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Ll.エアエンボリズム(空気膨張による肺損傷と血管の閉塞、肺破裂等)
    Airembolism


      
原因は急浮上と気道開放角度の無さ ! 参照→→→緊急浮上

ダイバーであれば起してはいけない致命的な傷害です(ーー;)

肺の破裂等により動脈血管又は静脈血管へ入り込み塞栓(血管閉塞)を起こした場合、動脈ガス塞栓症として、あるいは静脈ガス塞栓症として重篤な症状を呈します。特に、動脈への混入の場合、致命的な脳障害や呼吸器系、心臓系へ多大なる影響を与えます。
  
静脈への混入の場合、一度心臓(右心房、右心室)を通り肺より混入したガスを排出及び消泡する為、万が一、消泡されずに動脈側へ入っても極小泡として危険性は少ないとされますが、その処置によっては動脈ガス塞栓症を誘発するのです。

日常での気胸はさほど問題は無いのですが、ダイビング中の気胸発生は動脈ガス塞栓症へなりかねません。ダイバーを維持するのであれば、肺壁を丈夫にする為、適度な呼吸器系・腹筋系の運動を行いましょう(^^ゞ

◎空気の膨張によって起きる障害をエアエンボリズムと言い、通常はBCの操作、整備不良等によって過剰に浮力が付いて浮上が始まり、呼吸等を止めていると起きる。

また、恐怖や不安感によって、息を止めたままで浮上すると、肺胞が破れて血管に損傷を与えるか、交換膜にダメージを与えた時に空気の泡が血管内に出来る。

これは、私たち生命を持った者に対して大変に危険な状態を指していて、兎に角、起してはいけない事柄の一つだ。

空気の泡が出来てしまったと言う事は体のどこかで血栓が起きる事を意味していて、脳に入った場合は致命傷になる恐れがある。

しかし、これは余程の事であり、スイミングアセント他の浮上法をマスターしていればこの限りではない。

空気の膨張に対しての体積変化及び浮上時の加速度的な空気の膨張を認識してもらいたい。

エアエンボリズムになると、どんな症状が有るのだろうか?

空気塞栓症になる過程と空気過膨張による肺障害等.

気胸、皮下気腫、縦隔洞気腫、ガス塞栓症等があり、空気ガスが皮下や胸腔及び動脈内にて起きてくる障害である。

特に血栓等で起きる障害はショックや窒息、神経障害等を起し、肺での出血等を伴った喀血も起きる。

肺胞が破れている場合は咳き込んだ時や痰に小さく固まった血が出て来るし、窒息後に口から排出される泡にも血の塊が見られるので良く観察をし対処する必要が有る。


一つ注意する事は、窒息した時に口から排出される白い泡やピンク色の泡を見てエアエンボリズムと間違わない事だ。この場合は早期なる換気救命措置にて息を吹き返すし、意識も戻る。

    万が一、エアエンボリズムと判断した場合、呼吸困難や窒息等が起きる為、早急に酸素を吸わせ、再圧室を備えた病院に搬送する事。

◎部位と症状

1.
縦隔気腫
 

空気が胸の中央部に漏れ出し、組織の間に潜り込んだもので、胸痛、呼吸障害、嚥下(えんか:唾の飲み込み等)障害、ショック等の症状が出ます。

2.皮下気腫

首の付け根及び鎖骨下に空気が溜まった状態で、肺壁が弱く自然気胸等になり易い方ならごく普通に皮下気腫にはなってしまう為、注射器等で空気を抜けば問題は無いとされる。

しかし、ダイバーの場合は1.の縦隔気腫との合併症状が出る為に様子を見るしかないが、1.の症状及び時として声の発声にも影響が出る場合がある。

3.気胸

左右どちらかの肺と胸郭の内面との間(胸膜腔)に空気が入ったもので、肺を縮ませて呼吸を妨げます。

胸膜腔内の空気圧が上がって行くと、肺は完全につぶされて胸内の内臓は反対側へ押しやられます。

呼吸もしずらく、心臓も動いてしまう為に呼吸と循環系に多大な影響を与えます。

気胸針を使い胸膜腔内から空気を抜く処置を行う。空気を抜かないと重篤な症状へと向う。

4.空気塞栓症

空気塞栓は字の如く空気による血管閉塞を指していて、空気過膨張が進み肺胞を壊す力が働いた時に肺毛細血管に空気が混入して、肺静脈→左心房→左心室から脳へと空気の泡が運ばれて脳内に於いて空気塞栓が起きてしまう。

さて、この空気塞栓はダイバーに取って最悪のシナリオとも言えるもので、疑いが有る場合は急いで治療用の高圧チャンバーに収容しないと命取りともなる。

エアエンボリズム(空気塞栓症)は浮上後10分以内に起きる事が大半であり、その症状として意識喪失、発作、意識混濁など脳梗塞に似た症状がでる。

空気泡によって脳血管の詰まった場所により、色々な症状が出る。

○しびれや疼きなどの知覚障害. 
○筋肉の麻痺、脱力などの運動障害.
○視力障害. 
○言語障害. 
○平衡感覚障害、協調運動障害. 
○思考障害.

これ以外では心臓に血液を運ぶ冠動脈に気泡が入り詰まると、胸痛、息切れ、動悸など心筋梗塞に似た症状が起きる。

更に、皮膚血管だと皮膚にまだらの白斑や紫斑が出来、大理石模様の様になる。

いずれにしてもエアエンボリズムはあらゆる障害が起きる為に起してはいけない潜水症の一つだ。 潜水病とは呼ばず潜水症と言おう!!


1.軽い場合でも聴覚や視力等に問題を起す場合がある。

2.安全停止後の無神経な急浮上やうねり等が有った場合の減圧停止、安全停止は要注意である。

3.安全停止後の浮上は、よりゆっくりと浮上すべきである。

4.また、うねりの中の安全停止は5mでの昇降が大きな時はロープより手を離して行うか、より深い水深(8m以浅)での停止に心がけるか、又は横移動による浮上スピード調整での浮上に切り替える。(安全停止分の時間調整が必要)

治療法は治療用高圧室チャンバーにての加療になるが、より高い圧力での治療が必要となる。

◎浅い水深からの浮上による肺組織の軽微損傷と耳腔及び副鼻腔群内の損傷.

最近騒いでいる浅い水深、特に1〜2mからの息を止めた浮上による肺損傷他の障害が問題とされている。
上を向いて気道を開けて浮上するか、又は意識的に息を吐き切れば問題は無い。
しかし、無意識や無気力で大きく息を吸い込み浮上をするとその限りでは無い。

一般的に肺への吸引圧と排気圧は0.3〜0.5気圧にも達し、浅い水深でも肺損傷を起こす圧力を容易に作れるのである。

一般的に体の内腔での損傷圧は0.5〜0.7気圧以上で起きるので、浮上による瞬時の空気膨張圧は1mの水深からでも0.8〜1気圧に達し、肺組織の軽微損傷や耳腔内炎症並びに前頭洞を含む副鼻腔群の炎症さえ起こしかねない。

 
                    <空気膨張曲線 15m以浅の係数に注意>
                               潜降と浮上の項を参照

◎エアエンボリズムの治療

エアエンボリズムと分った時には酸素吸入を行いながらゲージ圧5kg/㎠を掛けれる高気圧治療用チャンバーを設置してある病院に急ぎ搬送しなければいけない。

しかし、エアエンボリズムが完全に治るかとすると難しいと言わざるを得ないが、発症水深が浅い場合は治る可能性は大きい。この発症水深が浅い場合は6〜7m位を指し、それ以上の水深では治療結果として完治するのには難しさが残る為、注意したい。

空気による肺破裂により、色々な障害・傷害を抱えてしまうが、潜水内容によっては減圧症の誘発発症もしている可能性が有る為、注意を払いたい。

尚、自己治癒潜水法(減圧症・エアエンボリズム)でも治癒する事は可能だが、15m以深での罹患治癒には問題が有る。自己治癒潜水法での加圧圧力は7〜8気圧までは可能とするが、やはり15mを越えて18mでは問題 !

実質、10mを超えての息こらえ急浮上では肺は破裂して窒息や血管の閉塞を起し死に近いが、息苦しさの余りに若干は息を吐いているものだ。

その中で、深い水深からの浮上時に息こらえ的浮上をしてしまうと、肺は破裂しなくても肺そのものに損傷を与える為、浮上時の呼吸障害を伴う事となり、尚更に苦しくなり息を持続的に止める事となる。

仮に浮上後に本人に意識があれば、どの辺りの水深から急浮上したかを聞くべきだ。

エアエンボリズム関連 浮上時の重大問題 潜降・浮上 呼吸法について

エアエンボリズム
の原因は急浮上と気道開放角度の無さ ! 参照→→→緊急浮上

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Mm.圧外傷全般
  圧外傷とは

圧外傷に関連して認められる症状とその原因疾患

意識障害

空気塞栓症.

麻痺発作

空気塞栓症.
頭痛 空気塞栓症(稀).
めまい 内耳圧外傷、中耳圧外傷(鼓膜穿孔)、alternobaric vertigo(変圧によるメニエール症候群).
吐き気・嘔吐 内耳圧外傷、alternobaric vertigo(変圧によるメニエール症候群).
胸痛 肺圧外傷.
呼吸困難 肺圧外傷.
皮膚の発赤や充血 スーツの残存空気の収縮や膨張による、装具やスーツの圧迫.
顔面のむくみ 肺圧外傷、空気塞栓症.
四肢の麻痺 空気塞栓症.
四肢の知覚障害 空気塞栓症(稀).
疲労 圧痛やストレスによる.
鼻出血 副鼻腔群圧外傷.
血痰 肺圧外傷、空気塞栓症、咳き込みによる気道損傷.
耳痛 中耳・外耳圧外傷、外耳炎、鼓膜付け根周囲の炎症.
難聴 中耳・外耳圧外傷、音響外傷、内耳型減圧症、突発性難聴.
耳鳴り 内耳圧外傷、音響外傷、内耳型減圧症、突発性難聴.
              【潜水医学入門 池田知純著 大館書店を参考とし、更に編集して有ります。

空気塞栓症も本来では圧外傷として掲載.

◎潜降・加圧時のスクイーズ(squeeze)=
体腔の収縮よる組織の締め付け、押し潰す、搾り出し現象を言い、体の中の気体(副鼻腔群、耳腔、気道、肺)が小さくなる事で生じる傷害を指す。

【耳抜き・浮き耳と仲良くなるページ】に詳しく説明してあります。

また、マスク内空間やスーツの隙間、外耳道にも起き、この他に胃や腸、虫歯の内部にも起きます。

この搾り出し、押し潰し、詰め付けの原因は、傷害を受ける部位に空間が存在している事であり、この空間が収縮する事で外部の圧力と平衡を取ろうとする。

耳抜き等にて圧平衡が取れれば良いが取れなかった場合は、その空間が収縮して負の圧力を持ち、弱い組織の吸出しが起きる。

これは、空腔内壁皮膚組織で起き、充血ですまない場合は、皮膚組織の烈断が起きて出血が始まる。

場所によっては組織内リンパ管破断によるリンパ液漏出が起きるが、一番の問題は内耳窓(正円窓、卵円窓)の破断による脳髄液リンパの漏出が最大の問題とされる。

内耳窓(正円窓、卵円窓)の破断や烈断による脳髄液リンパは、鼻水の様に漏出するが、鼻水はしょっぱい味がするのに対して、脳髄液リンパの味は甘ったるい味だ。

また、顔を下向きにしていれば鼻へ出て来るが、通常は咽頭から口へと導かれる為、飲み込んだりして、脳髄液のリンパ漏出に気が付かない場合が多々ある。

肺のスクイーズはスキンダイビングの場合で、スキューバでは余程の事が無い限り肺スクィーズにはならない。

副鼻腔群、耳腔(内耳、中耳、耳管)に於いては耳抜きでの圧平衡が取れない時にスクィーズになります。
 
症状は痛みから激痛が走り、副鼻腔群の場合軽いと鼻血の匂いがする程度だが、ひどいと鼻血が出る事も多々有る。また、前頭洞がミシミシと音がする場合があります。

当然として、痛くてそれ以上は潜れなくなります。

上顎洞他の空洞では違和感が有りますが、極端な痛みは無い様です。

耳の場合痛みを我慢して潜ると鼓膜が破れるか、 または内耳窓が破れ脳脊髄液が漏出し、メニエールによるめまいや、吐き気、聴覚神経破断による難聴と耳鳴り等も起きて、平衡感覚や聴覚に重大な問題を残しかねません。

 しかし、時として耳抜きの感覚や痛みが判らずに潜ってしまう方がいるのも事実です。
   
マスクの場合、マスク内空間の収縮により、マスクの顔面接触面にスクィーズが起き、顔にくっきりとマスク痕が残りひどい時は充血する。

また、マスク内の収縮により、眼球の引き出しスクィーズが起き、涙目や目が充血する。

ウエットスーツのしわの内部空気収縮によるスクィーズ。充血が起き、痒みや皮膚の角質化が起きて来る。

胃や腸の内部ガス(空気も含む)の収縮によるスクィーズ。絞り込む様な痛み

虫歯の場合、歯の冠や詰め物の内部空間収縮が起きて、神経に障り 疼痛や激痛が走る

ドライスーツ使用に際し、スーツの張り付きによるスクィーズが起きた場合では、下半身への締め付けでの血行障害が起きて、冷えから来る足のつり等が置き易くなる。

更に、この冷えと、下半身への血液循環障害、水浸(イマージョン)による血流増大で門脈還流が起こり、尿の生産が進んでしまう為にトイレが近くなる。

    マスクはマスク内の空気が収縮する為、鼻から空気を送ると直ります。(マスクブロー)


◎浮上若しくは減圧時にブロック(block)=
潜降・加圧時に送り込んだ空気は、浮上・減圧時に膨張しスムーズに排出されるが、何らかの原因で排出されずに周囲組織を圧迫して傷害を起す。

耳管腔閉塞の場合、鼓膜の烈損が起きるほどの痛み、内耳窓の破窓によって脳脊髄液の漏出、めまい、吐き気等のメニエール症候群、聴覚神経破断による難聴や耳鳴り、平衡感覚傷害他の傷害多数。対策 リバースブロックの解除法を覚える事。

副鼻腔群閉塞の場合、特に副鼻腔群の前頭洞の痛みがひどく、ミシミシと音を立てる。
また、鼻血が出るが、涙が出る位に痛い。対策 リバースブロックの解除法を覚える事。

これ以外では歯の冠及び詰め物の内部空気が膨張すると勢い良く取れるか、痛み又は圧迫痛が起こります。

浮上時の空気の膨張による圧傷害であり、息を止めていれば気道や肺への傷害が起きます。   エアエンボリズムを参照

対策法  
【耳抜き・浮き耳と仲良くなるページ】 リバースブロックを参考にして下さい。

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Nn  潜水病とは?(何かおかしい病名)⇒⇒⇒潜水障害、潜水症が正解 !
   潜水の歴史編.

減圧症、エアエンボリズム(空気塞栓症、空気栓塞症)、副鼻腔群圧損傷、耳管・耳腔内・耳腔外圧損傷、体外・体内スクイーズと潜水をする事で起きる障害を言う言葉で有る。

この中で説明している「潜水をする事で起きる障害」言葉通り潜る事で起きる障害で、れっきとした因果関係が有るのである。

と言う事は潜水病では無く、潜水障害と明記する方が適切と思われるし、潜水症と言っても過言では無い。

この言葉には歴史的な背景が有り、私たちはこの言葉の持つ背景を知らなければ間違った情報を後世に残す事となり由々しき問題で有る。

昨今では、減圧症罹患をした方が保険の請求をする時に減圧症は潜水病という病気だから後遺障害の補償は出来ないと言われる場合が有る。

この言葉の認識の度合いによっても、また裁判等に掛かった場合でも明確に病気では無く、障害で有るとはっきり言わなければいけない。

ただし、成る事が分かっている、または起きるかも知れないとしたダイビングでの傷害の補償は自己過失として有り得ないとしたいが、その状況の程度によって補償されている。

更に、ガイドやインストラクターの引率の場合は「過失」、「過失による障害」或いは「過失に起因する障害」として引率者に対し刑事・民事訴訟も発生するが、いくら賠償されるからとしても後遺障害としての潜水症は一生涯心身に対し負うには過酷過ぎる。

しかし、引率されるダイバーがダイビングに対する知識並びに技術教育を受けたにもかかわらずやってはいけないとする行為を行った場合、自傷・自殺行為とされる場合が有る。

潜る側にも責任が有り、1人の為に他のダイバーに迷惑を掛けるとそれ相当の責任が掛かり、賠償問題にも成りかねないので注意をされたい。
  
もう一度、ダイビングの基本マニアルを良く読み、やってはいけない行為や基本の知識、基本のスキル等を勉強しよう。安全と危険は表裏一体

◎潜水病の語源は潜水器の歴史に有り。歴史の中にその原因が!
   昔は潜水をする者だけの病気と思われていた。

今から4000年前、中国で真珠を採取した記録。

その後、2300年前にはギリシャ人がシラキューズ攻撃に潜水を利用した。

BC400年チュ−ル時代、アレキサンダー大王が幼稚だが潜水艦の如き物を軍用に利用。

ダイビングベルもこの時代。

BC356年換気用のスノーケルもこの時代に考案。

西暦717年、いまから約1200年前にはハーリィは現在のヘルメット式潜水器と潜函の中間の様な新しい潜水器を発明し、今日のヘルメット式潜水器の基礎を作った。

1650年になり、ドイツ人のゲーリケによって空気ポンプを開発し製作される。


1700年、同じくドイツ人のゲレンゲルはこのポンプを潜水装置に送る高圧の圧縮ポンプとして製作する。この間にゴム工業の発達は潜水器具の改良開発に目覚しいものが有った。

1760年にイギリス人のシーべによって今日見られるものと全く同じヘルメット式潜水器が完成された。

1866年、フランス人ルカリヨールによる自給式潜水法が開発される(ヘルメット式)

1880年、イギリス人ランバート潜函作業を確定化する。

1900年、ホールデンによって数学的に減圧症を解く。「ホールデンの2:1の法則」

1910年、酸素中毒が発表される。

1920年、トンプソンによって初めて窒素酔いが発表される。

長い年月の間、潜水を行ったものが痛みや激痛の伴う、またかゆみや痺れと色々な症状を訴えた。

しかし、その原因は潜水によるものとしか分からず痛み止め等の処置しか無かった事が潜水病という言葉の語源となった。

つまり、その因果関係が分からない為に潜水病という病気として分類をした。

ホールデンによって潜水における減圧症の解明が出来た時から減圧障害も目に見えて減る事となっていった。

日本に於いての潜水の歴史は

日本では古来より海女、海士として磯物を獲る漁法としての歴史が有る。

南方系、中国沿海州系、朝鮮半島系の流れを受け水軍、海賊として歴史を残す。
 
ヘルメット式潜水器ではどうであろうか?

徳川時代の末期、安政4年(1857年)に長崎港にドックを築く時に潜水技術が導入された。

10年後の慶応2年には増田万吉という日本人がイギリス船ハラシィ号の船底修理に従事。

その後、明治5年に当時の日本海軍工作局でヘルメット式潜水器の製作が始まる。

この辺までが日本に於ける潜水器製作の第一歩と言え、その後多数の研究者によって改良や新規な潜水器が作られたが、長期の実用に用いられる事は無かった。

大正2年(1913年)大串式と称した呼気排気の弁を噛んで操作するマスク式潜水器が完成。

この方式の改良型を用いて、大正13年に片岡弓八氏が水深70mに沈む八阪丸から金塊の引き揚げに成功した。

この潜水は民間レベルの画期的な事だが、日本の海軍ではドイツやイタリアなどの軍事技術提携による潜水技術の高揚たるものが有った。

昭和2〜3年にはアメリカの海軍に対し、ヘルメット式潜水器使用によるヘリウム酸素を使った120m潜水の指導を行っている。

昭和8年(1933年)頃、浅利氏がマスクに空気嚢(袋)を付けて水位の差を利用して自動的に空気調整の出来る簡易なマスク式を完成させ、潜水の大衆化のきっかけを作った。

昭和12年頃には浅利氏によって圧搾空気を携帯し、呼吸作用と連動する自動調整弁をつけた単独潜水器を開発し、完成した。

日本での潜水技術はこの後、第二次大戦(太平洋戦争)によって消失して行くが、この中で培われた潜水士の潜水テーブルだけは戦後に残して行く事となった。

現在の形を有する潜水器は戦後に日本へ入って来るが、これはフランス海軍大佐のJ.Y.クストーとカナダの液体空気会社の技師E.M.ガニヤンが19436月に最初の実験で成功した。(Wホース型)
 
日本に於いて、いまだに潜水病として扱われ、間違った解釈をされている事は大変に嘆かわしい事であり、ダイバーやその関係者へ広く訴えたい限りだ。

潜水病⇒⇒⇒潜水障害、潜水傷害、潜水症、高気圧下潜水傷害が正解 !


Oo.ダイブテーブル
  
US.NAVYテーブルでは19932月をもって新しいテーブルに変わりました。
  テーブルの一部も変わりましたが大きくは変わっていません。
  
重要なのは浮上スピードが18mから9mへと改変されました。


  
はっきり見たい方はこちら→US7-4194Kbit

アメリカ大気局 NOAA  エア、ナイトロックステーブル等

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日本に於ける潜水士テーブルの成り立ちは・・・

昭和20年以前からのものをペース(基礎・基本)としており、潜水に於ける加圧・減圧(浮上、休息時間)での窒素推移表示は体内ガス圧係数として現している。この、体内ガス圧係数として見ているものは潜水者の血液を直接摂取して体内の血中アンモニア値の変化を調べたものではあるが、減圧時に潜水者の個体差(身長差、体重差、体質)があった為、テーブル開発当時に値として表示せずにあえてガス圧係数として現している。

上記の表の内、ガス圧係数1.00は地上((1気圧)における数値で、加圧に伴い圧力の掛かった空気を肺で曝露する事で、窒素N2は肺毛細血管の血漿中へと取り込まれ、ここで窒素N2は酸化されて血中アンモニア(アンモニアNH3、アンモニウムイオンンNH4+)へと変換される。

注意しなければならないのは、加圧された窒素N2全てが取り込まれて圧平衡化されるのではなく、取り込まれた窒素N2は酸化されて血中アンモニア(アンモニアNH3、アンモニウムイオンンNH4+)へと変換され、体内に於いて生体反応(酸-塩基平衡)平衡化での血中や組織内でのpH維持平衡バランスを取っている。

アンモニア毒性と酸塩基平衡

この際、問題となるのはアンモニアNH3の有毒性に於いて、脳、肝臓、腎臓、心筋、骨格筋等でこの毒を無毒化する機能が働いていて問題は起きないが、精神的な要因での体内機能の異常や、外圧による内圧の平衡作用対応、つまり、外呼吸や内呼吸での恒常性が崩れると無毒化の機能も崩れて毒素による異常が起きるのだ。

脳に於ける神経毒では、この毒性によって、身体機能の伝達の遅れから来る反応の鈍さ、思考力・判断力・記憶力・運動及び反射能力等が低下するが、窒素酔い等もこの神経毒性変化によるものと見る事が出来る。

高深度(60mを超えて)に潜る場合、短い時間で体内ガス圧係数値(血中アンモニア値)が上がる為、ダイバーの健康や体質、持病、食事、精神面とダイバーのスキル技術等での個人差が出てくるが、これは、アンモニアの無毒化を行う組織次第なのだ。

この血中アンモニアについては減圧症の項に詳しく記載してあります。

◎潜水士テーブル 別表第1 別表第2 別表第3(「潜水作業者修正時間」表)
その他のテーブル
  1.ビュールマンテーブル 2.カナダDCIEM-1  DCIEM-2 3.H.Kunitsugu-SUUNTO(個人作)


Pp.ダイブコンピュータ (通称ダイコン)  

                    
◎ダイブコンピューターの歴史はかなり古くからあり、既に30年を経過したと言っても過言ではない。

このダイコンの基本のテーブルはホールデンのアルゴリズムから来るが、各国の学者によって安全係数等や血液循環系、浮上等の数値を独自に組み合せたダイコンが出回っている。

このダイコンはアメリカのNASA等では生命維持装置との開発において既に必要不可欠の物(低圧下)となっているが、一般のダイバーは高圧下に置かれる為に、最新のダイブコンピュータでは、より複雑な生命維持アルゴリズム開発を行っている。

しかし、昨今の電子機器の開発は著しく、演算能力及び記憶容量等が増えている為、今後のダイコンの発展も目を見張るものであろう。(ダイコン=ダイブコンピュータ)

このダイコンの開発に対して問題となるのは、各ダイバーや人種によって個々の体質等が違うため、これに合わせる為には、より複雑になり、使い易さにも難点がある。

だが使い易さを追求すると、万人のものとなり、より安全を追及をするスタイルのダイブプランを立てなければならない。

ここからはダイブコンピュータの仕組み

下の図はダイビングでの窒素の体内への溶解と体外への放出を表したもので、100%が飽和点を指している。100%を超えると過飽和となり減圧症や減圧障害等を引き起こす。

窒素の溶解

日常の生活環境以上の圧力下で、液体と気体が接触すると、気体が液体に溶け込むのです。この溶け込み速度は、液体と気体の接触面積が大きい程、また、圧力が大きい程、速くなるのです。

 
容器は肺、液体は体液及び血液を指していて、圧力は吸入する空気です。(水面では1気圧+吸引圧)

水中へ潜った場合では、容器の外側からも水圧の影響を受ける事となりますが、正常な呼吸をしようとした場合、肺へ吸引する圧力は外圧+吸引圧となり、例えば水深が10mの場合、水圧は2気圧ですから、2気圧+吸引圧となります。因みに水深20mだと、3気圧+吸引圧。

ヘンリーの法則(圧力下に於ける気体の溶解) Henry's Law
"ある温度の液体に溶解する気体の量は、液体に接触している気体の分圧、及び液体への気体の溶解によって決定する"

 そして、圧力が大きい程、液体中に溶け込める気体の量は多くなります。しかし、溶け込める気体の量にも限界があり、限界になった状態の事を飽和状態と言い、これ以上溶け込みが出来ない状態を指します。

気体が液体へと溶け込む現象は過渡現象で、時間に対して指数関数的に溶け込むのです。

この過渡現象とは、最初は急速に溶け込んで行くのですが、次第にゆっくりになり、飽和状態の間際では、殆ど溶け込まなくなってしう現象を言います。

潜水中のダイバーの体内においても同じ現象が行われているのですが、呼吸中の空気の中の不活性ガスである窒素N2が肺から血管を通して体内の各組織へと導かれて行くのです。

活性ガスとは、酸素O2CO2を指し、窒素N2は通常必要ないので不活性ガスと言っていたが、これは、陸上の固定された地域(圧力変化の無い、若しくは圧力変化の少ない)に定住する時の事であり、水中へと潜るダイバーでは圧力差が大きい為、窒素N2は活性ガス化する。

ダイビングによって取り込まれた窒素N2は肺血液中の血漿において酸化されて血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)へと変換されます。

空気中の組成の中で窒素N2は最大であり、潜水をする事で加圧され体内へと取り込まれて血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)として吸収して行くのです。下記の図を参照して下さい。

1ata(絶対圧力) 1atm(大気圧) 1atg(ゲージ圧) 水圧又はゲージ圧=水深(m)/10

絶対圧力(ata)=ゲージ圧力(atg)+大気圧(atm)=水深(m)/10+1

肺によって暴露された空気の内、酸素O2は血液中のヘモグロビンの結び付きによって体内へ運搬される。僅かだが血漿にもほんの一部が溶解する。酸素の運搬にも諸条件がある為、呼吸の項や血液の項を参照の事。

肺によって暴露されている窒素N2はその殆どがヘンリーの法則に従い血漿中(体液水分)に溶解されて体内循環し、体内組織全般へ吸収蓄積されて行く。

窒素は空気の内、約80%も占めていて生理学的にも多大な影響を受ける事となる。タンパク質、糖分、脂肪、そして体水分である血漿・リンパ液に大量に溶け込み飽和しようとする。

と、今までのダイビングに於ける諸文献で言われて来た為、余計に解り辛くしているのだ。
ダルトンの分圧の法則では空気1気圧=酸素0.2095気圧+窒素0.7808気圧+他の気体0.124気圧

この内、ダイビングにおいて問題とされる窒素分圧は0.7808気圧で、潜水する水深に応じて肺で曝露され必要な分だけを肺毛細細静脈内に取り込み、血漿に溶解し、更に酸化されて血中アンモニア(アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+)で平衡を取ろうと働く。平衡を取ろうと働いた時、曝露されている窒素N2を全て取り込む訳ではなく、体内における化学的な生体平衡なので間違ってはいけない。


窒素の排出

潜水目的も達成しダイバーが水面へ向かって浮上して行くと外水圧が下がり、体内の各組織内に溶け込んでいた窒素N2が血液から肺を介して、体外へ排出されて行きます。

窒素の排出曲線は指数関数的に排出され、最初は急速に排出されるのですが、次第にゆっくりとなり、最終段階の排出では、排出の状態が良く分からない状態となる為、予測での排出終了となります。予測とは旧来の12時間、24時間、48時間と変化し、最近では72時間の監視が必要ではとも言われています。


ビュールマンより

窒素の飽和と過飽和

私達が日常生活している環境圧で体内は飽和しているが、環境圧に於いて生活高度(高所地)の違いはあれど大体1気圧の空気の中で生活している。この時の空気組成の酸素O20.20948s/㎠、窒素N20.783s/㎠となり、0.20948s/㎠+0.783s/㎠+0.00752s/㎠=1s/㎠=1気圧の空気で飽和していると言う。

つまり、酸素20.948%と窒素78.3%とその他(アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム他)0.752%で飽和している。

で、窒素の飽和量を求めているので日常の生活環境での窒素の飽和量は0.783s/㎠→78.3%で飽和.

しかし、ダイビングを行った後では窒素量が明らかに増えており、中々減らないのだ。この様な日常生活環境圧より組成分圧(この時は窒素分圧)が高い状態の時、過飽和と言う。

だからと言って減圧症や減圧障害になる訳ではなく、体内許容出来る範囲であるので半過飽和とも言い、又は許容過飽和範囲窒素量と言い、大変に不安定な状態を指しています。

この時、許容過飽和範囲窒素量を超えれば減圧症や減圧障害を起こす事ともなるのですが、許容過飽和範囲窒素量を超えるには過度な運動や温度の高いお風呂、血圧や体温の上がり易い事、潜水後の早い時間での高所移動(飛行機搭乗、山越え)を行えば、体内で窒素の気泡化が起き易く大変に危険となり、減圧症や減圧障害を起こす高いリスクを帯びている事となります。

半飽和時間=ハーフタイム

潜水中に於いて、水深が深い(高水圧)程、潜水の時間(加圧暴露)が長い程、多くの窒素が体内の各組織中に溶け込みますが、この溶け込みの速度や許容量は、各組織(血液、筋肉、脂肪、脳、神経、骨や関節、その他.)によって大きく異なります。

この溶け込み速度により、各組織を区分し、それぞれの飽和状態の半分に達する時間を「半飽和時間=ハーフタイム」で表します。

半飽和時間は、短いものでは2〜3分、長いものでは300分〜480分(またはそれ以上)といわれています。そのそれぞれの組織が溶解、排出曲線を指数関数的に描き、集計表示したものがダイブコンピュータなのです。

半飽和時間の短い組織は、許容過飽和窒素量が大きく、半飽和時間の長い組織は、許容過飽和窒素量が小さい傾向があります。

半飽和時間の区分の仕方は、研究者により異なり、SUUNTO社では5分の半分の2.5、5分、10分、20分、40分、80分、120分、240分、480分を採用し、スイス人数学者のビュールマンが採用した2.65分、7.94分、12.2分、18.5分、26.5分、37分、53分、79分、114<分、146分、185分、238分、304分、397分等がありますが、ビュールマンは、さらに503分、635分組織も採用したものもあります。この数式を基にしてスイスアラジン社のダイブコンピュータシリーズZH--6や後継のZH-8は開発されました。

下記のグラフでは、一般的に見られる通常のダイビングで、1本目の潜水中、インターバル中及び2本目のダイビングをプロファイルとして表しているが、気になるのは下の段の残留窒素グラフではなかろうか!

HARF TIME図では6〜9ヶ所の部位を表すグラフや色分けにより表示構成されている。


SUUNTO社発表の想定図

手を加えて詳細化して見ると・・・    ハーフタイム図

参考までに実際の潜水ファイルを見てみると・・・。

ハーフタイムタイム図の色分けに従ったグラフ。上の段が時間経過での水深変化プロファイルグラフで、下段はハーフタイムでの残留窒素変化グラフ。

左の図は熱海の海底遺跡での潜水調査の時のダイコンデータだが、インターバル時でも残留窒素変化を追跡している。

この日の2本目を含めた残留窒素変化を見てみよう(*^_^*)

左の図をクリックして下さい。

ダイコンは加圧(潜降)されると6〜9組織に浸透していくが、各組織によりその浸透の速度が違い、また減圧(浮上)することにより排出される様に組み立てられている。

しかし、加圧による窒素の吸収速度より減圧時の窒素の排出速度が遅い為に色々と問題となる。

この窒素の排出が遅い為にダイブコンピュータによる監視が必要となるし、不安定な水深の維持や計画性の無い潜水によりマルチレベルダイビングと言われるダイブコンピュータ潜水が常である。

より安全に潜水する為にはプロファイルと残留窒素のグラフ表示を参考とし、管理する事をお勧めする。
    
このグラフを使って学習することにより、より安全なダイブプランを立てる事が可能と成ってくる。

立て続けに潜る海外やリゾートでの反復潜水は大変危険なものとなるが、どんな事が起きるのだろうか?

回数を増やして行くと徐々に6〜9組織の脂肪〜骨髄系統の窒素残留が多くなり、浅い水深に潜っても体内に加算されるようになる。

残留窒素の逆転現象または仮想潜水状態とも言う。
この状態での飛行機搭乗又は高所移動は大変危険である。
減圧症予備軍が出来るのは当たり前である。

ダイブプランナー(Dive memories)でのプロファイル・残留窒素追跡.

 
 ↑1本目・・・↑・・・interval・・・・・・・・・・・・↑2本目・・・↑潜水終了→→→残留窒素→→→

熱海の海底遺跡に於けるダイブコンピュータ検証


ここからは実際に計算式で表してみよう(*^^)v

潜水中のダイバーが呼吸しているその水深の空気の圧力を算出する。

水深=dep [m]  その水深における圧力は  水圧=1.013+0.1005×dep [bar=hPa]

◎水面における標準大気圧=1.013 [bar=hPa]  
◎海水の比重=1.025、重力=9.80665 [m/s2]

              
海水1[m3]の力=1.025×1000×9.80665 =10,051.81625 [N]

海水1[m]の圧力=10,051.81625 [N]÷1[m3] =10,055.25 [Pa] =0.1005181625 [bar=hPa] 

単に水深1mでの圧力は =10,055.25 [Pa] =0.1005181625 [bar=hPa] =0.1025 [kgf/cm2

空気中の窒素分圧の割合は、約79%で、肺によって呼吸し、実際にガス交換が行なわれる肺の中は水蒸気で飽和している為、呼吸する圧力からこの水蒸気圧を差し引く事が必要となります。

この水蒸気圧は環境圧に作用されないとして 0.063[bar](37) 47.25[mmHg] 0.06424 [kgf/cm2

水蒸気圧を差し引くのは、ビュールマンやSUUNTOなどの計算法で、U.S.NAVYのワークマンでは水蒸気圧は差し引かずに計算しています。数学的観点、及び生理学的観点での検知的問題点があるからです。
 
吸気中に含まれる窒素分圧

=(環境圧−0.063)×0.79 [bar]
=(1.013+0.1005×dep−0.063)×0.79 [bar]
=(0.1005×dep+0.95)×0.79[bar]  ・・・・・・・・・ (式1)
  この時、吸引圧(横隔膜呼吸)は計算に入れない。

参考 
水深=dep [m]  その水深における圧力は 水圧=1.013+0.1005×dep [bar=hPa][hPa=millibar,mbar=100Pa=1/1000bar]

     0.95は1.013(大気圧)-0.063(肺内の水蒸気圧)=0.95として求めている。

  パスカル(SI単位) バール 工学気圧 気圧 トル psi
1 Pa ≡ 1 N/m² = 10-5 bar ≈ 10.2×10-6 at ≈ 9.87×10-6 atm ≈ 7.5×10-3 Torr ≈ 145×10-6 psi
1 bar = 100000 Pa ≡ 106 dyn/cm² ≈ 1.02 at ≈ 0.987 atm ≈ 750 Torr ≈ 14.504 psi
1 at = 98066.5 Pa = 0.980665 bar ≡ 1 kgf/cm² ≈ 0.968 atm ≈ 736 Torr ≈ 14.223 psi
1 atm = 101325 Pa = 1.01325 bar ≈ 1.033 at p0 = 760 Torr ≈ 14.696 psi
1 Torr ≈ 133.322 Pa ≈ 1.333×10-3 bar ≈ 1.360×10-3 at ≈ 1.316×10-3 atm ≡ 1 mmHg ≈ 19.337×10-3 psi
1 psi ≈ 6894.757 Pa ≈ 68.948×10-3 bar ≈ 70.307×10-3 at ≈ 68.046×10-3 atm ≈ 51.7149 Torr ≡ 1 lbf/in²

 

 

 

 

さて、これまでの計算式は数字だらけで解り辛いので単純化すると・・・(笑)

吸気中に含まれる窒素分圧=水面圧1.013−0.063(肺の水蒸気圧)×0.79(窒素分圧)=0.7505[bar]

[bar]→[kgf/cm2]へ換算すると・・・  0.7505×1.02=0.7653[kgf/cm2

この数値は肺内がこの数値0.7653[kgf/cm2]のN2と、O20.2025[kgf/cm2]で暴露されている事となる。

ダイバーの体内組織を半飽和(ハーフタイム)時間により分類する。組織1〜組織9まで。このハーフタイムでの組織数は各研究者や開発会社によって違い、組織数6〜9、組織数16〜24等もある。

潜水中に於ける各組織内の窒素分圧は、下記の(式2)によって求められる。

[「Decompression-Decompression Sickness」A.A.Buhlmann 1984]の数式で説明していますが為、解り辛い部分があります(^^)ゞ

t        :水深計測のサンプリング時間(秒)
PB       :滞底水深における吸気内窒素分圧 ・・・・・・・・(式1)
PN2(i)   (前回の)各組織内窒素分圧・・・・・・前回までの残留窒素時間だが、次回潜水間際迄 !
QN2(i)     :(今回の)各組織内窒素分圧
Ht(i)    :各組織半飽和時間(分)・・・・・・・・ハーフタイムまでの時間.
In            :自然対数
        (i)   :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas
図内では省略.

 として計算式を見出すと・・・・・

      QN2(i)=PN2(i)+【PB-PN2(i)】×(1-e-k・t)・・・・・・・・・・・・・・・・(式2)

       k=In2/Ht(i)   eexp(exponential function)指数関数 In=自然対

  または

       QN2(i)=PN2(i)+【PB-PN2(i)】×(1-(1/2)t/Ht(i))・・・・・・・・・(式2')

【(参考文献資料)「Decompression-Decompression Sickness」A.A.Buhlmann著(1984)】

無減圧潜水時間の計算

無減圧潜水時間とは、各体内組織に於ける許容過飽和窒素量になるまでの最短時間です。

許容過飽和窒素量は、U.S.NAVYの減圧理論ではM値(M Value)、ビュールマンの理論では、P amb.tol.(the tolerated ambient pressure)として説明されています。

Half-time 2.65分 7.94分 12.2分 18.5分 26.5分 37分 53分 79分 114分 146分 185分 238分 304分 397分
3mDEC 3.44
3.5088
2.74
2.7948
2.31
2.3562
2.11
2.1522
1.95
1.989
1.76
1.7952
1.63
1.6626
1.59
1.6218
1.59
1.6218
1.54
1.5708
1.54
1.5708
1.45
1.479
1.31
1.3362
1.31
1.3362
6mDEC 3.8
3.876
3.1
3.162
2.67
2.7234
2.47
2.5194
2.31
2.3562
2.11
2.1522
1.98
2.0196
1.93
1.9686
1.93
1.9686
1.86
1.8972
1.86
1.8972
1.77
1.8054
1.62
1.6524
1.62
1.6524
9mDEC 4.17
4.2534
3.47
3.5394
3.04
3.1008
2.84
2.8968
2.66
2.7132
2.46
2.5092
2.33
2.3766
2.27
2.3154
2.27
2.3154
2.19
2.2338
2.19
2.2338
2.09
2.1318
1.94
1.9788
1.94
1.9788
12mDEC 4.54
4.6308
3.84
3.9168
3.4
3.468
3.2
3.264
3.02
3.0804
2.81
2.8662
2.67
2.7234
2.61
2.6622
2.61
2.6622
2.51
2.5602
2.51
2.5602
2.41
2.4582
2.25
2.295
2.25
2.295
15mDEC 4.91
5.0082
4.21
4.2942
3.77
3.8454
3.56
3.6312
3.38
3.4476
3.16
3.2232
3.02
3.0804
2.95
3.009
2.95
3.009
2.83
2.8866
2.83
2.8866
2.73
2.7846
2.56
2.6112
2.56
2.6112

 

 

 

 

 

上の数字は[bar]表示、下の数字は[kgf/cm2表示です。

上の図は、各半飽和組織毎の各水深における許容過飽和窒素量[bar]を示します。

[bar]→[kgf/cm2]へ換算する場合は 1[bar]×1.02=[kgf/cm2] 淡水圧仕様

尚、海水圧を考慮した場合は、1[bar]×1.03[kgf/cm2]となります。淡水よりも海水の方が密度が高い為、圧力も高くなります。
淡水設定の計器の場合、34feetで10m表示ですが、海水設定の場合、33feetで10m表示となります。

半飽和時間の区分は、ビュールマンが採用した2.65分、7.94分、12.2分、18.5分、26.5分、37分、53分、79分、114分、 146分、185分、238分、304分、397分を用い、各水深における許容過飽和窒素量の値は、標準大気圧を1.013[bar]として、ビュールマン法を用いた算出値[bar]です。

許容過飽和窒素量の算出方法は、【(参考文献資料)「Decompression-Decompression Sickness」A.A.Buhlmann(1984)】 英語本、ドイツ語本があります。 A.A.Buhlmann
原書では、更に503分、635分の組織が採用されており、一考に値します。

ハーフタイム(半飽和時間)2.65分の組織に於いて、窒素分圧が3.44[bar]を超えると、水深3mで減圧しなければならない。

これは、窒素分圧が3.44[bar]以下であれば、浮上しても大丈夫と言う意味となります。

同じく、ハーフタイム(半飽和時間)7.94分の組織では、窒素分圧が3.1〜3.47[bar]の場合、水深6mで減圧して3.1[bar]以下になれば、水深3mへ移動し、水深3mで減圧を行い、2.74[bar]以下で浮上してもよい。という意味になります。

尚、無減圧潜水時間の算定は、(式2)を"t"について逆算すると求められ(式3)になります。

tx(i)    :各組織の無減圧潜水可能時間(分)
PB          :滞底水深における呼吸気内窒素分圧
PN2(i)    :(現在の)各組織内窒素分圧 
Ht(i)      :各組織の半飽和時間(分)
Ptol(i)   :各組織の許容過飽和窒素量(ハーフタイムの3mDECの覧の値を参照)
In          :自然対数
    (i)      :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

tx(i)=-Ht(i)×(In(1-f)/In2)   f=Ptol(i)-PN2(i)/PB-PN2(i)  ・・・・・・・(式3)

各組織毎に於ける無減圧潜水時間を(式3)によって求め、その中から最も短い時間が実質的な無減圧潜水時間となるのです。

深い水深設定での潜水では、早く浸透する半飽和時間の組織、浅い水深設定での潜水では、遅く浸透する半飽和時間の組織により無減圧潜水時間が決まって来ます。マルチレベルダイビングを参照

減圧停止時間の計算・・・下記図の左図を参照.

潜水中に於いて、いずれかの組織内窒素分圧が、許容過飽和窒素量より大きくなると減圧潜水となります。

減圧を行う水深は、その時の水深に関係なくハーフタイム表(半飽和時間)により、組織内の残留窒素分圧で決定されます。
複数の組織に於いて許容過飽和窒素量を超えている場合、その数値に対して最も深い減圧水深が表示され、減圧停止すべき減圧水深になります。

また、その減圧水深で計算される最も長い減圧停止時間が実際の減圧停止時間となるのです。

ty(i)    :組織毎の減圧停止時間(分)
PBs           :減圧水深における呼吸気内窒素分圧
PN2(i)   :(現在の)各組織内窒素分圧
Ht(i)    :各組織の半飽和時間(分)
Ptol(i)    :各組織の許容過飽和窒素分圧
In            :自然対数
     (i)   :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

ty(i)=-Ht(i)×In(1-f)/In2     f=Ptol(i)-PN2(i)/PBs-PN2(i) ・・・・・・・(式4)

残留窒素排出時間の計算・・・上記の右図参照

潜水後、水面休息時間の経過とともに各組織内の残留窒素は、指数関数的に排出されて行きます。

各組織毎の残留窒素分圧は下記算出式(式5)により計算できます。

t(i)        :水面休息時間(分)
PBs      :水面における呼吸気内窒素分圧
PN2(i)     :潜水終了時の各組織内窒素分圧
QN2(i)    :水面休息 t 分後の各組織内窒素分圧
Ht(i)  :各組織半飽和時間(分)
    
(i)      :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

QN2(i)=PN2(i)+[PBs-PN2(i)]×(1-e-k・t(i))・・・・・・・(式5)

e=exp(exponential function)指数関数 In=自然対数

「残留窒素排出時間」を厳密に算出するには、(式5)に於いて、QN2(i)が0(ゼロ)となる t(i)を求めなければなりませんが、(式5)のような指数関数では、t(i) が無限大にならなければ、QN2(i)が0(ゼロ)にはなりません。

通常のダイブコンピュータでは、残留窒素が完全に排出したとみなす窒素分圧を定め、その残留窒素分圧まで排出される時間を残留窒素排出時間として、計算しているのです。

つまり、みなし完了の為、最近のダイブコンピュータでは監視時間を長くとっています。

残留窒素排出時間は下記の算出式により計算できます。

tz(i)       :各組織の残留窒素排出時間(分)
PBs       :水面における呼吸気内窒素分圧
PN2(i)  :潜水終了時の各組織内窒素分圧
Pde(i)   :各組織毎の残留窒素排出とみなす窒素分圧
Ht(i)   :各組織半飽和時間(分)
In         :自然対数
     (i)   :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

tz(i)=-Ht(i)×In(1-f)/In2     f=Pde(i)-PN2(i)/PBs-PN2(i) ・・・・・・・(式6)

算出された各組織毎の残留窒素排出時間の中で、最も長いものが、最終的な残留窒素排出時間となります。

ただし、潜水終了後の残留窒素は直ぐには0 とはならず、24時間を超えて48時間、最近では72時間監視しているダイブコンピュータもある程です。これは、リゾートダイビングや不規則なダイビングを行う方が多くなり、ダイブコンピュータに依存した結果がこの様に長時間監視になったのです。

減圧症に対して安全係数を高くとれば潜水時間を多く取れなくなる為、開発各社とも苦労しています(^^ゞ

私達はダイブコンピュータに従えば減圧症や減圧障害に罹患しないと過信しています。ダイブコンピュータを安全に使う為の体質管理やダイビングスキルの向上、ダイビングでの心理面を補う知識も必要です。


◎シンプルなダイブテーブルH.Kunitsugu-SUUNTO(個人作)
  ダイブコンピュータの時代で有っても必要とされるダイブテーブルだが、ダイブコンピュータのデーターより引き出した新しいダイブテーブル(直読式)

未だ開発中だが、既に使用可能。(使い方説明が必要)

注意 減圧症自己治癒 潜水法のテーブルでは有りません。

M値とは(潜水中のNDLを決める指針だが、浮上のスピードによっても問題あり)
ダイブコンピュータ設計をする時、減圧症発症に関して問題とするM値とは何?
MMAXIMUMのMなのだがこれでは良く分からない!?

MAXIMUM = M-Value

浮上に際し、体内に於いて過飽和と成らない最大窒素分圧を指すが、浮上スピードを遅くする、叉は浅い一定の水深に停止する事によっても体内よりの窒素排出を促す事によって体内窒素分圧を軽減出来る。

M=Ma+ΔM × P(水圧の絶対圧を P として) 

減圧症にならないM値=M0 平常の窒素の体内分圧+許容分圧(0.3〜0.7気圧)

潜水後の水面でのM値=Ms(surface) 気圧変化(低気圧・台風・高所等)の関係あり。

潜水中、呼気中の窒素分圧はMaであり、周囲圧と吸引圧が関係する。

浮上中、浮上途中の停止中含む。体内よりの窒素排出分圧ΔM(曲者です(^_^;))

ΔMのΔ(デルタ)は大変に難しい部分を抱えており、体質・体調にも影響を受ける。

M=Ma+ΔM × PではMは常に減圧症に成らないMAXIMUM = M-Valueであり、浮上に於いてはP(水圧の絶対圧を P として)の体積膨張率を考慮しなければMが極端にプラスへと移行し窒素の過飽和域へ入ってしまう。

尚、浮上時のΔM肺内空気の膨張によって排出を阻害される為、M値をも左右する事態となる。

呼気中の窒素分圧は常に暴露値(Maは呼気中の窒素×水深圧)であり、体内の窒素排出分圧ΔMは周囲圧よって支配されるが、何よりも問題とされるのは潜水に於いて体内の各組織に吸収した窒素は、浮上時、全身の静脈を介して大静脈へ集中し、心臓の右心房前の大静脈管内圧を高めて行く。

(右心房は弁付)この時点で大静脈内圧が高くなり過ぎるとT型減圧症を発症するが、右心房の弁が開いて窒素分圧の高い血漿成分を右心室から肺へ送り込み窒素分圧の低減を計るのだが、低減が出来なかった場合は致命傷とも言えるU型減圧症発症する恐れが出て来る。

ここでも問題とされる事が起きてしまう。では、M値決定での諸問題を考えてみよう。

1.呼吸が速い。
2.心拍数が早い。
3.息を止めている。 
4.周囲圧が低くなり、体内圧(窒素排出圧や血圧が高い)が高くなる。

1〜4を考慮してM値を決めなければならない為、ΔM値の考え方やMaの呼吸の仕方、浮上の方法にも一工夫が要るのである。

M値とはM=Ma+ΔM × P(水圧の絶対圧を P として)として単に数式当てをしているがダイビングに於ける潜水生理学及び潜水物理学を改めて勉強して頂きたい。

M値を考慮した安全係数の高いダイコンを設計しようとすると潜水時間が短くなり、減圧潜水を行った場合はやたらと長い減圧停止が出てしまうのが難点である。

M値を考慮した上で、潜水のスキルを高めたダイバーご用達のダイコンも有る事を忘れてはいけないが、それ程にリスクがある為、中性浮力重視やオーバーワークをしない、浮上には特に呼吸法を注意をするダイバーを目指して欲しいですね!

M=M0 + 10Pcompmax,i (absolute pressure in msw), maximal tolerable inert gas pressure 許容最大限の不活性ガス圧力.
M0 =10(a+1/b) (absolute pressure in msw) 絶対圧力.
ΔM = 1/b (dimensionless)
i  subscript indicating the inert fraction of a gas 不活性ガス.
ins  subscript indicating the inspired gas 示されたガス.

参考 1.飛行機搭乗禁止時間について  2.ダイブコンピュータ検証「反復潜水と残留窒素」

     3.ダイブメモリーズ・アクティブプランナー検証グラフ


Qq.マルチレベルダイブ 
 マルチレベルはモノレベルの繰り返し潜水から始まっている事を忘れてはいけない。

◎最近では、ダイブコンピュータに依存した潜水の遊び方が主流となりつつある。

しかし、以前のモノレベル潜水法とは違ったマルチレベルダイビング潜水が一般化されるが、モノレベルとマルチレベルでの違いと安全について考えてみよう。

a.モノレベルダイビング

旧来より使って来たUS NAVYや日本の潜水士必携のダイブテーブルが是に当たり、時間の設定や浮上に際してのスピード及び休憩時間であるインターバル時間等が細かく決まっていた。(イギリス、フランス、イタリア、其の他の国にもテーブルが存在)

ダイブテーブルの基本と成るものはイギリスの学者ホールデンの「2:1の法則」であり、潜水夫の減圧症罹患を数多く見て、防ぐ為に考え出された。

是は、潜水での窒素飽和と浮上に対しての定義を定めたもので、これにより飛躍的に潜水での作業が安全となった。

しかし、時が経ち、軍事目的や商業潜水等に使われる事により、さらに磨きが掛かり、より安全なダイブテーブルへと発展している。

この「2:1の法則」定義は、現在では「1.75:1の法則」に変わろうとしている。

b.マルチレベルダイビング

ダイブコンピュータの普及により、より複雑な潜水が可能となり、モノレベルタイブでは厳重注意とした事までが、いつの間にか薄れて潜っていないだろうか?

ダイブコンピュータ自体が万人の為に作られた物であり、少なかれ余裕を持って使わなくては成らないし、マルチレベル潜水そのものを勉強して頂きたい。
   
マルチレベルダイビングは、モノレベルダイビングを元に発展させているので、どの様に発展させたかを述べなければ成らない。

体の組織を6つの部位(コンパートメント)に分け、血液の循環時間毎に仕分けをする。

各部位及び組織により窒素飽和度がそれぞれ違う為、血液の全身一巡時間を5分とし、一巡時間の半分の2.5分をハーフタイムとしてスタートコンパートメントとする。

このコンパートメントのハーフタイムは、6タイプ、8タイプ、9タイプ、12タイプ、其の他と分かれますが、コンパートメント数が多い程、より複雑で安全とはなり得るのだが、各メーカーのダイコンにより、どの、誰のテーブルを使い、安全係数値をどれだけ設定するかにより決まりますが、ここでの優劣は差し置きたいと思います。
   
コンパートメント(部位組織)の考え方はどうであろうか?

単的に6コンパートメントで説明すると・・・まず容器が6つ有るとしましょう。

容器にA、B、C、D、E、Fと名前を付け、Aは吸収が早く、Fは一番遅く吸収する。

この容器は少し違った形の容器ですので、事前に説明をしましょう。

この容器は下の図の様になっていて、各組織を表します。


                 

他の容器へも同じ位置でつながっているが、このつなげているパイプは徐々に太さが違い、F(右)に行くほど細くなるが、これは抹消組織ほど血管が細く、また血圧が弱い為と、組織からの窒素分離が遅い事を想定している。

潜水中(加圧中)に窒素の蓄積が始まりますが、この容器は300%ほど有り、どれか1つでも100%を超えると減圧表示が出される仕組みと成っている。

浮上(減圧)の場合はAの容器は速く抜けて行くが、B〜Fの容器の分はゆっくりと徐々に排出されて行く。

完全に抜ける為には、12時間以上48時間以上も掛かってしまう。(最近は72時間監視)


 

同じ様なグラフを並べて見たが、○の所の各部位の窒素変化で、浮上中が危険と判るが、減圧症が発症するとすると、下の図の3〜5番の部位と判断が出来る。



マルチレベルダイビングでの危険性について

1.体質により窒素の排出が遅い為、モノレベルより危険度が高い。
体質(体脂肪が多い、末梢血管が細い方、内蔵機能の低下している方、その他)

内臓機能低下とは、二日酔い、睡眠不足、脱水症状を呈している人、内臓等に慢性的な疾患を持っている人、特に肝臓に障害があり、アンモニアや尿素の処理障害がある方、糖尿病での高血糖や低血糖、腎臓障害等。

その他とは関節等に問題を持っている方、例えば関節炎、脊椎変形や関節からくる神経痛やしびれを持つ人、リュウマチ、痛風等の疾患及び疑いのある人。

2.インターバルの時間が短い場合に、中間の組織より上位組織に残留窒素を多く残したままの潜水となる為に反復潜水中は1本目よりも早く飽和点が来てしまう。

その為に潜水時の移動と浮上時は特に注意をしなければいけない。

@ソーツース(のこぎり型移動) 
Aリバースプロファィル(浮上間際に深い所へ)
B浮上時のオーバーキックフィン 
C安全停止時のスキップ呼吸
D安全停止(3〜5分)終了後の急な浮上 
E潜水終了後の水面、陸上での過度な運動 
F潜水後すぐの温泉や長時間のシャワー 
G潜水後すぐの高所移動
 
危険と言われる事をあげればきりが無いが、モノレベル潜水よりもリスクが高い事を注意しなければいけない。
3.マルチレベルの管理においては、潜水中の移動時に最大水深到達以後は2.の@とAで述べた注意点に気を付けてきれいなプロファイルグラフを作れる様に練習をしたいものである。

   下記の図はマルチレベルダイビングに於いても危険とされる潜水のパターンです。

1.リバースプロフィール(プロファイル)
潜水の終了間際に深い所へ潜ってしまうスタイルであり、良い潜りとは言えない。

2.ソーツース(のこぎり型、ヨーヨー型)
フラフラと上がったり下がったりと安定しない潜り方。中性の取れない初心者に多い。

3.連続型ダイビング
インターバル(休憩、ガス圧減少)時間を殆ど、また、30分程度で次の潜水を行うスタイル。

しかし、問題とするのは残留窒素量の飽和度変化グラフであるので、ダイブメモリーズを使った検証をしてみた。

インターバル時間が短いと窒素ガスの飽和度が大変に高い事が判る!! 0%から始まって100%で窒素ガスの飽和帯へ入る。上の図の3本目は100%に限りなく近い・・・つまり、危険といえる。

下の図は、3本目にうっかりして沈み込みをしてしまった。気がついて普通(浮上スピード6m/min)に浮上しても減圧モードへ入ってしまう。

ダイブメモリーズ検証ファイル(遺跡調査時の実際のデーター) 必見です!

グラフ検証により、浮上時の窒素排出スピードの違いが分かるだろうか?

また加圧時と違い、減圧時は各組織よりの窒素排出減衰率の違いの為にゆっくりと放出が始まる。

1.3、1.6、1.9、2.2・・・2.9 これは3m毎の圧力変化の数値であるが、どこからこの数値は出て来たのだろうか?

もともとこの数値は、肺や内腔(耳腔・鼻腔)壁に呼吸(吸引と排気)によって生じる圧力によってその組織が損傷を受けない数字と思われる。

とするとこの値はその個々の運動能力、肺や内腔(耳腔・鼻腔)の機能に関係して個々に対応する圧力も違って来てしまうが、潜降中は耳抜きが出来れば良いが、浮上中は肺内での窒素の放出圧とレギュレーターの空気の吸引圧よる微妙な変化によりマイクロバブルスの生成場所(肺が!)に成り得る可能性がある。

最近の浮上法の参考例は12mより8mへゆっくり入り、6m〜5mへ入り安全停止、又は4m〜3mで安全停止を行うスタイルがあるが、これは安全停止と言っても窒素分の放出をスムーズに行い、肺動脈圧を軽減する動作と覚えてもらいたい。


補足:大静脈で戻って来た血液は右心房、右心室を経過して肺大動脈へと進みガス交換をした後に左心房に入り左心室より全身へ送り出される。


1〜9区分 5分間組織の半分、2.5〜480分まで.
 
@1〜3区分は早い組織. 
A4〜6区分は中間的組織. 
B7〜9区分は遅い組織.

注 上位組織とは脂肪〜骨髄組織・髄液組織 (参考図検証)

体内の水分分布が問題とされているが、細胞外液と細胞内液、そして間質液=リンパ液の動きがダイビングでの鍵を握っている。

参考 潜水での脱水 
血液の循環 血液とは何? ダイビング中とダイビング後の血液の状態って

 

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