと導かれ、異物等が除かれて後、リンパ胸管(リンパ総管)に戻ってから静脈中へ返される。

つまり、通常のルートでは無い形で血中アンモニアと尿素も通って排出される事となるが、下大静脈を通らずに内頚静脈と鎖骨下静脈で上大静脈へと入り心臓へと運ばれる。

リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)図を参照.

---------------------------------潜水と脱水より転載しました---

ダイビングに於ける体液の移動と脱水による減圧症誘発とは !

ここまでは体液の移動での脱水と浮腫み(むくみ)を述べているが、一方は血管内の脱水、もう一方は細胞内の脱水が起きる事で減圧症の原因になるとされる。

浮上時のオーバーワークやオーバーキックは心臓への負荷が大きくなるだけだ。

余談だが浮上後に何の対処もせず、シャワーを浴びたりして体温を上げる様な事をすると、代謝も上がって余計にドロドロの血液を促し、極度の疲労感や倦怠感を引き起こすのである。

くれぐれも注意が必要である。これを回避させるのは、ダイビング終了後に水分の補給や高蛋白及び高脂質の物を口にして暫くの休憩(30分〜1時間)を取った後にシャワー等を浴びると随分と疲れが違う。

時間が取れない場合、シャワーは簡単に済ませ、体温を上げない事に専念すべきで、特にお腹や肩を冷やさない様にする事も疲労感・倦怠感を作り出さない秘訣なのだ。

いずれにしても、ドロドロの血液は疲労感・倦怠感の元であり、高電解質の飲料を大量に希釈飲用する事をお奨めする。

このドロドロ血液に於いてはガス交換(CO2とO2)に影響を与える。ダイビング終了後、1時間位の間は窒素N2の体外放出も多く、このガス交換阻害が起きて、酸素不足及び二酸化炭素の蓄積で体温の上昇が起き易くなる。

着替え後やシャワーの後で体温が上がって鼻水が出るや風邪っぽい等の症状が出ている場合は酸素不足なので深呼吸や酸素を吸う事で体温の低下を促す事が必要である。

怠った場合は極度の疲労感や倦怠感、そして脱力感が起きるのは当然である。

と言ってもピンとこない可能性が有るので別の説明をすると、疲労とは体が酸性化に傾く事で体の各組織が不活性化となり、体を横にしたいや疲れたと認識する。

酸性化した体をアルカリ化させる為には血液をサラサラにして栄養分と酸素を多く供給するしか無いのである。

大量の水又は吸収の良い高電解質の飲料の飲用か希釈飲用、高蛋白・高脂質の物を口にする事は出来る筈だ。

何もなければ水と飴玉でも血液のドロドロ回避と脳に対しての血糖値回復には十分だ。(頭の判断力・思考力回復、若干の疲労感回復=水と飴玉(^^ゞ)

尚、ドロドロ血液が長く続くと酸素の欠乏も起き、心拍数の増加や血圧が上がる事での息苦しさや吐き気、体の膨張感、暑さ、頭痛も起きる。

◎この項の最初に水深20mでの血液の状態をサラサラの状態と言ったが、更に水深を増すとこの血液のサラサラ感は増して行く。

実は私の考案した減圧症・空気塞栓症自己治癒潜水法での効用として、この高サラサラ血液と高水圧によっての全身のリンパ及び筋肉のマッサージ効果も併用しており、末梢血管等でつまり閉塞していた減圧症の因子を取り除いている。

乾室の治療用チャンバーでは起き得ない効果を発揮しているのである。

この効果はT型の減圧症及びU型の減圧症に於いて有効であり、特にT型の筋肉型と言われる減圧症にも効果抜群だ。

尚、この高サラサラ血液は浮上に際し、体表面の圧均衡が弱くなるにつれて、血漿・血漿成分は元の体細胞へと戻って行くが、余剰な水分として膀胱へ廃棄した水分は血液にすぐには戻って来ない為、ドロドロの血液へと向かう事となり、急及び急激な浮上を伴うと減圧症のリスクを伴う事となる為、浮上勾配を付けて血液の急激なドロドロ化を抑制する事が不可欠となる。

また、このリスクの中には高水深から中水深、浅水深に向かうにつれ酸素不足での呼吸亢進や心拍数亢進の危険性があり、対処及び回避法を覚えなければいけない。

ドライスーツを着用し潜水する方はトイレが近くなると言って水分を控える事が有るが、潜水終了間際での体力消耗的なオーバーワークでは血液がドロドロとなっている状況なので、酸素不足での呼吸亢進や心拍数亢進の生理的身体危険性を持っている。

水中での安全停止中より、船及び陸上に上がって水分の補給を取り、ドロドロ血液解消の為、凡そ1時間位は体を休めたい。

注意 低水深や陸上に上がると血液がドロドロになると言う話には、もう少し有るのです(笑)

人間の身体は大気圧下で生活しており、外気圧が変わると体内圧も追随し均衡にする働きが有る為に、外気圧/外水圧の変化でこの様なサラサラとドロドロの血液の関係が起きてしまう。

しかし、時間と共に外圧に体内圧も均衡が取れると普通の状態へと戻るが、時間にして1〜3時間、身体が不安定な状態に有ると6時間位は戻らないのである。

故に、ダイビング前後の水分補給は有効とされる。

R.血液の循環   R-2.血圧    k.疲労とダイビング   k-1.疲労と代謝  l.浮上時の重大問題!!

k-2.ダイビング後の異常な睡魔について   k-3.ダイビング後の物忘れ  b.潜水での脱水(重要)

------------------------------------------------------------

【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】 study-four_f-2からstudy-four_gへ