【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】 study-four_gからの続きです。

Jj.減圧症  当分の間、下記の説明に従い改編致します。

現状の説明では減圧症を解明し、本当の姿を語る事が出来ません。
窒素N2→体内へ取り込まれた窒素N2を分解合成した血中アンモニア(NH3、NH4+)、アンモニア系としての尿酸C5N4N4O3と尿素NH2CONH2を説明に加えて、潜水に於ける加圧・減圧・浮上理論の生体理化学を述べながら減圧症の症状、減圧症発症の過程、減圧症の治療と治癒法、減圧症予防と掛かり易い体質、本当に自然治癒法は無いのか? を述べて行きます。2011.02.18

(M値はダイコンの項へ)

減圧症治療と治癒の項目は s にあります。

◎減圧症は8m以上の水深において長時間の空気暴露によつて起きる潜水症の一種であり、空気中の窒素が体組織へ飽和して行き、浮上時に過飽和となると血管内で気泡化し血栓を作る要因となる。

この気泡化した窒素の泡は引っかかる部位によりいろいろな症状と障害を起こす。

注意・・・窒素は単体では気泡化致しません。ですから、窒素の泡や窒素の気泡化と言う言葉自体が矛盾しています。しかし、国内・国外でのダイビングの指導に於いて、或いはマニアルの上で窒素の泡や窒素の気泡化と教えて来た為に現在でもこの指導法に従っています。

実際には、この減圧症の項でも述べていますが、生体生成ガス泡(マイクロバブルス)の表面に油膜を張る、或いは油膜を作り泡の中にも内包され合成化も進んでいるのです。

過飽和となると油膜面の厚みが増し、油膜面の粘性強度が増す事で心臓をすり抜け、脳へ運ばれて動脈ガス塞栓を起こす事となるのです。これが、U型減圧症発症の初期原因です。

では、脳ではなく体内へ入った油膜面の厚くなったマイクロバブルスの一部は門脈を通って肝臓や腸、或いは門脈外の腎臓へ行き、油膜面と内包されたガスを分解されて静脈へ戻されたものと、全身を通って静脈へ戻るのですが、途中で表面油膜の窒素分と内包されたガスは合成分離(酸化、硝化、窒化・還元)され、又は、油膜面が薄くなり、消泡されやすくなります。

マイクロバブルスは静脈〜肺へ出て消泡されますが、脳以外の処で血管閉塞が起きる場合もあり、やはりこれもT型、U型、合併型の減圧症の原因となります。

関節や筋肉に起きるものと、脳に起因する障害等があり、また軽微なものでは皮膚組織等の毛細血管塞栓障害などがある。

前者がT型、中者がU型、後者が皮膚型として分類される。

減圧症には航空機での空中上昇時減圧症と、ダイバーによる水中浮上時〜浮上後の減圧症がある。

いずれにせよ、減圧症の発症に起因するものとしての窒素ガスN2が肺で曝露された時、外圧より体内圧が低く平衡を取ろうとして肺の毛細血管内へ取り込まれるが、この時、窒素ガスN2は酸化されて、血中アンモニアとしてアンモニアNH3(刺激臭が強く・有毒性・水溶性・脂溶性)と酸化分解合成の大半を占めるアンモニウムイオンNH4+(無臭・無毒・難脂溶性)として取り込まれる事となる。

また、取り込んだ後に不必要なアンモニアの一部は尿素(無臭・無毒・難脂溶性)として膀胱へ蓄えられ、また一部は高率な抗酸化剤としての尿酸(無臭・非水溶性)へ。

この内のアンモニアNH3(刺激臭が強く・有毒性・水溶性・脂溶性)と尿素は(無臭・無毒・難脂溶性)は細胞間を拡散し、移動する為に何らかの問題を呈するとされるが、アンモニアNH3に関わるとすると、マイクロバブルスの増産と泡の粘性や膜厚化及びマイクロバブルス内包のガス圧上昇に寄与する事での心臓のすり抜け現象を起こし、U型減圧症に介在していると思われる。

では、尿素の場合、脂溶性で無い為に細胞膜(脂質二重層)を通過しにくく、尿素輸送体の助けを借りて通過している為、T型減圧症に関わっていると思われる。

体内での血中アンモニア値が上がれば、当然として腸での分解合成等の代謝が高まり、静脈血中のマイクロバブルスの増産に結び付いている。

筆者の減圧症経験談(T型・U型他)も下部 の減圧症自己治癒潜水法の中に記載致しました。

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減圧症目次 (ブラウザの戻るで操作して下さい)

A.減圧症タイプ別分類.(図)

B.
潜水による障害、発症部位、症状及び医師による治療法.(図)

C.
体内に 【減圧症発症因子】(マイクロバブルス)を保有する危険なダイバーって???

D.
減圧症に罹患しない潜水法とは何?

E.
整体の異常 (減圧症と疑っても違う場合が有るので述べて置きたい).

F.
インターバル時間と体内残留窒素変化及び減衰、ならびに飛行機搭乗禁止の是非.

G.
窒素の気泡?、窒素とは何?、どんな性質?

H.
生体生成ガス(マイクロバブルス)・・・!?

I.
窒素酸化物としての窒素N2


J.組織からのCO
2の運搬.

K.
組織に於けるガス交換.

L.
減圧症発症に起因? 並びに浮上時のダイバーの生体に多大な影響を与える乳酸!?

M.減圧症発症のプロセスと残留窒素グラフによる過程検証.

N.【減圧症発症因子】 とは何?

O.外部圧迫(水圧)による体液(血漿/リンパ液)の体内移動.

P.減圧症発症の過程としてのファクター! 減圧症になり易い潜水スタイルとは?

Q.減圧症の発症.

R.神経支配と各神経障害/減圧障害による症状 神経系-中枢神経型 末梢神経型各種.

S.治癒・治療プロセス.

T.減圧症治療.

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潜水による障害、発症部位、症状及び医師による治療法(図)

                      上記の図をクリックすると拡大図が見れます

防止する為にはダイブテーブルを遵守し、より安全な使い方を勉強して頂きたい。

ダイブコンピュータにおいても使用に際しては万人用に作られている為、無理な使用は控えて頂きたい。(別の項で説明)

長時間の滞底やインターバルの短いダイビング、大深度潜水及び海外での連日のダイブ本数の多い潜水スケジュール、潜水後の高所移動等は減圧症の予備軍ともなります。

減圧症の症状として皮膚型減圧症はかゆみ、ちくちくとする痛み、皮膚発疹、大理石斑が起き、出る場所も人により違う。

T型減圧症は肘、肩、膝、股関節等で、症状は鈍痛、関節内がむず痒い、ひどい場合は絞られるような痛み及び激痛及び激痛の余り失神する。

筋肉では上腕や下半身の筋肉等に起き、症状はむず痒い、しびれ、力を入れると痛い及び継続的しびれや体温の変化により疼痛がおき、筋肉が部分的に冷たくなる等でひどいときは絞られるような痛みと疼痛が起きる。

ただし、関節部の接触や圧迫での直接的・間接的に神経に触る事での激痛・鈍痛・しびれ等が有る為、一概に筋肉型の減圧症と見れない場合がある。

筆者の罹患症状を参照の事.減圧症筆者経験談

U型減圧症は脳及び脊椎型になる為、ありとあらゆるところに障害として表面化する。

しびれや麻痺、めまい、吐き気、呼吸困難、胸痛、感覚障害、上げていくときりが無いが、ひどい場合は重度の激痛や失神及び呼吸停止や死にも至る。

症状として重度の場合は潜水内容に無理の有るものと、潜在的に体内に危険因子(マイクロバブルス)を保有するダイバーにおきる。
 
体内に【減圧症発症因子(マイクロバブルス)を保有する危険なダイバーって???

潜在的に体内に【減圧症発症危険因子 】(マイクロバブルス)を保有するダイバーとは、オープンウォーターの講習中で有っても海洋実習の繰り返し潜水後に行う緊急浮上訓練時にも、この発症因子を作る原因とも成り得る。

更に、講習終了後でのツアー参加時に2本目のダイビング終了間際のBC操作不良による急浮上や、2本目終了間際にうっかりと深い水深へと落ちてしまったり、行ってしまったりすると、浮上時によくよく注意しないと【減圧症発症危険因子 】を作ってしまうのである。

また、リゾートダイビングでの複数日繰り返し潜水で体内残留窒素の逆転現象で起きる場合が多々有るのだ。

この体内残留窒素の逆転現象とは吸収の遅い組織に蓄積した残留窒素が飽和寸前な状態となり、浅くて僅かな潜水でも過飽和現象を起こす事を言っている。

ダイブコンピュータのゲージ表示に従って潜っていても、ダイブコンピュータの使用テーブルやマルチレベルダイビングでの問題点はゲージ画面に表示はしてくれないのです。

つまり、知らない内に減圧症発症予備軍(隠れ減圧症)になっている可能性があり、正規な減圧症罹患者になっても不思議では無い。

これは、思いもよらないダイビングで減圧症なる為、ショップやインストラクター、ガイド等が、また、本人も不思議な現実に凍りつくだろう !!

潜水後にダイブコンピュータだけをひもにつるして減圧させるダイバーは少なかれ減圧症に既に罹患、又は減圧症発症因子を持っていると断言する。つまり、いつ発症しても不思議では無いので有る。・・・どこの病院で治すか知りませんが、完治する保障が有りません。
     
現在(2004年までの統計)、年間に600人〜1000人の方が減圧症になっている。この数字は20年前の8〜10倍以上の減圧症罹患者を作っていると言った方が正解だろう・・・。

20年前にもダイブコンピュータが有るのに、何故これ程に減圧症罹患者が多いのかを問題としたい。

尚、日本での減圧症治療では既に治療の限界に達しているようで完治者も1〜2割と低い数値で推移している。これも、ダイビングテーブルを疎かにする結果だろう !!

◎減圧症を完治させるには・・・? (下項に詳しく掲載)

5気圧チャンバーでは無く7気圧チャンバーが有れば7〜8割の方が完治する!

しかし、この様なチャンバーは国内では海上自衛隊しか保有していないのが現状。

それ以外では実際に海に潜るしかないが、60m以上の深々度に於ける管理者ダイバーが国内には少なく、容易に潜る為にはテクニカル系ヘリウム酸素潜水が向くが経費も莫大で有る。

これ以外では私の考案したエアテクニカルダイブ【減圧症自己治癒潜水法 】しか無いが、スキルでのプール訓練、実地訓練と、空気潜水に於ける潜水学の知識を学ばなければいけない。

いずれにしても減圧症に罹患しない無理の無い潜水法を改めて勉強して貰いたい。

減圧症に罹患しない潜水法とは何?
潜らなければ誰も減圧症に罹患はしないが、そうはいかない(笑)
では、次の事だけは留意しなければ成らない!

1.ダイビングテーブルの成り立ち、使い方を改めて検証し、窒素の飽和と過飽和とは何かを勉強、更に潜水時の時間の経過に対する自覚を必要とする。

空気の組成 酸素と窒素の比率及び地上での圧力と水中での圧力がどの様に身体に影響を与えるかの知識を得る.(ボイル・シャルル、ダルトン、ヘンリーの法則等)

2.潜水時の加圧、減圧、浮上の提議を改めて考え、特に浮上に対する危険性を考える。
水深変化での圧力変化(地上=1気圧、水深10m=2気圧、水深20m=3気圧).
水深が増す事での身体外部への水圧増加と身体内圧の増加 !! 窒素(血中アンモニア)の吸収と体液の移動. 窒素(血中アンモニア)の体内吸収と蓄積による飽和について. 潜水時間と窒素(血中アンモニア)の吸収状態.

浮上時の減圧=身体外圧が減る事で起きる身体内圧の減少→窒素(血中アンモニア)の排出(体液溶解分と身体組織溶解分)と体液の移動.(体液とは血液とリンパ液).

注意: 窒素は体液及び組織中であってもN2単体では不安定で、化学合成されて安定化する為、分解排出する為には時間を要する事となる。減圧による窒素(血中アンモニア)の硝化→窒化・還元での排出。

3.呼吸と運動、特にオーバーワーク並びに過度な呼吸に対しての危険性を認識する。

4.器材の使いこなしを改めて勉強する必要。特にBCに於いては尚更に使い方を勉強。

特に通常の安全時間潜水(テーブル及びダイコン指示)を終了後、浮上に際しての安全な浮上や浅海(3〜5m)での一時的な停止が出来るかが問題とされる為、初心者ダイバーの時に徹してマスターすべきなのは2.加圧、減圧、浮上の提議が必要とされ、自覚すべき問題だ。

5.陸上における窒素N2は、ほぼ不活性ガスとして見られているが、ダイビング(加圧環境)に於ける窒素N2活性ガスとして見なければいけない。

活性ガスとしての窒素N2は体内へ取り込まれると血中アンモニア(アンモニアNH3、アンモニウムイオンNH4+)となり、体内で平衡を取る様に働き、不必要とされるアンモニアは尿素や尿酸として膀胱へ貯蔵或いは尿として排出される。

体内で毒性のあるアンモニアを無毒化出来ないと、高アンモニア血症、高アンモニア血症化での高血糖、高アンモニア血症化時の低血糖と脱水化等が起きる事で、体内での代謝異常や身体恒常性の異常が起き易くなります。

糖尿病T型・U型疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、心筋や骨格筋の異常疾患等に対し軽い、又は重い疾病のお持ちの方は減圧症或いは高気圧障害に掛かり易い体質と言えます。

自分自身が減圧症かどうかを調べる場合、血液検査をお勧めするが内臓疾患やひどく外傷等を持っていると判別がしずらくなる・・・!

白血球数を調べる方法だが、この時に肝臓や腎臓等その他の臓器数値をチェック出来、臓器に問題が無いのに異常に白血球の数値が高い場合は疑って掛からなければならない。
風邪や病気等にかかっている場合でも詳しくは出ません。

しかし、一向に風邪が治らなく医者でも原因がわからない、視力が急に低下して中々治らない、肩こりが治らない等も疑って掛かる必要がある。

潜水後のしびれ、かゆみ、関節内部のかゆみや鈍痛、身体の部位圧痛、温度差により起きるしびれ、かゆみ、圧痛や鈍痛、筋肉の痛み、無筋力等は疑う必要があります。
  
一般の医師では判断が出来ませんので専門医にての診察を受けてください。

治療は治療用高圧室チャンバーを持った病院で治療するが、全ての減圧症が治るわけでもないのでご注意を!!

◎整体の異常 (減圧症と疑っても違う場合が有るので述べて置きたい)

身体に於いて脊椎、頚椎、骨盤、股関節他で変形が有る場合はこの限りではない。(この他とは各関節)身体のねじれや神経の圧迫が有る場合は減圧症に近い症状が出る事がある。

例えば、骨折や複雑骨折による部位損傷や神経圧迫、末梢組織不全、血行不良による冷えや痺れが有る場合は減圧症と似た症状が出易い。

整体師や整形外科、部位専門の医師に相談すると良い。

整体矯正具として参考にして下さい。(工夫すれば自分で作れます)
骨盤矯正ベルト(サポーター)【ラクダーネ】   骨盤矯正ベルト 【トコちゃんベルト】

 
ハーフタイムによる血液循環図(拡大版)     ダイブメモリーズAPを使った検証
         <どの部位に減圧症が出易いのか検証が出来る>

◎ 減圧症に罹患した場合、高圧室を持った病院等で治療を受けるが、治療後の不安を取り除く為の体内に残存する減圧症発症因子を取り除く潜水法もある。(要訓練と要知識)

@減圧症罹患者の再潜水の手順と方法、並びに軽度な減圧症を潜水(水深30m以内)によって低減させる潜水・浮上法.

A「減圧症自己治癒潜水法」による減圧症発症因子の取り除きによる完全治癒法.

インターバル時間と体内残留窒素変化及び減衰、ならびに飛行機搭乗禁止の是非.

以前には潜水終了後での飛行機搭乗は多くは語られる事は無く、凡そで12時間の時間を空ければ飛行機の搭乗は大丈夫又は繰り返し潜水では無いと無視されていた。

しかし、世界での潜水病と減圧症の統計が集まると、減圧症の時間経過発症に於いて、24時間を超えて72時間でも減圧症の発症が多々有る事が判ってきた。

これは、潜水への体質的適性が無くても潜れる土壌と世界が広がったせいでもあろう。

窒素を含んだマイクロバブルスと生体生成ガスのマイクロバブルス、生体生成ガス極小サイレントバブルスは共に生理生体学上では異物であり、当然ながら白血球及び抗体の攻撃対象となる。

また、通常以上の溶存酸素も抗体反応を起こす引き金となってしまうのである。

この他には、酸素過剰となった場合にその組織が自らの意思又は脳からの命令によって機能の停止及び保全を行い、酸素過剰による損傷からその組織を保護をする作用を持つ。

また、表皮組織は体温の低下に伴い、血管を収縮させ体温の損失を防ぐ作用もあり、この血行が正常に戻るまでは減圧症罹患の影響も有り、よくよく理解をしなければならない。

抗体反応で有名なマクロファージもマイクロバブルスやサイレントバブルスも取り込む為に、その減衰も72時間も掛かっても不思議では無いのである。

極力減圧症に罹らない為には高脂肪率、血液中の水分と血行障害となる要因、潜水時間とインターバルの関係、浮上時のスピードと安全停止の関係を注意しなければならないが、体温の上昇と低下においての心拍数と血圧の関係も忘れてはいけない。

とすると、中性浮力が取れて安定し、オーバーキックをせず、精神的に不安なダイビングをしないダイビングが理想とも言えるし、減圧症にもなりずらい。高所移動と潜水を参照。

窒素の気泡はどんな性質?

窒素の気泡・窒素の泡? ・・・窒素単体では気泡化しません(*^_^*)

減圧症を考える時に窒素が気泡化すると言う事は、どの様な形をしているかと興味を抱くはずです。

単に普通の泡では有りません。とすると、どの様に体内に残り血液の循環を妨げるのだろうかと考えねばなりません。

気泡の発泡に寄与するのは、やはり細胞等の老廃物や極小の脂質で、それを核として周囲に気泡がへばり付きます。

しかし、この気泡はもともと体内で生成されて肺から出て行くサイレントバブルス若しくはマイクロバブルスと言われるものですが、この気泡に窒素が溶け込み表面張力を持った窒素溶融ガス気泡(シャボン玉状で有り、表面を覆う油・油膜)となって末梢の血管や関節内の毛細血管閉塞を起こすのです。

この溶融ガスは何に似ているのかなとすると、ちょうど赤血球や血小板の形態を持ち、かなり細い所でも平気で通って行きますが、生成核となっている老廃物の大きさ及び油膜の強さ・弾力性(気泡表面の反発力等)で毛細微小血管を閉塞させます。

とすると、この気泡を分解又は血液融解させる為には減圧症治療高気圧チャンバーでの加圧をするか、又は別の方法で高加圧しないと溶融排出されないのです。

体内で生成されるガス気泡を表して見た。(静脈・大静脈内部を想定)


小さい気泡の事をマイクロバブルスと言い、その中でも更に小さいものをサイレントバブルスと言う。シルバー色は生体生成ガス、赤色は生体生成ガスの表面に窒素が結び付いた物。

ギザギザの形の物は老廃物や細胞の壊れた物、及び赤血球等の壊れた物だが、これに生体生成ガスが取り付いて大きくなり、この生体生成ガスは右心房から右心室を経由して肺に送られ、消泡する。

しかし、老廃物や細胞の壊れた物は更に左心房、左心室を経由して腎臓や肝臓へ送られ排出されるか、分解吸収され体内に取り込み再利用される。

生体生成ガス表面に窒素が溶け込み、赤い色(実際の色は判らない)を呈しているが、ちょうどシャボン玉の様な膜となり油膜化し、膜が弱ければ肺に於いて消泡される。

膜が 厚い場合は消泡されずに体の中を循環しつつ、時間を掛けながら分解吸収されて行く、又は腎臓から膀胱へと排尿と言う形で出される。

ただし、過飽和等になって気泡表面の窒素油膜が大きい場合は、消泡されずに体内に残り血管を閉塞してしまう。動脈を介しての減圧症の発症が起きるのだ!

◎生体生成ガス(マイクロバブルス)・・・!?

腸管(小腸、大腸内の微生物分解)から吸収されたものや細胞内で合成されたもので、成分は水素H、一酸化炭素CO、窒化水素NO、アセトン、アミン類、メタン、窒素、イソプレン、硫化水素、アンモニア、その他のガス等 が呼気又は放屁、又は皮膚から放出されている。

この中で、静脈内気泡と思われるものは水素を基にした合成ガス気泡で、上下大静脈へ集まり、右心房・右心室から肺に送られて消泡される合成ガス気泡で 有る。

現在では、呼気ガスや生体ガスを調べる事での総合的健康管理に於ける生理化学が急激に進んでいるが、水素H+や窒化水素NOの生体的研究では目を見張るものがある。

水素は体内で最も多く産生されており、酸や塩基反応時に重大な役割を持っていて、pHのコントロールにも作用している。

また、水素は活性する事で抗酸化作用が生じ、活性酸素を抑制する能力を持っている。

窒素の説明を更に加えて行くと・・・

窒素(ちっそ)は原子番号7の元素、元素記号 N (Nitrogen)
アミノ酸をはじめ、多くの生体物質中に含まれており、すべての生物にとって重要で必須の元素。

一般的に単なる窒素という場合は、窒素の単体である窒素分子(窒素ガス、N2)をさしている。
窒素分子N2は常温に於いて無色無臭の非常に安定な気体である。

窒素原子N2は窒素族元素の1つで、生物にとって非常に重要であり、アミノ酸や蛋白質、核酸塩基など、いたるところに含まれている。

しかし、分解すると生体に有害なアンモニアNH3となる為、動物の内、特に哺乳類では窒素を無害で水溶性の尿素NH2CONH2に代謝(化学変換)している。

一般的には生体内では貯蔵は出来ないとされ、その大半は尿として排泄されるとしている。その為、体内に於けるアミノ酸合成に必要な窒素は再利用が出来ない為、持続的に摂取の必要がある。

だが、これは陸上の空気中の事であり、水中に潜るダイバーでは窒素N2は大量に取り込む為、心配は無いのである(笑)

ここからは潜水中の窒素N2を順に述べて行くが、その前に・・・

減圧症を起こすとされる窒素N2は 潜水加圧されると肺から吸収されて血漿(体液)に溶け込み体内へと溶解が始まるが、体内に取り込まれた単体の窒素N2は、そのままの状態では安定しない為に色々な化学反応を起こして安定な状態へと変化して行く。

一番に変化し易いのがアンモニアだが、アンモニア (ammonia)NH3の無機化合物は常温常圧では無色の気体であり、アンモニアは特有の強い刺激臭を持っており、体内に於いては低刺激性のアンモニア水毒性の無い尿素NH2CONH2毒性の弱い尿酸C5N4N4O3に代わって膀胱へ蓄えられる。

ここで、注意しなければいけないのはダイビング中は常圧では無く、水中の環境圧で体外からと体内からの圧力にさらされる為、極低刺激性・低臭気性・低毒性のアンモニア水溶液(酸塩基平衡反応による)に変わっていても不思議では無いのである。

アンモニア水と言われるアンモニア水溶液にも色々と変化が有る様なので・・・

アンモニアは水に対して発熱的に反応溶解し溶け易く、極性を持ったアンモニア分子が、より極性の強い水分子と水素結合を形成すると・・・

NH3(g) ⇄ NH3(aq)

 

またアンモニア水は一部電離するので・・・

NH3(aq) + H2O(I) ⇄ NH4+(aq) + OH-(aq) Kb=1.8×10-5
pKb=4.75

の酸塩基平衡反応によってアンモニウムイオン NH4+ と水酸化物イオン OH- が生じ塩基性を示す。

旧態ではアンモニア水の塩基性は水酸化アンモニウム NH4OH が生成し、これが電離すると考えられていた。しかし、水溶液中にはそのような化学種は認められず、また低温ではアンモニア→水和物 NH3·H2O が生成する。これは、アンモニア分子と水の分子が水素結合したものであり、水酸化アンモニウムの構造ではない。アンモニア分子と水の分子が水素結合したものであり、水酸化アンモニウムの構造ではない

弱塩基のアンモニアを中和した塩であるアンモニウム塩は弱酸性を示すが、これはアンモニウムイオンの酸解離による。塩基の強度は共役酸の酸解離定数で表記する場合が多い。

NH4+(aq) H+(aq) + NH3(aq) Ka=5.6×10-10
pKa=9.25

アンモニアの塩基解離に関しては電荷の増加による、水和の増加に伴いエントロピーの減少が見られるが、アンモニウムイオンの酸解離に関しては、電荷は変化しないためエントロピー変化は小さい。

アンモニアの利用と効用

強烈な刺激臭のため、気絶した人に気付け薬として嗅がせることがある。

アンモニア(9.5〜10.5%)の水溶液は日本薬局方一部医薬品(日本薬局方アンモニア水)で虫刺され用の外用薬の成分として用いられることもある。ただし、アンモニア自体はギ酸などには中和が期待されるものの、ヒスタミンなどに対する分解作用は無い。

更に窒素N2は元々蛋白質や脂肪・脂質及び糖質に安定して合成されて馴染む為、体内への吸収をスムーズにしているものと思われる。

また、血漿である細胞外液と細胞内液中に大量に取り込む事が出来る。

ただし、水圧による体外圧と体内圧の均衡が崩れ、体外圧が低くなれば組織より窒素N2を分解溶出し 、また、細胞内液と細胞外液から窒素N2を静脈中に放出を開始する事も忘れてはいけないが、肺から血液内の血漿中に取り込まれた窒素N2は色々な物へと合成されて蓄えられていた為に、組織から血漿中に出される時も反応を繰り返して排出されて行く。

当然として肺から放出される時まで窒素N2単体では無いのであるが、肺腔に放出された時から空気の一部としての窒素N2となる。

窒素酸化物としての窒素N2 (リンパの項と一部重複)

窒素の酸化物には

 1.一酸化二窒素N2O
 2.一酸化窒素NO
 3.三酸化二窒素N
2O3

 4.二酸化窒素NO
2 (低温・液体では二量体の四酸化二窒素N2O4)
 5.五酸化二窒素N2O5


一酸化二窒素N2Oは麻酔性があり、これを吸入すると笑いの表情を起こすので笑気ガスと言うが、室温では安定しており、300℃以上で窒素N2と酸素O2に分解し始め、酸化剤となる。

一酸化窒素NOは空気中で酸化されやすく亜硝酸NO
2になるが、高温では分解して窒素N2、一酸化二窒素N2O、酸素O2を生じる。

三酸化二窒素N
2O3は分解しやすく、気体では一酸化窒素NOと亜硝酸NO2の平衡混合物になると考えられるが、水溶液では亜硝酸NO2となり青色となるが、更に分解して硝酸NO3と一酸化窒素NOを生じる。

亜硝酸NO
2は空気中では比較的安定であるが、高温では一酸化窒素NOと酸素O2に分解する。

水に溶けると、亜硝酸NO
2と硝酸NO3を生じ、酸化剤となる。

五酸化二窒素N
2O5は室温でも亜硝酸NO2と酸素O2にゆっくり分解し、水に溶けると硝酸NO3になる。固体中では、亜硝酸イオンNO2、硝酸イオンNO3になっており、強い酸化剤になる。






上の図はアンモニアNH3の合成と分解についての図です。

結局、文献等を調べても体内へ溶け込む窒素N2単体吸収についての化学的根拠の答えは無いのである(^_^;)

ダルトンの分圧の法則は良しとして、ヘンリーの法則によって窒素N2単体の身体血液並びに体液への吸収では無く、その圧力に応じた身体血液並びに体液への吸収を受けると見る。それは、体内の吸収し易い組織から始まり、吸収しにくい組織迄に及ぶ。

よって、窒素N2は変換され易い形のものとして体内へと取り込まれる。

窒素N2は、毒性が強く刺激臭の強いアンモニアNH3、無毒・無臭のアンモニウムイオンNH4+低刺激性のアンモニア水や毒性の無い尿素NH2CONH2、毒性の弱い尿酸C5N4N4O3等に変えており、無毒・低毒性の化合物へ変化して蓄える、或いは膀胱へ排出させる事となる。脳に於いてアンモニアは毒となる為にグルタミン酸脱水素酵素でα-ケトグルタル酸と結合させてグルタミン酸に変えて無毒化しているのだ。

アンモニアの体内に於ける無毒化.

肝臓に於いて尿素回路で尿素に変換されたり、グルタミン合成酵素によりグルタミン酸と結合してグルタミンに変換され、無毒化されている。

骨格筋や脳や腎臓などでは、グルタミン合成酵素によって、グルタミン酸と結合し、グルタミンに変換されて無毒化している。

骨格筋では、グルタミン合成酵素の活性は低いが、全身での骨格筋の量が多いので、アンモニアを無毒化に大変重要なポストなのだ。

に、肝機能不全の際には、アンモニアを無毒化する筋組織として、無毒化の役割を果たし、慢性肝不全の状態では、骨格筋から血中へのグルタミン放出量が、増加する。

腎臓(尿細管細胞)、心筋、脳などでは、GDHにより、α-ケトグルタル酸と結合して、グルタミン酸に変換され、無毒化されて恒常性を維持している。

アンモニアの取り込みが大量となり体内で多過ぎる場合、体内で分担されて無毒化している。しかし、多過ぎる場合→→→窒素の飽和・過飽和と言う形でダイバーには説明しているのだ。

取り過ぎや分解能に問題があるとすると、重要なのは脳で、アンモニアには神経毒性があり脳内のアンモニア濃度が上昇して行くと、このアンモニアによって神経伝達が遅くなる。つまり、思考力や判断力、運動能力の低下が起きてゆく。

水深30m辺りからの窒素酔いは窒素の笑気ガス化とも言われているが、その根源はアンモニアにある事を忘れてはいけない。

とすると、窒素N2は肺で暴露されて、一部は血漿中に溶解して上述した成分へと変換されるが、特に変換された内、水溶性で大量に溶けるとされるアンモニアNH3では442倍(水1mlに442ml溶ける)と溶解度が高く、血漿は弱い塩基性(OH-)へと変わる。
NH3+H2O⇔NH4++OH
-

つまり、血中のアンモニア濃度が上昇し、塩基性でのpHが7.35以上へ上がる事となるが、血液は常にpH7.35〜7.45の間で保たれているので7.45以上へとなれば下げる作用が働く。調整系では炭酸緩衝系および肺の二酸化炭素排出、或いはリン酸緩衝系および腎臓の酸排泄によって調整される。

故に、窒素N2単体が体内に取り込まれる事は無い。

ダイブコンピュータ等での各組織ハーフタイム等を考えた時、その組織に浸透したアンモニアの濃度を見ているに等しい。日本の潜水士必携のダイブテーブルでは単に体内ガス圧の増減を表しているが、このガス圧の変化によって生体生成ガスの内包されたガス気泡の膜表面の厚みや粘性強度に変化をもたらす。

結果として、生体生成ガスが油膜面化し、その油膜面強度によっては肺に於いて消泡されず、心臓のすり抜けが起きて動脈ガス塞栓性の減圧症を起こしている。時に、脳型、中枢神経型、脊椎型と多様である。

動脈ガス塞栓症には窒素(アンモニア)を介在するものと、肺破裂等の空気が介在するものとがある。

窒素N2 の特異性  ← そのままです(*^_^*)
アンモニア水溶液は水(体液中)に非常によく溶け、酸塩基平衡反応によってアンモニウムイオンNH4+ と水酸化物イオンOH-が生じ塩基性を示す。

水酸化物イオンとは、化学式がOH-と表される陰イオンの事で、水の共役塩基にあたり、水H2Oや水酸化化合物が電離すると生じる。水酸イオンと呼ばれる事もある。

水素の性質
分子量 2.016 地球上の分子の中で最も小さく、軽い水に対する溶解度 2.1ml/100g(0℃) 0.85ml/100g(80℃)、水素は理科等の教科書に於いては「不溶性」と記載されるが僅かに溶解する。

沸点 −252.7℃ 地球上の存在では、常に気体状態。

化学的性質では可燃性、爆発性、酸素と結合して水を生成、爆発下限界4%、還元力が強い為、触媒を介してさまざまな化学合成品の原料となる。

生成法としては水の電気分解、土壌、湖水中の嫌気性細菌、藻類の代謝産物として作られる。

体内での生成は化学合成(合成と分解を繰り返す)

lymph-7図

ダイビングでの窒素の吸収と排出を表わしているが、リンパ管からの窒素の排出は左右の内頚静脈・左右の鎖骨下静脈の所から上大静脈へ流れ込み右心房へ入って行くが、内臓から下半身の窒素は下大静脈へ入り、右心房へ入る。

 

おさらいとして(*^_^*) 

組織からのCO2の運搬

CO2の溶解度はO2よりはるかに大きいが、血漿中に溶解しているCO2は少なく3mℓ/㎗で、静脈血に含まれる55mℓ/㎗のCO2の5%を占める程度だ。又、CO2の10%は血漿蛋白質、及びヘモグロビンとカルバミノ結合をしている。
                                                                H              H
カルバミノ結合とはCO
2がアミノ基と結合して CO2+R-N <     R-N <          となったもの。
                                                            H              COOH

血中CO2の85%に相当する大部分は重炭酸塩(NaHCO3)として存在するが、組織で生じるCO2は血液中に拡散CO2+H2OH2CO3⇄H⁺+HCO3⁻となる。

この反応は血中に於いては赤血球内にある炭酸脱水酵素によって速やかに行われる

これは静脈血でのCO2は赤血球内に入り、H⁺とHCO3⁻を生じるが、H⁺はヘモグロビンに緩衝され、HCO3⁻は血漿中へ押し出される

この時にHCO3⁻と入れ替わりにCl⁻が赤血球内に入る。これを塩素(Cl⁻)イオン移動という。

肺ではCO2が呼出されるので、これらの変化は逆向きに進んで行く事となり、この時、赤血球内に増加するHbO2が一種の酸として働き、CO2の放出を促進する。

NaHCO
3は真空中では1/2量のCO2しか放出しないが、酸を加えれば全量を放出する。

NaHCO3=1/2NaHCO3+1/2CO2+1/2H2O  NaHCO3+HCl=NaCl+CO2+H2Oとなる。

NaHCO3 炭酸水素ナトリウム(重曹) 水溶液はリトマス及びメチルオレンジでアルカリ性を示す。

非常に弱いアルカリなのでフェノールフタレインでは色がつかない。

水溶液
は65℃以上で二酸化炭素を放ち炭酸ナトリウム水溶液になる。 HCl (塩化水素) NaCl (塩化ナトリウム)

血液の全CO₂の含有量は

@溶解CO
2          約5%
AカルバミノCO
2      約10%
BHCO
3⁻(重炭酸イオン)  約85%
                     の和となる。

この内、血液CO2分圧(PCO2)として測定されるのは@だけで、他は結合CO2であり、遊離CO2と結合CO2との比は1/20となる。

動脈血ではP
CO2=40mmHgであり、この時の動脈血の全CO2含有量は遊離CO2が3%、結合CO2が47%、合計50%になる。

組織に於けるガス交換

血液と組織細胞のガス交換も拡散によって行われており、細胞内のガス分圧は測定出来ないが、分泌物などから見たO2分圧は20〜45mmHg、CO2分圧は50〜60mmHgと推定される。

ヘモグロビンの酸素解離曲線から明らかな様に、血液の酸素分圧が20〜45mmHgの範囲ではヘモグロビンの酸素飽和度は著しく低い為、大量の酸素がヘモグロビンから放出されて組織に供給される。

また、酸素解離曲線での勾配が急である為、酸素の供給はその組織の活動の程度によって応えている。更に、活動組織周辺での温度、CO2、pHが変化し、前述のボア(Bohr)の効果によって大量の酸素が組織に供給される。

この様に細胞組織に於いてはCO2分圧の上昇がHbO2からO2の放出を促進し、に於いてはHbO2の増加がCO2の放出を促進している。HbO2(オキシヘモグロビン/酸素ヘモグロビン)

肺毛細血管の循環時間は0.7〜0.8秒で、激しい運動の時でも0.3秒で1循環する。

血液と空気ガスとの接触は0.5秒もあれば十分平衡に達する。

拡散能はガスの種類によっても異なるが、拡散路の厚さの増大と拡散面積の縮小によって減少する。

注意:二酸化炭素CO2は体内ではCO2では無い! ダイビングでの重要項目

重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸 イオンHCO3
⁻、炭酸水H2CO3で存在する。
NaHCO3は重炭酸ソーダとも言う。Na2CO3は炭酸ソーダ

潜水での浮上中、窒素の放出は上下大静脈と全身のリンパ管を経由して上大静脈で合流し、右心房・右心室から肺動脈を通って肺で放出(排出)される。


(この図は呼吸法についての項と、「減圧症自己治癒潜水法」の項にも掲載してあります)

上記の図に判り易い様に生理的体液呼吸を表記して見た。

尚、窒素の排出は大静脈とリンパ管をかえして体外へと排出するが、窒素がリンパ節を通る事での白血球大量増産へと結びつくと思われ、その量も潜水の終了時から数日間は通常の1.5倍以上の数値となる。

数字的には14000〜16000以上ともなり驚くべき数値なのだ。

この事がダイビングに於ける免疫療法効果があるとされ、リンパ線線維腫にも効果が発揮された。

少なからず癌やリンパ線の異常、免疫の異常があった時には是非是非試して頂きたい(*^_^*)

この白血球を増やす方法はディープダイビング等では分かっており、減圧潜水や減圧がギリギリの潜水でも効果があるとされているが、更に効果を求める場合は「減圧症自己治癒潜水法」が最も適すると思われる。

普通に潜り、ダイブコンピュータの指示にも従ったにも関わらずに減圧症になった場合は、リンパ管内の窒素の流れと静脈内の窒素の流れ、及び血圧を含めた減圧症罹患を疑わなければいけない。

つまり、血液中の脱水とリンパの流れ、そして細胞内液の脱水が減圧症の発症に起因する。

 上大静脈に関わる細胞閉塞性T型減圧症(脱水と浮腫みを伴う細胞閉塞)

 下大静脈に関わる動脈塞栓性U型減圧症(浮上時の下大静脈管内圧増大に関わる)

潜水をする事で大量に取り込まれた窒素はアンモニア水溶液へと合成されて水(体液中)に非常によく溶け、酸塩基平衡反応によってアンモニウムイオンNH4+ 水酸化物イオンが生じて塩基性を示す。

ここでの水酸化物イオンとは、化学式がOH-と表される陰イオンの事で、水の共役塩基にあたり、体内で化学的に水H2Oや水酸化化合物が電離して生じる。水酸イオンと呼ばれる事もある。

減圧症発症に起因? 並びに浮上時のダイバーの生体に多大な影響を与える乳酸!?

嫌気性代謝(酸素を必要としない代謝)による乳酸生成

ダイビング中の運動によって筋肉内に乳酸が増えるが、この乳酸は直ちに乳酸塩イオンと水素イオンに解離し、水素イオンが増える事で血中のpHが低下して筋肉の疲労等が起きてくる。

好気性代謝(酸素を利用した代謝)・・・乳酸生成は無い.

下の図は嫌気性代謝による乳酸生成に於ける減圧症誘発及び諸障害の発生を暗示 !!

静脈中に水素イオンが増えて来ると、血中の重炭酸イオンと水素イオンが結合してH2OとCO2への反応が起きてしまうのだ。

静脈内で血漿中のCO2(PCO2)が時間を追って増加してゆく。

その結果として代償性の換気亢進が起き、呼吸が速くなり息苦しくなってしまう。

原因は過度のフィンによるオーバーキックやオーバーワークだが、水素イオン増加による喚起亢進は減圧症誘発だけで は無 く、呼吸困難や体温の上昇によるパニック等も引き起こしてしまうのだ。

換気亢進って?

肺に於いてCO2の排出が減り、動脈血漿中のCO2(PCO2)が増加する事.

動脈血漿中のCO2(PCO2)が増加って? 

脳及び身体への酸素不足が起こり、CO2の増加に伴って体温の上昇、呼吸亢進、更に頻呼吸が始まる。

換気亢進を防止するには?

極力筋肉疲労をしない事.

乳酸を静脈内へ放出しなければ水素イオンの放出も少ないが、静脈内で乳酸分解が起きて生ずる大量の水素イオンがある場合、静脈内で重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸 イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3と水素イオンH+が反応(H2O+CO2)してCO2静脈内で埋めて行く事となるが、このCO2の大半が血漿に溶けて行き、H2Oが静脈内のpHを低下させる。

結果、肺に於ける正常なガス交換が行われない。

血液緩衝系の炭酸緩衝作用と呼吸性アシドーシス・乳酸アシドーシスが相まった状態で大変に危険とされ、更に静脈中で毒性のあるアンモニア(NH3)が増加するが、これはアンモニア→無毒の尿素に変換する際に大量の水分を必要として脱水の兆候がおきる。

呼吸の項と体液の項にも詳しく記載してありますが、筋肉疲労による乳酸分解に関しては、疲労とダイビング及び疲労と代謝の項で詳しく説明する予定です。

尚、疲労と減圧症の因果関係 の詳細説明はこの項にて準備掲載します。

オーバーワークで筋肉疲労を起こし、乳酸が大量に静脈内へ出され、換気亢進が起きてしまった場合はどうするの?

フィンキックを止めて着底し体を休めて深呼吸を数回と、体を冷やす事(特に首回りや胸)で収まります。

水素の性質
分子量 2.016 地球上の分子の中で最も小さく、軽い水に対する溶解度 2.1ml/100g(0℃) 0.85ml/100g(80℃)、水素は理科等の教科書に於いては「不溶性」と記載されるが僅かに溶解する。

沸点 −252.7℃ 地球上の存在では、常に気体状態。

化学的性質では可燃性、爆発性、酸素と結合して水を生成、爆発下限界4%、還元力が強い為、触媒を介してさまざまな化学合成品の原料となる。

生成法としては一般的に水の電気分解、土壌、湖水中の嫌気性細菌、藻類の代謝産物として作られるが、人間の体内に於いて合成と分解によって生成される。

静脈中に形成される気泡は水素を基にした泡とみられ、これに窒素が組み合わさったり、重炭酸塩(重曹)(NaHCO3)や重炭酸イオンHCO3⁻、炭酸水H2CO3、重炭酸ソーダNaHCO3炭酸ソーダNa2CO3と複雑に結びつく事で窒素気泡の形成を助けているものと思われる。

上記でも述べたが、特に筋肉疲労の多いダイビングをしていると、乳酸分解の折に発生する水素イオンによって静脈内血漿〜動脈内血漿の炭酸ガス濃度(PCO2)が上がり、少なからず窒素ガスN2の肺からの排出を阻害する事となる。 

参考として血漿浸透圧と電解質及び酸―塩基平衡緩衝系(バッファー)をお読み下さい。

体液の働きとリンパとリンパ管にも記載してあります(^^ゞ

故に生体生成ガス(マイクロバブルス)は空気では無いし、また、ダイビングに於いて窒素を主役にするものでもないが、実は体内に於いて窒素N2が血中アンモニアとアンモニア系へ分解合成しているのだ。とすると、やはり窒素N2からアンモニアNH3、アンモニウムイオンNH4+、尿酸C5N4N4O3、尿素NH2CONH2等に換わって生体生成ガスの発生を増加させるのに手を貸している事となる。

これは窒素N2が単体で気泡化する事を否定するもので、窒素N2血中アンモニアとアンモニア系に換わるのだ。

ただ言える事は、ヘンリーの法則に従った理論上での血漿への窒素N2の溶解なのだが、分子的にはかなり不安定な状態とも言える。

ダルトンの分圧の法則に従い、大気圧1気圧の地上に居ると、体内圧も外圧に準じて平衡となり飽和する。これは・・・血中アンモニアガス濃度の飽和.

つまり、地上に於いては 約0.8気圧分の窒素N2が体内に溶解(飽和)して生体的圧平衡を保っている事となる。

山に登れば外気圧が下がり、それに伴い体内の 窒素圧も下がり平衡を取ろうとするが、ダイビングで潜ればその水深(水圧)に見合った体内圧へと窒素圧が上昇し、体外圧と体内圧の平衡が進み、最終的には外圧と内圧の平衡の取れた飽和の状態となる。

気になる事(^_^;)
ダイビング前、ダイビング中、ダイビング後のビールや炭酸飲料の飲用が減圧症に結び付 くのではと思っている方が居る様だ。

飲用によって取り込まれたビールや炭酸飲料は胃や腸によって分解されるが、まず水H2Oと二酸化炭酸CO2、糖質とに分かれた後、胃壁や腸管を通過する時には水H2Oは水素H2と酸素O2、二酸化炭酸CO2重炭酸イオンHCO3⁻や炭酸水H2CO3、及び糖質として静脈内へ取り込みますが、全てでは無く、一部は腸の中で分解 や合成等を繰り返してゲップや放屁(おなら)として排出されます。

故に、ダイビングでのインターバル中に炭酸飲料を飲んだとしても、ダイビング終了時にビールや炭酸飲料を飲んだとしても減圧症には関係は有りませんが、アルコールの飲み過ぎによる脱水や体温・心拍数を著しく上げる事は問題となります。ご注意を(笑)


減圧症発症のプロセスと残留窒素グラフによる過程検証

      ダイブコンピュータ検証 ぎりぎり潜水の恐怖!



この上のグラフは一般のダイバーが潜ったとして作って見たが、カメラを持っていればこの様な潜水のパターンになるだろう。

潜水終了間際と浮上開始から12〜13m辺りまで減圧停止の支持が出ている。

浮上スピードは8〜9m/minで3mまで浮上し、3m付近で3分の安全停止を した。

ダイブコンピュータ(略してダイコン)使用者の大半の方は、減圧停止支持は出さない様に潜っていると言うが、ダイコンの表示では40秒程度しか画面に表示、または表示されない可能性が有るのだ。

盲点と言わざるこの現象は、何故起きるのだろうか?

【減圧症発症因子】とは何?

これまでダイビングをしていない方、又は潜っていても減圧症を発症していない方なら、発症しないかも???知れないが、当日体調が悪かった方は発症し、以前に減圧症を発症し治療した方では再発症の疑いや可能性が出て来るのだ。

更に、訳も解らずにギリギリの潜水をしていると【減圧症発症因子】を体内に作ってしまう可能性がある。

この減圧症発症因子の発生過程は個人差があって、どこでいつどの様に作ったかを特定する事は出来ないが、減圧症を発症する場合は飛行機搭乗や高所移動等で、又は普通に潜っていて、ダイブコンピュータの安全範囲内を遵守していても発症している。

RGBM:Reduced Gradient Bubble Model :減圧時の生体ガス(極小バブルス窒素抱合体泡)膨張・拡散勾配泡モデル.

最近良く聞くRGBMでは、生体で起きうる生体ガス+窒素ガスの安定勾配排出を促す為、ディープストップや5メートルでの安全停止によって行っている。しかし、一般のダイバーでは殆ど聞き慣れずにいるのでは無いだろうか? 

ダイビングには加圧生理、減圧生理、浮上生理、水浸生理等も関係してくる。

この項でも述べているが、浮上中のオーバーワークやオーバーキックに於いて、筋疲労による乳酸の発生で起きる換気亢進及び乳酸アシドーシスを起因とする減圧症も起きており、当然として、発症せずとも【減圧症発症因子】を作る可能性がとても大きい為、浮上時はオーバーキックやオーバーワークをせず、リラックスしてゆっくりと呼吸をし、ゆっくりとした浮上に心がけて下さい。

この【減圧症発症因子】の形や性質は下記項へ戻って読んでみて下さい(*^_^*)

   窒素の気泡はどんな性質?  生体生成ガス(マイクロバブルス)・・・!?

【減圧症発症因子】は自然と体内で分解・吸収される場合と、残存するタイプの2種類に分けられるが、後者は医療用高圧チャンバーでのテーブル6と6A加圧も効果があると一般的に言われている。←今までの一般的な意見です。

【減圧症発症因子】 は自然と体内で分解・吸収される事は間違ってもありません。

尚、減圧症とさせない為には、毎回のダイビングに於ける浮上法に注意を払うか、酸素による窒素の洗い出し効果を期待するしかないが、減圧症や減圧症再発にならない保障は無い!

唯一、期待をするならば、減圧症自己治癒潜水法のスタイル等を覚えるしか無いが、そうは行かないので注意をして置くと、水深18〜20mからの浮上スピードは毎分8m以下で浮上し、水深5mでの一旦停止と水面及び周囲の確認、更に窒素の余剰分排出と地上に戻る為の生理的準備時間=安全停止時間を3〜5分取り、終了後水深3mから1分を掛けてゆっくりと水面へと浮上する。

潜った後のシャワーや、寝起き、お風呂後の首周りの肩こり(僧帽筋含む)や手足末梢のチクチク感や痺れは減圧症の可能性があるが、特に体温が上がった時に症状が出易い。


潜水時間+浮上時間=総潜水時間 浮上時の窒素ガス移動を表す! よく見てね(^^ゞ

同じ様なグラフを並べて見たが、○の所の各部位の窒素変化で、浮上中が危険と判るが、減圧症が発症するとすると、下の図の3〜5番の部位と判断が出来る。

    外部圧迫(水圧)による体液(血漿/リンパ液)の体内移動.

     リンパ=間質液=血漿蛋白質を除いたもの.


       
          体液の移動は潜水と脱水の項にも詳しく載っています。

減圧症治癒潜水法を検証する中で体液の関係が表面化して来た。

これは加圧中は体液が移動し、胸骨下の肋軟骨を内臓と体液が保護する事は知れているが、この他に体液の関節への充当が起きている。

つまり、この体液の状態が重要な鍵を握っている様で有る。

体液は細胞内の水分で有る血漿とリンパ管を通るリンパ液も水分で有る。

静脈と並走しているリンパ管は血管内の水分コントロールと老廃物のやり取りを行い、血管では通りずらい大きな老廃物(死んだ細胞や血球とそのかけら)や細菌をリンパ管へと導いてリンパ節で分解濾過し、胸管(リンパ総管)に送られて下大静脈を通らずに内頚静脈と鎖骨下静脈で上大静脈へと入り心臓へと運ばれる。

と言う事は、この血管内の水分不足が有り、リンパ管でも水分の補給が出来無いとすれば水分の調整が出来ず、更に老廃物を血管から排出する事が出来ないが為、血管の閉塞を起こし易い状況に陥ってしまうのである。

正に後者は浮上時の水分分布の悪影響として減圧症の発症に起因する様である。

水分の不足は内蔵機能の異常や運動量の多さから脱水症状が起きてしまうし、二日酔いでのアルコール分解でも起き、睡眠不足による内蔵機能低下による体温の低下によっても末梢循環障害や機能不全で脱水と同じ様な機能低下となり得るので有る。

◎毛細血管壁の透過性によって通過出来無いとされる血球成分と大型の血漿蛋白は減圧症へ多大なる影響を及ぼしているので述べて置こう。

この項ではT型減圧症に於いて関節内や筋肉内での血漿蛋白の動向が注目され、血漿蛋白と窒素ガスの結び付き及び分離が最大の鍵を握っている様だ。

又、更に突き詰めると血球と蛋白質についても検証が必要として、「血液とは何?」T型の筋肉と関節への罹患と無菌性骨壊死の発症を載せました。必見です。


間質液の組成は毛細血管壁の透過性によって決まり、水、イオン、酸素O₂及び二酸化炭素ガスCO₂、代謝産生物は自由に通過出来るが、血球成分と大型の血漿蛋白は通過する事が出来無いとすると、潜水中又は浮上中に於ける高濃度窒素によって結合し易い大型の血漿蛋白は毛細血管壁を通過出来ずに毛細血管壁の外部細胞にて血管壁及び周囲組織へ圧迫を起こし、圧迫血栓、血液循環不全等も起き得る。

血漿蛋白質は血管壁を通さないとされるが、一部曖昧な表現をする生理学の本もある。

血漿蛋白質アルブミンの浸透圧と血圧によって水分や栄養分は通すとされるが、血中の脱水によって血漿蛋白質アルブミンの量が減ると、浸透圧が無くなり血管壁の透過性が阻害され水分他の成分が透過出来なくなるのである。

唯一、間質液間に開かれたリンパ管から水分は放出されるが、むくみ所か逆に細胞が脱水化する。

この時に、窒素の一部は間質液に溶解してリンパ管から放出されるが、一部は細胞内液内に取り残される事となり、窒素の過飽和的な状態になると窒素の膨潤での減圧症であるT型筋肉・関節内減圧症を起こす可能性が起きて来る。

尚、リンパ管を通って排出される窒素は途中でリンパ節と胸管を経由するが、間質液=リンパ液の流量が多くてもリンパ管へ分散処理される為、窒素の排出やリンパ液の静脈流入にも、さほど圧力を持っていない。

むしろ、毛細血管を通り静脈へ合流し、大静脈に集まって行く様な圧力を持っていない。

それ程に下大静脈に集まる血液+体液+窒素はフインキックやオーバーワーク、呼吸や血圧に左右されてしまう。因みにリンパ液(間質液)は上大静脈へ入って行く。

体液(細胞外液、細胞内液)の移動に伴う減圧症ではT型の筋肉系と関節系減圧症が発症し易いし、何よりも全ての細胞への影響が大きい為に無菌性骨壊死にも及ぶものと思われる。

皮膚型の減圧症では体温の低下に伴う体温の保全も影響し、毛細血管収縮によって体温は保全出来るが、高濃度の窒素をその組織に残す事となり、皮膚表面の体温低下に伴う皮膚発疹、皮膚大理石斑等を皮膚表面に見る事が出来る。

ダイビング後に体温の安定によって徐々に治って行く為、さほど問題とされないが、全身に広がる場合はやはり問題が有る。
(ここでの血液組成やイオン等の働きは「血液の循環」「血液とは何?」を参照して下さい)

下記の図は安静時に於ける血流量と血流分布、血圧や酸素消費量を掲載してあります。

安静時、動脈側の血液量は29%、静脈側には71%もの血液が集中しているのですが、運動時では骨格筋の動脈を拡張して運動量の多い筋肉へと血液を配分するのですが、この時、内臓系の血管を収縮させているのです。特に気になるのは細動脈と細静脈の関係で、毛細血管を境にして血流量の調整と水分調整をしていますが、毛細管から間質液、リンパ管へと繋がって行きます。

現在分っているのはスント社のハーフタイム表内3〜5番目の組織に多大なる影響を及ぼしている事は紛れも無い事実であるが、浮上時に於いて末梢静脈内で起きるのが水分調整機能と老廃物排出が出来る、又は出来無くて起きた血管閉塞性T型減圧症で有り、水分の調整機能と浮上時肺静脈圧増大に関わる動脈血栓型と思しきU型の減圧症とされる。

このU型の場合、過飽和型の窒素泡による中枢、脳型の窒素泡塞栓と思われる。

血液の循環(血液とリンパ液の関係)を良く読んで頂きたい。

中高圧空気呼吸と体液(血漿/リンパ液)の外部圧迫による移動

1.右図は大気圧の3倍として見ている。ただし、肺に於いては若干違うので気を付けて下さい。
2.酸素O₂及び二酸化炭素CO₂の分圧は体内では2〜3倍にはなりません。
3.酸素O₂及び二酸化炭素CO₂は血漿中にも僅かながら溶解します。
4.窒素N₂は血漿中に溶解して体内へ運ばれます。又、組織に取りこまれて減ってしまう。
5.末梢組織や筋肉内では圧力(血圧)が普段より低い為、潜水すると窒素が溜まり易い。

この上の図で可笑しいとされるのは水深が深くなった場合である。

特に動脈血管から体組織への吸収が続く窒素N
2である。吸収の続く組織から出ている静脈血管では数値が低くなければならない。(飽和時は同数値となる) 

つまり、静脈N2は1719より小さい筈だ。

左側の図は地上での呼吸及び体内のガス分布を表している。右側の図は水深20m(3気圧)での呼吸とガス分布を表している。

赤く表示及び赤のクエスチョンマークを付けた所を良く見て頂くとおかしい事に気が付くだろうか?

水蒸気圧H₂Oは肺内では47mmHg一定とされているが、高圧下での体内組織について考えた場合、体の構造的圧力バランスから体液の充当が無いと、体の圧力バランスが崩れて体の隅々の組織スクイズ(搾り出し)を起しかねない。

しかし、人間の身体は上手く出来ていて、その圧力と体液の均衡バランスを取る様に作用する。

ここで述べ様としているのは、外圧と体腔内の圧力バランス、つまり飽和状態か、或いは緩やかな加圧であれば問題としないが、極端に潜降と浮上の繰り返しは良しとしない。

よ〜よ〜潜水やのこぎり型のジグザグ潜水はタブーとされる。(ソーツースダイブ)

呼吸の項でも説明をしたが、改めて説明すると、この図での比較は人間は地上での生活によって空気中のO2CO2N2ガスが身体に対して圧力平衡している。(上の左図)

高い山に住んで居る方は酸素が少ない為にヘモグロビンが増える事で酸素の摂取量を補い、外圧が低い為に体内圧も平衡化へ向かう機能を備えている。

少し判り図らい説明となってしまったが、今度は地上の人間が深い海へ潜ると、外圧(水圧)と同じ様に体内圧を上昇させて圧力平衡を取る。(上の右図)

体の圧力順応がこれであり、この平衡化に大量の窒素を体内へ吸収する事となる。

肺から血液成分の血漿を介在させ体内へ取り込んだ窒素は末梢の隅々まで運ばれて圧力平衡化される。

しかし、浮上に際して外圧が下がり、体内圧との差圧分の窒素を体外に放出しなければいけないが、取り込んだ組織によって放出時間に違いが出て来るのである。

潜降の場合は加圧浸透率と言われるが、浮上時は窒素の減衰比率とも言う。

気付いて貰えると良いのだが、深い水深では血液はサラサラになり、浅い所へ浮上して来ると血漿が各組織に戻り、血液の粘度が上がってしまう。

この事は、T型 の筋肉型減圧症の発症に起因すると見られる。


浮上時には水深に応じての空気の体積変化も重要な項目となり、浮上時の肺内での空気膨張は窒素の排出の阻害となる為、特に呼吸での排気(呼気)に気をつけなければならない。

二酸化炭素CO2は減圧症発症の直接原因とはっきりとは言えない!?

ただし、浮上時に血漿内に溶融介在してH⁺+HCO3(重炭酸イオン)H2CO3(炭酸水)⇄CO2+H2Oの化学反応の過程で急な高分解が起きた場合はこの限りでは無いが、CO2が災いするのでは無くHCO3(重炭酸イオン)H2CO3(炭酸水)が関わっている可能性がある。(呼吸法についての項にも詳しく書いて有ります)

上記での急な高分解が起きるとすれば、嫌気性代謝による乳酸の発生がこれに当たり、乳酸が静脈中に排出されて乳酸塩と水素イオンに解離された結果、CO2H2Oが静脈内で生成され、CO2は静脈内の血漿に溶解しPCO2が上昇し、H2Oによって静脈内のpHが6.5辺りまで低下する。

乳酸アシドーシスによる換気亢進を起こして減圧症の原因を作る。 

  嫌気性代謝の乳酸発生原因はオーバーキックやオーバーワークでの筋肉疲労 !!


(この図は呼吸法についての項と、「減圧症自己治癒潜水法」の項にも掲載してあります)

◎発症の過程としてのファクター!

減圧症になり易い潜水スタイルとは

1.リバースプロフィール(プロファイル)

潜水の終了間際に深い所へ潜ってしまうスタイルであり、良い潜りとは言えない。また、DECOモードに入っていても気が付かない場合がある。(減圧症に掛かり易い)

2.ソーツース(のこぎり型、ヨーヨー型)
 
フラフラと上がったり下がったりと安定しない潜り方。中性の取れない初心者に多い。

3.連続型ダイビング
 インターバル(休憩、ガス圧減少)時間を殆ど、また、30分〜1時間程度で次の潜水を行うスタイル。

下記の図はインターバルを30分と設定して3ダイブをシミュレーションしてみた。

下の図は3ダイブ目にうっかり沈み込みを想定して、浮上を開始すると減圧モードへと容易に入る事が判るだろうか!? 

浮上後に熱いシャワーなど浴びたら、それだけでも減圧症になりそうだ!!

この3タイプは減圧症になり易いタイプと言われるもので、極力控えて頂きたいが、止む得ずに潜水の仕事等で潜る以外は推奨は出来ない。

このスタイルは水中カメラを持って居る方に多い傾向が有り、また、リゾートダイビングに於いて、詰め込み潜水する方にも多い。

上のグラフでどれが問題となると思うだろうか? 怖いのは3本目のダイビングであり、浮上後のシャワーや山越え(高所移動)で問題となる。

更に最悪は2日目の2本目であり、deco表示は完全に出ているし、フロア内でのシーリングにも不安定な為、窒素の放出もままならない。やはり、お風呂や長い温水シャワー及び高所の移動は厳禁だ!

又、この中で問題とするのはリゾートでの詰め込み潜水と言われるインターバルを短めにしたダイビングでは3本目のグラフ形成となるが、この形は残留窒素の逆転現象と言い、窒素の吸収の遅い組織が上側になり、窒素の吸収が早い組織が下になる事で、浮上時に過飽和となり易く、最も減圧症になり易いとされるパターンである。

この様なパターンでの浅い水深、例えば6mから8m以内でも減圧症になる可能性が出て来る。

体内飽和窒素が過飽和になる事で老廃物やサイレントバブルスを核とした窒素泡が全身の特に静脈血管内で発泡し血栓を作ってしまう。

また、過飽和前の微小老廃核は圧力を保持した侭に静脈血へ入り大静脈へと集まり心臓へと運ばれて行く。ここで問題なのは心臓で有る。

この心臓はポンプの役目を果たすがその動作は吸引ポンプと吐出ポンプの役割を持ち、吸引動作による陰圧が発生する事で心臓の中で窒素が微小発泡し、左心室より脳や全身へ運ばれる事で有る。

左心室より押し出しの圧力を持って送り出される為、一度は小さくなるが、末梢へ行くと血圧の低下と共に改めて発泡し始める。

減圧症の発生には一般的に心臓の動きは気にしていない向きも有るが、ビュールマン博士の理論的ダイブコンピュータZH-8シリーズ以降は血液の循環機能も考慮している。

右心房・右心室、左心房・左心室は共に動きが違い微妙な圧力調整機能を持った優れた吸入・排出ポンプで有るが、これが減圧症の引き金をも作るのである。

この他では外圧と体内圧との差で起きる細胞組織から毛細血管間での発泡化現象で当然として仲介をする間質液の状態に問題が有る。

これはオーバーワークによる筋力を多く使ったり、睡眠不足や体調不良での脱水症状が起きた場合に部位組織の破壊が起きるので有り、その症状は多岐に渡り筋肉組織や神経組織、あらゆる組織を壊す原因となる。

全身の多くが筋繊維細胞で出来ていると言っても過言ではない。
潜った後のチクチク感や鈍痛は異変への警鐘信号で有る。

この項の最後に、もう一つの減圧症発症の起因となる血中のアンモニアついて述べておこう。

アンモニアには、フリーの形のNH3(free ammonia)と、イオン化した形のアンモニウムイオンNH4+(ammonium ion)とがあり、体内では、アンモニウムイオンNH4+で存在することが多く、アンモニウムイオンNH4+は、難脂溶性だが、アンモニアNH3は、脂溶性であり、細胞膜を通過し、細胞内に移行して細胞障害毒性を発揮するが、脳に於いては神経毒性を発する。

しかし、脳及び体内では無毒化する為の機能が働いていて、何らかの原因で無毒化機能が害された時に細胞障害として発症する。この害されるとは浮上時の体内と体外の圧力差、関節や筋肉への負荷によって無毒化機能が低下する。→→→減圧症発症の起因となる。

血中アンモニアとはアンモニアNH3イオン化したアンモニウムイオンNH4+を指して言う。

アンモニアNH3は、水に溶け易く20℃の水1mlにアンモニア442mlが溶ける。(442倍) その水溶液は、弱い塩基性を示す。 NH3+H2O ⇔ NH4++OH-

脳内でのアンモニア濃度上昇は神経毒性を持つ為、思考力、運動能力、判断力の低下が起き、時には窒素酔いと間違う時もあり、注意を必要とする。更に体内でも反応を起こす事でマイクロバブルスを大量に発生し、U型減圧症の原因を作る。

アンモニアNH3は、脂溶性であり、細胞膜を通過し、細胞内に移行して細胞障害毒性を起こすが、時として関節内や筋肉内での細胞障害及び細胞内毛細血管閉塞障害としてT型減圧症を発症する。

    減圧症発症例のシミュレーション図1  減圧症発症例のシミ ュレーション図2

    減圧症発症のファクター ボイルの法則図

減圧症の発症(注意:一部私観が入っていますので、参考にして下さい)

今まで色々と減圧症になる原因等を述べて来たが、まとめて見よう。


          上記の図をクリックすると拡大図が見れます

皮膚型・・・
この皮膚型は低体温時の皮下毛細血管閉塞性減圧症。

低温時の体温低下防止の為の身体保全による末梢血管閉塞機能での皮膚発疹型の減圧症.体温の上昇とともに窒素分も抜けて正常に戻るが、急激な体温の上昇は危険とされる(風呂やシャワー、たき火、ストーブ等に注意)

脱水等での皮下細胞での血漿蛋白が関るT型、低体温時の呼吸と運動での心拍亢進性U型減圧症があるが比較的軽いとされる。

   時として、T型やU型の減圧症と間違う事あるので注意が必要。神経系を参照.


T型減圧症(筋肉型、関節型)・・・
血漿蛋白アルブミンや血球の関わった減圧症だが、潜水後の高所移動によっても起こります。「血液とは何?」参照.

体液の移動を伴い、細胞組織の脱水も関わっている上大静脈型減圧症.
細胞外液、細胞内液、リンパ管の体液移動に関わる細胞脱水型又は浮腫み型減圧症で、リンパ管のリンパ液移動干渉による細胞組織の浮腫みや脱水での窒素排出阻害が起きた場合にT型筋肉系、関節系減圧症、骨細胞型減圧症になる。

上大静脈だけでなく、下大静脈側でもこの作用はあり、問題としているのは下半身の静脈の血液は下大静脈へ流れ、リンパの流れは上大静脈へと流れて行く。この時の静脈血は水分の少ない粘度の上がった状態で下大静脈へと入る事となる→→→運動量が多く筋疲労が多い場合、細静脈でリンパの流れが良く、静脈側への流れが悪く血流阻害(大静脈滞留)が起きる可能性があり、結果としてT減圧症へなり易くなる。

尚、関節型や骨細胞型の減圧症の場合、無菌性骨壊死になり易く、その中で運動量や血液量が多い股関節に発症し易い。

筋肉系に起きるT型減圧症では、筋肉そのものが問題では無く、減圧症発症部位炎症での発熱を伴った周辺神経への直接・間接的な影響での痛み(激痛/疼痛/鈍痛/しびれ)と思われるが、詳細等は提示されていない。(筆者が現在経験中(^^ゞ 詳細を掲載中)

U型減圧症(脊椎型・中枢神経型・脳型、チョークス型、メニエル型)・・・
浮上時に関わるオーバーキックまたはオーバーワークによる血圧増大、浮上スピードでの減圧症誘発等で、動的運動及び生理的な過飽和減圧症。(高所移動でもなります)

血流量増大と窒素圧の過大、腎性・腎外性脱水を伴う下大静脈型減圧症.
運動量に関わる血圧や心拍数の増大、脱水による血液粘度の上昇、浮上スピードでの窒素放出圧増大等で、下大静脈管内圧力増大で左心房・左心室への虚血から来る心臓拍動促進反射によって起こされる
動脈型塞栓減圧症(脳型、中枢神経型、脊髄型の脳を介在する減圧症)。 

以前ではT型筋肉系と言われていた後頭部から首回り、僧帽筋にかけての違和感や体温が上がった時の膨張感、不快さでの減圧症は、U型の脳型副神経(第11脳神経)減圧症と判りました。【減圧症自己治癒潜水法】での調査研究のおかげです。

神経支配と各神経障害/減圧障害による症状 (同一図の複数使用あり)
減圧症を理解する為には全神経支配を知る必要があります。

神経系-中枢神経型 末梢神経型各種

脳及び脊髄からの情報を身体各部に伝える神経を末梢神経系と言います。




U型減圧症では、動脈塞栓症型の症状となり、 神経系→中枢神経型と末梢神経型に大別され、更に、この中から脊椎型、脳型、メニエル型、チ ョークス型に別けられて行くが、症状等も部位に よって違う為、判り易い様に説明を加えて見た。


                            
脊髄神経の上肢・下肢・胸部・腰部・腹部支配


      中枢神経と末梢神経系                 神経の興奮の伝達

   脳神経 12対 脊髄神経は31対.           中枢神経と末梢神経のやり取り.

   脊椎神経は頚神経、胸神経、腰神経、仙骨神経、尾骨神経 全体で31対.

下の図はからだの神経支配とその神経に障害が起きた場合の症状を表しています.




    前・中斜角筋の間を通る腕神経叢              腕神経叢

脊椎から分岐している為、脊椎等が曲がっていると圧迫されて影響を受け、痛みや鈍痛、違和感が起きる。腕の神経叢を見て頂くと判るが、皮膚筋肉の神経に関わる為、チクチク感や痒み等が起きるが、時として皮膚型の減圧症に間違われるが、明らかに中枢神経系の減圧症だ。



       正中神経と筋皮神経                 尺骨神経の筋支配

肩の関節からひじ回り、腕全体にチクチク感や筋肉の違和感、痺れ等を感じる。



      手掌・手背の知覚神経                      橈骨神経

神経の領域によって減圧症の出方が違うし、部分的な麻痺やピリピリ感、チクチク感が起きる。



         腰神経叢の全景              大腿神経及び皮膚支配

腰から下の支配域では腰及び股関節、大腿筋全体に減圧症での違和感や痺れが起きる。



    閉鎖神経の筋及び皮膚支配                殿部三角形

下半身の運動筋へ影響を及ぼし、また、排尿や排便に支障を来す。


    坐骨神経の筋支配と皮膚支配領域       皮神経とヘッドのゾーン

腰から下の運動機能と筋肉や皮膚感覚(痛点、冷点、温点)の異常が起きる。皮神経とヘッドのゾーンでは1〜9までの範囲と多岐に渡り、部分的に筋肉が張ったり、排尿・排便機能不全もこの領域に入っているが、臓器の機能不全も含まれる。


      三叉神経の走行                      顔面神経の分布

動脈塞栓や静脈塞栓での部位異常、血圧が上がると色々な症状が露呈。


           脳底部と脳神経
     脳神経は12対 下側の詳細図を参照の事。



               脳神経支配(脳・脊髄神経型)

第1脳神経から第12脳神経があり、第1での嗅神経では匂いに過敏又は鈍感となったりする。

第2脳神経の視神経では斜視や視覚異常、第3脳神経の動眼神経では動体視力の低下等、第4と第6で眼震や視点異常、第5では側頭部及 び頬の痙攣やひきつり(場所確認)、第7では顔面の痙攣や顔のひきつり(場所確認)、第8では、メニエル型と言われ、吐き気や平衡感覚異常及び蝸牛管の異常による難聴や突発性難聴、第9では唾の飲み込みが出来ないや、ろれつが回らない。

第10ではチョークス型とも言われ 呼吸器系の異常と胃や腸関係での異常で排尿・排便や脱水障害、第11では首回り及び肩 の筋肉に異変が起き、肩こりや首回りの違和感が起き、特に体温が上がった時に肩への圧 迫痛が起き、頭痛の原因ともなる。

第12では舌の痺れや麻痺での言語障害。


                    内耳神経                    迷走神経の分布

平衡感覚(メニエル症候群)と聴覚神経(蝸牛管)では一過性の難聴や音域の異常が起きる。
迷走神経は多岐に渡る為、大問題で、心肺や内臓器官に生理的な異常が起きる。

この他に大脳や中脳、小脳へと血管閉塞による障害が起きると、ありとあらゆる障害が起きて、記憶や言語と発声・失語、運動などなど生活に関わる全てに影響を与える。


      交感神経(自律神経の胸腰部)          副交感神経(自律神経の頭仙部)

脊髄神経も多岐に渡る為に大問題とされるが、脊椎にゆがみや変形等が無ければ医療用の高圧のチャンバーでも軽くはなるが、完全に消失するかと言えば問題がある。

ただし、「減圧症自己治癒潜水法」では6〜7気圧加圧で完治している。



                    交感神経の基本的な走行

発症部位を確定する為に皮膚表面からルレット(裁縫用のこぎり型ローラー)や、温熱・寒熱用タオルやマット、痛点用剱山を当てて、その刺激によって減圧症発症の部位の確定をする。

1.減圧症になり易い潜り方で潜っていた.(ファクターとしての部分)

2.ダイコンの指示(浮上スピード、減圧停止表示)違反や見落とし.

3.この位なら減圧症にならないとしたダイビングでの約束や規定違反!

4.減圧症になるとは知らずに潜っていた(スキルと知識不足)

等であり、どれを取っても考えさせる問題であるが、減圧症と言う身体に後遺障害が起きる事を本当に知らないのだろうかと疑いを持ってしまう。

ガイドやインストラクターも減圧症になる昨今では、自分で自分の身を守るしかないのである!


◎治癒・治療プロセス.

治癒方法は治療用高圧室チャンバーか、減圧症治癒潜水法による以外には有りません。
治癒・治療時の残留窒素グラフは既に出来ていますが公表は致しません。
資料等も誤解を招く為に公表出来ない物も有ります。

さて、一度発症してしまうとそう簡単に元に戻らない厄介な症状である。
顕著に閉塞を起こしている微小窒素気泡はその発症水深によっても治療チャンバーによる加圧圧力が微妙に違う為、普段よりプロファイルを重視して記録を残す事を勧めたい。

ここで述べなければ成らないのは、どの水深で過飽和化したかと言う事で、例えば水深6mで有れば、1.6気圧×3〜3.5倍の圧力となり4.8〜5.6気圧の圧力を掛けないと発泡した窒素は液化(血液の血漿に溶融同化)しないので有る。

水深の換算では38m〜46m相当となり、やはりゲージ圧5気圧、絶対圧6気圧を掛けないと治らないとされる。


リゾートなどでの繰り返し潜水に於ける残留窒素過多の状態での減圧症発症は、深い水深での罹患となり、例えば12mとすると2.2×3〜3.5倍では6.6〜7.7気圧、水深では56m〜67mとなり治療用高圧室チャンバーでの5気圧では窒素ガス泡を血液内血漿液化出来ないので有る。

結果として、様子を見ながらの加療と自然治癒に期待をするしかない。

ここで、問題となるのは減圧症発症因子で有る微小窒素気泡を体内に保有している為に再発して元に戻ってしまう事だ。
 
減圧症発症例のシミ ュレーション図2のグラフから発症水深が水深16mとすると絶体圧2.6気圧×3〜3.5気圧=7.8〜9.1気圧となり、水深で68〜81mの値となり、この段階では治療用高圧室チャンバーの5気圧(水深50m)では気休め程度の治療しか出来ないのである。

では、どうすれば治るかと言うと、テクニカルダイバーになってミックスガスを使った減圧症自己治癒潜水法を行うか、或いは空気潜水による減圧症自己治癒潜水法以外には無い! 

故に深い水深での減圧症発症をしない様に自重努力をするしか無いのである。

減圧症の疑いがあり、完全に戻っていなければ、より安全なダイビングを目指すしかないし、また酸素による窒素の洗い出しも効果的で有るが、これでも何時再発するかの時限爆弾を抱えているのと同じで有る。

しいて言えば、80%酸素での6m、3mでの窒素の洗い出しを行うと効果的では有るが、減圧症による症状が治るとは言えないし、再発もする。

◎減圧症治療

減圧症の治療は再圧チャンバーと言われる治療用高圧室タンクにて行われる。
再び圧力を掛けて血管内を閉塞している窒素気泡を取り除かなければ成らない。

しかし、減圧症になった方全てが加圧治療によって治るわけでも無く、6〜8割の方が複数回の加圧治療をしているのが現状であり、治る確率は大変に低い。

現在では6テーブルの低圧治療と6Aテーブルでの高圧治療が一般的。

旧来の「ふかし」とはこの加圧治療を水中で行う事で有り、サポート等が大変に難しい。
この加圧治療は2時間以上48時間も掛かり、治療する側も治療される側も大変。
「ふかし」での時間はその症状により加圧と減圧時間が違うが、最近では、殆どやっていない。

◎「減圧症治癒潜水法(注意:治療では有りません)=「減圧症自己治癒潜水法」

この潜水治癒法は筆者自の減圧症とエアエンボリズムを治す為に開発致しました。
しかし、医師の証明や臨床は行っておりませんので普及させる訳には行きません。
また、通称「ふかし」では有りませんので、明らかに治療では無く、自己治癒法です。

【減圧症自己治癒潜水法】/【空気塞栓症自己治癒潜水法】/【高気圧障害自己治癒潜水法】とは國次 秀紀(国次秀紀/Hidenori Kunitsugu)が考え出した独自のテーブル・知識・スキルに基づく高潜水(深深度酸素・窒素の低毒性)自己治癒潜水法を云います。

旧来の任意に於ける減圧症治療【ふかし】潜水は旧来のままとして扱い、新規に【減圧症自己治癒潜水法】を周知させる為、現代風の【ふかし】潜水として公表する事と致しました。

名称は【新ふかし法/潜水】又はニュータイプの【新ふかし法/潜水】とします。


New Decompression Rerecovery Dive by Hidenori Kunitsugu_Style=NDRDHKS or NDRHK.

【減圧症自己治癒潜水法】は現在風ニュータイプの【新ふかし法/潜水】として一般周知を始めたのですが、名称に違和感があるとして正式名称を付記。

生体内圧(調整)減圧法:Pressure in vivo adjustment decompression method./Vacuum pressure of living adjustment.

生体内圧調整減圧潜水法:Decompression diving pressure of living adjustment.

生体内圧減圧潜水:Pressure in vivo decompression dive./Biological diving pressure reduction.

注意:

新ふかし法では35〜50分で深い水深設定と管理が難しい、旧ふかし法では3〜6時間で浅い水深設定と管理がしやすいが時間が長い為に多くの負担等の違いがあります。

当面の間、ニュータイプの【ふかし法/潜水】又は【新ふかし法/潜水】として参ります。
尚、ローデコンプレッション リカバリー(水深50m)、ハイ デコンプレッション リカバリー(水深60〜70m)の2種類と致します。テーブルは
Hidenori Kunitsugu_Styleのものを使用.

旧タイプの【ふかし潜水】はUS NAVY のテーブルによる。

自己治癒潜水法とは呼吸法、中性浮力、フィンコントロール、窒素酔いや酸素中毒等の対処や回避能力を身に着けて、自らに潜る事であり、他力本願では減圧症は治せません。

自己治癒潜水法とは12ℓ×200気圧シングルタンク1本による35分〜50分程度のエア使用による潜水で有る為、それなりにスキルと知識の習得が必要です。
(ダイブコンピュータを使った方法では無く、國次 秀紀独自の 減圧症対処テーブルを使用)

現在、22名程が自己治癒潜水法にて減圧症及びエアエンボリズムを治癒致しました。
尚、意見を取り入れ指示に従い、潜って治した方を含めると既に30名を超えました。
しかし、講習途中で休止している方も居り、普及には暫く掛かるものと思われます。

スーパーダイバー(指導監督者)の養成もしております。ご相談下さい。

スーパーダイバーとは空気潜水に於いて70〜80m以上の潜水を可能とし、水中に於いての指導と監督、時には高水深レスキューダイバーとして動けるダイバーの事です。

メールによる質問に返事をしたものです。減圧症に対しての参考に成ります。

減圧症関連参照 気になること    潜水士必携での加圧、減圧グラフ   潜水での脱水(重要)
                      浮上時の重大問題 血液の循環(血液とリンパ液の関係)
                      血液とは何?  高所移動と潜水 M値 呼吸法について ストレスと脳

何故、減圧症が起きてしまうかと言うと・・・、単に無知及び危険と承知での無謀潜水に他ならない!

減圧症になって苦しむか、減圧症になる前に知識とスキルを身に付けるかの選択は個々のダイバー自身が決める事です。

ただし、筆者の様に必然的に減圧症になる事を前提で潜る場合もあります。ただし、これも減圧症自己治癒潜水法を会得しているが為ですが、一般にはお勧め致しません(笑)

減圧症経験談(筆者 國次 秀紀自身が経験した、経験している減圧症の部位と症状)

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Kk.圧外傷と減圧症の後遺障害及び骨壊死について
    
ここでは圧外傷及び減圧症の後遺障害と圧不良性骨壊死について述べて行くが、まず知らなければいけないのは、後遺障害を引き起こす原因と症状、及び回復しなかった事による後遺障害なのである。

後遺障害には各種の圧外傷や各種の減圧症によってさまざまな障害もある為、その事を知る上で事前に回避又はその様な事をしない知識を持って貰いたい。

潜水に関連して認められる症状とその原因疾患

後遺障害として残る症状

後遺障害を起してしまった原因疾患

意識障害

空気塞栓症減圧症(脳型)低酸素症酸素中毒(脳)、二酸化炭素中毒(一過性)、一酸化炭素中毒、低体温症(一過性)、溺水(一過性).

麻痺発作

空気塞栓症、減圧症(脳型)、酸素中毒(脳).
頭痛 二酸化炭素中毒(一過性)、一酸化炭素中毒、減圧症、空気塞栓症(稀)、酸素中毒(一過性)、偏頭痛(一過性)、低酸素症(一過性).
めまい 内耳型減圧症、内耳圧外傷、中耳圧外傷(鼓膜穿孔)、酸素中毒(一過性).
吐き気・嘔吐 内耳型減圧症、内耳圧外傷、酸素中毒(脳).
胸痛 肺圧外傷、酸素中毒(脳)、減圧症(チョークス)、溺水(一過性)、
呼吸困難 肺圧外傷、減圧症(チョークス)、二酸化炭素中毒(一過性)、酸素中毒(脳・肺).
四肢の痛み・痒み 減圧症、骨壊死.
皮膚の発赤 皮膚型減圧症、装具やスーツの圧迫(一過性).
顔面のむくみ 減圧症、肺圧外傷、空気塞栓症、低体温症(一過性).
四肢の麻痺 減圧症、空気塞栓症、神経症(ノイローゼ)
四肢の知覚障害 減圧症、空気塞栓症(稀)、低体温症(一過性).
腰痛 減圧症.
疲労 減圧症、脱水症、低体温症(一過性).
鼻出血 副鼻腔圧外傷、
血痰 肺圧外傷、空気塞栓症.
耳痛 中耳・外耳圧外傷、外耳炎、鼓膜付け根周囲の炎症(一過性).
難聴 中耳・外耳圧外傷、音響外傷、内耳型減圧症、突発性難聴.
耳鳴り 内耳圧外傷、音響外傷、内耳型減圧症、突発性難聴.
              【潜水医学入門 池田知純著 大館書店】 を参考とし、更に追加して有ります。

赤く表した所が圧外傷や減圧症その他によって引き起こされた後遺障害です。

とは言え、時間を掛けて軽減するものや時間が経つと共にひどくなる場合があり、他の病気や疾病とは違って予想が付かない場合があるのです。

更に、末梢血管に問題が有る場合、循環器系を伴った障害が多々出て来るのです。

全身への血液還流は循環器だけの問題では無く、中枢神経命令によるものがある為に、特に中枢神経系の脳型減圧症の方では手足の内、足の末梢神経障害や極度の足先の冷え及び整体では治らない腰痛の方もいるのです。

減圧症であれば、願うのは自然治癒となりますが、殆ど自然治癒は無く、大変に難しいのが現状です。

圧不良性骨壊死(無菌性骨壊死、)
  発症部位分類

A型障害  傍関節障害型
このタイプでは関節面の骨表面が破壊され潰される為、関節自体が障害を受ける事となり、症状が進むと身体の動きが抑制されてしまう。

このA型は股関節や肩関節に出易い。また、症状が進むと、最初は骨内部の違和感やむず痒さから始まり、徐々に痛みへと進化する。

更に悪化が進むと、痛みが激痛へと変わり、動かす事が困難となり、行動も制限される事となる。

このA型(傍関節障害型)の中で更に細分すると、下記に分類される。

A1分節状硬化 骨頭より関節軟骨、骨端線の間の表層で骨壊死が起きる。
A2線状硬化   骨頭より関節軟骨、骨端線の間で表層横斜め線状に骨壊死が起きる。
A3塊状硬化   骨頭より関節軟骨、骨端線の間の塊状で骨壊死が起きる。
A4離断線形成 骨頭から骨端線の間での骨壊死による剥離や離断。
A5関節面陥没 骨頭から骨端線の間の陥没、又は海綿質陥没部位の骨壊死。
A6骨関節症   骨関節接合部表面の骨壊死。

B型障害  関節近傍表面から離れた場所(骨頭、頸部、骨幹部障害型)

本来問題とされないとされた部位で有ったが、近年になって問題有りとされ、詳しく分類されている。

B1限局性石灰化 骨頭に近い骨表面でのカルシュウム溶出状の線状盛り上がり模様。
B2不規則石灰化 骨表面のカルシュウム溶出状の線状盛り上がり模様。
B3限局性脱灰化 ダイバー以外の一般の方にも見られる為に、除く事を提言している。
   
A型は関節面の陥没や変形をきたしてくると疼痛や関節の機能障害を生じるが、B型は無症状なのである。骨関節症へと進行する型はA2型であり、注意深く経過を観察する必要が有るとされる。

近年ではMRIを応用する事が多い。尚、X線上で何の所見も無いにも関わらず、MRIでの検査で骨壊死が認められる場合がある。
(川嶌整形外科病院 院長 川嶌真人氏の発表によるものから転用記載) 尚、詳しく調べたい場合は、川嶌整形外科病院ホームページ閲覧か、論文集にてお調べ下さい。

骨壊死の治療とは




慢性減圧症としての減圧性 骨壊死の治療としては、荷重関節である大腿骨頭に骨病変が既に認められ、陥没変形が部分的に限局している場合や、A2型の段階で疼痛を訴える場合、骨頭の更なる陥没変形を防止する為、杉岡氏の大腿骨頭回転骨切り術や西尾氏の湾状内反骨切り術を行うが、陥没変形が広範囲の場合は人工骨頭置換術を行うと良い。

若年者で あれば、まず骨切り術を試すべきであろう。上腕骨上部の骨壊死では荷重関節では無 い為、手術を行う事は少ない。

膝関節面が障害される事は殆ど無い為、人工の膝関節置換術などは行う事は無い 様である。
(川嶌真人
氏の発 表によるものを参考にしています)

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骨の構造
何層もの層に囲まれて骨が 形成されており、また、血管 によって内部へと繋がって いる。
体の骨格形成に重要な役割 をする骨だが、血液も作って おり、更に骨髄と骨髄周囲には身体にとって重要な成分の 貯蔵庫と もなっている。

減圧性骨壊死の発生・罹患の原因は職業ダイバー、漁業ダイバー及び自衛隊等での常時潜水を行っているダイバーに多いとされるが、最近ではスポーツダイバーでも以前よりも多く罹患していると報告が上がっている。

また、頻繁に潜る、無理な負荷を掛けているダイバーに多いとされるが、発症部位的には肩の関節や股関節周辺が最も多く罹患しているようだ。しかし、この部位は骨組織でも活発に活動している骨組織周辺と見られ、慢性的な減圧症発症による骨組織と周囲組織血管の閉塞及び造骨・破骨細胞の異常とも見れるのかも知れない。

減圧症に罹患し易い体質や、減圧や浮上の仕方に無理と言わざる問題が有ったやも知れないが、減圧症が発症し、不完全治癒のままの潜水も骨壊死になり易いと言える。

減圧症に罹患し、治療して治癒したとしても様子を見る事をお奨めします。
また、おかしいと思ったら高圧チャンバーによるテーブル6A(ゲージ圧5気圧)での加圧・減圧治療を時々お奨めする。

この圧外傷・減圧症での後遺障害は高齢に行くほど辛くなります。

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リンパとリンパ管 ダイビング中とダイビング後の血液の状態って 血液とは何? 潜水での脱水

T型減圧症になる過程で、脱水とリンパでは細胞外液⇔間質液⇔細胞内液の関係と窒素の吸収並びに排出に於ける細胞内液⇔間質液(リンパ)中での浸透圧が関係する様ですし、更に、血圧の関係も関わって来ます。

結果的に、血液還流とリンパ還流に於いてディープダイビングでの末梢細胞組織への栄養補給と酸素供給、的確な水分の補給によって骨髄骨芽細胞を刺激し、免疫力を高め、身体の代謝率を上げる事で無菌性骨壊死が治ります。

【減圧症自己治癒潜水法】での効果です。尚、顕著に判る為には4〜6回の潜水が必要です。

ただし、一般のディープダイビングでは効果が半分以下であり、治癒効果が多少はありますが、かなりの頻度で潜らなければ期待薄なのです。

また、減圧症を持っている方であれば再発症の可能性も起きて来るのです。

筆者の減圧症経験談(T型・U型他)も下部の減圧症自己治癒潜水法の中に記載致しました。

故に、【減圧症自己治癒潜水法】での減圧症治癒潜水でなければリスクが高過ぎるのです。

新しいデーターが入り次第に加筆致します(*^_^*)

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Ll.エアエンボリズム(空気膨張による肺損傷と血管の閉塞、肺破裂等)
    Airembolism


      
原因は急浮上と気道開放角度の無さ ! 参照→→→緊急浮上

ダイバーであれば起してはいけない致命的な傷害です(ーー;)

肺の破裂等により動脈血管又は静脈血管へ入り込み塞栓(血管閉塞)を起こした場合、動脈ガス塞栓症として、静脈ガス塞栓症として重篤な症状を呈します。特に、動脈への混入の場合、致命的な脳障害や呼吸器系、心臓系へ多大なる影響を与えます。
  
静脈への混入の場合、一度心臓を通り肺より混入したガスを排出及び消泡する為、万が一、消泡されずに動脈側へ入っても極小泡として危険性は少ないとされますが、その処置によっては動脈ガス塞栓症を誘発するのです。

日常での気胸はさほど問題は無いのですが、ダイビング中の気胸発生は動脈ガス塞栓症へなりかねません。ダイバーを維持するのであれば、肺壁を丈夫にする為、適度な呼吸器系・腹筋系の運動を行いましょう(^^ゞ

◎空気の膨張によって起きる障害をエアエンボリズムと言い、通常はBCの操作、整備不良等によって過剰に浮力が付いて浮上が始まり、呼吸等を止めていると起きる。

また、恐怖や不安感によって、息を止めたままで浮上すると、肺胞が破れて血管に損傷を与えるか、交換膜にダメージを与えた時に空気の泡が血管内に出来る。

これは、私たち生命を持った者に対して大変に危険な状態を指していて、兎に角、起してはいけない事柄の一つだ。

空気の泡が出来てしまったと言う事は体のどこかで血栓が起きる事を意味していて、脳に入った場合は致命傷になる恐れがある。

しかし、これは余程の事であり、スイミングアセント他の浮上法をマスターしていればこの限りではない。

空気の膨張に対しての体積変化及び浮上時の加速度的な空気の膨張を認識してもらいたい。

エアエンボリズムになると、どんな症状が有るのだろうか?

空気塞栓症になる過程と空気過膨張による肺障害等.

気胸、皮下気腫、縦隔洞気腫、ガス塞栓症等があり、空気ガスが皮下や胸腔及び動脈内にて起きてくる障害である。

特に血栓等で起きる障害はショックや窒息、神経障害等を起し、肺での出血等を伴った喀血も起きる。

肺胞が破れている場合は咳き込んだ時や痰に小さく固まった血が出て来るし、窒息後に口から排出される泡にも血の塊が見られるので良く観察をし対処する必要が有る。


一つ注意は窒息した時に口から排出される白い泡やピンク色の泡を見てエアエンボリズムと間違わない事だ。この場合は早期なる換気救命措置にて息を吹き返すし、意識も戻る。

    万が一、エアエンボリズムと判断した場合、呼吸困難や窒息等が起きる為、早急に酸素を吸わせ、再圧室を備えた病院に搬送する事。

◎部位と症状

1.
縦隔気腫
 

空気が胸の中央部に漏れ出し、組織の間に潜り込んだもので、胸痛、呼吸障害、嚥下(えんか:唾の飲み込み等)障害、ショック等の症状が出ます。

2.皮下気腫

首の付け根及び鎖骨下に空気が溜まった状態で、肺壁が弱く自然気胸等になり易い方ならごく普通に皮下気腫にはなってしまう為、注射器等で空気を抜けば問題は無いとされる。

しかし、ダイバーの場合は1.の縦隔気腫との合併症状が出る為に様子を見るしかないが、1.の症状及び時として声の発声にも影響が出る場合がある。

3.気胸

左右どちらかの肺と胸郭の内面との間(胸膜腔)に空気が入ったもので、肺を縮ませて呼吸を妨げます。

胸膜腔内の空気圧が上がって行くと、肺は完全につぶされて胸内の内臓は反対側へ押しやられます。

呼吸もしずらく、心臓も動いてしまう為に呼吸と循環系に多大な影響を与えます。

気胸針を使い胸膜腔内から空気を抜く処置を行う。空気を抜かないと重篤な症状へと向う。

4.空気塞栓症

空気塞栓は字の如く空気による血管閉塞を指していて、空気過膨張が進み肺胞を壊す力が働いた時に肺毛細血管に空気が混入して、肺静脈→左心房→左心室から脳へと空気の泡が運ばれて脳内に於いて空気塞栓が起きてしまう。

さて、この空気塞栓はダイバーに取って最悪のシナリオとも言えるもので、疑いが有る場合は急いで治療用の高圧チャンバーに収容しないと命取りともなる。

エアエンボリズム(空気塞栓症)は浮上後10分以内に起きる事が大半であり、その症状として意識喪失、発作、意識混濁など脳梗塞に似た症状がでる。

空気泡によって脳血管の詰まった場所により、色々な症状が出る。

○しびれや疼きなどの知覚障害. ○筋肉の麻痺、脱力などの運動障害.○視力障害. ○言語障害. ○平衡感覚障害、協調運動障害. ○思考障害.

これ以外では心臓に血液を運ぶ冠動脈に気泡が入り詰まると、胸痛、息切れ、動悸など心筋梗塞に似た症状が起きる。

更に、皮膚血管だと皮膚にまだらの白斑や紫斑が出来、大理石模様の様になる。

いずれにしてもエアエンボリズムはあらゆる障害が起きる為に起してはいけない潜水症の一つだ。 潜水病とは呼ばず潜水症と言おう!!


軽い場合でも聴覚や視力等に問題を起す場合がある。
安全停止後の無神経な急浮上やうねり等が有った場合の減圧停止、安全停止は要注意である。
安全停止後の浮上は、よりゆっくりと浮上すべきである。
また、うねりの中の安全停止は5mでの昇降が大きな時はロープより手を離して行うか、より深い水深(8m以浅)での停止に心がけるか、又は横移動による浮上スピード調整での浮上に切り替える。(安全停止分の時間調整が必要)

治療法は治療用高圧室チャンバーにての加療になるが、より高い圧力での治療が必要となる。

◎浅い水深からの浮上による肺組織の軽微損傷と耳腔及び副鼻腔群内の損傷.

最近騒いでいる浅い水深、特に1〜2mからの息を止めた浮上による肺損傷他の障害が問題とされている。
上を向いて気道を開けて浮上するか、又は意識的に息を吐き切れば問題は無い。
しかし、無意識や無気力で大きく息を吸い込み浮上をするとその限りでは無い。

一般的に肺への吸引圧と排気圧は0.3〜0.5気圧にも達し、浅い水深でも肺損傷を起こす圧力を容易に作れるのである。

一般的に体の内腔での損傷圧は0.5〜0.7気圧以上で起きるので、浮上による瞬時の空気膨張圧は1mの水深からでも0.8〜1気圧に達し、肺組織の軽微損傷や耳腔内炎症並びに前頭洞を含む副鼻腔群の炎症さえ起こしかねない。

 
                    <空気膨張曲線 15m以浅の係数に注意>
                               潜降と浮上の項を参照

◎エアエンボリズムの治療

エアエンボリズムと分った時には酸素吸入を行いながらゲージ圧5kg/㎠を掛けれる高気圧治療用チャンバーを設置してある病院に急ぎ搬送しなければいけない。

しかし、エアエンボリズムが完全に治るかとすると難しいと言わざるを得ないが、発症水深が浅い場合は治る可能性は大きい。この発症水深が浅い場合は6〜7m位を指し、それ以上の水深では治療結果として完治するのには難しさが残る為、注意したい。

空気による肺破裂により、色々な障害・傷害を抱えてしまうが、潜水内容によっては減圧症の誘発発症もしている可能性が有る為、注意を払いたい。

尚、自己治癒潜水法(減圧症・エアエンボリズム)でも治癒する事は可能だが、15m以深での罹患治癒には問題が有る。自己治癒潜水法での加圧圧力は7〜8気圧までは可能とするが、やはり15mを越えて18mでは問題 !

実質、10mを超えての息こらえ急浮上では肺は破裂して窒息や血管の閉塞を起し死に近いが、息苦しさの余りに若干は息を吐いているものだ。

その中で、深い水深からの浮上時に息こらえ的浮上をしてしまうと、肺は破裂しなくても肺そのものに損傷を与える為、浮上時の呼吸障害を伴う物となり、尚更に苦しくなり息を持続的に止める事となる。

仮に浮上後に本人に意識があれば、どの辺りの水深から急浮上したかを聞くべきだ。

エアエンボリズム関連 浮上時の重大問題 潜降・浮上 呼吸法について

エアエンボリズム
の原因は急浮上と気道開放角度の無さ ! 参照→→→緊急浮上

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Mm.圧外傷全般
  圧外傷とは

圧外傷に関連して認められる症状とその原因疾患

意識障害

空気塞栓症.

麻痺発作

空気塞栓症.
頭痛 空気塞栓症(稀).
めまい 内耳圧外傷、中耳圧外傷(鼓膜穿孔)、alternobaric vertigo(変圧によるメニエール症候群).
吐き気・嘔吐 内耳圧外傷、alternobaric vertigo(変圧によるメニエール症候群).
胸痛 肺圧外傷.
呼吸困難 肺圧外傷.
皮膚の発赤や充血 スーツの残存空気の収縮や膨張による、装具やスーツの圧迫.
顔面のむくみ 肺圧外傷、空気塞栓症.
四肢の麻痺 空気塞栓症.
四肢の知覚障害 空気塞栓症(稀).
疲労 圧痛やストレスによる.
鼻出血 副鼻腔群圧外傷.
血痰 肺圧外傷、空気塞栓症、咳き込みによる気道損傷.
耳痛 中耳・外耳圧外傷、外耳炎、鼓膜付け根周囲の炎症.
難聴 中耳・外耳圧外傷、音響外傷、内耳型減圧症、突発性難聴.
耳鳴り 内耳圧外傷、音響外傷、内耳型減圧症、突発性難聴.
              【潜水医学入門 池田知純著 大館書店を参考とし、更に編集して有ります。

空気塞栓症も本来では圧外傷として掲載.

◎潜降・加圧時のスクイーズ(squeeze)=
体腔の収縮よる組織の締め付け、押し潰す、搾り出し現象を言い、体の中の気体(副鼻腔群、耳腔、気道、肺)が小さくなる事で生じる傷害を指す。

また、マスク内空間やスーツの隙間、外耳道にも起き、この他に胃や腸、虫歯の内部にも起きます。

この搾り出し、押し潰し、詰め付けの原因は、傷害を受ける部位に空間が存在している事であり、この空間が収縮する事で外部の圧力と平衡を取ろうとする。

耳抜き等にて圧平衡が取れれば良いが取れなかった場合は、その空間が収縮して負の圧力を持ち、弱い組織の吸出しが起きる。

これは、空腔内壁皮膚組織で起き、充血ですまない場合は、皮膚組織の烈断が起きて出血が始まる。

場所によっては組織内リンパ管破断によるリンパ液漏出が起きるが、一番の問題は内耳窓(正円窓、卵円窓)の破断による脳髄液リンパの漏出が最大の問題とされる。

内耳窓(正円窓、卵円窓)の破断や烈断による脳髄液リンパは、鼻水の様に漏出するが、鼻水はしょっぱい味がするのに対して、脳髄液リンパの味は甘ったるい味だ。

また、顔を下向きにしていれば鼻へ出て来るが、通常は咽頭から口へと導かれる為、飲み込んだりして、脳髄液のリンパ漏出に気が付かない場合が多々ある。

肺のスクイーズはスキンダイビングの場合で、スキューバでは余程の事が無い限り肺スクィーズにはならない。

副鼻腔群、耳腔(内耳、中耳、耳管)に於いては耳抜きでの圧平衡が取れない時にスクィーズになります。
 
症状は痛みから激痛が走り、副鼻腔群の場合軽いと鼻血の匂いがする程度だが、ひどいと鼻血が出る事も多々有る。また、前頭洞がミシミシと音がする場合があります。

当然として、痛くてそれ以上は潜れなくなります。

上顎洞他の空洞では違和感が有りますが、極端な痛みは無い様です。

耳の場合痛みを我慢して潜ると鼓膜が破れるか、 または内耳窓が破れ脳脊髄液が漏出し、メニエールによるめまいや、吐き気、聴覚神経破断による難聴と耳鳴り等も起きて、平衡感覚や聴覚に重大な問題を残しかねません。

 しかし、時として耳抜きの感覚や痛みが判らずに潜ってしまう方がいるのも事実です。
   
マスクの場合、マスク内空間の収縮により、マスクの顔面接触面にスクィーズが起き、顔にくっきりとマスク痕が残りひどい時は充血する。

また、マスク内の収縮により、眼球の引き出しスクィーズが起き、涙目や目が充血する。

ウエットスーツのしわの内部空気収縮によるスクィーズ。充血が起き、痒みや皮膚の角質化が起きて来る。

胃や腸の内部ガス(空気も含む)の収縮によるスクィーズ。絞り込む様な痛み

虫歯の場合、歯の冠や詰め物の内部空間収縮が起きて、神経に障り 疼痛や激痛が走る

ドライスーツ使用に際し、スーツの張り付きによるスクィーズが起きた場合では、下半身への締め付けでの血行障害が起きて、冷えから来る足のつり等が置き易くなる。

更に、この冷えと、下半身への血液循環障害、水浸(イマージョン)による血流増大で門脈還流が起こり、尿の生産が進んでしまう為にトイレが近くなる。

    マスクはマスク内の空気が収縮する為、鼻から空気を送ると直ります。(マスクブロー)


◎浮上若しくは減圧時にブロック(block)=
潜降・加圧時に送り込んだ空気は、浮上・減圧時に膨張しスムーズに排出されるが、何らかの原因で排出されずに周囲組織を圧迫して傷害を起す。

耳管腔閉塞の場合、鼓膜の烈損が起きるほどの痛み、内耳窓の破窓によって脳脊髄液の漏出、めまい、吐き気等のメニエール症候群、聴覚神経破断による難聴や耳鳴り、平衡感覚傷害他の傷害多数。対策 リバースブロックの解除法を覚える事。

副鼻腔群閉塞の場合、特に副鼻腔群の前頭洞の痛みがひどく、ミシミシと音を立てる。
また、鼻血が出るが、涙が出る位に痛い。対策 リバースブロックの解除法を覚える事。

これ以外では歯の冠及び詰め物の内部空気が膨張すると勢い良く取れるか、痛み又は圧迫痛が起こります。

浮上時の空気の膨張による圧傷害であり、息を止めていれば気道や肺への傷害が起きます。   エアエンボリズムを参照

対策法  
【耳抜き・浮き耳と仲良くなるページ】 リバースブロックを参考にして下さい。

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Nn  潜水病とは?(何かおかしい病名)⇒⇒⇒潜水障害、潜水症が正解 !
   潜水の歴史編.

減圧症、エアエンボリズム(空気塞栓症、空気栓塞症)、副鼻腔群圧損傷、耳管・耳腔内・耳腔外圧損傷、体外・体内スクイーズと潜水をする事で起きる障害を言う言葉で有る。

この中で説明している「潜水をする事で起きる障害」言葉通り潜る事で起きる障害で、れっきとした因果関係が有るのである。

と言う事は潜水病では無く、潜水障害と明記する方が適切と思われるし、潜水症と言っても過言では無い。

この言葉には歴史的な背景が有り、私たちはこの言葉の持つ背景を知らなければ間違った情報を後世に残す事となり由々しき問題で有る。

昨今では、減圧症罹患をした方が保険の請求をする時に減圧症は潜水病という病気だから後遺障害の補償は出来ないと言われる場合が有る。

この言葉の認識の度合いによっても、また裁判等に掛かった場合でも明確に病気では無く、障害で有るとはっきり言わなければいけない。

ただし、成る事が分かっている、または起きるかも知れないとしたダイビングでの傷害の補償は自己過失として有り得ないとしたいが、その状況の程度によって補償されている。

更に、ガイドやインストラクターの引率の場合は「過失」、「過失による障害」或いは「過失に起因する障害」として引率者に対し刑事・民事訴訟も発生するが、いくら賠償されるからとしても後遺障害としての潜水症は一生涯心身に対し負うには過酷過ぎる。

しかし、引率されるダイバーがダイビングに対する知識並びに技術教育を受けたにもかかわらずやってはいけないとする行為を行った場合、自傷・自殺行為とされる場合が有る。

潜る側にも責任が有り、1人の為に他のダイバーに迷惑を掛けるとそれ相当の責任が掛かり、賠償問題にも成りかねないので注意をされたい。
  
もう一度、ダイビングの基本マニアルを良く読み、やってはいけない行為や基本の知識、基本のスキル等を勉強しよう。安全と危険は表裏一体

◎潜水病の語源は潜水器の歴史に有り。歴史の中にその原因が!
   昔は潜水をする者だけの病気と思われていた。

今から4000年前、中国で真珠を採取した記録。

その後、2300年前にはギリシャ人がシラキューズ攻撃に潜水を利用した。

BC400年チュ−ル時代、アレキサンダー大王が幼稚だが潜水艦の如き物を軍用に利用。

ダイビングベルもこの時代。

BC356年換気用のスノーケルもこの時代に考案。

西暦717年、いまから約1200年前にはハーリィは現在のヘルメット式潜水器と潜函の中間の様な新しい潜水器を発明し、今日のヘルメット式潜水器の基礎を作った。

1650年になり、ドイツ人のゲーリケによって空気ポンプを開発し製作される。


1700年、同じくドイツ人のゲレンゲルはこのポンプを潜水装置に送る高圧の圧縮ポンプとして製作する。この間にゴム工業の発達は潜水器具の改良開発に目覚しいものが有った。

1760年にイギリス人のシーべによって今日見られるものと全く同じヘルメット式潜水器が完成された。

1866年、フランス人ルカリヨールによる自給式潜水法が開発される(ヘルメット式)

1880年、イギリス人ランバート潜函作業を確定化する。

1900年、ホールデンによって数学的に減圧症を解く。「ホールデンの2:1の法則」

1910年、酸素中毒が発表される。

1920年、トンプソンによって初めて窒素酔いが発表される。

長い年月の間、潜水を行ったものが痛みや激痛の伴う、またかゆみや痺れと色々な症状を訴えた。

しかし、その原因は潜水によるものとしか分からず痛み止め等の処置しか無かった事が潜水病という言葉の語源となった。

つまり、その因果関係が分からない為に潜水病という病気として分類をした。

ホールデンによって潜水における減圧症の解明が出来た時から減圧障害も目に見えて減る事となっていった。

日本に於いての潜水の歴史は

日本では古来より海女、海士として磯物を獲る漁法としての歴史が有る。

南方系、中国沿海州系、朝鮮半島系の流れを受け水軍、海賊として歴史を残す。
 
ヘルメット式潜水器ではどうであろうか?

徳川時代の末期、安政4年(1857年)に長崎港にドックを築く時に潜水技術が導入された。

10年後の慶応2年には増田万吉という日本人がイギリス船ハラシィ号の船底修理に従事。

その後、明治5年に当時の日本海軍工作局でヘルメット式潜水器の製作が始まる。

この辺までが日本に於ける潜水器製作の第一歩と言え、その後多数の研究者によって改良や新規な潜水器が作られたが、長期の実用に用いられる事は無かった。

大正2年(1913年)大串式と称した呼気排気の弁を噛んで操作するマスク式潜水器が完成。

この方式の改良型を用いて、大正13年に片岡弓八氏が水深70mに沈む八阪丸から金塊の引き揚げに成功した。

この潜水は民間レベルの画期的な事だが、日本の海軍ではドイツやイタリアなどの軍事技術提携による潜水技術の高揚たるものが有った。

昭和2〜3年にはアメリカの海軍に対し、ヘルメット式潜水器使用によるヘリウム酸素を使った120m潜水の指導を行っている。

昭和8年(1933年)頃、浅利氏がマスクに空気嚢(袋)を付けて水位の差を利用して自動的に空気調整の出来る簡易なマスク式を完成させ、潜水の大衆化のきっかけを作った。

昭和12年頃には浅利氏によって圧搾空気を携帯し、呼吸作用と連動する自動調整弁をつけた単独潜水器を開発し、完成した。

日本での潜水技術はこの後、第二次大戦(太平洋戦争)によって消失して行くが、この中で培われた潜水士の潜水テーブルだけは戦後に残して行く事となった。

現在の形を有する潜水器は戦後に日本へ入って来るが、これはフランス海軍大佐のJ.Y.クストーとカナダの液体空気会社の技師E.M.ガニヤンが1943年6月に最初の実験で成功した。(Wホース型)
 
日本に於いて、いまだに潜水病として扱われ、間違った解釈をされている事は大変に嘆かわしい事であり、ダイバーやその関係者へ広く訴えたい限りだ。

潜水病⇒⇒⇒潜水障害、潜水傷害、潜水症、高気圧下潜水傷害が正解 !


Oo.ダイブテーブル
  
US.NAVYテーブルでは1993年2月をもって新しいテーブルに変わりました。
  テーブルの一部も変わりましたが大きくは変わっていません。
  
重要なのは浮上スピードが18mから9mへと改変されました。


  
はっきり見たい方はこちら→US7-4194Kbit
その他のテーブル
  1.ビュールマンテーブル 2.カナダDCIEM-1  DCIEM-2 3.H.Kunitsugu-SUUNTO(個人作)


Pp.ダイブコンピュータ (通称ダイコン)  

                    
◎ダイブコンピューターの歴史はかなり古くからあり、既に30年を経過したと言っても過言ではない。

このダイコンの基本のテーブルはホールデンのアルゴリズムから来るが、各国の学者によって安全係数等や血液循環系、浮上等の数値を独自に組み合せたダイコンが出回っている。

このダイコンはアメリカのNASA等では生命維持装置との開発において既に必要不可欠の物(低圧下)となっているが、一般のダイバーは高圧下に置かれる為に、最新のダイブコンピュータでは、より複雑な生命維持アルゴリズム開発を行っている。

しかし、昨今の電子機器の開発は著しく、演算能力及び記憶容量等が増えている為、今後のダイコンの発展も目を見張るものであろう。(ダイコン=ダイブコンピュータ)

このダイコンの開発に対して問題となるのは、各ダイバーや人種によって個々の体質等が違うため、これに合わせる為には、より複雑になり、使い易さにも難点がある。

だが使い易さを追求すると、万人のものとなり、より安全を追及をするスタイルのダイブプランを立てなければならない。

ここからはダイブコンピュータの仕組み

下の図はダイビングでの窒素の体内への溶解と体外への放出を表したもので、100%が飽和点を指している。100%を超えると過飽和となり減圧症や減圧障害等を引き起こす。

窒素の溶解

日常の生活環境以上の圧力下で、液体と気体が接触すると、気体が液体に溶け込むのです。この溶け込み速度は、液体と気体の接触面積が大きい程、また、圧力が大きい程、速くなるのです。

 
容器は肺、液体は体液及び血液を指していて、圧力は吸入する空気です。(水面では1気圧+吸引圧)

水中へ潜った場合では、容器の外側からも水圧の影響を受ける事となりますが、正常な呼吸をしようとした場合、肺へ吸引する圧力は外圧+吸引圧となり、例えば水深が10mの場合、水圧は2気圧ですから、2気圧+吸引圧となります。因みに水深20mだと、3気圧+吸引圧。

ヘンリーの法則(圧力下に於ける気体の溶解) Henry's Law
"ある温度の液体に溶解する気体の量は、液体に接触している気体の分圧、及び液体への気体の溶解によって決定する"

 そして、圧力が大きい程、液体中に溶け込める気体の量は多くなります。しかし、溶け込める気体の量にも限界があり、限界になった状態の事を飽和状態と言い、これ以上溶け込みが出来ない状態を指します。

気体が液体へと溶け込む現象は過渡現象で、時間に対して指数関数的に溶け込むのです。

この過渡現象とは、最初は急速に溶け込んで行くのですが、次第にゆっくりになり、飽和状態の間際では、殆ど溶け込まなくなってしう現象を言います。

潜水中のダイバーの体内においても同じ現象が行われているのですが、呼吸中の空気の中の不活性ガスである窒素N2が肺から血管を通して体内の各組織へと導かれて行くのです。

活性ガスとは、酸素O2やCO2を指し、窒素N2は通常必要ないので不活性ガスと言う。

空気中の組成の中で窒素は最大であり、潜水をする事で加圧され体内へと取り込まれて吸収して行くのです。下記の図を参照して下さい。

1ata(絶対圧力) 1atm(大気圧) 1atg(ゲージ圧) 水圧又はゲージ圧=水深(m)/10

絶対圧力(ata)=ゲージ圧力(atg)+大気圧(atm)=水深(m)/10+1

肺によって暴露された空気の内、酸素O2は血液中のヘモグロビンの結び付きによって体内へ運搬される。僅かだが血漿にもほんの一部が溶解する。酸素の運搬にも諸条件がある為、呼吸の項や血液の項を参照の事。

肺によって暴露されている窒素N2はその殆どがヘンリーの法則に従い血漿中(体液水分)に溶解されて体内循環し、体内組織全般へ吸収蓄積されて行く。

窒素は空気の内、約80%も占めていて生理学的にも多大な影響を受ける事となる。タンパク質、糖分、脂肪、そして体水分である血漿・リンパ液に大量に溶け込み飽和しようとする。

窒素の排出

潜水目的も達成しダイバーが水面へ向かって浮上して行くと外水圧が下がり、体内の各組織内に溶け込んでいた窒素N2が血液から肺を介して、体外へ排出されて行きます。

窒素の排出曲線は指数関数的に排出され、最初は急速に排出されるのですが、次第にゆっくりとなり、最終段階の排出では、排出の状態が良く分からない状態となる為、予測での排出終了となります。予測とは旧来の12時間、24時間、48時間と変化し、最近では72時間の監視が必要ではとも言われています。

窒素の飽和と過飽和

私達が日常生活している環境圧で体内は飽和しているが、環境圧に於いて生活高度(高所地)の違いはあれど大体1気圧の空気の中で生活している。この時の空気組成の酸素O2は0.20948s/㎠、窒素N2は0.783s/㎠となり、0.20948s/㎠+0.783s/㎠+0.00752s/㎠=1s/㎠=1気圧の空気で飽和していると言う。

つまり、酸素20.948%と窒素78.3%とその他(アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム他)0.752%で飽和している。

で、窒素の飽和量を求めているので日常の生活環境での窒素の飽和量は0.783s/㎠→78.3%で飽和.

しかし、ダイビングを行った後では窒素量が明らかに増えており、中々減らないのだ。この様な日常生活環境圧より組成分圧(この時は窒素分圧)が高い状態の時、過飽和と言う。

だからと言って減圧症や減圧障害になる訳ではなく、体内許容出来る範囲であるので半過飽和とも言い、又は許容過飽和範囲窒素量と言い、大変に不安定な状態を指しています。

この時、許容過飽和範囲窒素量を超えれば減圧症や減圧障害を起こす事ともなるのですが、許容過飽和範囲窒素量を超えるには過度な運動や温度の高いお風呂、血圧や体温の上がり易い事、潜水後の早い時間での高所移動(飛行機搭乗、山越え)を行えば、体内で窒素の気泡化が起き易く大変に危険となり、減圧症や減圧障害を起こす高いリスクを帯びている事となります。

半飽和時間=ハーフタイム

潜水中に於いて、水深が深い(高水圧)程、潜水の時間(加圧暴露)が長い程、多くの窒素が体内の各組織中に溶け込みますが、この溶け込みの速度や許容量は、各組織(血液、筋肉、脂肪、脳、神経、骨や関節、その他.)によって大きく異なります。

この溶け込み速度により、各組織を区分し、それぞれの飽和状態の半分に達する時間を「半飽和時間=ハーフタイム」で表します。

半飽和時間は、短いものでは2〜3分、長いものでは300分〜480分(またはそれ以上)といわれています。そのそれぞれの組織が溶解、排出曲線を指数関数的に描き、集計表示したものがダイブコンピュータなのです。

半飽和時間の短い組織は、許容過飽和窒素量が大きく、半飽和時間の長い組織は、許容過飽和窒素量が小さい傾向があります。

半飽和時間の区分の仕方は、研究者により異なり、SUUNTO社では5分の半分の2.5分、5分、10分、20分、40分、80分、120分、240分、480分を採用し、スイス人数学者のビュールマンが採用した2.65分、7.94分、12.2分、18.5分、26.5分、37分、53分、79分、114<分、146分、185分、238分、304分、397分等がありますが、ビュールマンは、さらに503分、635分組織も採用したものもあります。この数式を基にしてスイスアラジン社のダイブコンピュータシリーズZH--6や後継のZH-8は開発されました。

下記のグラフでは、一般的に見られる通常のダイビングで、1本目の潜水中、インターバル中及び2本目のダイビングをプロファイルとして表しているが、気になるのは下の段の残留窒素グラフではなかろうか!

HARF TIME図では6〜9ヶ所の部位を表すグラフや色分けにより表示構成されている。


SUUNTO社発表の想定図

手を加えて詳細化して見ると・・・    ハーフタイム図

参考までに実際の潜水ファイルを見てみると・・・。

ハーフタイムタイム図の色分けに従ったグラフ。上の段が時間経過での水深変化プロファイルグラフで、下段はハーフタイムでの残留窒素変化グラフ。

左の図は熱海の海底遺跡での潜水調査の時のダイコンデータだが、インターバル時でも残留窒素変化を追跡している。

この日の2本目を含めた残留窒素変化を見てみよう(*^_^*)

左の図をクリックして下さい。

ダイコンは加圧(潜降)されると6〜9組織に浸透していくが、各組織によりその浸透の速度が違い、また減圧(浮上)することにより排出される様に組み立てられている。

しかし、加圧による窒素の吸収速度より減圧時の窒素の排出速度が遅い為に色々と問題となる。

この窒素の排出が遅い為にダイブコンピュータによる監視が必要となるし、不安定な水深の維持や計画性の無い潜水によりマルチレベルダイビングと言われるダイブコンピュータ潜水が常である。

より安全に潜水する為にはプロファイルと残留窒素のグラフ表示を参考とし、管理する事をお勧めする。
    
このグラフを使って学習することにより、より安全なダイブプランを立てる事が可能と成ってくる。

立て続けに潜る海外やリゾートでの反復潜水は大変危険なものとなるが、どんな事が起きるのだろうか?

回数を増やして行くと徐々に6〜9組織の脂肪〜骨髄系統の窒素残留が多くなり、浅い水深に潜っても体内に加算されるようになる。

残留窒素の逆転現象または仮想潜水状態とも言う。
この状態での飛行機搭乗又は高所移動は大変危険である。
減圧症予備軍が出来るのは当たり前である。

ダイブプランナー(Dive memories)でのプロファイル・残留窒素追跡.

 
 ↑1本目・・・↑・・・interval・・・・・・・・・・・・↑2本目・・・↑潜水終了→→→残留窒素→→→

熱海の海底遺跡に於けるダイブコンピュータ検証


ここからは実際に計算式で表してみよう(*^^)v

潜水中のダイバーが呼吸しているその水深の空気の圧力を算出する。

 水深=dep [m]  その水深における圧力は  水圧=1.013+0.1005×dep [bar=hPa]

  ◎水面における標準大気圧=1.013 [bar=hPa]  ◎海水の比重=1.025、重力=9.80665 [m/s2]
       
  海水1[m3]の力=1.025×1000×9.80665 =10,051.81625 [N]

  海水1[m]の圧力=10,051.81625 [N]÷1[m3] =10,055.25 [Pa] =0.1005181625 [bar=hPa] 

    単に水深1mでの圧力は =10,055.25 [Pa] =0.1005181625 [bar=hPa] =0.1025 [kgf/cm2

空気中の窒素分圧の割合は、約79%で、肺によって呼吸し、実際にガス交換が行なわれる肺の中は水蒸気で飽和している為、呼吸する圧力からこの水蒸気圧を差し引く事が必要となります。

この水蒸気圧は環境圧に作用されないとして 0.063[bar](37℃) 47.25[mmHg] 0.06424 [kgf/cm2

水蒸気圧を差し引くのは、ビュールマンやSUUNTOなどの計算法で、U.S.NAVYのワークマンでは水蒸気圧は差し引かずに計算しています。数学的観点、及び生理学的観点での検知的問題点があるからです。
 
  吸気中に含まれる窒素分圧=(環境圧−0.063)×0.79 [bar]
              =(1.013+0.1005×dep−0.063)×0.79 [bar]
              =(0.1005×dep+0.95)×0.79 [bar] ・・・・・・・・・ (式1)
  この時、吸引圧(横隔膜呼吸)は計算に入れない。

参考  水深=dep [m]  その水深における圧力は 水圧=1.013+0.1005×dep [bar=hPa][hPa=millibar,mbar=100Pa=1/1000bar]
     0.95は1.013(大気圧)-0.063(肺内の水蒸気圧)=0.95として求めている。

  パスカル(SI単位) バール 工学気圧 気圧 トル psi
1 Pa ≡ 1 N/m² = 10-5 bar ≈ 10.2×10-6 at ≈ 9.87×10-6 atm ≈ 7.5×10-3 Torr ≈ 145×10-6 psi
1 bar = 100000 Pa ≡ 106 dyn/cm² ≈ 1.02 at ≈ 0.987 atm ≈ 750 Torr ≈ 14.504 psi
1 at = 98066.5 Pa = 0.980665 bar ≡ 1 kgf/cm² ≈ 0.968 atm ≈ 736 Torr ≈ 14.223 psi
1 atm = 101325 Pa = 1.01325 bar ≈ 1.033 at p0 = 760 Torr ≈ 14.696 psi
1 Torr ≈ 133.322 Pa ≈ 1.333×10-3 bar ≈ 1.360×10-3 at ≈ 1.316×10-3 atm ≡ 1 mmHg ≈ 19.337×10-3 psi
1 psi ≈ 6894.757 Pa ≈ 68.948×10-3 bar ≈ 70.307×10-3 at ≈ 68.046×10-3 atm ≈ 51.7149 Torr ≡ 1 lbf/in²

 

 

 

 

さて、これまでの計算式は数字だらけで解り辛いので単純化すると・・・(笑)

吸気中に含まれる窒素分圧=水面圧1.013−0.063(肺の水蒸気圧)×0.79(窒素分圧)=0.7505[bar]

[bar]→[kgf/cm2]へ換算すると・・・  0.7505×1.02=0.7653[kgf/cm2

この数値は肺内がこの数値0.7653[kgf/cm2]のN2と、O2の0.2025[kgf/cm2]で暴露されている事となる。

ダイバーの体内組織を半飽和(ハーフタイム)時間により分類する。組織1〜組織9まで。このハーフタイムでの組織数は各研究者や開発会社によって違い、組織数6〜9、組織数16〜24等もある。

潜水中に於ける各組織内の窒素分圧は、下記の(式2)によって求められる。

[「Decompression-Decompression Sickness」A.A.Buhlmann 1984]の数式で説明していますが為、解り辛い部分があります(^^)ゞ

t       :水深計測のサンプリング時間(秒)
PB     :滞底水深における吸気内窒素分圧 ・・・・・・・・(式1)
PN2(i) :(前回の)各組織内窒素分圧・・・・・・前回までの残留窒素時間だが、次回潜水間際迄 !
QN2(i)  :(今回の)各組織内窒素分圧
Ht(i)  :各組織半飽和時間(分)・・・・・・・・ハーフタイムまでの時間.
In       :自然対数
      (i) :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、
図内では省略.

 として計算式を見出すと・・・・・

      QN2(i)=PN2(i)+【PB-PN2(i)】×(1-e-k・t)・・・・・・・・・・・・・・・・(式2)

            k=In2/Ht(i)   eexp(exponential function)指数関数 In=自然対数

  または

       QN2(i)=PN2(i)+【PB-PN2(i)】×(1-(1/2)t/Ht(i))・・・・・・・・・・・・(式2')

【(参考文献資料)「Decompression-Decompression Sickness」A.A.Buhlmann著(1984)】

無減圧潜水時間の計算

無減圧潜水時間とは、各体内組織に於ける許容過飽和窒素量になるまでの最短時間です。

許容過飽和窒素量は、U.S.NAVYの減圧理論ではM値(M Value)、ビュールマンの理論では、P amb.tol.(the tolerated ambient pressure)として説明されています。

Half-time 2.65分 7.94分 12.2分 18.5分 26.5分 37分 53分 79分 114分 146分 185分 238分 304分 397分
3mDEC 3.44
3.5088
2.74
2.7948
2.31
2.3562
2.11
2.1522
1.95
1.989
1.76
1.7952
1.63
1.6626
1.59
1.6218
1.59
1.6218
1.54
1.5708
1.54
1.5708
1.45
1.479
1.31
1.3362
1.31
1.3362
6mDEC 3.8
3.876
3.1
3.162
2.67
2.7234
2.47
2.5194
2.31
2.3562
2.11
2.1522
1.98
2.0196
1.93
1.9686
1.93
1.9686
1.86
1.8972
1.86
1.8972
1.77
1.8054
1.62
1.6524
1.62
1.6524
9mDEC 4.17
4.2534
3.47
3.5394
3.04
3.1008
2.84
2.8968
2.66
2.7132
2.46
2.5092
2.33
2.3766
2.27
2.3154
2.27
2.3154
2.19
2.2338
2.19
2.2338
2.09
2.1318
1.94
1.9788
1.94
1.9788
12mDEC 4.54
4.6308
3.84
3.9168
3.4
3.468
3.2
3.264
3.02
3.0804
2.81
2.8662
2.67
2.7234
2.61
2.6622
2.61
2.6622
2.51
2.5602
2.51
2.5602
2.41
2.4582
2.25
2.295
2.25
2.295
15mDEC 4.91
5.0082
4.21
4.2942
3.77
3.8454
3.56
3.6312
3.38
3.4476
3.16
3.2232
3.02
3.0804
2.95
3.009
2.95
3.009
2.83
2.8866
2.83
2.8866
2.73
2.7846
2.56
2.6112
2.56
2.6112

 

 

 

 

 

上の数字は[bar]表示、下の数字は[kgf/cm2表示です。

上の図は、各半飽和組織毎の各水深における許容過飽和窒素量[bar]を示します。

[bar]→[kgf/cm2]へ換算する場合は 1[bar]×1.02=○[kgf/cm2] 淡水圧仕様

尚、海水圧を考慮した場合は、1[bar]×1.03[kgf/cm2]となります。淡水よりも海水の方が密度が高い為、圧力も高くなります。
淡水設定の計器の場合、34feetで10m表示ですが、海水設定の場合、33feetで10m表示となります。

半飽和時間の区分は、ビュールマンが採用した2.65分、7.94分、12.2分、18.5分、26.5分、37分、53分、79分、114分、 146分、185分、238分、304分、397分を用い、各水深における許容過飽和窒素量の値は、標準大気圧を1.013[bar]として、ビュールマン法を用いた算出値[bar]です。

許容過飽和窒素量の算出方法は、【(参考文献資料)「Decompression-Decompression Sickness」A.A.Buhlmann著(1984)】 英語本、ドイツ語本があります。 A.A.Buhlmann
原書では、更に503分、635分の組織が採用されており、一考に値します。

ハーフタイム(半飽和時間)2.65分の組織に於いて、窒素分圧が3.44[bar]を超えると、水深3mで減圧しなければならない。

これは、窒素分圧が3.44[bar]以下であれば、浮上しても大丈夫と言う意味となります。

同じく、ハーフタイム(半飽和時間)7.94分の組織では、窒素分圧が3.1〜3.47[bar]の場合、水深6mで減圧して3.1[bar]以下になれば、水深3mへ移動し、水深3mで減圧を行い、2.74[bar]以下で浮上してもよい。という意味になります。

尚、無減圧潜水時間の算定は、(式2)を"t"について逆算すると求められ(式3)になります。

tx(i)    :各組織の無減圧潜水可能時間(分)
PB      :滞底水深における呼吸気内窒素分圧
PN2(i)  :(現在の)各組織内窒素分圧 
Ht(i)    :各組織の半飽和時間(分)
Ptol(i)  :各組織の許容過飽和窒素量(ハーフタイムの3mDECの覧の値を参照)
In       自然対数
    (i)   :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

tx(i)=-Ht(i)×(In(1-f)/In2)   f=Ptol(i)-PN2(i)/PB-PN2(i)  ・・・・・・・(式3)

各組織毎に於ける無減圧潜水時間を(式3)によって求め、その中から最も短い時間が実質的な無減圧潜水時間となるのです。

深い水深設定での潜水では、早く浸透する半飽和時間の組織、浅い水深設定での潜水では、遅く浸透する半飽和時間の組織により無減圧潜水時間が決まって来ます。マルチレベルダイビングを参照

減圧停止時間の計算・・・下記図の左図を参照.

潜水中に於いて、いずれかの組織内窒素分圧が、許容過飽和窒素量より大きくなると減圧潜水となります。

減圧を行う水深は、その時の水深に関係なくハーフタイム表(半飽和時間)により、組織内の残留窒素分圧で決定されます。
複数の組織に於いて許容過飽和窒素量を超えている場合、その数値に対して最も深い減圧水深が表示され、減圧停止すべき減圧水深になります。

また、その減圧水深で計算される最も長い減圧停止時間が実際の減圧停止時間となるのです。

ty(i)   :組織毎の減圧停止時間(分)
PBs     :減圧水深における呼吸気内窒素分圧
PN2(i) :(現在の)各組織内窒素分圧
Ht(i)  :各組織の半飽和時間(分)
Ptol(i) :各組織の許容過飽和窒素分圧
In       :自然対数
     (i)   :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

ty(i)=-Ht(i)×In(1-f)/In2     f=Ptol(i)-PN2(i)/PBs-PN2(i) ・・・・・・・(式4)

残留窒素排出時間の計算・・・上記の右図参照

潜水後、水面休息時間の経過とともに各組織内の残留窒素は、指数関数的に排出されて行きます。

各組織毎の残留窒素分圧は下記算出式(式5)により計算できます。

t(i)      :水面休息時間(分)
PBs    :水面における呼吸気内窒素分圧
PN2(i) :潜水終了時の各組織内窒素分圧
QN2(i) :水面休息 t 分後の各組織内窒素分圧
Ht(i)  :各組織半飽和時間(分)
    
(i)  :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

QN2(i)=PN2(i)+[PBs-PN2(i)]×(1-e-k・t(i))・・・・・・・(式5)

e=exp(exponential function)指数関数 In=自然対数

「残留窒素排出時間」を厳密に算出するには、(式5)に於いて、QN2(i)が0(ゼロ)となる t(i)を求めなければなりませんが、(式5)のような指数関数では、t(i) が無限大にならなければ、QN2(i)が0(ゼロ)にはなりません。

通常のダイブコンピュータでは、残留窒素が完全に排出したとみなす窒素分圧を定め、その残留窒素分圧まで排出される時間を残留窒素排出時間として、計算しているのです。

つまり、みなし完了の為、最近のダイブコンピュータでは監視時間を長くとっています。

残留窒素排出時間は下記の算出式により計算できます。

tz(i)     :各組織の残留窒素排出時間(分)
PBs     :水面における呼吸気内窒素分圧
PN2(i)  :潜水終了時の各組織内窒素分圧
Pde(i)  :各組織毎の残留窒素排出とみなす窒素分圧
Ht(i)    :各組織半飽和時間(分)
In       :自然対数
     (i)  :不活性ガスを示す(subscript indicating the inert fraction of a gas、図内では省略.

tz(i)=-Ht(i)×In(1-f)/In2     f=Pde(i)-PN2(i)/PBs-PN2(i) ・・・・・・・(式6)

算出された各組織毎の残留窒素排出時間の中で、最も長いものが、最終的な残留窒素排出時間となります。

ただし、潜水終了後の残留窒素は直ぐには0とはならず、24時間を超えて48時間、最近では72時間監視しているダイブコンピュータもある程です。これは、リゾートダイビングや不規則なダイビングを行う方が多くなり、ダイブコンピュータに依存した結果がこの様に長時間監視になったのです。

減圧症に対して安全係数を高くとれば潜水時間を多く取れなくなる為、開発各社とも苦労しています(^^ゞ

私達はダイブコンピュータに従えば減圧症や減圧障害に罹患しないと過信しています。ダイブコンピュータを安全に使う為の体質管理やダイビングスキルの向上、ダイビングでの心理面を補う知識も必要です。


◎シンプルなダイブテーブルH.Kunitsugu-SUUNTO(個人作)
  ダイブコンピュータの時代で有っても必要とされるダイブテーブルだが、ダイブコンピュータのデーターより引き出した新しいダイブテーブル(直読式)

未だ開発中だが、既に使用可能。(使い方説明が必要)

注意 減圧症自己治癒 潜水法のテーブルでは有りません。

M値とは(潜水中のNDLを決める指針だが、浮上のスピードによっても問題あり)
ダイブコンピュータ設計をする時、減圧症発症に関して問題とするM値とは何?
MMAXIMUMのMなのだがこれでは良く分からない!?

MAXIMUM = M-Value

浮上に際し、体内に於いて過飽和と成らない最大窒素分圧を指すが、浮上スピードを遅くする、叉は浅い一定の水深に停止する事によっても体内よりの窒素排出を促す事によって体内窒素分圧を軽減出来る。

M=Ma+ΔM × P(水圧の絶対圧を P として) 

減圧症にならないM値=M₀ 平常の窒素の体内分圧+許容分圧(0.3〜0.7気圧)

潜水後の水面でのM値=Ms(surface) 気圧変化(低気圧・台風・高所等)の関係あり。

潜水中、呼気中の窒素分圧はMaであり、周囲圧と吸引圧が関係する。

浮上中、浮上途中の停止中含む。体内よりの窒素排出分圧ΔM(曲者です(^_^;))

ΔMのΔ(デルタ)は大変に難しい部分を抱えており、体質・体調にも影響を受ける。

M=Ma+ΔM × PではMは常に減圧症に成らないMAXIMUM = M-Valueであり、浮上に於いてはP(水圧の絶対圧を P として)の体積膨張率を考慮しなければMが極端にプラスへと移行し窒素の過飽和域へ入ってしまう。

尚、浮上時のΔM肺内空気の膨張によって排出を阻害される為、M値をも左右する事態となる。

呼気中の窒素分圧は常に暴露値(Maは呼気中の窒素×水深圧)であり、体内の窒素排出分圧ΔMは周囲圧よって支配されるが、何よりも問題とされるのは潜水に於いて体内の各組織に吸収した窒素は、浮上時、全身の静脈を介して大静脈へ集中し、心臓の右心房前の大静脈管内圧を高めて行く。

(右心房は弁付)この時点で大静脈内圧が高くなり過ぎるとT型減圧症を発症するが、右心房の弁が開いて窒素分圧の高い血漿成分を右心室から肺へ送り込み窒素分圧の低減を計るのだが、低減が出来なかった場合は致命傷とも言えるU型減圧症発症する恐れが出て来る。

ここでも問題とされる事が起きてしまう。では、M値決定での諸問題を考えてみよう。

1.呼吸が速い。
2.心拍数が早い。
3.息を止めている。 
4.周囲圧が低くなり、体内圧(窒素排出圧や血圧が高い)が高くなる。

1〜4を考慮してM値を決めなければならない為、ΔM値の考え方やMaの呼吸の仕方、浮上の方法にも一工夫が要るのである。

M値とはM=Ma+ΔM × P(水圧の絶対圧を P として)として単に数式当てをしているがダイビングに於ける潜水生理学及び潜水物理学を改めて勉強して頂きたい。

M値を考慮した安全係数の高いダイコンを設計しようとすると潜水時間が短くなり、減圧潜水を行った場合はやたらと長い減圧停止が出てしまうのが難点である。

M値を考慮した上で、潜水のスキルを高めたダイバーご用達のダイコンも有る事を忘れてはいけないが、それ程にリスクがある為、中性浮力重視やオーバーワークをしない、浮上には特に呼吸法を注意をするダイバーを目指して欲しいですね!

M=M0 + 10Pcompmax,i (absolute pressure in msw), maximal tolerable inert gas pressure 許容最大限の不活性ガス圧力.
M0 =10(a+1/b) (absolute pressure in msw) 絶対圧力.
ΔM = 1/b (dimensionless)
i  subscript indicating the inert fraction of a gas 不活性ガス.
ins  subscript indicating the inspired gas 示されたガス.

参考 1.飛行機搭乗禁止時間について  2.ダイブコンピュータ検証「反復潜水と残留窒素」

     3.ダイブメモリーズ・アクティブプランナー検証グラフ


Qq.マルチレベルダイブ 
 マルチレベルはモノレベルの繰り返し潜水から始まっている事を忘れてはいけない。

◎最近では、ダイブコンピュータに依存した潜水の遊び方が主流となりつつある。

しかし、以前のモノレベル潜水法とは違ったマルチレベルダイビング潜水が一般化されるが、モノレベルとマルチレベルでの違いと安全について考えてみよう。

a.モノレベルダイビング

旧来より使って来たUS NAVYや日本の潜水士必携のダイブテーブルが是に当たり、時間の設定や浮上に際してのスピード及び休憩時間であるインターバル時間等が細かく決まっていた。(イギリス、フランス、イタリア、其の他の国にもテーブルが存在)

ダイブテーブルの基本と成るものはイギリスの学者ホールデンの「2:1の法則」であり、潜水夫の減圧症罹患を数多く見て、防ぐ為に考え出された。

是は、潜水での窒素飽和と浮上に対しての定義を定めたもので、これにより飛躍的に潜水での作業が安全となった。

しかし、時が経ち、軍事目的や商業潜水等に使われる事により、さらに磨きが掛かり、より安全なダイブテーブルへと発展している。

この「2:1の法則」定義は、現在では「1.75:1の法則」に変わろうとしている。

b.マルチレベルダイビング

ダイブコンピュータの普及により、より複雑な潜水が可能となり、モノレベルタイブでは厳重注意とした事までが、いつの間にか薄れて潜っていないだろうか?

ダイブコンピュータ自体が万人の為に作られた物であり、少なかれ余裕を持って使わなくては成らないし、マルチレベル潜水そのものを勉強して頂きたい。
   
マルチレベルダイビングは、モノレベルダイビングを元に発展させているので、どの様に発展させたかを述べなければ成らない。

体の組織を6つの部位(コンパートメント)に分け、血液の循環時間毎に仕分けをする。

各部位及び組織により窒素飽和度がそれぞれ違う為、血液の全身一巡時間を5分とし、一巡時間の半分の2.5分をハーフタイムとしてスタートコンパートメントとする。

このコンパートメントのハーフタイムは、6タイプ、8タイプ、9タイプ、12タイプ、其の他と分かれますが、コンパートメント数が多い程、より複雑で安全とはなり得るのだが、各メーカーのダイコンにより、どの、誰のテーブルを使い、安全係数値をどれだけ設定するかにより決まりますが、ここでの優劣は差し置きたいと思います。
   
コンパートメント(部位組織)の考え方はどうであろうか?

単的に6コンパートメントで説明すると・・・まず容器が6つ有るとしましょう。

容器にA、B、C、D、E、Fと名前を付け、Aは吸収が早く、Fは一番遅く吸収する。

この容器は少し違った形の容器ですので、事前に説明をしましょう。

この容器は下の図の様になっていて、各組織を表します。


                 

他の容器へも同じ位置でつながっているが、このつなげているパイプは徐々に太さが違い、F(右)に行くほど細くなるが、これは抹消組織ほど血管が細く、また血圧が弱い為と、組織からの窒素分離が遅い事を想定している。

潜水中(加圧中)に窒素の蓄積が始まりますが、この容器は300%ほど有り、どれか1つでも100%を超えると減圧表示が出される仕組みと成っている。

浮上(減圧)の場合はAの容器は速く抜けて行くが、B〜Fの容器の分はゆっくりと徐々に排出されて行く。

完全に抜ける為には、12時間以上48時間以上も掛かってしまう。(最近は72時間監視)


 

同じ様なグラフを並べて見たが、○の所の各部位の窒素変化で、浮上中が危険と判るが、減圧症が発症するとすると、下の図の3〜5番の部位と判断が出来る。



マルチレベルダイビングでの危険性について

1.体質により窒素の排出が遅い為、モノレベルより危険度が高い。
体質(体脂肪が多い、末梢血管が細い方、内蔵機能の低下している方、その他)

内臓機能低下とは、二日酔い、睡眠不足、脱水症状を呈している人、内臓等に慢性的な疾患を持っている人。

その他とは関節等に問題を持っている方、例えば関節炎、脊椎変形や関節からくる神経痛やしびれを持つ人、リュウマチ等の疾患及び疑いのある人。

2.インターバルの時間が短い場合に、中間の組織より上位組織に残留窒素を多く残したままの潜水となる為に反復潜水中は1本目よりも早く飽和点が来てしまう。

その為に潜水時の移動と浮上時は特に注意をしなければいけない。

@ソーツース(のこぎり型移動) 
Aリバースプロファィル(浮上間際に深い所へ)
B浮上時のオーバーキックフィン 
C安全停止時のスキップ呼吸
D安全停止(3〜5分)終了後の急な浮上 
E潜水終了後の水面、陸上での過度な運動 
F潜水後すぐの温泉や長時間のシャワー 
G潜水後すぐの高所移動
 
危険と言われる事をあげればきりが無いが、モノレベル潜水よりもリスクが高い事を注意しなければいけない。
3.マルチレベルの管理においては、潜水中の移動時に最大水深到達以後は2.の@とAで述べた注意点に気を付けてきれいなプロファイルグラフを作れる様に練習をしたいものである。

   下記の図はマルチレベルダイビングに於いても危険とされる潜水のパターンです。

1.リバースプロフィール(プロファイル)
潜水の終了間際に深い所へ潜ってしまうスタイルであり、良い潜りとは言えない。

2.ソーツース(のこぎり型、ヨーヨー型)
フラフラと上がったり下がったりと安定しない潜り方。中性の取れない初心者に多い。

3.連続型ダイビング
インターバル(休憩、ガス圧減少)時間を殆ど、また、30分程度で次の潜水を行うスタイル。

しかし、問題とするのは残留窒素量の飽和度変化グラフであるので、ダイブメモリーズを使った検証をしてみた。

インターバル時間が短いと窒素ガスの飽和度が大変に高い事が判る!! 0%から始まって100%で窒素ガスの飽和帯へ入る。上の図の3本目は100%に限りなく近い・・・つまり、危険といえる。

下の図は、3本目にうっかりして沈み込みをしてしまった。気がついて普通(浮上スピード6m/min)に浮上しても減圧モードへ入ってしまう。

ダイブメモリーズ検証ファイル(遺跡調査時の実際のデーター) 必見です!

グラフ検証により、浮上時の窒素排出スピードの違いが分かるだろうか?

また加圧時と違い、減圧時は各組織よりの窒素排出減衰率の違いの為にゆっくりと放出が始まる。

1.3、1.6、1.9、2.2・・・2.9 これは3m毎の圧力変化の数値であるが、どこからこの数値は出て来たのだろうか?

もともとこの数値は、肺や内腔(耳腔・鼻腔)壁に呼吸(吸引と排気)によって生じる圧力によってその組織が損傷を受けない数字と思われる。

とするとこの値はその個々の運動能力、肺や内腔(耳腔・鼻腔)の機能に関係して個々に対応する圧力も違って来てしまうが、潜降中は耳抜きが出来れば良いが、浮上中は肺内での窒素の放出圧とレギュレーターの空気の吸引圧よる微妙な変化によりマイクロバブルスの生成場所(肺が!)に成り得る可能性がある。

最近の浮上法の参考例は12mより8mへゆっくり入り、6m〜5mへ入り安全停止、又は4m〜3mで安全停止を行うスタイルがあるが、これは安全停止と言っても窒素の放出をスムーズに行い、肺動脈圧を軽減する動作と覚えてもらいたい。


補足:大静脈で戻って来た血液は右心房、右心室を経過して肺大動脈へと進みガス交換をした後に左心房に入り左心室より全身へ送り出される。


1〜9区分 5分間組織の半分、2.5〜480分まで.
 
@1〜3区分は早い組織. 
A4〜6区分は中間的組織. 
B7〜9区分は遅い組織.

注 上位組織とは脂肪〜骨髄組織・髄液組織 (参考図検証)

体内の水分分布が問題とされているが、細胞外液と細胞内液、そして間質液=リンパ液の動きがダイビングでの鍵を握っている。

参考 潜水での脱水 
血液の循環 血液とは何? ダイビング中とダイビング後の血液の状態って

 

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