【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】 study-four_eからの続きです。 血液の循環には心臓の神経支配、血管の神経支配、反射や化学受容器等、複雑なメカニズムが存在している。 ダイビングに於ける減圧症発症と治療及び治癒には、この項の説明が不可欠となる為に詳細に記載する事とした。 右の図を見てお気づきだろうか? 地上での平常時、動脈側に約30%、静脈側に70%の血液が配分されており、心臓左心房・左心室は明らかに吐出ポンプで、心臓右心房・右心室は吸引ポンプとして機能している。 私達ダイバーでは、ダイビング中、ダイビングでの浮上中、そして、浮上後の血液の配分(70%:30%)に問題は無いのだろうか? つまり、体のどこかでの還流障害や、静脈血の増減、動脈血圧の変位、静脈血成分の異常等で、身体には相当な負荷が掛かり、生命の危機や減圧症になる可能性が高いのである。 もう一度、血液の循環を見直して貰いたい。 もう1つの循環→冠動脈(心臓に酸素と栄養を補給) 重要 冬場のダイビングに於いてドライスーツや厚めのウエットスーツを着てダイビングを楽しむ事が出来るが、オーバーワークや過呼吸に伴う呼吸によって肺が冷やされ、更に血液が冷える事で冠動脈の血液までもが冷たくなる事で心臓麻痺を起こす事が報告されている。 寒くて胸が痛い等の症状が有った場合、身体を休めてオーバーワークやオーバーキックをしない事だ。また、急いで身体を温める事に専念して頂きたい。 尚、心臓麻痺を起こす場合は胸や息苦しさを訴えた後に気を失い、また心停止が起きる為、この様な症状を訴えた場合はすぐさまに船上又は陸上に上げて暖を取らせ、更に温かい飲み物や血糖値の上がる物を与える。 万が一、心停止した場合は心臓マッサージを重点に行い、更に手足の屈伸等を行い静脈血の流動を助けながら体温の上昇を助ける。(身体を心臓に向かってさする事も効果的)
◎心臓より全身に送られる血液は、酸素を全身へ運ぶだけではなく栄養素や酵素他の生命維持の物質の需要と供給を司っている。 また、生命維持や諸事変化する環境等にも神経網の信号を受けて随時対応し、不必要な成分・老廃物は排出する器官や分解する為の臓器へと搬送されて行く。 しかし、ダイバーにとっては時として困った事が起きてしまう。 吸引した空気は肺の中で肺胞組織へ暴露され、酸素や窒素をその血液内へ取り込んでしまうが、その時の環境圧力分の成分を全て体内に取り込む訳ではなく、時間を掛けて飽和していく。 酸素の場合は仮に取り込んだとしても必要な物だけを消化し、使われない酸素は消費されるまで循環する。 酸素の搬入路はヘモグロビンに対し、窒素の場合は血漿成分に多量に含んだ状態で循環して行き、各組織にまんべんなく暴露して行く。 この心拍数の低下が起きたとしても十分な血中の溶存酸素量に依存している為に苦しく無いのである。これは減圧症に掛かりずらい要素の一つでもある。 血液の量は体重の約7.4〜8%位で、例えば体重が70sの人では70s×7.4%=5.2ℓの血液量となる。 内臓を含む下半身には大まかに3/5、頭を含む上半身には2/5の血液配分となる。 水中においてフィンキックをより多くすると筋肉の収縮と弛緩の繰り返しによって大量の血液が循環し始める。 脳の血流に於いてはどうであろうか? 心理的な部分で血液の送り込みの量も微妙に変わるが、それを司っているのは血液脳関門だ。 脳に於いての酸素消費や二酸化炭素の排出によって血液の酸化が起きるが、この変化に対して適切に血液の流量を調整をしている関所の役割を果たしている。 血液の酸化とは、脳脊髄液の電位がプラスに傾く事や、pHが酸性化に傾く事を言うが、正常値へ保持しようとして血液脳関門での血液流量を調整している。 時として、この調整の為のコントロールが効かなくなる場合が有るので述べておこう。 フィンキックや無理に呼吸を止めた事で酸素不足が生じ、それによって心拍数や呼吸数が増えるが、この血流量増加や脈拍動の増大により脳に対してのストレスが生じてこの血液脳関門も微妙に影響を受ける事となる。 また、水深30mを超えた事で血中の窒素が脳内の酵素と微妙に反応し笑気ガス化する事で麻酔作用が生まれて覚醒化が進む。→→→窒素酔い 更に、血中の溶存酸素量が増加すると脳内に於いての酸素中毒化が進み、脳に於いての部位によっては頭痛として痛みを発し、また視覚的にも狭い範囲しか見えなくなる。 更に進むと運動機能麻痺も起き、また脳組織を高濃度酸素から守る為に、その回路閉塞を促す事で身体の各機能障害が始まる。 潜水中にこの様な事が起きた場合、初期状態で有れば脳への後遺障害も殆ど無いが、長時間暴露されるとこの限りでは無い。・・・・・酸素中毒の項へ 脳への後遺障害と言っても大概は極度の頭痛位なのだが、時としてめまいや吐き気、体温の低下による悪寒等を催す。 原因は血液脳関門での血液流量コントロールが効かない為なのだが、この血液脳関門のコントロールは集中力欠如やオーバーキック・オーバーワークで起きる身体末梢からの酸素不足等の欲求から起きて来る。→→→ディープダイビングの項を参照 人間は水中環境及び息こらえをした時に一過性では有るが末梢への血液の循環を抑制する事が分かっている。これはイルカやクジラと同じ様な生態を持っている事を表す。 また、体温の低下に伴い末梢の毛細血管を閉ざして体温の下がるのを抑制する働きを持つ。これはエネルギー消耗に対しての抑制作用が有り、且つ酸素消費も低減するのでスキンダイビングでの潜水に適していると言える。 しかし、スキューバダイバーには大問題とする為に述べておかなければならない。 初心者や中程度のダイバーで有ると、時として緊張し興奮する為に上記の様な末梢血管を閉ざす傾向が有る。 これは潜水の終了間際で有った場合では多くの窒素を抹消の細胞組織に閉じ込める為に減圧症の原因の一つともなっている。軽度の皮膚発疹程度なら減圧症の心配は無いとされるが、大理石斑ともなるとこの限りでは無い。 長時間潜水での体温低下、ドライスーツ使用における体温の低下、血糖値低下に於いての体温の低下も問題とされる。 ◎内臓と下肢に対して重要な役割を果たす門脈が有るが、循環と減圧症に対して無視出来ない血液の関所的役割を持つ。 ・門脈 脾静脈と上下の腸間膜静脈から注ぎ、肝臓にて類洞を介して肝静脈へと注ぐ。 肝臓の全血液量の約7割を供給する血管であり、その内訳は腸間膜静脈からは75%であり、残りは脾静脈から入る。 その機能は消化管で吸収された栄養を肝臓へ運ぶことにある。
・構造 ○上流 肝臓を経由して大静脈系に到達する経路及び門脈血流の通過障害が起こると、門脈系の血液が大静脈系に還流する側副路となる。 ○肝静脈経由 ○奇静脈経由 ○直腸経由 ○臍静脈経由 ◎少し分かりずらいが門脈を経由した血液は肝静脈→下大静脈へと通過して行き、この後に右心房→右心室を経由して肺へ到達する。肝臓内では一度毛細血管となり血中の成分濾過や成分分解を行い、再び肝静脈となって下大静脈へ注ぐ。 本来、門脈の働きは無駄な血流を抑制するバイパスの様なもので、不必要な血流を抑制して酸素の消費や二酸化炭素の増加を抑制し、呼吸並びに心拍数を増やさない様に働いている。 しかし、一旦、運動量が増えたり、食事をとる事で胃や腸、脾臓、膵臓への血流調整と、吸収した栄養素を肝臓に運ぶ為に働く。 ◎ここでの説明は門脈系の血液が大静脈へ還流する事で減圧症の発症を助長する影響が起きる事を促している。
つまり、睡眠不足や過疲労並びに二日酔い等での内蔵機能低下障害が有った時は、この通過障害が起き易く大静脈還流を誘発する。 ◎血液とリンパ液の関係 リンパ=間質液=血漿蛋白質を除いたもの.
血液中の酸素O₂や栄養素は直接組織の細胞に取り込む訳で無く、その間に間質液が介在している。 毛細血管壁を透過した酸素O₂や栄養素は間質液中に出て拡散によって細胞に到達する。 細胞から出た二酸化炭酸ガスCO₂や代謝による産生物質も間質液を経て毛細血管に取り込まれる。 間質液の組成は毛細血管壁の透過性によって決まるが、水、イオン、酸素O₂及び二酸化炭素ガスCO₂、代謝産生物は自由に通過出来るが、血球成分と大型の血漿蛋白は通過する事が出来無い。
ここでのイオンは血漿中に有り、無機物の陽イオンと陰イオン。 毛細血管内の血漿と間質液との間に作用する力(圧力)は=毛細血管血圧と血漿の膠質浸透圧で有り、血圧は水を血管外へ押し出す力であり、膠質浸透圧は水を血管内へ浸透させる力を持つ。 毛細血管の動脈側では血圧より膠質浸透圧の方が大きいので水は間質液へ移動し、静脈側では血圧の方が膠質浸透圧より小さいので、水は間質液中から血管へ移動する。 血管から間質液へ出る水の量と、逆に間質液から血管内へ入る水の量が等しければ問題は無いが、間質液に出る量が多い場合は組織を圧迫したり体表面へ膨れ上がったりする。 この様な事が無い様に作用するのがリンパ管である。 リンパ管は間質液内に開いており、排水の役目も果たしていて間質液量が増えると間質液の一部はリンパ管に入ってリンパと成る。 血圧と膠質浸透圧との関係で水が移動する事を「スターリングの仮説」と言う。
血液の循環は心臓反射と血管運動反射によって行われているが、その循環メカニズムの中心的役割を担っているのは延髄に集約されている。(下の図参照) 1.交感神経と副交感神経 心臓は胸部交感神経(T1〜T4)及び迷走神経(副交感神経)によって支配を受けている。 交感神経は心房、心室全体に分布しているが、迷走神経は洞房結節、房室結節に分布するものが多く、心房には分布するが心室には少ない。
また、迷走神経には安静時にも持続性インパルスが見られるが、交感神経には無い。 延髄の心臓促進中枢は視床下部や大脳皮質など高位中枢からも調整を受けている為、心因・外部・内部刺激によっても上記1)〜3)の促進が起きる。 2.心臓中枢
延髄の迷走神経背側核は心臓の抑制中枢で、1次の心臓促進中枢は交感神経の胸髄側柱(T1〜T5)にあり、延髄の心臓促進中枢から線維を受けている。(上の図参照) ◎心臓反射 心臓を効果器とした反射では 1.減圧反射 unloading reflex. 大動脈弓の壁及び総頸動脈が外頸動脈と内頸動脈に分岐する頸動脈洞には血圧を検知する圧受容器が存在し、大動脈弓圧受容器からの求心性の神経は迷走神経(副交感神経)、頸動脈洞からは舌咽神経の枝である洞神経で、ここから出される求心性インパルス信号は延髄の心臓抑制中枢へ伝えられる。 血圧が上がり過ぎると心臓は抑制され、心拍数や心拍出量も減少し、房室伝導時間は遅延して、血圧が下降して元の状態へと戻って行く。 この時、血管運動中枢を介して細動脈が拡張されて血圧は更に下がる様に働く。 逆に、血圧が下がり過ぎると心臓促進中枢の活動が高まり血圧上昇の反射が起きる。 求心性神経と遠心性神経は共に迷走神経なので、vago-vagal reflexとも言う。 大動脈弓の圧受容器は全身の血圧を一定に保つ働きをしており、頸動脈洞圧受容器は脳の血液循環を全身の一部としてとらえると同時に、脳の血圧を一定に保つ働きをする圧受容器なのである。 2.ベインブリッジ反射 Bainbridge reflex. 静脈還流量が増加すると心臓の拍動が促進される反射作用. 大静脈や右心房にも圧受容器があり、求心性神経は迷走神経(副交感神経)が司っていて、静脈還流量が増加して右心房の圧力が上昇すると求心性神経の迷走神経が活発となって心臓促進中枢へと伝えられて心拍数が増加する。 大静脈や右心房の圧受容器を低圧受容器と言い、大動脈や左心房の圧受容器の事を高圧受容器と言う。
3.頸動脈小体反射 carotid body reflex. 血液中のCO2濃度が増すと、頸動脈小体の化学受容器が興奮して延髄呼吸中枢に信号を送るが、その求心性線維の一部は心臓抑制中枢に接続しており、心拍数が下がる様に働く。 しかし、生体内で酸素O2の分圧が低下すると副腎髄質からカテコルアミンが分泌されて心拍数は増加する。 筋運動の時ではCO2濃度が増し、同時に心拍数も増加するが、この時の心臓促進はCO2の作用では無く、交感神経活動から来ている。 4.呼吸性不整脈 respiratory arrhythmia(sinus arrhythmia) 洞性の不整脈であり、吸息期の終期に心拍数が増加する。吸息により胸腔内陰圧が高くなり、静脈還流量が増し、更にペインブリッジ反射により心臓の拍動が促進される。 5.感覚刺激
痛覚、冷覚などの刺激に対しては、心臓は抑制される。三叉神経眼窩部を圧迫しても抑制が起きる(アシュネルのテスト). 6.運動時の変化 筋運動の時は交感神経の活動亢進によって、心臓は拍動と共に拍出量も促進され、筋ポンプによって静脈還流量も増える為、心臓は更に亢進される事となる。 神経支配の無い心臓では、スターリングの心臓の法則によって、増加した血液流入量は1回心拍出量が多くなる事で処理されているが、この時に弛緩期容量が大きくなっている。 神経支配のある心臓では1回心拍出量は余り変化せず、心拍数の増加によって血液流入量が処理されている。この時、弛緩期容量は変化せず大きくならない。 7.情動の影響 情動には恐怖や悲哀の様に心臓を抑制するものと、怒りや羞恥での精神興奮から心臓を促進するものがある。 心拍数を増減する要因
1.血管収縮神経 vasoconstrictor nerve. 多くの血管は交感神経のみによって支配されており、アドレナリン作動性線維によって血管平滑筋を収縮して血圧を上げている。一次中枢は脊髄側柱で、二次中枢は延髄の血管運動中枢内の昇圧部。 2.血管運動中枢 vasomotor center. 延髄の顔面神経核近傍からカンヌキ(脊髄内の中心管と第四脳室を結ぶ器官)に掛けての延髄網様体に血管運動中枢がある。 その吻側部は昇圧部で、尾側部は降圧部となっている。 昇圧部は血管収縮神経に線維を送り、これを持続性に支配している。 即ち、絶えずインパルスを送って血管の収縮状態を維持し、血圧を正常に保つ働きをしている。 降圧部というのは昇圧部を抑制するニューロンのあるところで、降圧部の興奮によって血管収縮神経への持続性インパルスが減少し、血管の収縮状態が弱くなる。 血管拡張が起こると言う表現も用いられるが、血管が能動的に拡張する訳ではない。 3.血管拡張神経 vasodilator nerve
血管拡張神経はコリン作動性神経で、そのインパルスにより血管平滑筋が弛緩して血管が拡張する。血管運動中枢とは関係が無く、血圧調整の作用は無い。 1) 交感神経性血管拡張神経 交感神経に属しながらコリン作動性の神経線維で、骨格筋の血管に至るものの中にはこの系の線維が有る。血管運動中枢とは無関係。 大脳皮質の運動野から発し、視床下部で線維を換えて脊髄に至る。筋運動の時、交感神経活動により腹部内臓の血管は収縮するが、骨格筋の血管は拡張して血流量が増加する事となる。 2) 副交感神経性血管拡張神経 副交感神経に属するものは、唾液線や外陰部に至るものがあり、腺分泌や陰茎、陰核などの勃起に関係している。 3) 脊髄後根性血管拡張神経 脊髄後根を切断してその末梢端を刺激すると皮膚血管の拡張が起き、皮膚の痛覚線維は分岐して血管をも支配していると考えられる。皮膚を強く刺激すると、その部の血管が拡張して発赤を生ずる。
この血管拡張神経では、皮膚圧迫による発赤、アレルギーによる発赤発疹、軽度皮膚減圧症での発赤及び発赤発疹、発疹等が有るものと思われる。 血液循環は心臓反射と血管運動反射によって調整されている。血管運動は交感神経によって支配されるばかりではなく、局所的には種々の化学物質によって影響を受けている。 この局所的な調整は、全身に於ける血液循環の調整には直接関係していないが、その組織の活動を維持する上で大変重要。 1.血管運動反射 動脈血圧が上昇した時、減圧反射によって血圧は低下し、同時に血管拡張が起きるが、両反射とも頸動脈洞や大動脈の圧受容器からのインパルス信号によって反射が起きている。このインパルス信号は延髄の心臓抑制中枢と同時に血管運動中枢の降圧部に達して減圧反射の指示を受けている。
逆に動脈血圧が下降すると、頸動脈洞や大動脈の圧受容器からのインパルス信号は減少し、心臓及び血管への抑制が解除されて血管の収縮が増し、血圧を上昇させている。この事を昇圧反射と言う。 延髄の心臓中枢と血管運動中枢は互いに協調して働いている。ただし、昇圧反射には条件が有って、血圧が60mmHgまで低下しても働くが、60mmHg以下になると頸動脈洞や大動脈の圧受容器からのインパルス信号が消失して働かなくなる。 2.バルサルバ(Valsalva)のテスト
10〜20秒間呼吸を止め、息が漏れないようにして腹圧を掛けていきむと、腹圧上昇によって血圧は上昇する。しかし、これと同時に減圧反射と血管運動反射とによって、心拍数が減少する事で血圧は元へと戻って行く。 血圧曲線では、腹圧(食道内圧)が上昇すると、大動脈圧は僅かだが血圧降下が起き、この血圧降下によって逆に昇圧反射機序作用が働いた為で、グラフ内に昇圧反射的な変化を見る事が出来る。一過的だが血圧が過剰に昇圧する。 スキンダイバーでは当たり前に息こらえを行う為、上の図の様な血圧の変化が起きている。しかし、ハイパーベンチレーションによって息こらえの時間が長くなると、昇圧反射後の血圧低下がブラックアウトの一因を作っている。 スキューバダイバーはどうであろうか?
安全停止点3〜5mでのホバリング訓練で息こらえ等をすると、減圧症の誘発となる為、注意をして頂きたい。ホバリングとは息こらえで行うのは間違いと言う事を再度認識
!! 3.体位血圧反射 臥位から座位へ体位を変えると、その直後に血圧が低下し、30秒〜数分で元の血圧へと戻る。 [臥位=がいには仰臥位(ぎょうがい)仰向け、側臥位 (そくがい) 横向き、腹臥位(ふくがい)うつ伏せがある] 血圧の低下は静脈還流量の減少による心拍出量の減少と、重力によって心臓より下の血管に拡張が起こる為であ離、元に戻るのは昇圧反射による。 急に立ち上がるとめまいがおこる場合があるが、これは、起立性低血圧と言われるものであり、交感神経系の傷害で昇圧反射が弱められているか、血液中のノルアドレナリン濃度が低下している場合とが考えられている。 重力加速度が作用し、頭から足方向へ重力の5倍=5Gが掛かったとするとめまいや意識の喪失が起きるとされ、仮に−Gが加わったとしても脳動脈血圧の上昇、頭頚部血管の充満、頭痛、意識の錯乱をきたすとされる。 この状況は循環調整の限界を超えているからで、ある程度は訓練によっても克服される。 この現象は、宇宙等での無重力空間に237日留まっても循環器系等には問題は無いとする報告もあるが、起立性低血圧が起き易いとも言われており、また、心筋は委縮して心臓血管系の反射が減弱し、回復には4〜7週間も掛かるとされる。 ダイバーが毎日潜ったとしても、潜った後に地上に於いて重力を受けている為、この様な事は起きないとはされている。しかし、潜水終了間際の浅い水深や水面に到達時、船上、ビーチへの上陸時では循環調整機能に乱れがあり、血圧が一過的に上がり易いとして注意が必要。 4.血液量の調整 血液量が増すと、血管系の低圧部(大静脈、右心房、肺血管、左心房)の圧受容器が興奮し、ペインブリッジ反射によって心拍数が増加する。心房性Na利尿ペプチドが分泌され、腎臓の糸球体の輸入細動脈を拡張して濾過面積を増やし、利尿を促して、血液量を調整する重要な役割を果している。 下垂体後葉ホルモンである抗利尿ホルモンの分泌が抑制され、また、腎血流が増すので利尿(水及び電解質)が起こる。 逆に血流量が減少すると利尿が抑制される。 体を水に浸す(水浸:イマージョン)と皮膚血管が圧迫されて血液還流量が増しANPの分泌が増加する。このANPとは心房性Na利尿ペプチドの事を言い、利尿効果(トイレが近い現象)が増す。 高圧利尿も同じ現象を指している。 5.化学受容器を介する反射 血液中のCO2の増加、O2の欠乏、pHの低下等はいずれも頸動脈洞小体や大動脈小体の化学受容器を介して呼吸運動を促進している。化学受容器の循環系に対する作用では、心拍数の減少と消化管や皮膚の血管収縮であり、この時、脳動脈と冠動脈は拡張する。 しかし、実際には心拍数及び心拍出量は増加するが、これは二次的なもので、化学受容器の直接的な作用は心拍数の減少に携わっている。 CO2の血管への直接作用は血管の拡張作用である。 ダイビングに於いて、ドライスーツでの頸動脈圧迫は、この部位に影響を与え、脳への血流疎外を与える為、CO2の増加に伴い体温の上昇、判断力や体反射に影響する。 6.血圧の周期的動揺 血圧には、心臓の拍動に伴う血圧動揺(第一級動揺)があり、最高血圧と最低血圧の差による動揺がある。 更に、呼吸周期に一致する血圧動揺(第二級動揺)では、呼息相の始に血圧が下降し、吸息相の終わりに血圧は上昇する。 また、呼吸運動に伴う動揺では、呼吸中枢の周期的興奮が血管運動中枢に波及している事と、呼吸ポンプに伴うペインブリッジ反射によって、血圧の動揺が起きている。 それより周期の長い血圧動揺(第三級動揺)とがあり、この場合では、血圧低下での体調の悪い時に起きる長周期の血圧動揺。大量の出血後、マイヤーの波、ロイの波などがある。 この他に脾臓の周期的な収縮もこの中に含まれる。西丸・パークロフト波の血圧動揺波もある。 7.血管作動物質 血管平滑筋は交感神経の持続的な支配を受けており、交感神経の興奮の程度によって収縮と拡張の調整を受けている。また、種々の化学物質によって局所的な血管平滑筋に作用し、この血管平滑筋を収縮したり弛緩したりして調整を行っている化学物質を血管作動物質と言う。
1) ノルアドレナリン : α レセプターを介して血管平滑筋を収縮する。
2) バゾプレッシン、アンギオテンシン、セロトニン : 血管に働いてこれを収縮させる。 3) エンドセリン : 血管内皮細胞で作られ平滑筋組織へ向かって放出されるが、ごく低い濃度で作用を発現する強力な血管収縮物質で、筋細胞内のIP3(イノシトール三リン酸)の濃度を高め、小胞体からのCa2+放出を促進する。 分泌刺激は血管の伸展及び血管酸素分圧の低下で、内皮細胞が局所の細動脈を調整して血流量を調整している。 4) 心房性Na利尿ペプチド、アセチルコリン、ヒスタミン、ブラジキニン : 血管平滑筋に作用して血管を拡張する。CO2も血管拡張物質の一つ。
5) 内皮細胞由来の血管拡張物質 EDRF :
血管内皮細胞がアセチルコリンなどによって刺激された時に産生する血管拡張物質をEDRFという。
EDRF=endothelium derived relaxing factor. EDRFの実体はNO(酸化窒素)であり、狭心症の治療薬として用いられるニトログリセリンはNO(酸化窒素)化合物である。 8.体温調整反射と血管運動 視床下部の体温調節中枢は、延髄の自律中枢の高位中枢で、体温調節反射は延髄の中枢による反射よりも優先的に起こる。
気温が高い時、皮膚血管が拡張するが、血管運動中枢の抑制だけではなく、汗腺の活動に伴って作られるブラジキニンの作用で、汗腺の活発な部位はその作用でますます拡張する様になる。 9.筋運動時の循環 交感神経活動亢進の時、骨格筋や皮膚の血管は拡張し、他の血管は収縮する。骨格筋の血管拡張は交感神経性血管拡張神経によるが、皮膚の血管拡張は体温調節反射と同じ機序によって行われている。 筋運動によって皮膚の温度が高くなると、汗腺の活動が高まってブラジキニンやCO2の作用も相まって、その部位の皮膚及び骨格筋の血管は著しく拡張する。 最高血圧が上昇するのは毎分吐出量の増加と内臓領域の血管収縮とによっておこり、最低血圧では、軽度の運動では変化はしないか、更に低下する場合がある。これは、筋に血管拡張があり、血液の循環抵抗には余り変化がない為、最低血圧が更に低下する様な事が起きている。尚、激しい運動の時は最低血圧も上昇する。 運動をやめた後、心拍数や最高血圧が安静時の状態に戻るまでの時間は、スポーツマン等訓練をしている人ほど早く元へ戻る。 尚、血圧値が一旦だが低くなり、それから戻って行くが、これを陰性相と言い、この陰性相は血管拡張の回復が拍出量増加の回復より遅れるが為に現れる。 下の図では、各種の反射や反応によって血液循環量を調整している中で、血圧に依存した血液の貯留と血流量を見ているが、超高度な生命維持機能として働いている。 しかし、体調不全に陥るとこの絶妙なバランスは失われて、体に変調を来す。 減圧症や高気圧傷害でも体調の不全が起き、元へと戻せない力が掛かっていると思われ、体内の繊細な組織の一部に負荷圧が掛かって、その絶妙なバランスを崩していると筆者はみている。
動脈側は全血液量の30%で高血圧域、静脈側は全血液量の70%で低血圧域としてバランスを取っている。 しかし、これは陸上での日常生活に於いてであって、ダイビング等で体外からの圧力(水圧等)を受けた場合、何らかの循環障害や部位血流障害の問題が起きて来るのではないだろうか? これは、時として減圧症の発症原因にもなっており、特に浮上時に際して何が原因なのかを克明に調べ、記さなければならないだろう。 【減圧症自己治癒潜水法】では、医療機関でのチャンバー加圧減圧時間が3時間位から6時間に対して、自己治癒潜水法では40〜50分で高確率で治癒・完治効果が現れている。 これは、血液や体液の移動や循環と循環抵抗、血圧が微妙に関係しているものと思われる。 減圧症罹患者の治癒潜水では、減圧(浮上スピード)の仕方で治癒の程度に変化のある事が判っており、更に浮上時の体位(垂直位、垂直・半斜位、水平位、水平・半斜位)による血液や体液の循環抵抗の違いで治癒・完治の程度が判ってきた。 加圧時では6気圧(水深50m)以上で、軽度の減圧症の治癒効果があるが、ただ、潜って浮上すれば治るものでは無く、治癒効果の全てが減圧(浮上スピードと体位)に掛かっているのは間違いない(^^ゞ 注意として、水深50m〜60m(6気圧〜7気圧)まで潜らなければ体内に残されている窒素泡(下記参照)は血液や体液に対して液化出来ず、減圧による消泡措置が取れない為、ディープダイビングの出来る方だけが自己治癒潜水法の恩恵を受ける事となる。
サイレントバブルス窒素抱合=サイレントバブルス窒素抱合体=サイレントバブルス窒素抱合体泡. 血液や体液の循環(血管や心臓への神経支配)には精神的な部分がかなり影響を与える為、間違ったディープダイビング理論では通用しないし、身体に対して大変に危険である。 潜水での脱水(重要) -------------------------------------------------------------------------- 減圧症を考える上で一番大切な物、それは血液です。 細胞組織に酸素や窒素を送り、又、各組織に栄養分を運んでいます。 しかし、血液の成分には身体の各組織を安定化し、定常化出来る成分運搬も血液が担っています。 もう一度、血液が何であるかを見直しましょう。 また、T型減圧症の筋肉への影響は血漿蛋白が影響を与えている可能性が有るとして、この血液成分を知らなくてはいけないのです。 ※ T型減圧症での筋肉痛の場合、関節周囲を通過する筋皮神経の関連あり. さて、@ダイビング中にこの血漿蛋白は動脈側毛細血管より血管浸透膜を経て筋肉組織内へ取りこまれるが、ダイビング時の窒素過大によって血漿蛋白と窒素が結び付き肥大化する事で浮上時に静脈側毛細血管の浸透膜及びリンパ管を通過出来なくなり、浮上する事で、より膨大化して筋肉組織内の周辺組織の圧迫が始まり筋肉痛や関節痛が始まる。 A血漿蛋白はアルブミンとも言い、奥入った細胞内毛細血管壁では細胞組織間で血漿蛋白が作用して毛細血管壁で体液の移動を阻害し、体液移動に際して閉塞を起こしてしまうが、この時に細胞組織内に窒素と結合した組織があれば、窒素を放出出来なくなり、細胞組織内で窒素による膨潤膨張によって痛みが出る。 T型の筋肉型又は関節型への減圧症となり、高圧用の医療用チャンバーに入り 、治すしかないが、その発症した水深によってはチャンバー圧5気圧では血漿蛋白と窒素を収縮分解する事が出来ない場合が有る。 仮に水深12mで発症したとすると絶耐圧2.2気圧×3倍〜3.5倍=6.6〜7.7気圧(水深56〜67m)となって高圧医療用のチャンバー最高圧5気圧では治らないのである。 其の為に考えたのが減圧症自己治癒潜水法と言われる高圧下60〜70m以上へ空気潜水によって潜れる知識とスキルの開発であった。 この潜水法はテクニカルダイビングでも行う事が出来るが、何よりも難しいのは管理指導者(スーパーダイバー)の育成なのである。 @とAを上げて見たが、@は圧力下での臨床が行われていない。 Aは既に臨床済みだが、圧力下では無い。ただ、言えるのは@とAでは共に血漿蛋白アルブミンが介在。 注意 体液移動にはもう一つのルートであるリンパ管での一方向移動があるが、間質液(血漿蛋白質が殆ど無い状態)としてリンパ管を通って行く。 血漿蛋白アルブミンの減少で膠質浸透圧が無くなり、毛細血管壁が閉ざされる事で体液と栄養分移動が閉ざされ、リンパ液(間質液)がリンパ管を通って抜けて行くと、細胞内液側の組織は脱水と栄養不足へと向かう事となる。 人の血液の総量は体重の約8%、体重が60Kgの人の血液量は約4800mlになります。 血液は循環専用の細胞外液であり、その主成分はナトリウムであって、細胞の中身を細胞内液、外側を細胞外液と言うが、血液はただの細胞外液では無く、効率良く酸素や栄養や老廃物を運ぶ必要が有る為、蛋白質や血球を持つ事によって運搬の能力を高めている。 血球を作る事を造血と言い、骨髄で作られていますが、この骨髄には大きく分けて扁平骨と長管骨で作られていて、扁平骨では骨盤と胸骨、長管骨では大腿骨の様な手足の骨です。特に造血が盛んなのが骨盤で、長管骨等では脂肪等を蓄えています。 血球には赤血球、白血球、血小板が有り、全て血液幹細胞から作られます。 血液幹細胞とは分化して赤血球、白血球、血小板に分かれます。
赤血球は骨髄で増殖し分化した時点では成熟出来て無く、増殖時の核を捨てて初めて本来の赤血球として血液中に出て来ます。 核を持っていない為、分裂増殖は出来ずに使い捨ての形となって凡そ120日間働き、その後は脾臓よって壊されますが、赤血球内のヘモグロビンはヘムと言う鉄を含んだ色素とグロビンという蛋白質で出来ていて再利用されます。 尚、グロビ ンは代謝を受けるとビリルビンと言う物質に変 わり、肝臓を経て胆汁中に捨てられます。(ビリルビンはうんちの色だよ(^_^;)) 赤血球の形は表面積を多く取る為に真ん中が凹んだ円盤状で酸素と二酸化炭素の遣り取りの効率の良い形となっており、毛細血管の中を通り抜け易い形となっています。 赤血球の直径の大きさは7.5㎛(マイクロメートル)
赤血球の本来の働きは酸素を運ぶ事で、その 酸素を捕まえているのはヘモグロビンと言う蛋白質なのです。 これは、赤血球と言う袋の中に ヘモグロビンを詰めている状態で酸素含有能力を水と比べると70倍と驚異的な数字になります。 白血球は赤血球の500分の1以下の数となり少なくなっていますが、この白血球には好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類から成り立っています。 好中球は通常に於いて骨髄の中に貯蔵されで、体内にバイ菌等が入って来た場合に血管を通ってバイ菌の近くまで行き、血管の壁から出てバイ菌を捕食します。(通常、バイ菌は血管外に侵入) 血管の壁から出た好中球は目を持ったアメーバーの様な運動をしてバイ菌に向かいますが、一度、血管から出た好中球は再び血管に戻る事は有りません。尚、バイ菌を食べた好中球は膿となってその機能を終わります。 単球は肺や肝臓などの組織に行って住み付き、マクロファージと言われる細胞となってバイ菌の捕食をしますが、好中球よりはるかにすぐれた捕食能力を発揮します。 リンパ球はこのままでは機能せずに胸腺に於いて機能強化されてTリンパ球(T細胞)となり、機能強化場所の分らないで作られるBリンパ球(B細胞)が有りますが、一般的にTリンパ球は作られた時に正常で、かつBリンパ球の命令と抗体の量の調整指揮をするものとし、Bリンパ球は作られた時に未成熟が為に変異して抗体(蛋白質)を作る為だけに働きます。 血小板は骨髄内の血液幹細胞に分化の命令の内、巨核球になれと言う命令によって巨大な細胞を作る能力が有りますが、巨核球の細胞質の一部が骨髄内でちぎれた物が血小板です。 大きさは1〜3㎛程度の小さな細胞断面ですが粘着性が強く、核が無い為に増殖する事は有りませんが、生きた状態で血管内を運搬され、血管が切れた時などは、まず血小板が多数くっ付いて出血を止める作用をします。(止血作用で有り、血液の凝固性は無い) ダイビングに於いて、この血漿は肺循環によって窒素を血漿内へ吸収し、体内の組織へ運んでしまう。 これはヘンリーの法則によるもので、地上の生活では大気圧1気圧下で生活 しているが、この大気圧1気圧での窒素は体内に浸透し平衡を保っている。しかし、ダイ ビングや潜函トンネル工事等で1気圧以上の圧力が掛かると、再び窒素は体内へと浸透 し、窒素ガス平衡が始まる。 少し判り図らいが、1気圧以上の圧力が掛かると窒素は血漿を介して体内の組織へと運び、外部圧力が下がると、体内に取り込んだ窒素は血漿を介して体外へ放出する。 しかし、窒素を吸収する時と、排出する時では、組織から分離排出する時に抵抗が掛かり、吸収する時よりも多くの時間を要する事となる。 ここからはダイビングや潜函トンネル工事の約束的きまりとなるが、低圧下(1気圧)に戻る、又は水面に向けて浮上する場合は、ゆっくりと決められた時間を掛けて1気圧下に戻るしか無いのである。 この地上(1気圧下)に戻る為の約束事を破ってしまうと、体内で窒素ガスが膨張し、毛細血管内、組織細胞膜を閉塞してしまう。つまり、減圧症と言われる症状である。 窒素に介在する血漿はダイビングや潜函トンネル工事には無視の出来ないものであり、注意して勉強して欲しい。尚、血漿蛋白はT型の筋肉型と言われる部分に関わる為、気になる方は良く読んで下さい。 血漿とは血液の液体成分であり、細胞外液に大量の蛋白質を加えたものであり、その性質によって大きく2つのグループに分けられる。アルブミンとグロブリンの2種類のグループ。 アルブミンは血漿の半分以上を占めており、血清アルブミンとも言い、蛋白質を主成分とする。 グロブミンは沢山の種類の蛋白質が含まれており、代表的な物に免疫反応の主役である抗体(免疫グロブリンやγグロブリン)がある。アルブミンは肝臓で生成されている。 血漿中にはかなりの量の脂肪も分解して含まれているが、固形とはならない様に蛋白質が脂肪(脂質)と結び付く事で血漿中に分散し溶けているのです。 この作用は洗剤が油を分解して水に溶かしているのと同じですし、この他には牛乳に含まれる乳脂肪分も同じと言える。 この脂質と蛋白質の結合体をリポ蛋白質と呼んでいて、脂質の運搬をしている。 リポ蛋白質は脂質と蛋白質が結び付き水溶性となって血漿内に安定した形で配分されてはおらず、その性質によって2種類のタイプに分けられます。 脂質は水よりも軽く、蛋白質は水よりも重たいので、リポ蛋白質はそれを構成している脂質と蛋白質の割合により、その重さ(比重)が軽いものから重いものまで、さまざまのものがあるのです。脂質の割合が大きい程、比重は軽くなります。 この事からリポ蛋白質を比重で分類し、比重の軽いリポ蛋白質をLDL、比重の重いリポ蛋白質をHDLとして分類するが、厳密に言うと比重が違う事で蛋白質の種類も違うものとされる。 血漿(けっしょう)は血液に含まれる液体成分であり、血液の55%をしめる。 やや黄色みを帯びた中性の液体で以下の成分で構成され、水(91%)の次にたんぱく質(7%)が多い。 ・水 ミネラル(Mineral)とは鉱物(無機質)のことであるが、一般的には人体に欠かせない微量元素のことを指す。糖質、脂質、蛋白質、ビタミンと並び五大栄養素の一つとして数えられる。 代表的なミネラル
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高比重リポ蛋白(HDL)は、蛋白質50%、脂質50%から構成され、脂質は更にリン脂質23%、cho20%、TG5%などから成っている。 HDLは末梢から肝臓へchoを逆転送して異化及び分解させる重要な役割を果たしており、細胞内に蓄積したchoの除去機構にも関与している。 HDLの値では動脈硬化、虚血性心疾患の危険因子としても見出され注目されている。 CHO(cho)細胞 (チャイニーズハムスター卵巣由来) の増殖および組換えタンパク質発現用中性脂肪のほとんどはトリグリセリド (Triglyceride、Triacylglycerol) 総じてTG |
--------------ダイバーにとって重要です(減圧症関連)----------------
T型筋肉内減圧症と関節内減圧症、無菌性骨壊死発症に関係します。
蛋白質(アルブミン)溶液と水とで考えた場合、蛋白質の粒子の大きさは水やナトリウムと比べて非常に大きく、分子量で示すと水18、ナトリウム23に対して、蛋白質のアルブミン粒子は69000と極めて大きい分子数値となる。
例えば、アルブミン溶液と水の間に膜を置いたとしますが、この膜に小さな穴が開いていて、水やナトリウムは通るがアルブミン溶液は通らない膜とします。
この膜の間には両方の間に等濃度になろうとする力が働きますが、水やナトリウムは通ってもアルブミン溶液は通れずに、代わりに水分子がアルブミン溶液に引き寄せられて等濃度になろうとします。この力を浸透圧と言う。
小さな穴の開いた膜を半透膜と言うが、毛細血管の血管壁もこれに当る。
蛋白質の事を膠質とも言い、蛋白質によって生まれる浸透圧の事を「膠質浸透圧」と言う。
血漿中には蛋白質の中で一番多いアルブミンが「膠質浸透圧」の元になっている。(膠質こうしつ)
毛細血管壁(半透膜)を介して細胞外部(細胞外液)の水分を血管内に取り込む作用を血漿内の蛋白質アルブミンが行っています。
身体に起きる「むくみ」は血管内のアルブミンが少ない為、若しくは腎臓から尿の中へアルブミン(蛋白質)を排出する事で細胞外液を排出出来ずに体細胞に「むくみ」が生じます。
体細胞に「むくみ」を生じさせない為には、血漿中にアルブミンが(蛋白質)がバランス良くなければいけないとされるが、ダイビング中はイマージョンや潜水反射等で、水分を膀胱へ排出させる事も報告されており、当然、このアルブミンも大量に膀胱へと排出されると思われる。
アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っていると、ここまでは良いのだが・・・・・。
この浸透圧調整に於いて、潜水中に体細胞組織に取り込まれた窒素は、この浸透圧調整によっては体細胞組織より排出されない可能性があるのである。
つまり、この浸透圧により毛細血管壁を通って排出されるべき窒素が出れずに体細胞組織に残り膨潤化すると筋肉型 や関節型の減圧症となってしまうのだ。
特に関節型では骨頭周辺の骨組織に痛みやかゆみ、鈍痛が有るが、これ以外に、骨頭軟骨や緻密質、海綿質、骨髄腔を含めた骨組織で無菌性骨壊死が起きて来る。
この無菌性骨壊死とて、元は骨減圧症と言われるT型減圧症なのである。
関節型であっても症状がひどい場合、又はひどくなくても繰り返し潜水を行って、周辺部位にその症状が拡大した場合は、関節型から無菌性骨壊死へと進化及び転化して行く事を知って置かなければならない。これは、職業として潜っているプロダイバーに特に多い。
つまり、アルブミン量が減る事で体細胞組織からの水分中(体液)に含まれた窒素は毛細血管壁を通れない事となる。
この作用は関節や骨組織内でも起きており、T型減圧症発症の 筋肉型と関節型に及ぶもの、並びに無菌性骨壊死の原因と思われる。
ここで述べているのは筋肉内でのT型減圧症発症だが、実際は関節や関節骨頭部の炎症や腫れによる圧迫痛から神経へと伝達された痒みや疼痛・鈍痛、激痛があげられており、原因は部位組織内での血流阻止や栄養阻害による炎症や壊死から来るものだ。
・物質の保持・運搬
脂肪酸やビリルビン、無機イオンあるいは薬剤などの外来物質を吸着する。
低分子物質は、各種臓器に取り込まれて代謝・排泄されるが、アルブミンに結合した物質は臓器に取り込まれず、血中を循環することができる。薬剤の臓器移行性に大きな影響を及ぼす。
ワルファリンやトルブタミドなどは特にアルブミンとの結合性が高く、これらと結合が競合するような薬剤を併用した場合、予想以上に組織中薬物濃度が上昇することが知られている。
・pH緩衝作用
・各組織へのアミノ酸供給
・抗酸化作用
物質の保持・運搬、pH緩衝作用、各組織へのアミノ酸供給、抗酸化作用では・・・。
1.潜水中の
血漿内窒素とアルブミンの結合の危険性の有無.
2.潜水前に服用し、血漿内のアルブミンと結合する薬物の危険性.
3.潜水後、T型減圧症発症時の大量のアルブミン投与後の医療用高圧室チャンバー加圧が気になる。(テーブル6、テーブル6Aの治験が欲しい所だ)
4.リンパ液=間質液の体還流作用がある事で、減圧症の発症部位の違いが明確化!
血液環流を再度考えると・・・
内臓系・下半身の血流は→静脈→下大静脈
頭(脳)・上半身の血流は→静脈→上大静脈←内頚静脈と鎖骨下静脈←リンパ液
リンパ液=間質液であり、細胞外液として介在するが、血漿蛋白質が殆ど無い。
上大静脈系の血液・体液移動を原因とする減圧症(T型筋肉・関節・骨等細胞膜塞栓)
下大静脈系の血液・体液移動を原因とする減圧症(U型脳型・中枢神経系動脈塞栓)
ただし、T型筋肉・関節・骨等細胞膜塞栓では細胞内液の脱水状態として見ています。
として見る事も出来て来た。
更に血液還流を深く考えると・・・
細胞外液の血管内走流には血漿蛋白質が存在するが、同じ細胞外液の間質液=リンパ液には血漿蛋白質は殆ど存在しない。
通常(陸上生活)では、水分として細胞外液の80%を上下大静脈血管を通して回収し、リンパ管より20%の水分を上大静脈より回収し、右心房で合流する。
この時の上下大静脈では、上大静脈へ30%+リンパ液20%、下大静脈50%の比率で水分が回収され計100%の水分(血漿蛋白質の適正値含有)として還流する。
ここで注意をしなければいけないのは、肝臓によって血漿蛋白質の量的な追加量が不足すると上下大静脈内の回収水分量が不足する事となり、補う為にリンパ管からの水分回収量増大へと向う事となる。
つまり、血漿蛋白質アルブミンとグロブリン等が腎臓から膀胱へと排出された分だけ肝臓が補うまでは水分調整は正常へとは戻らない事なのだ。
体液量の調整は単純では無い為、体液の働きとリンパとリンパ管に更に詳しく書いて有ります。
この肝臓では静脈内へ血漿蛋白質を補ったり、血中のアンモニアを分解し無毒の尿素へと合成をもしている為、肝臓が弱ったままでのダイビングや激しいスポーツは厳禁と言わざるを得ない。
「減圧症自己治癒潜水法」では、治癒水深 の設定は既に完了していますが、特にT型の場合、高水深に潜れば良いかと言うとそうでは無い様です。
イマージョンや潜水反射によって多くのアルブミンが膀胱へと排出される為、この条件的な反射を回避した後に高水深へと潜るのが望ましいと思っておりましたが、この「減圧症自己治癒潜水法」では、この様な潜水反射での膀胱への排尿が起きるまでに必要加圧が完了するのです。
とは言え、それだけの潜水技能と知識を身に着けなければいけません。
毛細血管内血漿中でのアルブミン低減はごく僅かに止められる為、更に、T型減圧症に掛かっているとされる部位では組織の膨潤等が起きていて、ちくちくする痛みや内圧痛があった筈ですが、アルブミンの持っている作用によって、浸透圧調整がスムーズに行き、傷んでいる組織の水分調整、pH緩衝作用、栄養素であるアミノ酸供給、そして抗酸化作用の恩恵を受けて治癒して行くのです。
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血漿浸透圧計算式 血漿浸透圧をΠ、血清ナトリウム濃度をNa、血清カリウム濃度をK、血糖をBS、血中尿素窒素をBUN (UN)とすると、血漿浸透圧は
で近似できる。さらに臨床的には
と近似してもよい。 正常値 285〜295 mOsm/L (mOsm/kg) mOsmはミリオスモルと読む. |
良い話と悪い話(^^ゞ
ダイビングに於いてのLDLコレステロールは通称悪玉コレステロールと言われるが、ダイビングでの運動量は大変に多く、2ダイブで凡そ3800㎉〜4500㎉もカロリー消費されてしまう。
これは、コレステロールの分解に役立ち、特に悪玉のコレステロールを分解するが、この分解されたコレステロールの次の役割は新しく作られる細胞の細胞膜として働く。
しかし、低LDLコレステロールの場合は肝硬変などを起こす為、注意も必要とされる。
改めて再記載をして置く。
LDLコレステロールが働き、多量のコレステロールがあると血管内に沈着して動脈硬化を引き起こす。
LDLコレステロール(高比重リポ蛋白)は悪玉コレステロール 70.0〜139.0 mg/dl
[高値を示す病態・疾患]
家族性高コレステロール血症、家族性混合型高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、
ネフローゼ症候群、肥満など.
[低値を示す病態・疾患]
家族性低コレステロール血症、先天性無βリポ蛋白血症、甲状腺機能亢進症、肝硬変など.
潜水での脱水(重要)
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T.体液の働きとリンパとリンパ管 ダイビングでの重要項目(暫く編集しています)
水分調整と、重要なる第2の血管=リンパ輸管
細胞外液の血管内走流には血漿蛋白質が存在するが、同じ細胞外液の間質液=リンパ液には血漿蛋白質は殆ど存在しない。
通常(陸上生活)では、水分として細胞外液の80%を上下大静脈血管を通して回収し、リンパ管より20%の水分を上大静脈より回収し、右心房で合流する。
この時の上下大静脈では、上大静脈へ30%+リンパ液20%、下大静脈50%の比率で水分が回収され、計100%の水分(血漿蛋白質の適正値含有)として還流する。
血漿蛋白質は肝臓から補充される為、肝臓が弱っていると脱水やむくみを安易に引き起こすが、また肝臓はアンモニアを尿素へと合成する機能もあって、機能低下による血中の尿酸値も上昇してしまう。
血漿蛋白質が血液内から減る事で一過的に上下大静脈内への回収水分量が減り、リンパ管からの水分回収の為の負荷が掛かってしまう。
水分量(体液)の不安定や不足は体への異変や不調の一歩へと進みます!
体液の仕組みと働きを相対的に考えて見ました!
T型減圧症(筋肉系、関節系、骨細胞系)を語る時、また、U型の減圧症にも少なからず関与し、もう一つの窒素排出口としてのリンパ管とリンパ液の役割、体の水分調整、異物排除等の機能を持ったリンパ液(間質液)とリンパ節、リンパ胸管(リンパ総管)等の説明です。
キラーT細胞、ヘルパーT細胞やマクロファージも含まれ、体液中に溶けている酸素と活性酸素もマクロファージの攻撃対象なのです。
1.生命の維持恒常の為に最も重要とされる液体成分。
2.水(血漿)の中に金属イオンなどの電解質成分や非電解質成分が溶けている等張液。
3.その浸透圧は血漿と等張性を持っており、生理食塩水0.9%に等しい。
4.体液は細胞内に含まれるものと細胞外に含まれるものに大別出来る。
5.細胞や組織は体液によって酸素や栄養、アミノ酸、ブドウ糖、脂肪(カイロミクロン)、ホルモン、電解質を受け取り、代謝によって生じた二酸化炭素CO2や老廃物、合成物、代謝産物、電解質、マイクロバブルス(生体生成ガス)を体液中に排出する。
注意:
二酸化炭素CO2は体内ではCO2では無い! ダイビングでの重要項目
重炭酸塩(NaHCO3)や重炭酸 イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3で存在する。
血中CO2の85%に相当する大部分は重炭酸塩(NaHCO3)として存在するが、組織で生じるCO2は血液中に拡散しCO2+H2O⇄H2CO3⇄H⁺+HCO3⁻となる。
この反応は血中に於 いては赤血球内にある炭酸脱水酵素によって速やかに行われる。
これは静脈血でのCO2は赤血球内に入り、H⁺とHCO3⁻ を生じるが、H⁺はヘモグロビンに緩衝され、HCO3⁻は血漿中へ押し出される。
この時にHCO3⁻と入れ替わりにCl⁻が赤血球内に入る。
これを塩素イオン移動という。
静脈内でのCO2運搬は、分解されて搬送している事に注意 !
ただし、筋疲労によって嫌気性代謝での乳酸から解離された乳酸塩と水素イオンH+の内、水素イオンH+と重炭酸塩(NaHCO3)や重炭酸イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3とが再び結びついて静脈内へCO2を大量に合成するのです。
また、この時に大量の水(H2O)によって血液のpHも低下します。
つまり、この乳酸の過剰的産生は身体の生理機序を狂わせるのですが、疲労という精神的・肉体的身体拘束でしか抑制出来ないのです。
---------------------潜水での脱水と一部重複しています---------------------
体内での水分(体液)の割り合いは・・・?
年齢や性別によって多少は異なりますが、人間の体重の60%は水分と言われます。
その内、個別に重量換算し、水分比を抽出すると下記の数値となります。
脳 82% 骨格筋 76% 肝臓 68% 骨 20% 脂肪組織 10%
人間の体重の60%が体液(水分)で占められていて、その内、体液(水分)の2/3は細胞内にあって「細胞内液」と言われ、残り1/3は細胞外にあって、細胞を囲んでおり、「細胞外液」と言われます。
女性の場合は体重の55%が体液(水分)で、差の5%は体脂肪。いずれも個人差あり。
lymph-1図(下の図)
上の図は血漿成分の内、細胞外液と細胞内液に分けたものですが、細胞外液に含まれる間質液は血漿蛋白質を含まない成分となっています。
また、細胞内液では蛋白質を蓄えていて膠質浸透圧の保持をして水分供給が出来る様にもなっていますが、ダイビング加圧中には、この蛋白質及びリン成分に窒素N2が多く吸収・吸着されます。
この比率を体重60kgの成人で見てみると・・・
身体全体の60%の水分量は36ℓ 細胞内液が24ℓ 細胞外液が12ℓ
◎細胞内液や細胞外液の水分量が過剰、又は欠乏したりしない様に調節機能での血漿浸透圧や血行に於ける循環血漿量調整などが働いて水分の安定を保持しています。
◎細胞内液や細胞外液の体液成分の内、細胞外液が減少した状態を脱水と言います。
◎細胞外液(組織間質液)を大きく分けると、組織液、血漿、リンパ液、脊髄液、間節滑液、分泌液がある。
細胞内液と細胞外液とは何だろう?
体液を構成している細胞内液と細胞外液の大きな違いは、その中に含まれている電解質の陽イオンと陰イオンの割り合いと構成にあるのです。
細胞内液はK+(カリウム)が主な陽イオンで、P(リン)やアミノ酸などが陰イオン。
細胞外液はNa+(ナトリウム)が陽イオンで、Cl⁻(塩基)が陰イオン。
良く見て頂くと、カリウムは細胞内液のみにあり、細胞外液にはナトリウムと塩基イオンで構成。
細胞外液の内の1/4、全体重の5%相当が血管内を流れる血漿量に相当しており、残りの3/4、全体重の15%が細胞間液(間質液)として存在。
ナトリウムは成分濃度が最も高く、細胞外液の浸透圧を維持するのに重要な役割を果たしています。
また、体内での食塩(ナトリウムや塩基)の量は、細胞外液量を一定に保つ為に必要な物質で、正常な細胞外液量を維持する為、尿細管などでナトリウムの再吸収や分泌が行われる。
細胞外液の内の1/4=3ℓ 全体重の5%相当が血管内を流れる血漿量に相当.
血液中の血漿量は3ℓ
細胞外液の内の3/4=9ℓ 全体重の15%が細胞間液(間質液)として存在.
細胞外液の濃度は、大体0.9%なので、「0.9%食塩水」を「生理食塩水」と言います。
0.9%とは精製水・蒸留水などの水1000ccに食塩(塩化ナトリウム)を9g入れたもの.
細胞内液と細胞外液の特徴として
1.細胞内外の浸透圧では、細胞内と細胞外の組成が違っても浸透圧は等しい。
2.細胞内外の電解質において、細胞内の( K+)と細胞外の(Na+)でのNaイオンはNa―Kポンプで常時細胞外に能動輸送される為、細胞内と細胞外のイオン組成は異なる。
輸送タンパクとしてイオンチャンネルとイオンポンプ(Na―Kポンプ)が存在.
1.受動輸送 濃度勾配に従う.
2.能動輸送 濃度勾配に逆らう為、Na+とK+は濃度の濃い側へ汲み出されるのでエネルギーが必要となる。(Na+/K+ATPase)
体液の電解質組成と働き(電気的イオン濃度勾配が利用される)
細胞内液
カリウムK+は細胞膜電位を(−)にする作用を持っている。 pH7.0
細胞外液 ナトリウムNa+やカルシュウムCa++は神経や筋の興奮に作用する。pH7.4
年齢で見た体液量%比較(全体重比)
新生児 80% 3ヶ月乳児70% 1年乳児60% 成人60% 老人50%
1.水分摂取量と排出量
水分バランスとは、身体に摂取される水分と排出される量が等しい事を言う。
水分摂取量 60%は飲料水からの摂取、30%の食物、10%の代謝から生じる水の摂取。
2.水分排出量
60%腎臓、28%皮膚と呼吸、12%糞便・発汗で排出される。
3.水分の摂取と排泄
摂取(2500ml)
水(飲料水として)1500ml、食品から700ml、代謝水(代謝で生じる水) 300ml.
排出(2500ml)
尿 1500ml、皮膚・肺(汗や呼吸による不感蒸散)900ml、便
100ml.
ダイビングでは乾燥空気を吸っている為に呼吸による不感蒸散は多く、ドライスーツ着用者
では、呼吸と汗の不感蒸散での体液排出が起きてしまう。→腎外性脱水
!
血液から組織液への移動
末梢血管まで運ばれた酸素、栄養物は血漿成分の一部とともに、血管壁を通り抜けて組織
間に入り組織液となる。(注意:タンパクは出ない)
細胞はこの組織液中に浸った状態で物質交換を行っている。したがって人の細胞は血液や組織液を介して呼吸し、栄養を摂っている。
毛細血管から出るもの
酸素、アミノ酸、ブドウ糖(GLu)、脂肪(カイロミクロン)、ホルモン、電解質、飲用薬物の成分等.
細胞から出るもの
二酸化炭素、合成物、代謝産物、電解質、生体生成ガス(マイクロバブルス)、老廃物その他.
ymph-2図 lymph-1b図
この図は末梢毛細血管端末部分を表わしていて、血漿蛋白質(アルブミン)が持っている ます。
膠質浸透圧によって水分のやり取りを行っています。この水分の中には栄養素も含まれる。
ただし、膠質浸透圧による浸透膜透過が起きていますが、多分に血圧の助けを借りて水分の移動をスムーズにしています。
lymph-3図
末梢の毛細血管では無く、筋肉内や各部の組織を表わしたもので、動脈側毛細血管から溶出した血漿や栄養分、酸素等の状態を表している。
過剰な栄養や水分は静脈側毛細血管へと運ばれ、更に二酸化炭素CO2や細胞組織生成ガス(マイクロバブルス)も静脈側へ排出 されて行く。
ここでのリンパ管は、静脈側毛細血管での水分排出が遅れる場合、にリンパ管 を通して適度な水分調節を行う。
ただし、血液中の血漿蛋白質アルブミンが腎臓から膀胱へと大量に導きだされると脱水症状を呈し、血漿蛋 白アルブミンが減少する事で膠質浸透圧が無くなり、浸透膜が閉塞して水分の透過が出来 無くなる。
この様な時に水分が組織中間に溜まりむくみを起こすが、この水分をリンパ管を 通して排出し、水分の調整を行っている。
濾 過
血圧が押し出す力となって血管内皮間隙から低分子の物質が押し出される。
例)腎糸球体の血漿濾過、毛細血管の血漿から組織液への移動.
拡散(ガス)=酸素O2、二酸化炭素CO2、ダイビングの場合の窒素N2等.
濃度の高い方と低い方が分子の移動によって同じ濃度になる。例)肺胞のガス交換
浸透圧(電解質)
細胞膜は特定の物質を通過させるが、分子の大きいものは通過させない働きを持つ。
濃度の高い方が低い方の成分を引き込む力を浸透圧という。
例)腎尿細管の電解質や水分の吸収。組織液から細胞内への水分の移動.
血液の浸透圧とは
1.等張液 血漿の浸透圧と同じ濃度の水溶液を等張液という。
血液の浸透圧 280mOsm/KgH2O(ミリオスモル) 0.9%生理食塩水、5%ブドウ糖液
2.高張液 血液浸透圧より高い液をいう。赤血球は収縮する。
3.低張液 血液浸透圧より低い液をいう。赤血球は膨化し破裂する。
膠質浸透圧(水分)=血漿蛋白質アルブミン、血清グロブリン等.
血漿成分は分子量が大きく、組織中に出られないので膠質浸透圧を生じ、組織内の水分を
血液中に引き込む。
膠質浸透圧は血漿中のアルブミン量によって決まる。アルブミン量が少ないと組織液から水分を引き込めなくなり浮腫(むくみ)を招く。例)組織液の血液への回収
膠質浸透圧による水分の回収(水分の80%を回収)静脈側毛細血管へ
膠質浸透圧
動脈性毛細血管圧は膠質浸透圧より高いので組織間に水分を押し出す(濾過)。
一方、静脈性毛細血管圧は膠質浸透圧より低いので水分を引き込む(80%)。
これは毛細血管中の血漿アルブミンの持つ水分吸収作用で、この浸透圧を膠質浸透圧という。膠質浸透圧が静脈静水圧より高い場合、組織内の水分を逆に引き込む(浸透)ことができる。
しかしアルブミン量が少ない時や静脈静水圧が膠質浸透圧より高いと組織液からの引き込みが出来なくなり浮腫(むくみ)を生じます。
血漿蛋白質の成分比はアルブミン55%、グロブリン38%、フィブリノーゲン7%.
アルブミンは血漿中と組織間液中に存在し、お互いに交換しながら平衡を保っている。
血漿中アルブミン濃度: 3.5〜5.5g/dl
組織間液中アルブミン濃度:
約1.5g/dl
特徴: 合成量=分解量(約6〜12g/day)
1.半減期 14〜20日(肝硬変などでアルブミン合成能が低下しているときに延長する。)
2.アルブミン1gあたり約17〜20mlの水をひっぱる。
3.成分比はアルブミン55%グロブリン38%フィブリノーゲン7% 浸透圧はアルブミン>グロブリン、フィブリノーゲン.
4.血中アルブミン値の低下→血漿膠質浸透圧低下→血漿中の水が組織間へ移る→浮腫
5.血中アルブミン値の上昇→血漿膠質浸透圧上昇→組織間の水が血漿中へ移る→血漿量増加.
動脈性血管内 毛細血管動脈圧30mmHg 膠質浸透圧28mmHg
⇓濾過
⇓
組織液 (-7mmHg〜5mmHg)
組織液
⇓
⇓浸透圧
⇓
静脈性血管内 毛細血管静脈圧15mmHg
膠質浸透圧28mmHg
リンパ管による水分の回収(水分の20%を回収)→上大静脈へ
組織中の毛細リンパ管内皮の結合はゆるく、リンパ管圧より高い組織圧によって容易に水分を回収することができる。
この部位のリンパ管圧はリンパ管本管圧より高いのでリンパ流が生じる。
リンパ管により組織間質液の約20%が回収される。リンパ管は途中に弁があり、逆流を防いでいる。
回収された組織液はリンパ液となり、最終的に静脈角から血液に入る。
注意:組織液やリンパ液は血漿よりタンパク含有量が少ない。血漿成分中のアルブミンは選択的透過によって組織中に出ない。
脱水の主原因と内容
1.暑さや運動による発汗や肺や汗からの過剰な水損失と電解質の損失. 腎外性脱水
2.極度の下痢や嘔吐による水の損失と電解質(Na+)の損失. 腎外性脱水
3.ADH分泌低下(尿崩症) 、純水の損失. 腎性(腎臓性)脱水
4.腎臓機能障害 水分、Na+再吸収不全、尿中への損失. 腎性(腎臓性)脱水
脱水を引き起こす原因とは!?
多尿による排尿によって水分やナトリウムが喪失する腎性(腎臓性)脱水と、運動を伴う大量の発汗、水分補給不能等によって起きてしまう腎外性脱水とに二分されます。
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脱水の分類
脱水には、細胞外液の水分とナトリウムの喪失の割合から、等張性脱水、高張性脱水及び低張性脱水の3タイプに分けられます。
@等張性脱水は、水分とナトリウム欠乏とがほぼ同じ割合で起こっているもの。
A高張性脱水は、水分の欠乏の割合が、ナトリウム喪失の割合よりも高い状態。
一次性高張性脱水(浸透圧上昇)で水分不足が中心、意識不明や高熱で飲水できない状態に陥った時やADH 分泌低下(尿崩症)が起きた時。水分のみ補給及び生食は絶対に駄目!
B低張性脱水は、ナトリウム喪失の割合が、水分欠乏の割合を上回っており、純粋な食塩欠乏とも呼ばれる。
二次性低張性脱水(浸透圧低下)でNa+中心に失うと、それに伴い下痢、嘔吐、発汗で塩分を失う。
低K血症や代謝性アシドーシス(胃酸損失)となる。生食の輸液水だけは絶対に駄目!
脱水のタイプによっても現われる症状が異なります。
高張性脱水は、細胞外液量の減少が細胞内から水分の移動によって軽減するのでショック状態を起こしにくい。
低張性脱水では、高張性脱水とは逆に水分が細胞外から細胞内へ移動し、脱水を助長する為に、ショック状態に容易に陥るとされます。
腎性脱水:過剰な利尿剤の投与に伴う合併症として、日常的にも認められる事があります。
利尿剤により体内の水分と共にナトリウム、カリウム等の電解質も共に体外に排泄され低張性脱水の型をとる事があります。
また、糖尿病の罹患者で血糖値が不安定な時に、多量の尿糖排泄に伴う浸透圧利尿の結果、脱水を認める事があります。
その他腎性脱水には、尿崩症、間質性腎炎、慢性腎不全等の疾患でも認める事があります。(腎臓での水分喪失)
腎外性脱水:高温作業時における大量の発汗や、広範囲な火傷の際にも脱水を認めます。
また、意識障害に伴う水分補給摂取量の低下、消化器疾患時の激しい嘔吐などでは胃液や胃酸などの酸喪失を伴い、高度の下痢などでは水分喪失を伴って腎外性の脱水状態になる事があります。 (腎臓以外での水分の喪失)
脱水の症状
軽い脱水での自覚症状として倦怠感、疲労感、口・喉の渇き、めまい、頻拍尿量減少などが起こります。
その他の症状としては、皮膚、特に顔や前胸部、大腿部の弾力性、緊張感の低下が起こり、舌、口腔粘膜の乾燥なども更に認められます。
高齢者では、皮膚の弾力性の低下は皮下脂肪組織の減少と紛らわしい部分があるので注意を要します。
重症になって来るとチアノーゼ、意識障害、四肢冷感、乏尿、ショック状態に陥る事もあります。
唾液分泌の減少 口渇感を起こす(視床下部にある浸透圧受容器の反応)
血漿浸透圧の上昇 血液濃度の上昇、血圧低下
血液量の減少 循環血液量の減少、腎血流量低下、無尿、頻脈、循環性ショック
浮腫(むくみ)の原因
1.毛細血管静水圧の上昇(心拍出量の低下)、静脈血の貯留(うっ血)
2.血漿膠質浸透圧の低下(アルブミンの減少→肝硬変・ネフローゼ等)
3.毛細血管の透過性亢進(血漿水分の組織中への移動・炎症)
浮腫を起こす疾患では・・・
心臓疾患での浮腫
左心房・左心室不全での心拍出血液量の低下(後負荷)によって腎血流量が減少する為で、レニン・ アンギオテンシン・アルドステロン系が反応作用して水分の再吸収が起こり、血圧を上昇させる (血圧を上げて拍出量を維持しようとする)。
結果的に乏尿となるが、更に体内に水分が溜る状態となる。
また、右心房・右心室不全があると、膠質浸透圧により静脈静水圧の方が高くなり、組織中の水分の回収が出来なくなってしまう。
腎臓性浮腫(腎性浮腫)
腎臓の血流量低下によって組織中にナトリウムNaが貯留し、細胞外液の水分は維持されたままになる。
また、腎ネフローゼなどの尿への血漿蛋白質アルブミン損失は血液の膠質浸透圧を低下させ、細胞外液内の間質液(リンパ液)の回収が出来なくなる。
肝硬変での浮腫
肝硬変になると血漿アルブミンの合成障害が起こり、門脈圧が上昇する事で血流の循環障害を起こす。
静脈静水圧の上昇は血液中のアルブミンを腎臓から膀胱へと漏出させる事で、血漿蛋白質アルブミンの減少によって膠質浸透圧が低下し、間質液の回収が出来なくなり腹水や浮腫(むくみ)を生じさせる。
リンパ性浮腫
手術でのリンパ管閉塞やリンパ節切除、象皮病でのフィラリヤや手術によるリンパ管閉塞.
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象皮病(ぞうひびょう)あるいは象皮症(ぞうひしょう)とは主としてバンクロフト糸状虫などのヒトを宿主とするリンパ管・リンパ節寄生性のフィラリア類が寄生することによる後遺症の一つ。
身体の末梢部の皮膚や皮下組織の結合組織が著しく増殖して硬化し、ゾウの皮膚状の様相を呈するため、この名で呼ばれる。陰嚢、上腕、陰茎、外陰部、乳房などで発症しやすい。
フィラリアは線形動物門(線虫類)に属する寄生虫で、今日の日本ではヒト寄生性のフィラリアがほぼ根絶されているため、イヌ寄生性のフィラリアの方が有名になっている。
しかし、ヒト寄生性のフィラリアは江戸時代には全国的に分布し、重要な感染症であった。稀にイヌ寄生性のフィラリアも人体に感染することがあるが、これは心臓寄生性であり、象皮病は起こさない。
フィラリア類の雌はミクロフィラリアと呼ばれる幼生を多量に産生し、これが末梢の毛細血管中に移行して媒介者である蚊に吸引され、他の宿主に運搬される。
バンクロフト糸状虫などはリンパ管やリンパ節に成虫が寄生するため、雌の産んだミクロフィラリアは、まず最初にリンパ管内に出現する。
患者は急性症状として成虫やミクロフィラリアに起因するリンパ管やリンパ節の炎症を起こし、これが繰り返されることでリンパ管の閉塞や破裂が起こる。
リンパ管の主要な機能は身体末梢部に毛細血管から供給される組織液の回収であるので、リンパ管の破壊が進行すると身体末梢部に組織液が滞留し、むくみ(浮腫)を生じる。
この浮腫の刺激によって皮膚や皮下組織の結合組織が増殖して象皮病をきたすのである。
このように、象皮病の直接的な原因はフィラリアの寄生ではなく、リンパ管の破壊と、それによる組織液の滞留である。
そのため、体内のフィラリアが既に死滅して感染自体は終結していても、この症状は進行する。むしろ重症の象皮病の患者の体内からは既にフィラリアは見られないことが多い。
また、フィラリアの感染によらず、乳がんなどの手術によってリンパ管を破壊しても、象皮病を起こすことがある。
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浮腫(むくみ)の部位としては
心臓性浮腫 体の下側全体(静脈静水圧の上昇).
局所的浮腫 Na貯留は伴わない。血管透過性亢進。局部の炎症、リンパ管の閉塞等.
全身性浮腫 細胞外液の増加を伴う。腎でのNa吸収亢進。うっ血性心不全(中心静脈還流障害)、肝硬変(アルブミン合成障害)、ネフローゼ(血漿蛋白質の損失).
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ネフローゼ症候群(Nephrotic syndrome) は、ある特定の症状を呈する腎臓疾患の総称。
高脂血症(高コレステロール血症)、低蛋白血症、高度な蛋白尿、浮腫(眼瞼や下肢)を主な症状とし、糸球体基底膜の透過の亢進を一次的異常として認める症候群である。
若年層(特に幼少期では男子)に多く発症するが、30代の男女も発症例も多数報告されている。
原発性糸球体疾患に起因する一次性ネフローゼ症候群と続発性糸球体疾患による二次性ネフローゼ症候群に分類される。
・ 一次性ネフローゼ症候群の成人の占める割合は、70〜80%と多数を占めるが中高年では半数以上が慢性腎症であり、加齢に伴って割合は増加する。最初の発症から5年以内に2回以上の再発率は80%〜90%と高い。
・ 二次性ネフローゼ症候群の発症は年齢によって異なるが、小児では紫斑病性腎炎が多く、糖尿病性腎症やループス腎炎は成人の発症が多い。
ネフローゼ症候群の種類
・原発性
○微小変化群または、微小変化型
○巣状糸球体硬化症または巣状分節状糸球体硬化症
○膜性腎症
○膜性増殖性糸球体腎炎
・続発性
○膜性増殖性糸球体腎炎
○アミロイドーシス
○膠原病
○多発性骨髄腫
○ホジキン病
○HIV感染、HBV感染
○糖尿病など
ネフローゼ症候群での症状
上記の主症状以外にも、強度の全身倦怠感、皮膚の蒼白化や無気力、食欲不振、覆水・胸水等をみる。
タンパクを尿中に排泄してしまう濾過障害の原因は、主に、腎臓の糸球体にあり、この部位に何らかの原因で、炎症が発生することによって、本症を惹起すると考えられている。
主に、アルブミンなどの血中タンパクが排泄されるため、血中タンパクが減少し、血漿膠質浸透圧が低下する。
このため、全身に浮腫を形成する傾向が現れる。
また、尿中タンパクが増大するため、尿の浸透圧が増大し、尿細管における水の再吸収が抑制され、一過性に利尿傾向となる。
なお、この遺失タンパク分を肝臓が補完しようとするため、肝臓が、アルブミンの合成を開始するが、同時にLDLのようなコレステロール運搬タンパクも合成してしまうため、本症のような腎臓疾患の罹患者では、高頻度に高脂血症の状態をみることがある。
長期の利尿期間を経て、腎臓の病態が改善されず、高度に腎不全の状態を呈し始める時期には、乏尿となる。
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1)体液量は体内のNa+量によって決定される。
体内のNa+はレニン、アンギオテンシン系により腎臓で調節される。
2)体液のホルモンによる調節
・ 脱水時は水分の排泄が抑制され、体液の浸透圧が上昇する。
・ 視床下部にある浸透圧受容器によって感知される。
・ 循環有効血液量の低下はレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAA系)を作動。
・ 下垂体後葉からADH(バソプレシン)が分泌される。
・ 糸球体から濾過された水分の再吸収を高めて浸透圧を正常に戻す。
3)レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の働き
4)利尿ホルモンと抗利尿ホルモンの作用
ADH(下垂体後葉:バソプレシン) 尿細管・集合管に作用して水分再吸収
アルドステロン(副腎皮質:ステロイドホルモン) 遠位尿細管に作用してNa+再吸収
ANP(右心房:心房性Na利尿ペプチド) 尿細管に作用してNa排出促進、水分排出
ADH:antidiuretic hormone(vasopressin)
アルドステロン:aldosterone 心房性利尿ペプチド:atrial natriuretic peptide(ANP)
5)利尿剤とは腎尿細管や集合管でのNa+、水分の吸収をブロックして水分排出させる為の薬剤。
7.血漿浸透圧と電解質(ダイビングでの重要項目)
1)電解質(イオン)とは
イオンとは 水溶液中で電気的に荷電(
+・
− )する化合物や元素のこと。
陽イオン(+)とは 正(+)荷電する金属イオン Na+、 K+、 Ca2+、Mg2+
陰イオン(-)とは 負荷電する金属元素のこと Cl-、 HCO3-、 PO43-
+が1つは1価の陽イオン 、 2+は2価の陽イオン 、3-は3価の陰イオン
水(H2O)は(H+)と(OH-)になる。
2)電解質の役割は生命の維持そのもの
@ 体内水分変動を調節し分布を正常に保つ。
A 体液の浸透圧を維持し細胞内外の浸透圧の変動を平衡に保つ。
B 酸・塩基平衡バランスを保たせる。pHを一定にする働きを持つ。
C 細胞内外の電解質濃度の勾配を利用して物質の移動を助ける
3)主要なイオンの分布と働き
Na+(ナトリウム)
細胞外に90%を占め、Na+の流入はK+とともに細胞膜電位を変化させる。
細胞興奮伝導に必要でNa+濃度の調節はアルドステロンによって行われ、Na+の再吸収を促進させる。
Na+の移動は水分の移動を伴うので循環血 液量や血圧を変動させる。
塩分摂取量は7g以下/日に抑える。
K+(カリウム)
細胞内の主要なイオンでNa+と同じく細胞の興奮性を維持するのに重要な働きをする。
K+濃度の調節はアルドステロンによって行われ、遠位尿細管に作用してK+の排出を促進する。
利尿薬はNa+と同じくK+を排出する。
細胞外K+濃度の上昇(8mEq/L以上で心停止)は心臓律動への異常を引 き起こす。
Ca2+(カルシウム)
骨組織に殆どが存在し、筋の収縮、血液凝固に必要である。
血漿中のCa2+は上皮小体のパラトルモンによって調節される。
HCO3⁻(重炭酸イオン)
重炭酸は体液の酸―塩基平衡に重要なイオンである。
HCO3-はアルカリ性 で身体の酸性物質を除去する働きを持つ。
二酸化炭素はHCO3-の形で血中に入り輸送される。HCO3−は腎臓によって調節されている。
4)血漿浸透圧の調整(Naと水の関係)
Na+の摂取は水を伴わなければ体液の浸透圧上昇を起こす。
つまり食塩が身体に入って水分が伴わないと体液の浸透圧が上昇する。
浸透圧の上昇を感知する受容器は視床下部にあ り、それを感知して喉の渇き(口渇感)を覚えるが、水が飲めなければ細胞内液から細胞外液への水の移動が起こる。
一度摂取された過剰なNa+は数日後に排出される。
この時に摂取されたNa+は一時的に体内に残存するので、それに応じた水分が体内に保持される(浮腫)。
水分だけの摂取は数時間で排出される。
5)Na+の摂取と体液の貯留
Naイオン1mEq(0.023g のNa)の過剰で7.2mlの体液貯留となる。
Naイオン1mEqの損失で7.2mlの体液損失となる。
6)Naの過剰は・・・
身体にNa+が多いと浸透圧が上昇し、血液浸透圧が上昇する。
Na+の過剰で組織中に水分がたまる。
循環血液量が増加する。
心臓への負担が高まり高血圧になりやすい。(減塩療法)
7)Naの不足
体内のNaが不足する二次性の脱水を伴い、RAA系が作動し、腎尿細管ではNaの保持の為に再吸収が促進、尿量、発汗の低下が見られる。
8.酸―塩基平衡(ダイビングでの重要項目)
pH調節の必要性とは:体内の全ての化学反応は特定のpHの範囲内(pH7.35−7.45)で行われるのでこれを維持する必要がある。
(酸性 H+が多い ------- 中性 ------- (OH-が多いアルカリ性)
pH1 pH7 pH14
「胃液・塩酸・硫酸・酢酸---水--重炭酸--膵液--苛性ソーダ」
1)体液のpH
正常なpHの範囲
pH 7.35−7.45
正常な血液のpH pH 7.4
生命を維持できるpH範囲 pH 6.8−8.0
2)酸―塩基のpHを正常域に維持するしくみ
なぜ、酸が生成されるのか?
・大部分の酸(H+:水素イオン)は体内において化学反応でよって生じる。
・グルコースはO2の存在下で代謝されてCO2と水とエネルギー(ATP)を産生する。
・生じたCO2は水と結合して酸を生じる。(H2O + CO2
→ HCO3- +
H+ )
・酸素O2がない状態では乳酸を産生する。
・脂肪の分解によってケト酸が生じ、蛋白質の分解によって硫酸が生じる。
発生した全ての酸は細胞の代謝によって産生されるので、身体はこれらの酸性物質を取り除く必要があり、生じた酸性物質は体内の緩衝作用によって除かれ、体内のpHは維持される。
その仕組みには次の3つの機構が働く。
3)酸の緩衝作用
緩衝系(バッファー)(ダイビングでの重要項目)
T.血液の緩衝系作用
体内中の過剰な酸と塩基を中和する働きを持つ。
血液のH+が増加(pHが下がる)すると緩衝系は血中のH+を除去し、H+が減ると反対にH+を供給し、血液のPHを一定範囲にとどめている。
血液緩衝系には
@炭酸緩衝系、Aリン酸緩衝系、Bヘモグロビン緩衝系、C血漿蛋白系の緩衝系がある。
H++ HCO3- ⇔ H2CO3⇔ CO2 + H2O
H+が増えると H++ HCO3-(アルカリとして働く)→ H2CO3(炭酸にする)
pHが上がると H2CO3(弱酸として働く)
H+(水素を供給)+ HCO3-
U.肺での緩衝作用(ダイビングでの重要項目)
代謝で生じたCO2は赤血球の炭酸脱水素酵素によりHCO3-に変換され再びCO2に戻り呼出される。
血漿中の炭酸ガス濃度は呼吸によって変動するためにガス交換機能の促進・低下によって調節される。
つまり呼吸促進によって炭酸は炭酸ガスとなって排出され血漿はアルカリに傾く。
しかし呼吸機能の低下によって炭酸ガスは体内に溜まり酸性に傾く。
これが肺の呼吸による調節系です。
H+ + HCO3- → CO2 (呼吸から排出) + H2O
呼吸数が減ると体内にCO2が増えて、水と結合して炭酸となり、さらに重炭酸と水素イオンが生じてpHが低下する。これを呼吸性アシドーシスという。pHの低下は呼吸中枢を刺激する。
呼吸数が増えるとCO2が体内から排出される。その結果、血中のCO2が減少して、pHが上昇する。これを呼吸性アルカローシスという。
体内にある余分な酸や塩素などのイオンは尿中に排出され、Naイオンは一部を排出して大部分は再吸収される。
H+(腎から排出) + HCO3-→H2CO3 CO2 + H2O(腎から排出)
アシドーシス
pH7.35−7.45より小さくなった場合をいう。血液は酸性になる.
アルカローシス pH7.35−7.45より大きくなった場合をいう。血液はアルカリ性になる.
a.アシドーシスを起こす病気としては・・・
肺の機能障害でCO2の排出ができない状態。以下の呼吸器機能
障害は血漿のCO2レベルを下げることができない。CO2はH+を産生しアシドーシスを起こす。
・呼吸機能の低下
・持続性の慢性肺疾患(肺気腫)
・換気低下(喘息)
・麻酔 ・胸郭の圧迫
・重症筋無力症(呼吸筋障害)
・延髄の損傷などは呼吸活動を低下させる。
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代謝性アシドーシス 非呼吸性の代謝が原因でpHが低下する。
腎性H+、HPO4-やHSO4-の排出障害。排出障害による高 カリウム(K)血症。
水素イオンH+、リン酸水素イオンHPO4-、硫酸水素イオンHSO4-
体内でのリンはCa同様、その大部分が硬組織(骨・歯)に分布している。軟部組織では、蛋白・脂質・糖と結合して存在するとともに、ATP、NADP、クレアチニンリン酸などの形で高エネルギー結合を形成する。血中のリンは全体の1%未満で、その30%が無機リン、他が有機リン(主にリン脂質)である。
無機リンには、4つの形(H3PO4,H2PO4, HPO4, PO4)で存在し、その割合は血液のpHで変動する。無機リンは、主にATPに利用されて、ADPやAMPになるときに生じ、その血中レベルは体の活動性に応じて変動する。
一方、無機リンの血中濃度は、ビタミンDとPTHにより調節される。
すなわち、ビタミンDはその腸管からの吸収を促進し、PTHは糸球体で濾過された無機リンの尿細管からの再吸収を抑制することでその排泄を促進する。
糖尿病性
グルコース代謝をコントロールできない糖尿病は緩衝系が破綻しているのでケト酸(脂肪の燃焼によるケトン体)が多量に産生されて血漿中に蓄積しケトアシドーシスを起こす。
グルコース不足は脂肪を分解する。脂肪の分解には多量の酸素が必要である(インスリン不足の時)
またHPO4-やHSO4-の増加、HCO3-が損失する。
クスマール呼吸
糖尿病により脂肪分解によってケトン体が生成され、この代謝の課程で強酸のケト酸が生成される。
このH+増加は延髄の呼吸中枢を刺激して呼吸の数と深さを増加させる。この呼吸によってH+とCO2を排出させようとする呼吸反応である。
持続的下痢 HCO3-(アルカリ性)の喪失によって酸性に傾く。
b.アルカローシスを起こす病気としては・・・
呼吸性アルカローシス 炭酸ガスの過剰換気
・呼吸の過換気
・不安
・アスピリン中毒
代謝性アルカローシス
・胃液の持続的な嘔吐 塩酸(Hclの喪失)
・制酸剤の過度の使用 HCO3-の増加
人体のしくみと働き http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/を参考にし、更に加筆致しました。
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----------------フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用↓------------
lymph-4図(この図はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
からの引用ではありません)
lympha-4図は全身のリンパ管とリンパ節の位置関係、脾臓の位置。
病原体などの非自己物質を認識し、排除する生体防衛機構のこと。
精密かつダイナミックな情報伝達を用いて、細胞、組織、器官が複雑に連係している。
稀に、免疫制御機構の異常から自己成分に対しても免疫が発動されることもあり、自己免疫疾患という。
抗体による免疫応答が過敏に働き、逆に生体に不利益をもたらした場合を、アレルギーという。
免疫とは、ヒトや動物などが持つ、体内に入り込んだ「自分とは異なる異物」(非自己)を排除する、生体の恒常性維持機構の一つである。
一般に、薬物や化学物質などの排除には、肝臓の酵素による代謝が働くのに対し、免疫はそれよりも高分子であるタンパク質(ヘビ毒やハチ毒など)や、体内に侵入した病原体を排除するための機構として働くことが多い。
特に病原体による感染から身を守るための感染防御機構として重要であり、単に「免疫」と呼ぶ場合には、この感染防御免疫のことを指す場合も多い。
免疫(感染防御免疫)は、体内に侵入するバクテリアやウイルスなどを妨害する障壁を創造、維持することで生体を防御する機構である。
感染源がこの障壁を突破したとしても、自然免疫が感染源に対応する。
自然免疫にはある特殊な細胞が備わっており、それらは侵入物が自己を再生産したり宿主に対し重大な被害をもたらす前に発見、排除する。
自然免疫を突破した感染源に対応するのは獲得免疫である。獲得免疫は一度感染源に接触することで発動し、発動後は感染源を発見し次第選別、強力に攻撃を仕掛けていく。
獲得免疫は抗体や補体などの血中タンパク質による体液性免疫の他に、リンパ球などの細胞による細胞性免疫によって担われている。
リンパ球には分化成熟して免疫グロブリンを産生するB細胞のほかに、胸腺で分化成熟するT細胞などがある。その他、食作用によって抗原を取り込んで分解してT細胞に提示する樹状細胞なども免疫機能の発現に関与する。
これらの細胞は骨髄で産生され、胸腺やリンパ節、脾臓などのリンパ系組織での相互作用をへて有効な機能を発揮するようになる。一般的に『免疫』と聞いて多くの人が思い浮かべるのはこの作用である。
自然免疫 | 獲得免疫 |
---|---|
非特異的な反応 | 感染源と抗体の特異的な反応 |
感染源との接触で即最大効果を発揮 | 接触から最大効果までは時間がかかる |
体液性で細胞が仲介する | 体液性で細胞が仲介する |
免疫記憶なし | 接触により免疫記憶を形成 |
ほぼ全ての生物で見られる | 高度な脊椎動物でのみ見られる |
細胞上皮(いわゆる皮膚だけでなく、粘膜や腸管などを含む)には生体を感染から守る障
壁があり、機械的、化学的、生物学的に守っている。
微生物が上皮障壁を突破すると、自然免疫に関する細胞や機構が動員されて宿主を守る。
自然免疫の防御は非特異的であり、裏を返せば多くの感染源に対し有効な手段で選別、対応しているといえる。
注意したいのは、自然免疫では長期にわたる防御能は得られないことである。
自然免疫は原始的な生命も持っており、植物、カビ、昆虫、原始的な多細胞生物などでは生体防御の主役を担う。
かつては下等動物だけの原始的な免疫と思われていた。しかしToll様受容体、Nodタンパク質、RIG-I(病原微生物に対するセンサー)などの研究が20世紀末から進展し、自然免疫が高等動物にも存在するのみならず、獲得免疫が成立する前提として重要なメカニズムである(たとえばマクロファージや樹状細胞が病原体の存在により直接活性化される)ことが明らかとなった。
炎症(ダイビングでの重要項目)
炎症の特徴は、発赤、疼痛、熱感、腫脹の四つである。サイトカインと呼ばれる特定の物質群によって起こり、いずれも感染に対する免疫機構の正常な反応である。
損傷した細胞から遊離するサイトカインには、白血球同士での情報伝達に関与するインターロイキン、坑ウイルス作用を持つインターフェロン、マクロファージなどを呼び寄せるケモカイン、更に成長因子や細胞毒性因子なども含まれる。これらのサイトカインや他の化学物質によって感染拡大への防御能ができ、感染源の駆逐と損傷した組織の回復が促される。
補体とは、抗体の機能を補助、あるいは補完するたんぱく質及び機構である。補体機構の最終産物C5b6789は別名細胞膜障害性複合体とも言い、感染した細胞や感染源の細胞膜を破壊することで、サイトリシスや溶菌を起こす。
これを免疫溶菌現象、あるいは免疫溶菌反応といい、細菌への防御においては好中球の貪食と並び重要な機構である。
ヒトの補体機能に相当するものはある程度原始的な生物でも持ち合わせており、哺乳類に限らず、植物、魚類、無脊椎動物の一部にも見られる。
正常なヒトの血液を電子顕微鏡で見たもの。赤血球、リンパ球、単球、好中球、そして多数の小さな血小板が見える。
白血球は学術的にはロイコサイト leukocyte と言う。
ロイコサイトは特定の器官や組織に結合しているのではなく、独立して動く単一の細胞からなる器官である。生まれ持ってのロイコサイトにはマスト細胞(肥満細胞)、好酸球、好塩基球、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ファージ細胞(マクロファージ、好中球、樹状細胞)などがあり、ロイコサイトは感染源を直接破壊するか貪食するなどして駆逐する。
自然免疫はまた、獲得免疫を促進する。
マスト細胞は結合組織や粘膜に留まり感染防御や傷の回復、時にはアレルギーやアナフィラキシーにも関連する。
好塩基球と好酸球は好中球と関係があり、寄生虫防御で重要なケミカルメディエーターを分泌する。また、喘息などのアレルギーにも関与する。
ナチュラルキラー細胞は腫瘍細胞やウィルスに感染した細胞を非特異的に破壊する(ちなみにこれは炎症反応には含まない。)
ファージ細胞とは、文字的には食細胞という意味であり、これらの細胞は感染源や粒子を貪食する、すなわち食う。細胞内では感染源は酵素と酸によって加水分解される。
ファージ細胞は普段は体内を巡回して感染源を探しているが、サイトカインによって特定部位に集合することができる。 マクロファージは最も重要なファージ細胞であり、侵入した感染源を追って組織や細胞間スペースにも入れる。好中球はファージ細胞の中で最も数が多く、体内を巡るロイコサイトの内50〜60%を占める。大抵の場合、感染の現場に最初に到着する。
マクロファージ上や好中球上のレセプターにバクテリア分子が結合するとバクテリアの貪食や破壊が始まる。 樹状細胞は組織の中に存在するファージ細胞で、肌、鼻、肺、胃、腸など外部環境に関係する。ニューロンの樹状突起に形が似ていることからこう呼ばれるが、神経機能には関与してない。
樹状細胞は抗体産生において、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをしている。
自然免疫は感染の最初の段階で働くが、多くの感染源は自然免疫を回避するための戦略を発達させてきた。これに対抗して、自然免疫はしばしば特異的な獲得免疫を誘起する。
獲得免疫では抗原提示を介して自己と非自己との選別が行われ、獲得免疫は抗原特異的である。
この特異性によって、特定の感染源や感染した細胞を最大限排除し、各感染源を意味のある抗原として記憶(免疫記憶)することが可能となっている。
同様の感染が同様の感染源によって起こった場合、記憶細胞は排除のため速やかに集合する。
T細胞(MHCクラスT)と抗原、T細胞(MHCクラスU)と抗原のそれぞれの結合。
抗原は赤で示されている。
獲得免疫に関与する細胞は、リンパ球と呼ばれるロイコサイトの一種である。
B細胞とT細胞がその主なものであり、骨髄の造血幹細胞に由来する。
B細胞は体液性免疫に関与し、T細胞は細胞性免疫に関与する。
B、T両細胞は各自の特定のターゲットを認識、反応するための細胞ごとに微妙に異なるレセプター分子を持っている。
T細胞が非自己を認識するには、感染源が小片まで分解されて特殊な自己レセプターである主要組織適合遺伝子複合体 (major histocompatibility complex; MHC) と共に提示されねばならない。
T細胞にはキラーT細胞とヘルパーT細胞の二つの主要な分類があり、キラーT細胞はMHCクラスTに結合した抗原のみを認識し、ヘルパーT細胞はMHCクラスUに結合したもののみを認識する。
一方、B細胞の抗原特異的レセプターは全く異なる。それらはB細胞表面に結合した抗体分子であり、平常時でも抗原を認識する。
B細胞上の抗体は、将来そのB細胞が産生する抗体のサンプルであるが多少の違いが存在する。
キラーT細胞 (Tc)
キラーT細胞は異物や異常な抗原を細胞表面に提示している細胞を直接攻撃する。
キラーT細胞(Tc細胞)は、ウィルスなどに感染したかもしくは機能不全に陥った細胞の細胞死を引き起こすT細胞である。
不活化されていたTc細胞は、自身の持つT細胞受容体(TCR) とペプチドが結合したMHCクラスT分子とが強い相互作用を示すことで活性化する。
MHC−ペプチド複合体はT細胞上の他の受容体によって認識、T細胞へ結合される。この新しいレセプターはCD8と呼ばれる。活性化したTc細胞は、感染した細胞や特定のMHCクラスT−ペプチド複合体を持つ細胞を探して体中を移動する。そのような細胞を発見するとTc細胞はサイトカインを遊離し、標的細胞の細胞膜に穴を開けてイオンや水、炎症物質などを流入させて細胞破裂をもたらす。
ウィルスに感染した細胞の場合、宿主細胞の死亡はウィルスの死亡をも意味する。Tc細胞の活性化は厳重に制御されており、一般的にはMHC−抗原複合体からの強力なシグナル、すなわちヘルパーT細胞からのシグナルを必要とする。
ヘルパーT細胞 (Th)
ヘルパーT細胞(Th細胞)は免疫反応を仲介し、獲得免疫の構築や最大限に活用する時に重要な役割を演じる。Th細胞には細胞を障害する能力はない。従って感染した細胞や感染源を直接排除することはできない。
自分が直接攻撃しない代わりに、他の免疫細胞への指示を司ることで免疫反応を管理統制している。
Th細胞はMHCクラスU分子に結合した抗原を認識できるTCRを持っており、このMHCクラスU−抗原複合体はTh細胞のCD4によって認識される。
Th細胞が活性化されるとサイトカインが遊離し、多くの細胞を活性化する。
Th細胞が要する活性化刺激はTc細胞のそれよりも弱く、Tc細胞や抗体を産生するB細胞の活性化を促進する。
抗体は2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖から構成される。可変部によって抗体は抗原を認識することが出来る。また、マクロファージは定常部に対する受容体を持っている。
B細胞が特異的な抗原を発見すると抗原を取り込み、分解する。分解された抗原の欠片を特異的なMHC分子上に提示し、その抗原と特異的に結合するT細胞を引き寄せ、そのT細胞がB細胞を活性化する。
活性化されたB細胞は特異的な抗体を無数に生産、結合できる抗原を求めて血管やリンパ管の中を巡回する。抗体が抗原に結合することで、Tc細胞や補体に攻撃されやすくする。
これをオプソニン化という。
能動免疫
・ 能動免疫 active immunity は、ワクチンなどの抗原を投与して誘導する免疫反応。
受動免疫
・ 受動免疫
passive immunity は、抗体、キラーT細胞といった既存の作用物質を投
与して起こす免疫反応。
免疫の獲得
免疫不全
ある種のウイルスに感染することによって免疫機能が破壊され、様々な感染症・合併症を引き起こす病気がいわゆるエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)である。
またこのウイルスをヒト免疫不全ウイルス (HIV) と呼ぶ。先天的に免疫機能が破綻しており、様々な感染症などを引き起こす病気はまとめて原発性免疫不全症候群と呼ばれる。
自己免疫疾患
自己免疫疾患を参照
過敏症
アレルギーを参照
ワクチン接種や血清療法は、免疫機構の抗原抗体反応を利用したものである。
抗体の実体は免疫グロブリンとよばれるタンパク質で、細菌などの抗原に特異的に結合して抗原の不活性化に働く。
---------------フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用↑--------------
◎ダイビングに於いて、窒素N2や血漿中に溶けている酸素O2もマクロファージの攻撃対象だが、窒素N2は白血球が対処しようとして増産される。
10.ダイビングに於ける脱水(潜水中と潜水後)
ダイビングに於いて、一般の脱水症状を呈するのは何一つ変わらないと思われがちだが、ダイビングに於いて、体に掛かって来る運動量は陸上の2〜3倍位とも言われる。
これは、体の捻じれを含めた全身の運動で、1日に2ダイブのダイビングで凡そ3800㎉〜4500㎉の体力消費が有るとされる。
1ダイブ1時間であっても2ダイブなら2時間でこれ程のカロリー消費をするのだ。
とすると、それに伴って乳酸も出す事となり、乳酸の加水分解も起き、目に見えない汗や膀胱への貯尿も起きている。
これは、腎性脱水と腎外性脱水をも考慮しなければいけない事となる。
尚、この拙稿【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備 知識】内で多く取り上げているオーバーキックとオーバーワークでの呼吸数増大や心拍数増大も、腎性脱水と腎外性脱水を安易に引き起こす為に決して良いものでは無いと言える。
これに加えて、ダイビングでは水浸と言われる体を水に浸ける事での心理反射イマージョンでの利尿効果と、水深を増して潜る事での、水中に於ける中性浮力化によって起こる高圧利尿による排尿作用が有るのです。
共に腎臓から膀胱へと導かれますので、一種の腎性脱水と同じ効果が生まれ、脱水へと向かいます。
もう一つの原因として、スキューバダイビングの場合、スキューバのタンク内空気の乾燥度だが、その乾燥の度合いは99.8%以上と言われ、殆ど水分が無い状態ですから、レギュレーターから呼吸をする度に口腔内及び肺内の湿気補給で体内の水分は奪われて行くのです。
やはり、これも腎外性脱水へ向かう系統です。
水中や水面で動けば動くほど喉が渇き、喉がくっつく様な息苦しい違和感になって行きますが、口からレギュレーターをはずしてうがいをすれば、暫くはこの息苦しさから解放されます。
この喉の渇きは、水中に於いての緊張も働いて口元並びに顎に力が入っている事でも原因の元になっているので、口元や顎に力が入らない様に、更に顎を引く動作も、レギュレーターからの空気が喉元に当たる為に注意が必要とされる。
筆者の呼吸の仕方はレギュレーターのマウスピースを軽く咥えるが、咥えた時に口尻をゆるめて軽く海水(又は水)が入る様にしている。
つまり、タンクからの空気は殆ど湿気が無い為に、口の中には常に水分が有る様にしている事で喉が乾かないが、耳抜きの時には、この口の中の水は耳管へ送り出してしまう為に要注意となる。
また、顎に力を入れない様にレギュレーターのエキゾースト(排気弁)から排気をせずに口尻から排気をしている。これは、マウスピースの噛み具合が大変に緩い事を表している。
顎に力を入れない事で、緊張や筋肉疲労、脱水を低減しているのだ。
ただし、口の中に海水を引き込むのは良いのだが、この海水を飲んではいけない。
飲めば血中のナトリウム濃度が上がり脱水化が進む。
マウスピースを強く噛む事で顎に力が入り、更に肩にも力が掛かる事で、疲労感が増し、また、耳抜きも抜けない原因ともなっている。
特に、初心者や中級者に多く、ベテランであっても緊張した時にマウスピースを強く噛んでチップ(出っ張り)を噛み千切ったりもする。これも、練習によって回避出来る様になる。
さて、ダイビングでの脱水についてまとめて見よう。
腎性脱水 運動過多による血流量増大での利尿と、水浸利尿と高圧利尿.
腎外性脱水 発汗、呼吸による口腔や気道の渇きと、体外への水分排気.
になるだろうか! 良く見ると初心者から中級者系の運動量の多い方がなり易いと気が付くし、それ以外でも、長時間潜水している方に当てはまりそうだ。
が、実は潜水での高加圧下では細胞内液、細胞外液での間質液が血漿内へ流入して外水圧平衡を取ろうと移動を始める為、実質では血漿量が増えて体腔の弱い所、及び関節内へと移動する。
また、血液中の血漿の量が増えた事での利尿効果も働き、膀胱へと導いて貯尿する。当然として、尿意も催す。
高加圧下では、外圧と身体内圧力が完全に飽和しない限りでは血漿と細胞外液、細胞の内液は不安定な状態となるが、血液はサラサラの状態。
潜水後、又は浮上後の体の状態では・・・
潜水が終了して浮上を始めると、外水圧も下がって身体内圧力も下がり始めると、体腔の弱い部分と関節へ充当されていた血漿は元の状態へと戻ろうとして、血液中へと戻り適正に組織へと配分されて行くが、膀胱へと導かれた水分(体液)は元へとは戻らない。
また、呼吸によって体内の水分を体外へ放出した分もあって、結果的に水面に近付く程、血液内の血漿(水分/体液)は減って行き、ドロドロの血液へと向かって行く。この血液ドロドロの状態は脱水と同じで腎性脱水とも言う。
当然として、ダイビング終了後に水分の補給は不可欠である。腎性脱水と腎外性脱水の両方が潜水中では顕著に起きている事を表している。
潜水中にこの様な脱水状態を起こさない為には、中性浮力を確実に取り、また、運動量を極力減らす事が最良の方法だ。ただし、高圧利尿だけは避けれない。
潜水中に脱水状態が出る場合は、この項の1の脱水の症状を見て下さい。
11.脱水と体液移動での傷害と障害(減圧症誘発).
潜水での高加圧下では血液がサラサラなので、窒素の飽和以下、又は所定の無減圧潜水なら問題は無い。
しかし、浮上に際して脱水が起きていると血液がドロドロの状態、つまり、血液の粘度が上がる事で血液の流れがスムーズに行かなくなり、大静脈圧過大へと向かって行く。
また、浮上スピードが早くても、窒素の血管内への放出圧が高まり、同じく大静脈圧過大へと導いてしまうのである。
更に、浮上に際しての呼吸に於いて、意識的に排気をしなければいけないのと、浮上時にオーバーキックによるオーバーワークも心拍数の増加に結び付く為に、してはいけない行為とされる。
ここまでは、脊椎型・脳型・中枢神経型・メニエル型・チョークス型の減圧症に発症してしまう事を言ったが、細胞内液と細胞外液での関係で細胞外液中の血漿蛋白/アルブミンが尿意によって膀胱へ大量に導かれて減ってしまうと毛細血管壁が閉塞を起こし、細胞内液へ取り込まれた窒素が放出されない為にT型の減圧症発症へと向かってしまう。
これは、いずれも腎性脱水、腎外性脱水がいかに危険かを表している。
水分は静脈側毛細血管から80%、リンパ管から20%を回収しているとされるが、これはあくまでも陸上に於いての事であり、水中での加圧時の治験は無い。
一番の問題とされるのは1回のダイビングでの体力の消費calが1800〜2000㎉と体温の低下を含めた運動量の多さだ。
また、呼吸している空気も乾燥したものであり、呼吸や汗による不感蒸散も著しく脱水へと向かう事となる。
----ダイバーにとって重要です(減圧症関連)血液とは何! と一部重複--------
リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)
浸透圧を考える!T型筋肉内減圧症 と関節内減圧症、無菌性骨壊死発症に関係します。
蛋白質(アルブミン)溶液と水とで考えた場合、蛋白質の粒子の大きさは水やナトリウムと比べて非常に大きく、分子量で示すと水18、ナトリウム23に対して、蛋白質のアルブミン粒子は69000と極めて大きい分子数値となる。
例えば、アルブミン溶液と水の間に膜を置いたとしますが、この膜に小さな穴が開いていて、水やナトリウムは通るがアルブミン溶液は通らない膜とします。
この膜の間には両方の間に等濃度になろうとする力が働きますが、水やナトリウムは通ってもアルブミン溶液は通れずに、代わりに水分子がアルブミン溶液に引き寄せられて等濃度になろうとします。この力を浸透圧と言う。
小さな穴の開いた膜を半透膜と言うが、毛細血管の血管壁もこれに当る。
蛋白質の事を膠質とも言い、蛋白質によって生まれる浸透圧の事を「膠質浸透圧」と言う。
血漿中には蛋白質の中で一番多いアルブミンが「膠質浸透圧」の元になっている。(膠質=こうしつ)
毛細血管壁(半透膜)を介して細胞外部(細胞外液)の水分を血管内に取り込む作用を血漿内の蛋白質アルブミンが行っています。
身体に起きる「むくみ」は血管内のアルブミンが少ない為、若しくは腎臓から尿の中へアルブミン(蛋白質)を排出する事で細胞外液を排出出来ずに体細胞に「むくみ」が生じます。
体細胞に「むくみ」を生じさせない為には、血漿中にアルブミンが(蛋白質)がバランス良くなければいけないとされるが、ダイビング中はイマージョンや潜水反射等で、水分を膀胱へ排出させる事も報告されており、当然、このアルブミンも大量に膀胱へと排出されると思われる。
アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っている。と、ここまでは良いのだが・・・・・。
この浸透圧調整に於いて、潜水中に体細胞組織に取り込まれた窒素は、この浸透圧調整によっては体細胞組織より排出されない可能性があるのである。
つまり、この浸透圧により毛細血管壁を通って排出されるべき窒素が出れずに体細胞組織に残り膨潤化すると筋肉型や関節型の減圧症となってしまうのだ。
特に関節型では骨頭周辺の骨組織に痛みやかゆみ、鈍痛が有るが、これ以外に、骨頭軟骨や緻密質、海綿質、骨髄腔を含めた骨組織で無菌性骨壊死が起きて来る。
この無菌性骨壊死とて、元は骨細胞型減圧症と言われるT型減圧症なのである。
関節型であっても症状がひどい場合、又はひどくなくても繰り返し潜水を行って、周辺部位にその症状が拡大した場合は、関節型から無菌性骨壊死へと進化及び転化して行く事を知って置かなければならない。
これは、職業として潜っているプロダイバーに特に多い。
つまり、アルブミン量が減る事で体細胞組織からの水分中(体液)に含まれた窒素は毛細血管壁を通れない事となる。
この作用は関節や骨組織内でも起きており、T型減圧症発症の筋肉型と関節型に及ぶもの、並びに無菌性骨壊死の原因と思われる。
さて、体組織や体液、そして脱水がいろんな状況下で起きる事が分かったが、ダイビングに於ける減圧症の発症にはもう少し語らなければいけない様だ。
それは、この体液の移動に伴ってもう一度トータル的に考えると説明が足りない事に気がついた。
脱水には@腎性脱水型、A腎外性脱水、B腎性脱水型の血漿蛋白質低下での細胞膜閉塞性脱水(細胞膜=浸透膜)である。
このBの血漿蛋白質低下での毛細血管浸透膜閉塞性脱水では毛細血管を介して水分のやり取りが出来なくなるが、間質液に開口部を持つリンパ管から水分(体液)の排出は出来るが、一方的な放出となる為、飲水等での供給が無ければ体組織への水分供給は出来ない事である。
ダイビング後にむくみが無いのは間質液が貯留されないのでむくむ事は無いが、逆に細胞内液側に脱水が起きている事に気がつかないのである。
時として、この細胞内液側の脱水では重大な組織の壊死が起きる可能性を示しているし、軽く見ても、この症状ではチクチク感やかゆみを訴え、ひどくなると周辺部位の合同の痛みとしての鈍痛が起きるし、ひどい場合は絞られる様な激痛が走る。
Bの血漿蛋白質低下による毛細血管浸透膜閉塞性では、間質液が貯留されてむくみを生じるが、間質液層に開いたリンパ管によって間質液はリンパ節へと導かれ、異物等が除かれて後、リンパ胸管(リンパ総管)に戻ってから静脈中へ返される。
つまり、通常のルートでは無い形で窒素も通って排出される事となるが、下大静脈を通らずに内頚静脈と鎖骨下静脈で上大静脈へと入り心臓へと運ばれる。
リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)図を参照.
◎脱水の回避の為の水分補給では、腸(小腸と大腸)で吸収される。単なる水でも大丈夫だが、ダイビングの疲労感によっては電解質タイプの飲料水をお薦めする。
大量に飲用する場合は、電解質タイプの飲料水を2〜3倍割して飲むと効果的だ。
lymph-1図(下の図)
上の図は血漿成分の内、細胞外液と細胞内液に分けたものですが、細胞外液に含まれる間質液は血漿蛋白質を含まない成分となっています。
また、細胞内液では蛋白質を蓄えていて膠質浸透圧の保持をして水分供給が出来る様にもなっていますが、ダイビング加圧中には、この蛋白質及びリン成分に窒素N2が多く吸収・吸着されます。
lymph-4図
lympha-4図は全身のリンパ管とリンパ節の位置関係、脾臓の位置。
lymph-5図
lymph-5図はダイビングでの加圧中を表わしていて、動脈側毛細血管から細胞組織の細胞内液に窒素N2が移動している様子を表わしているが細胞内液の蛋白質やリン化合物と結合し合う。
潜降加圧中でも、細胞組織での生体生成ガス(マイクロバブルス)は常に静脈側毛細血管とリンパ管を通して排出されるが、下大静脈と上大静脈へと運ばれ、右心房・右心室を通り肺から排出される。
lymph-6図
lymph-6図では浮上中を表わしていて、細胞内液に溜まっていた、或いは結合していた窒素は静脈側毛細血管及びリンパ管から排出されて行く。
しかし、血漿蛋白質アルブミンが血液中に欠乏していた場合は、膠質浸透圧が働かずに浸透膜が閉塞して静脈側の毛細血管から排出が出来なくなると、リンパ管へ向けて窒素の排出が行われる。
浮上中でも、細胞組織での生体生成ガス(マイクロバブルス)は常に静脈側毛細血管とリンパ管を通して排出されるが、下大静脈と上大静脈へと運ばれ、右心房・右心室を通り肺から排出されるが、生体生成ガス(マイクロバブルス)に窒素N2が結合してシャボン玉の油膜状になる事で減圧症の原因を作るが、この油膜の厚さによっては肺で放出されない場合が起きてしまう為、肺から左心房・左心室へと送られて、再び全身に送られる事となり、運が悪ければ動脈側の毛細血管で閉塞を起こす原因ともなる・・・→動脈塞栓型減圧症が起きる。
窒素N2は血漿中に溶解して放出される為、静脈側毛細血管が閉塞してしまうと、リンパ管に入って胸管へ向かい、上大静脈へと排出される事となる。
また、このリンパ管を通る事で通常の排出速度とはならずにリンパ管内壁にも窒素の放出圧負荷が掛かる事となる。
なによりも危険とされるのは、脱水症状を起こした時に細胞組織にも脱水が起きて細胞内液内に窒素が取り残される事であり、T型の筋肉、関節、骨細胞型減圧症を発症する事だ。
腸管(小腸、大腸内の微生物分解)から吸収されたものや細胞内で合成されたもので、成分は水素H、一酸化炭素CO、窒化水素NO、アセトン、アミン類、メタン、窒素、イソプレン、硫化水素、アンモニア、その他のガス等 が呼気又は放屁、又は皮膚から放出されている。
この中で、静脈内気泡と思われるものは水素を基にした合成ガス気泡で、上下大静脈へ集まり、右心房・右心室から肺に送られて消泡される合成ガス気泡で 有る。
現在では、呼気ガスや生体ガスを調べる事での総合的健康管理に於ける生理化学が急激に進んでいるが、水素Hや窒化水素NOの生体的研究では目を見張るものがある。
水素は体内で最も多く産生されており、酸や塩基反応時に重大な役割を持っていて、pHのコントロールにも作用している。
また、水素は活性する事で抗酸化作用が生じ、活性酸素を抑制する能力を持っている。
減圧症を起こすとされる窒素N2は 潜水加圧されると肺から吸収されて血漿(体液)に溶け込み体内へと溶解が始まるが、体内に取り込まれた単体の窒素N2は、そのままの状態では安定しない為に色々な化学反応を起こして安定な状態へと変化して行く。
一番に変化し易いのがアンモニアだが、アンモニア (ammonia)NH3の無機化合物は常温常圧では無色の気体であり、アンモニア は特有の強い刺激臭を持っており、 体内に於いては低刺激性のアンモニア水や毒性の無い尿素、毒性の弱い尿酸に代わって膀胱へ蓄 えられる。
ここで、注意しなければいけないのはダイビング中は常圧では無く、水中の環境圧で体外からと体内からの圧力にさらされる為、極低刺激性・低臭気性・低毒性のアンモニア水溶液(酸塩基平衡反応による)に変わっていても不思議では無いのである。
窒素の酸化物には
1.一酸化二窒素N2O
2.一酸化窒素NO
3.三酸化二窒素N2O3
4.二酸化窒素NO2 (低温・液体では二量体の四酸化二窒素N2O4)
5.五酸化二窒素N2O5
一酸化二窒素N2Oは麻酔性があり、これを吸入すると笑いの表情を起こすので笑気ガスと言うが、室温では安定しており、300℃以上で窒素N2と酸素O2に分解し始め、酸化剤となる。
一酸化窒素NOは空気中で酸化されやすく亜硝酸NO2になるが、高温では分解して窒素N2、一酸化二窒素N2O、酸素O2を生じる。
三酸化二窒素N2O3は分解しやすく、気体では一酸化窒素NOと亜硝酸NO2の平衡混合物になると考えられるが、水溶液では亜硝酸NO2となり青色となるが、更に分解して硝酸NO3と一酸化窒素NOを生じる。
亜硝酸NO2は空気中では比較的安定であるが、高温では一酸化窒素NOと酸素O2に分解する。
水に溶けると、亜硝酸NO2と硝酸NO3を生じ、酸化剤となる。
五酸化二窒素N2O5は室温でも亜硝酸NO2と酸素O2にゆっくり分解し、水に溶けると硝酸NO3になる。固体中では、亜硝酸イオンNO2+、硝酸イオンNO3−になっており、強い酸化剤になる。
更に窒素N2は元々蛋白質や脂肪・脂質及び糖質に安定して合成されて馴染む為、体内への吸収をスムーズにしているものと思われる。また、血漿である細胞外液と細胞内液中に大量に取り込む事が出来る。
ただし、水圧による体外圧と体内圧の均衡が崩れ、体外圧が低くなれば組織より窒素N2を分解溶出し 、また、細胞内液と細胞外液から窒素N2を静脈中に放出を開始する事も忘れてはいけないが、肺から血液内の血漿中に取り込まれた窒素N2は色々な物へと合成されて蓄えられていた為に、組織から血漿中に出される時も反応を繰り返して排出されて行く。
当然として肺から放出される時まで窒素N2単体では無いのであるが、肺腔に放出された時から空気の一部としての窒素N2となる。
アンモニア水溶液は水(体液中)に非常によく溶け、酸塩基平衡反応によってアンモニウムイオン NH4+ と水酸化物イオンが生じ塩基性を示す。
水酸化物イオンとは、化学式がOH-と表される陰イオンの事で、水の共役塩基にあたり、水H2Oや水酸化化合物が電離すると生じる。水酸イオンと呼ばれる事もある。
水素の性質
分子量 2.016 地球上の分子の中で最も小さく、軽い水に対する溶解度
2.1ml/100g(0℃) 0.85ml/100g(80℃)、水素は理科等の教科書に於いては「不溶性」と記載されるが僅かに溶解する。
沸点 −252.7℃ 地球上の存在では、常に気体状態。
化学的性質では可燃性、爆発性、酸素と結合して水を生成、爆発下限界4%、還元力が強い為、触媒を介してさまざまな化学合成品の原料となる。
生成法としては水の電気分解、土壌、湖水中の嫌気性細菌、藻類の代謝産物として作られる。
◎静脈中に形成される気泡は水素を基にした泡とみられ、これに窒素が組み合わさったり、重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3、重炭酸ソーダNaHCO3、炭酸ソーダ Na2CO3と複雑に結びつく事で窒素気泡の形成を助けているものと思われる。
故に生体生成ガス(マイクロバブルス)は空気では無いし、また、ダイビングに於いて窒素を主役にするものでもない。これは窒素N2が単体で気泡化する事を否定するものである。
ただ言える事は、ヘンリーの法則に従った理論上での血漿への窒素N2の溶解なのだが、分子的にはかなり不安定な状態とも言える。ダルトンの分圧の法則に従い、大気圧1気圧の地上に居ると、体内圧も外圧に準じて平衡となり飽和する。
つまり、地上に於いては約0.8気 圧分の窒素N2が体内に溶解(飽和)して生体的圧平衡を保っている事となる。
山に登れば外気圧が下がり、それに伴い体内の 窒素圧も下がり平衡を取ろうとするが、ダイビングで潜ればその水深(水圧)に見合った体内圧へと窒素圧が上昇し、体外圧と体内圧の平衡が進み、最終的には外圧と内圧の平衡の取れた飽和の状態となる。
生体内での窒素N2をより詳しく調べようとすると、生物学や生理学であってもこれ以上の
文献が無い事に気が付く。今後の研究に期待を持ちたい。
lymph-7図
ダイビングでの窒素の吸収と排出を表わしているが、リンパ管からの窒素の排出は左右の内頚静脈・左右の鎖骨下静脈の所から上大静脈へ流れ込み右心房へ入って行くが、内臓から下半身の窒素は下大静脈へ入り、右心房へ入る。
おさらいとして(*^_^*)
CO2の溶解度はO2よりはるかに大きいが、血漿中に溶解しているCO2は少なく3mℓ/㎗で、静脈血に含まれる55mℓ/㎗のCO2の5%を占める程度だ。
又、CO2の10%は血漿蛋白質、及びヘモグロビンとカルバミノ結合をしている。
H
H
カルバミノ結合とはCO2がアミノ基と結合して CO2+R-N<
⇄ R-N<
となったもの。
H
COOH
血中CO2の85%に相当する大部分は重炭酸塩(NaHCO3)として存在するが、組織で生じるCO2は血液中に拡散しCO2+H2O⇄H2CO3⇄H⁺+HCO3⁻となる。
この反応は血中に於いては赤血球内にある炭酸脱水酵素によって速やかに行われる。
これは静脈血でのCO2は赤血球内に入り、H⁺とHCO3⁻を生じるが、H⁺はヘモグロビンに緩衝され、HCO3⁻は血漿中へ押し出される。この時にHCO3⁻と入れ替わりにCl⁻が赤血球内に入る。これを塩素(Cl⁻)イオン移動という。
肺ではCO2が呼出されるので、これらの変化は逆向きに進んで行く事となり、この時、赤血球内に増加するHbO2が一種の酸として働き、CO2の放出を促進する。
NaHCO3は真空中では1/2量のCO2しか放出しないが、酸を加えれば全量を放出する。
NaHCO3=1/2NaHCO3+1/2CO2+1/2H2O NaHCO3+HCl=NaCl+CO2+H2Oとなる。
NaHCO3 炭酸水素ナトリウム(重曹) 水溶液はリトマス及びメチルオレンジでアルカリ性を示す。非常に弱いアルカリなのでフェノールフタレインでは色がつかない。
水溶液は65℃以上で二酸化炭素を放ち炭酸ナトリウム水溶液になる。 HCl (塩化水素) NaCl (塩化ナトリウム)
血液の全CO₂の含有量は
@溶解CO2
約5%
AカルバミノCO2 約10%
BHCO3⁻(重炭酸イオン) 約85%
の和となる。
この内、血液CO2分圧(PCO2)として測定されるのは@だけで、他は結合CO2であり、遊離CO2と結合CO2との比は1/20となる。動脈血ではPCO2=40mmHgであり、この時の動脈血の全CO2含有量は遊離CO2が3%、結合CO2が47%、合計50%になる。
血液と組織細胞のガス交換も拡散によって行われており、細胞内のガス分圧は測定出来ないが、分泌物などから見たO2分圧は20〜45mmHg、CO2分圧は50〜60mmHgと推定される。
ヘモグロビンの酸素解離曲線から明らかな様に、血液の酸素分圧が20〜45mmHgの範囲ではヘモグロビンの酸素飽和度は著しく低い為、大量の酸素がヘモグロビンから放出されて組織に供給される。
また、酸素解離曲線での勾配が急である為、酸素の供給はその組織の活動の程度によって応えている。
更に、活動組織周辺での温度、CO2、pHが変化し、前述のボア(Bohr)の効果によって大量の酸素が組織に供給される。
この様に細胞組織に於いてはCO2分圧の上昇がHbO2からO2の放出を促進し、肺に於いてはHbO2の増加がCO2の放出を促進している。HbO2(オキシヘモグロビン/酸素ヘモグロビン)
肺毛細血管の循環時間は0.7〜0.8秒で、激しい運動の時でも0.3秒で1循環する。
血液と空気ガスとの接触は0.5秒もあれば十分平衡に達する。
拡散能はガスの種類によっても異なるが、拡散路の厚さの増大と拡散面積の縮小によって減少する。
注意:二酸化炭素CO2は体内ではCO2では無い! ダイビングでの重要項目
重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸 イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3で存在する。
NaHCO3は重炭酸ソーダとも言う。Na2CO3は炭酸ソーダ
潜水での浮上中、窒素の放出は上下大静脈と全身のリンパ管を経由して上大静脈で合流し、右心房・右心室から肺動脈を通って肺で放出(排出)される。
(この図は呼吸法についての項と、「減圧症自己治癒潜水法」の項にも掲載してあります)
上記の図に判り易い様に生理的体液呼吸を表記して見た。尚、窒素の排出は大静脈とリンパ管をかえして体外へと排出するが、窒素がリンパ節を通る事での白血球大量増産へと結びつくと思われ、その量も潜水の終了時から数日間は通常の1.5倍以上の数値となる。
数字的には14000〜16000以上ともなり驚くべき数値なのだ。この事がダイビングに於ける免疫療法効果があるとされ、リンパ線線維腫にも効果が発揮された。
少なからず癌やリンパ線の異常、免疫の異常があった時には是非是非試して頂きたい(*^_^*)
この白血球を増やす方法はディープダイビング等では分かっており、減圧潜水や減圧がギリギリの潜水でも効果があるとされているが、更に効果を求める場合は「減圧症自己治癒潜水法」が最も適すると思われる。
普通に潜り、ダイブコンピュータの指示にも従ったにも関わらずに減圧症になった場合は、リンパ管内の窒素の流れと静脈内の窒素の流れ、及び血圧を含めた減圧症罹患を疑わなければいけない。
つまり、血液中の脱水とリンパの流れ、そして細胞内液の脱水が減圧症の発症に起因する。
上大静脈に関わる細胞閉塞性T型減圧症(脱水と浮腫みを伴う細胞閉塞)
下大静脈に関わる動脈塞栓性U型減圧症(浮上時の下大静脈管内圧増大に関わる)
この項の最後に
ダイビング前、ダイビング中、ダイビング後のビールや炭酸飲料の飲用が減圧症に結び付くのではと思っている方が居る様だが、飲用によって取り込まれたビールや炭酸飲料は胃や腸によって分解されるが、まず水H2Oと二酸化炭酸CO2、糖質とに分かれた後、胃壁や腸管を通過する時には水H2Oは水素H2と酸素O2、二酸化炭酸CO2は重炭酸イオンHCO3⁻や炭酸水H2CO3、及び糖質として静脈内へ取り込みますが、全てでは無く、一部は腸の中で分解や合成等を繰り返してゲップや放屁(おなら)として排出されます。
故に、ダイビングでのインターバル中に炭酸飲料を飲んだとしても、ダイビング終了時にビールや炭酸飲料を飲んだとしても減圧症には関係は有りませんが、アルコールの飲み過ぎによる脱水や体温・心拍数を著しく上げる事は問題となります。ご注意を(笑)
潜水での脱水 血液の循環 血液とは何? ダイビング中とダイビング後の血液の状態って 血圧
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ダイビング中、例えば水深20mでの潜水中では外水圧を体に受けているが、体組織はどの様になり、血管内ではどの様な変化が起きているのかが気になる所だ!?
人間の体は外圧を受けると平衡を取ろうと作用するのだが、水中に置いてはどの様になっているかを理解しなければいけない。
外水圧を受けると体表面組織は圧迫され体細胞を圧縮し、圧均衡を取る。この時の体細胞内の血漿成分は浸透膜から毛細血管の静脈内へと移動して行く。
体表面に対しての圧迫面積も少なくは無く、押し出された血漿はリンパ管及び静脈内から心臓
〜動脈を介して再び全身へと運ばれる。
さて、過剰と成った血漿(水分)は体の弱い部分へと充当されて行くが、弱いとされるのは胸骨下側の肋軟骨部分と全身の関節内であるので大多数の血漿は肋軟骨部分と全身の関節内及び膀胱へと導かれるのである。
つまり、潜水中の血管内はサラサラの血液なのだ。しかし、ダイビングも終わり、浮上しながら外水圧が下がると今まで充当していた血漿と血漿成分は元の体組織状態へと戻ろうとする。
肋軟骨保護や関節内へ充当されていた血漿と血漿成分は良いとしても、膀胱内へと導かれた血漿(水分)は戻る事が出来ず、更にダイビング中に産生された疲労物質の乳酸分解の為に大量の水分(血漿)と酸素を必要とする事で安全停止水深辺りから水面、及びダイビング終了後の陸上に於いての血液は水分不足のドロドロの状態と成ってしまうのである。
浮上後は無理をせず、体を休めて、大量の水と高蛋白及び高脂質の物を食し、更に深呼吸なども併用して血液のドロドロ解消に努めるべきである。
ドロドロ血液にはもう一つの原因が有った! (^_^;)
もう一つの脱水現象 中性浮力とイマージョン(水浸)による「トイレが近い現象」
そして、高圧利尿と言われる潜水での反射、更にリンパ液環流での問題点が!?
陸上に於いての血圧分布図で、 重力(引力)による80mmHgの圧力を受けています。
潜水する事で、この重力圧が薄れ、特に無重力な状態を作るほど、血圧も変ってしまうが、どんな事が体内で起きるかが問題とされる。
人間は水に浸るとイマージョンと言う重力低減によって血圧の乱れが一時期的にも起きる事を知らねばならない。
起きている時は重力(引力)に反する様に足の先端では80mmHg以上の心臓からの吐出圧力を受ている。
これは立位の状態であるから、座ったり横になったりすると、心臓からの吐出圧は下がる事となる。
睡眠時に横になっても8〜15mmHg以上下がる事は知られているが、陸上に於いて全て重力の掛かった状態での事である。
単に無重力と言えば宇宙遊泳などを思い出すが、宇宙飛行士と同じ事が起きる事となる。
重力を失った事での宇宙酔い(メニエール症候群)や筋力の低下がこれであるが、ダイバーでも近い症状が起きる事を忘れてはいけない。
意識的に視覚又はイメージで天地と左右を認知しないと同じくメニエール症候群に陥り、吐き気とめまいを起す。
では、ダイバーの場合はどんな事が起きるのだろうか?
水に入る事で重力を低減及び無重力化出来る事で、心臓からの吐出圧力が低減する。
これは、重力を失った事で血管の負荷が低減される為で、通常では血流量の増大が見られる。
この事は末梢の組織までまんべんなく酸素や栄養分を供給できる事となり、嬉しい限りだが、過剰なる搬入は逆な効果が有る為に心拍数を下げて血流調整を図る事となる。
しかし、それでも尚、過栄養・過供給となる為、大半の血液は門脈を還して調整している。
ダイビング中ダイバーは外水圧を受ける為に、体内の体液は血管を還して移動し、体内の圧力バランスを取ろうと働くが、内臓の機能代謝によって尿の生産が起こり、体液(血漿)の多くを腎臓から膀胱へと導き出されてしまう。「トイレが近い現象」
この時の体液の移動は体腔の弱い所を保護する為に移動するが、特に肋軟骨の保護であり、余った体液は骨の関節部位に収納される。(ヘルニア、関節痛等の治癒効果あり)
この事は、ダイビングを終了して浮上時に再び体液は元の部位へと戻って行くが、尿のの生産によって膀胱へ排出された水分の分だけ体液は不足となってしまう。
結果的に血液の粘度は上がってしまう。また、地上圧に近くなるだけ体内の血圧も僅かづつ上昇する事となる。
ただし、一度膀胱へと尿として貯留されても、必要に応じて水分他の必要な成分は再利用される。
とは言え、すべての水分が戻る訳では無い。ここで述べている利尿作用に関わる脱水では何通りかのスタイルがあり、【潜水での脱水】の項でも詳しく述べているが、ここでも血液の粘性が変わる事述べて見よう。
ダイビングに於ける脱水(潜水中と潜水後)---潜水と脱水より転載---
ダイビングに於いて、一般の脱水症状を呈するのは何一つ変わらないと思われがちだが、ダイビングに於いて、体に掛かって来る運動量は陸上の2〜3倍位とも言われる。
これは、体の捻じれを含めた全身の運動で、1日に2ダイブのダイビングで凡そ3800㎉〜4500㎉の体力消費が有るとされる。1ダイブ1時間であっても2ダイブなら2時間でこれ程のカロリー消費をするのだ。
とすると、それに伴って乳酸も出す事となり、乳酸の加水分解も起き、目に見えない汗や膀胱への貯尿も起きている。これは、腎性脱水と腎外性脱水をも考慮しなければいけない事となる。
尚、この拙稿【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備 知識】内で多く取り上げているオーバーキックとオーバーワークでの呼吸数増大や心拍数増大も、腎性脱水と腎外性脱水を安易に引き起こす為に決して良いものでは無いと言える。
これに加えて、ダイビングでは水浸と言われる体を水に浸ける事での心理反射イマージョンでの利尿効果と、水深を増して潜る事での、水中に於ける中性浮力化によって起こる高圧利尿による排尿作用が有るのです。
共に腎臓から膀胱へと導かれますので、一種の腎性脱水と同じ効果が生まれ、脱水へと向かいます。
もう一つの原因として、スキューバダイビングの場合、スキューバのタンク内空気の乾燥度だが、その乾燥の度合いは99.8%以上と言われ、殆ど水分が無い状態ですから、レギュレーターから呼吸をする度に口腔内及び肺内の湿気補給で体内の水分は奪われて行くのです。
やはり、これも腎外性脱水へ向かう系統です。
水中や水面で動けば動くほど喉が渇き、喉がくっつく様な息苦しい違和感になって行きますが、口からレギュレーターをはずしてうがいをすれば、暫くはこの息苦しさから解放されます。
この喉の渇きは、水中に於いての緊張も働いて口元並びに顎に力が入っている事でも原因の元になっているので、口元や顎に力が入らない様に、更に顎を引く動作も、レギュレーターからの空気が喉元に当たる為に注意が必要とされる。
筆者の呼吸の仕方はレギュレーターのマウスピースを軽く咥えるが、咥えた時に口尻をゆるめて軽く海水(又は水)が入る様にしている。
つまり、タンクからの空気は殆ど湿気が無い為に、口の中には常に水分が有る様にしている事で喉が乾かないが、耳抜きの時には、この口の中の水は耳管へ送り出してしまう為に要注意となる。
また、顎に力を入れない様にレギュレーターのエキゾースト(排気弁)から排気をせずに口尻から排気をしている。これは、マウスピースの噛み具合が大変に緩い事を表している。顎に力を入れない事で、緊張や筋肉疲労、脱水を低減しているのだ。
ただし、口の中に海水を引き込むのは良いのだが、この海水を飲んではいけない。飲めば血中のナトリウム濃度が上がり脱水化が進む。
マウスピースを強く噛む事で顎に力が入り、更に肩にも力が掛かる事で、疲労感が増し、また、耳抜きも抜けない原因ともなっている。
特に、初心者や中級者に多く、ベテランであっても緊張した時にマウスピースを強く噛んでチップ(出っ張り)を噛み千切ったりもする。これも、練習によって回避出来る様になる。
さて、ダイビングでの脱水についてまとめて見よう。
腎性脱水 運動過多による血流量増大での利尿と、水浸利尿と高圧利尿.
腎外性脱水 発汗、呼吸による口腔や気道の渇きと、体外への水分排気.
になるだろうか! 良く見ると初心者から中級者系の運動量の多い方がなり易いと気が付くし、それ以外でも、長時間潜水している方に当てはまりそうだ。
が、実は潜水での高加圧下では細胞内液、細胞外液での間質液が血漿内へ流入して外水圧平衡を取ろうと移動を始める為、実質では血漿量が増えて体腔の弱い所、及び関節内へと移動する。
また、血液中の血漿の量が増えた事での利尿効果も働き、膀胱へと導いて貯尿する。当然として、尿意も催す。
高加圧下では、外圧と身体内圧力が完全に飽和しない限りでは血漿と細胞外液、細胞の内液は不安定な状態となるが、血液はサラサラの状態。
潜水後、又は浮上後の体の状態では・・・。
潜水が終了して浮上を始めると、外水圧も下がって身体内圧力も下がり始めると、体腔の弱い部分と関節へ充当されていた血漿は元の状態へと戻ろうとして、血液中へと戻り適正に組織へと配分されて行くが、膀胱へと導かれた水分(体液)は元へとは戻らない。
また、呼吸によって体内の水分を体外へ放出した分もあって、結果的に水面に近付く程、血液内の血漿(水分/体液)は減って行き、ドロドロの血液へと向かって行く。この血液ドロドロの状態は脱水と同じで腎性脱水とも言う。
当然として、ダイビング終了後に水分の補給は不可欠である。腎性脱水と腎外性脱水の両方が潜水中では顕著に起きている事を表している。
潜水中にこの様な脱水状態を起こさない為には、中性浮力を確実に取り、また、運動量を極力減らす事が最良の方法だ。ただし、高圧利尿だけは避けれない。
脱水での傷害と障害(減圧症誘発).---潜水と脱水より転載---
潜水での高加圧下では血液がサラサラなので、窒素の飽和以下、又は所定の無減圧潜水なら問題は無い。
しかし、浮上に際して脱水が起きていると血液がドロドロの状態、つまり、血液の粘度が上がる事で血液の流れがスムーズに行かなくなり、大静脈圧過大へと向かって行く。
また、浮上スピードが早くても、窒素の血管内への放出圧が高まり、同じく大静脈圧過大へと導いてしまうのである。
更に、浮上に際しての呼吸に於いて、意識的に排気をしなければいけないのと、浮上時にオーバーキックによるオーバーワークも心拍数の増加に結び付く為に、してはいけない行為とされる。
ここまでは、脊椎型・脳型・中枢神経型・メニエル型・チョークス型の減圧症に発症してしまう事を言ったが、細胞内液と細胞外液での関係で細胞外液中の血漿蛋白/アルブミンが尿意によって膀胱へ大量に導かれて減ってしまうと毛細血管壁が閉塞を起こし、細胞内液へ取り込まれた窒素が放出されない為にT型の減圧症発症へと向かってしまう。
これは、いずれも腎性脱水、腎外性脱水がいかに危険かを表している。
----ダイバーにとって重要です(減圧症関連)血液とは何! と一部重複--------
リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)
浸透圧を考える!T型筋肉内減圧症 と関節内減圧症、無菌性骨壊死発症に関係します。
蛋白質(アルブミン)溶液と水とで考えた場合、蛋白質の粒子の大きさは水やナトリウムと比べて非常に大きく、分子量で示すと水18、ナトリウム23に対して、蛋白質のアルブミン粒子は69000と極めて大きい分子数値となる。
例えば、アルブミン溶液と水の間に膜を置いたとしますが、この膜に小さな穴が開いていて、水やナトリウムは通るがアルブミン溶液は通らない膜とします。
この膜の間には両方の間に等濃度になろうとする力が働きますが、水やナトリウムは通ってもアルブミン溶液は通れずに、代わりに水分子がアルブミン溶液に引き寄せられて等濃度になろうとします。この力を浸透圧と言う。
小さな穴の開いた膜を半透膜と言うが、毛細血管の血管壁もこれに当る。
蛋白質の事を膠質とも言い、蛋白質によって生まれる浸透圧の事を「膠質浸透圧」と言う。
血漿中には蛋白質の中で一番多いアルブミンが「膠質浸透圧」の元になっている。(膠質=こうしつ)
毛細血管壁(半透膜)を介して細胞外部(細胞外液)の水分を血管内に取り込む作用を血漿内の蛋白質アルブミンが行っています。
身体に起きる「むくみ」は血管内のアルブミンが少ない為、若しくは腎臓から尿の中へアルブミン(蛋白質)を排出する事で細胞外液を排出出来ずに体細胞に「むくみ」が生じます。
体細胞に「むくみ」を生じさせない為には、血漿中にアルブミンが(蛋白質)がバランス良くなければいけないとされるが、ダイビング中はイマージョンや潜水反射等で、水分を膀胱へ排出させる事も報告されており、当然、このアルブミンも大量に膀胱へと排出されると思われる。
アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っていると、ここまでは良いのだが・・・・・。
この浸透圧調整に於いて、潜水中に体細胞組織に取り込まれた窒素は、この浸透圧調整によっては体細胞組織より排出されない可能性があるのである。
つまり、この浸透圧により毛細血管壁を通って排出されるべき窒素が出れずに体細胞組織に残り膨潤化すると筋肉型 や関節型の減圧症となってしまうのだ。
特に関節型では骨頭周辺の骨組織に痛みやかゆみ、鈍痛が有るが、これ以外に、骨頭軟骨や緻密質、海綿質、骨髄腔を含めた骨組織で無菌性骨壊死が起きて来る。
この無菌性骨壊死とて、元は骨減圧症と言われるT型減圧症なのである。
関節型であっても症状がひどい場合、又はひどくなくても繰り返し潜水を行って、周辺部位にその症状が拡大した場合は、関節型から無菌性骨壊死へと進化及び転化して行く事を知って置かなければならない。これは、職業として潜っているプロダイバーに特に多い。
つまり、アルブミン量が減る事で体細胞組織からの水分中(体液)に含まれた窒素は毛細血管壁を通れない事となる。
この作用は関節や骨組織内でも起きており、T型減圧症発症の筋肉型と関節型に及ぶもの、並びに無菌性骨壊死の原因と思われる。
さて、体組織や体液、そして脱水がいろんな状況下で起きる事が分かったが、ダイビングに於ける減圧症の発症にはもう少し語らなければいけない様だ。
それは、この体液の移動に伴ってもう一度トータル的に考えると説明が足りない事に気がついた。
脱水には@腎性脱水型、A腎外性脱水、B腎性脱水型の血漿蛋白質低下での細胞膜閉塞性脱水(細胞膜=浸透膜)である。
このBの血漿蛋白質低下での毛細血管浸透膜閉塞性脱水では毛細血管を介して水分のやり取りが出来なくなるが、間質液に開口部を持つリンパ管から水分(体液)の排出は出来るが、一方的な放出となる為、飲水等での供給が無ければ体組織への水分供給は出来ない事である。
ダイビング後にむくみが無いのは間質液が貯留されないのでむくむ事は無いが、逆に脱水が起きている事に気がつかないのである。
Bの血漿蛋白質低下による毛細血管浸透膜閉塞性では、間質液が貯留されてむくみを生じるが、間質液層に開いたリンパ管によって間質液はリンパ節へと導かれ、異物等が除かれて後、リンパ胸管(リンパ総管)に戻ってから静脈中へ返される。
つまり、通常のルートでは無い形で窒素も通って排出される事となるが、下大静脈を通らずに内頚静脈と鎖骨下静脈で上大静脈へと入り心臓へと運ばれる。
リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)図を参照.
---------------------------------潜水と脱水より転載しました---
ここまでは体液の移動での脱水と浮腫み(むくみ)を述べているが、一方は血管内の脱水、もう一方は細胞内の脱水が起きる事で減圧症の原因になるとされる。
浮上時のオーバーワークやオーバーキックは心臓への負荷が大きくなるだけだ。
余談だが浮上後に何の対処もせず、シャワーを浴びたりして体温を上げる様な事をすると、代謝も上がって余計にドロドロの血液を促し、極度の疲労感や倦怠感を引き起こすのである。
くれぐれも注意が必要である。これを回避させるのは、ダイビング終了後に水分の補給や高蛋白及び高脂質の物を口にして暫くの休憩(30分〜1時間)を取った後にシャワー等を浴びると随分と疲れが違う。
時間が取れない場合、シャワーは簡単に済ませ、体温を上げない事に専念すべきで、特にお腹や肩を冷やさない様にする事も疲労感・倦怠感を作り出さない秘訣なのだ。
いずれにしても、ドロドロの血液は疲労感・倦怠感の元であり、高電解質の飲料を大量に希釈飲用する事をお奨めする。
このドロドロ血液に於いてはガス交換(CO₂とO₂)に影響を与える。ダイビング終了後、1時間位の間は窒素の体外放出も多く、このガス交換阻害が起きて、酸素不足及び二酸化炭素の蓄積で体温の上昇が起き易くなる。
着替え後やシャワーの後で体温が上がって鼻水が出るや風邪っぽい等の症状が出ている場合は酸素不足なので深呼吸や酸素を吸う事で体温の低下を促す事が必要である。
怠った場合は極度の疲労感や倦怠感、そして脱力感が起きるのは当然である。
と言ってもピンとこない可能性が有るので別の説明をすると、疲労とは体が酸性化に傾く事で体の各組織が不活性化となり、体を横にしたいや疲れたと認識する。
酸性化した体をアルカリ化させる為には血液をサラサラにして栄養分と酸素を多く供給するしか無いのである。
大量の水又は吸収の良い高電解質の飲料の飲用か希釈飲用、高蛋白・高脂質の物を口にする事は出来る筈だ。
何もなければ水と飴玉でも血液のドロドロ回避と脳に対しての血糖値回復には十分だ。(頭の判断力・思考力回復、若干の疲労感回復=水と飴玉(^^ゞ)
尚、ドロドロ血液が長く続くと酸素の欠乏も起き、心拍数の増加や血圧が上がる事での息苦しさや吐き気、体の膨張感、暑さ、頭痛も起きる。
◎この項の最初に水深20mでの血液の状態をサラサラの状態と言ったが、更に水深を増すとこの血液のサラサラ感は増して行く。
実は私の考案した減圧症・空気塞栓症自己治癒潜水法での効用として、この高サラサラ血液と高水圧によっての全身のリンパ及び筋肉のマッサージ効果も併用しており、末梢血管等でつまり閉塞していた減圧症の因子を取り除いている。
乾室の治療用チャンバーでは起き得ない効果を発揮しているのである。
この効果はT型の減圧症及びU型の減圧症に於いて有効であり、特にT型の筋肉型と言われる減圧症にも効果抜群だ。
尚、この高サラサラ血液は浮上に際し、体表面の圧均衡が弱くなるにつれて、血漿・血漿成分は元の体細胞へと戻って行くが、余剰な水分として膀胱へ廃棄した水分は血液には戻って来ない為、ドロドロの血液へと向かう事となり、急及び急激な浮上を伴うと減圧症のリスクを伴う事となる為、浮上勾配を付けて血液の急激なドロドロ化を抑制する事が不可欠となる。
また、このリスクの中には高水深から中水深、浅水深に向かうにつれ酸素不足での呼吸亢進や心拍数亢進の危険性があり、対処及び回避法を覚えなければいけない。
ドライスーツを着用し潜水する方はトイレが近くなると言って水分を控える事が有るが、潜水終了間際での体力消耗的なオーバーワークでは血液がドロドロとなっている状況なので、酸素不足での呼吸亢進や心拍数亢進の生理的身体危険性を持っている。
水中での安全停止中より、船及び陸上に上がって水分の補給を取り、ドロドロ血液解消の為、凡そ1時間位は体を休めたい。
注意 低水深や陸上に上がると血液がドロドロになると言う話には、もう少し有るのです(笑)
人間の身体は大気圧下で生活しており、外気圧が変わると体内圧も追随し均衡にする働きが有る為に、外気圧/外水圧の変化でこの様なサラサラとドロドロの血液の関係が起きてしまう。
しかし、時間と共に外圧に体内圧も均衡が取れると普通の状態へと戻るが、時間にして1〜3時間、身体が不安定な状態に有ると6時間位は戻らないのである。
故に、ダイビング前後の水分補給は有効とされる。
R.血液の循環 R-2.血圧 k.疲労とダイビング k-1.疲労と代謝 l.浮上時の重大問題!!
k-2.ダイビング後の異常な睡魔について k-3.ダイビング後の物忘れ b.潜水での脱水(重要)
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