【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】 study-four_iからの続きです。

Yy.女性とダイビング

◎ いつの頃からか女性のダイバーが男性ダイバーを数の上で追い越してしまった感があり、ウエットスーツ等もカラフルとなってダイビングに行ける日を楽しみにしている昨今です。

男性と女性とではダイビングに於ける生理的要因やリスク等があり、常に念頭に入れてダイビングをされたい。
まず、体力や生理的な事から述べて行きたい。

一般的な部分である男性との違いは?

1.肺活量が小さい. 
2.
皮下脂肪が多い. 
3.筋肉量が少ない.
4.血液量が少ない. 
5.ホルモン分泌と働きの違い. 
6.妊娠時.

と、6つの違いを上げてみたが、最近では男性並みの体格と体質を持った方もいる。
取り敢えず、この中から何を考えられるだろうか?

特別に訓練をし、筋力や機能強化をしていないとすれば次の事が言えるのではないだろうか。
   

皮下脂肪と内臓脂肪が多いと!

1.空気の消費量が少ない. 

2.寒さに強い.

が上げられるが、若干気になる事は持続性の運動等に多少難が見出される。
しかし、これは日常においての筋力の補足運動や機能の強化の為のちょっとした努力で解決出来るが、やるかやらないかによりその運動及び機能能力に変化をきたす。

特に女性はダイエット等により糖分や脂肪分、カルシュウム分の不足によりダイビングには不向きな状態を作り出している方もかなり多い。

では、太っている方は良いのかと言うと、やはりそうでもありませんので、ここでは適度な体形としておきましょう。

痩せている方や無理なダイエットをしている方の場合は、皮下脂肪や体脂肪においても低くなって、体温の保持機能やエネルギー代謝に影響を与えます。

ここでは細かく説明は致しませんが、運動量が増えてゆくとエネルギーの消耗が増え、それに伴い代謝が増して行きます。

糖質、蛋白質が分解されエネルギーに消費されて行きますが、不足がちになると脂肪及び中性脂肪を含め分解しエネルギーに変えて行きます。

この時に、脂肪を分解する為にカルシュウムが絶対量必要となりますが、このカルシュウムは女性に対して大変重要な各種ホルモンの分泌にも不可欠で、不足してくると骨組織や骨髄及び歯などからもカルシュウムを抜き取ってしまいます。

当然として爪や髪の毛にも多大な影響を与えます。

本来ならストレスを開放する為のものが逆の効果を生み、更なるストレスと生理不順等の原因を作ってしまうのです。

カルシュウムが不足すると、ヒステリックになるのもホルモンバランスを崩した為に起きる女性特有なものと最近まで言われて来たが、一部の男性にも表れており、心理的にも不安要因を来たす。

この他には活性酸素の問題点が上げられる。

水に入っただけでも体の筋肉を大幅に使い、筋力不足や運動不足であればなおさらに必要以上に筋肉を使い代謝が早くなる原因を作って体温の上昇や心拍数の増加を引き起こします。

これはオーバーワークの始まりで、酸素を必要以上に取る結果に陥ってしまう。
この酸素は活性化し、活性酸素となり体の細胞組織を無作為に傷をつけて細胞が変異する恐れがあり、しみやしわ、しこり等の原因にもなりえる。

女性の妊娠においての注意点は、前述したようにカルシュウム不足によるホルモンバランスの問題とオーバーワーク、低体温、高体温、オーバーワークや高代謝における血糖値の低下、酸素及び二酸化炭素中毒による胎児への中毒症状と組織の損傷等が上げられます。

適切なダイビングであれば胎児にはさほど影響は無く、逆に良い結果を出す場合が有り、少なくとも6ヶ月、不安であれば3ヶ月〜4ヶ月位でダイビングを休止したほうが無難です。

しかし、この適切なダイビングとは・・・無理なオーバーワークをせず、中性浮力を程ほど出来て、ストレスを貯めないダイバーで無ければなりません。

空気の消費量

体脂肪、筋肉の付き具合、肺活量、身長、血液量、運動量で空気の消費に関係します。

当然として、皮下及び内臓脂肪が多く、肺活量と血液量が少ないと空気の消費も少なくなります。

精神的なストレスが有った場合は運動量も増え、空気消費が多大な場合も有ります。

生理時に減圧症に罹り易いのか?

確かに生理の為にホルモンのバランスを取ろうとして通常よりも負荷が掛かるのは事実だ。

では、どの様な負荷かと言うと、ホルモンの安定に欠かせないカルシュウムの摂取に於いて十分なる量を血液内から無機カルシュウムを摂取出来れば良いが、そうでないと骨髄内の硫酸Ca、塩酸Ca、燐酸Ca他にカルシュウム化合物から分解し取り出そうとする。

この作用は全身の骨髄に及び、指や腕の骨髄も含まれる。

この作用が生じると云う事は血液が骨髄にも集中して循環して行く。

また、骨の血管は大変に細い為に詰まり易い。

ダイビングに於いて、特に女性の生理時はこの骨髄内からのカルシュウム摂取に於ける破骨細胞が活発となり、更にこのカルシュウム成分や破骨細胞の老廃物を核とした減圧症発症核を作り出す。

此の侭では減圧症には成らないが、潜水時間ギリギリ、インターバルの短い再潜水、リゾートなどでの潜水回数の多いダイビングでは発症核の周りに生理的に発生したサイレントバブルスが付着し、更に高濃度の窒素がこのサイレントバブルスに溶融して減圧症発症因子化し、浮上時の過飽和によって末梢血管閉塞性のT型減圧症を起こす。

更に、減圧症発症因子が圧力の高い状態で左心房へ回り、左心室から脳に回ると脳型や中枢神経型のU型減圧症となり、左心室から全身に回った場合は動脈閉塞性減圧症となる。

何故生理時に減圧症に成るかとすると、無理な潜水が全てである。

もっと余裕を持ったダイビングで有れば罹患率も低くなるのだが・・・。

一度でも無理なダイビングをすると、この減圧症発症因子は体内に残存してしまうので、いつ発症するか予測が付かないが、無理な浮上やギリギリ潜水、インダーバルの短い再潜水、潜り頻度の高いダイビングは控えなければいけない。

自然な消滅を待つかと、第三者的な言い方をしてしまうが、減圧症に罹患すると自然治癒などあり得ないのである。

またはダイビングの潜水スタイルを変えて消泡化に務めるしかないと言いたいが、これも不完全であり、いつ再発症して、更に悪化するかも分からない。

または、US NAVYの治療用リカバリーテーブル6Aテーブルによる消泡か、US NAVYの治療用リカバリーテーブル6テーブルでも効果は有るが、完全には消えない。

兎に角、減圧症発症は女性の方が多い為に減圧症に掛からない余裕を持った時間配分でのダイビングを楽しんで貰いたい。

別として、「減圧症自己治癒潜水法」による消泡 と減圧症治癒も有るが、一般的では無い。

体の不思議 女性と男性 女性の生理から人間の体と情緒 の関係
     女性の体は難し過ぎます。未だ工事中ですが、脱水の項も有り一読して下さい。

参考リンク ピルとのつきあい方


Zz.疲労とダイビング 

ダイビングに於いて疲労は最低限の付き物なのですが、この疲労に関わる減圧症やパニック、不可抗力的な溺れ等がダイビングを始めたばかりの初心者から30年〜40年と熟練を積んだプロダイバーにも起きています(;一_一)

もう一度、疲労について、潜水生理学の本質を考え改めなければいけません!!

下の図は乳酸分解(嫌気性代謝)による重大な問題図です。

疲労とは (疲労、痛み、発熱によって身体の機能異常を表す3大発信信号の一つです)

「疲労とは、作業あるいは運動をしてゆく事によって、身体各部の器官や組織のエネルギーの消耗、あるいは調整の低下によって機能の減退が起こり、これが全体として作業や運動の成果を低下させる様になった時の状態」と定義される。

更に広く疲労を定義すると、「生体に及ぼす環境、生活および作業条件によって、生体の恒常的維持の機能水準が変化した状態」、スポーツ生理学的には「一定の、或いは期待されるパワーの出力を維持出来なくなる状態」、或いは単に「運動に必要な力が発揮出来なくなる状態」として定義する事が出来るのだ。

しかし、疲労という概念は内因的(身体内生理的な要因と脳へのストレス)なものと外因的(対外的な精神ストレスから来る身体への調整機能不全)なものを含む為、どこまでを含めたものかを考えなければいけないが、この項では直接的疲労とダイビングに関りの疲労に関して説明してゆく。

疲労とは作業の継続により持続する能力が落ちる事を云い、身体の疲労(末梢性疲労)と神経的な疲労(中枢性疲労)とに分けられる。

まず身体の疲労から説明すると、筋肉の運動によってエネルギー代謝が起き、熱の産生と二酸化炭素CO
2及び乳酸CH3CH(OH)COOHを生成する。

このCO2と乳酸CH3CH(OH)COOHの解糖分解によって乳酸塩と水素イオンが発生し、筋肉及び静脈内へCO2とH2Oを産生し、これが疲労因子となり疲労中枢に働きかけるが、酸素の消費量(換気亢進)によって息苦しさからの神経的な疲労因子にもなりえる。

ここでの換気亢進は肺からの排出CO2が正常に排出されない為、血漿中のCO2(PCO2)が増えた事で酸素の取り込み不足となり、肺への深い呼吸へと変貌する。

この呼吸は、その水深に於いて空気を吸っても吸っても苦しさはぬぐえないのである。

この息苦しさを増長している原因そのものは血漿中のCO2(PCO2)で、呼吸中枢はCO2の状況で呼吸筋を動かしているに過ぎないのであり、これに血漿中のCO2(PCO2)の持つ体温保持機能→CO2は体温の上昇に寄与し、酸素02は体温の低下に寄与するが、この場合は酸素02が足らないのに加えて体温(脳及び身体)の上昇が起きて尚更に苦しさが倍増するのだ。(上の図の静脈側の重炭酸イオン、重炭酸ナトリウム、炭酸ソーダを参照)

回避する為には体の動きを止めて乳酸の発生を止め、その場に静止して、尚且つ首筋や顔面、頭などを冷やせば元へ戻って行き、正常な呼吸へと戻るのだ。

知らなければ、ベテランのダイバーであろうがパニックや溺れへと引き込まれる事となる。

更に、ダイビング中の神経的な疲労では、緊張やストレスでの無意識な呼吸停止で筋肉の収縮が起こり、酸素不足(嫌気性代謝)による乳酸生成の速度が速くなり、疲労中枢に働きかける場合と、細胞内で酸性化が進みpHの低下によって筋細胞の収縮機能低下が起こる事でも疲労が進むと同時に身体の行動性にも制限が起きてます。

つまり、ダイビング中は空気がもったいないとかで無理なスキップ呼吸をしてみたり、苦しいからといって思いっきり空気を吸っても良い訳では無い。

リラックスしてゆっくりと空気を吸い、中性浮力の取れたダイビングを楽しむ事が、より安全なダイビングへと繋がるのだ。

疲労とは、末梢性疲労に始まり、中枢性疲労となる事で疲労困憊(こんぱい)の状態となるが、この逆もあって中枢性疲労により末梢性疲労も起こすのです。ご注意を(^^ゞ

運動性疲労の生理・生化学的原因

@筋中のクレアチン燐酸(CrP)の枯渇.
A筋中の水素イオン(H
2)の蓄積. →CO2とH2O、NH3の増加. 減圧症の発症原因となる.
B筋中のグリコーゲンの消耗.
C低血糖症.
D血中アミノ酸濃度の変化.
E酸素供給の不足.
F脳に於いてはCO2、O2、NH3、Na、K 、Cl、(その他多数)でも過剰又は少なくても身体の生理的なストレスとなり中枢性疲労に転嫁される.

また、身体の恒常性維持が出来れば疲労は少ないのだが、これとは逆に精神的ストレスによる恒常性維持機能不全を起こす為、回避する為の生理・生化学・精神ストレスに於ける知識等が必要となる.

@〜Fの中で単独で起きるのでは無く、複数の要因が絡み合って筋疲労が起きる。

クレアチン (Cr) とは、1-メチルグアニジノ酢酸(或はメチルグリコシアミン)のことで、アミノ酸の一種.

ダイビングに於いての疲れの原因はどうであろうか?

一番の問題はフィンキックの多さであり、運動不足の筋力の低下でも疲労の度合いが違う。

また、ストレスによる体調の失調で疲労中枢に素早く働きかける為に疲れが一段と増す。

この他に血糖値低下によっても代謝が著しく低下することでの脳に対するストレスにより疲れが増大するが、疲労の生理的発生によって身体運動機能及び心理的に身体制御のコントロールを失う為によくよく勉強をされたい。→パニックや回避・脱出欲求→溺れ誘発 !

脳の中枢性疲労にアンモニアが疲労因子として関与!?

下記の図はアンモニアの生成と合成によって毒性の無い尿素等に変えているが、体内ではアンモニアNH3(脂溶性)やアンモニュウムイオンNH4+(難脂溶性)の形で存在しており、特に脂溶性のアンモニアNH3は細胞膜を通過して、細胞内へ入り、細胞障害毒性を発する

また、アンモニアには神経毒性があり、肝臓疾患や肝臓の機能低下などで尿素回路に障害が起きるとアンモニアを無毒の尿素に変換処理出来なければ、高アンモニア血症等になり、アンモニアが脳血液関門を容易に移行して脳障害が起こる。

脳ではアンモニアをGDH(グルタミン酸脱水素酵素)によってα-ケトグルタル酸と結合させ、グルタミン酸を生成させ、アンモニアNH3を無毒処理させる。

その為、脳内のα-ケトグルタル酸が消費されて減少し、更にオキサロ酢酸も減少して、TCA回路によるNADH2+生成や、呼吸鎖によるATP生成が停止する。

結果として、脳神経細胞障害が起こり、最悪の場合は修復不可能な脳細胞死が起こる。

つまり、アンモニアの影響によってATPの生成(エネルギー産生)が低下してしまう。

また、GDHによってグルタミン酸の濃度が上昇するが、アンモニアを処理する為にグルタミン酸合成酵素でグルタミンが合成され、神経伝達物質として作用する。

しかし、GABA合成の前駆物質であるグルタミン酸が減少する。
GABA : 抑制性の神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(ガンマ アミノ酪酸)

これは、アンモニアによって脳神経の伝達が遅くなる事を表している。

尚、グルタミン濃度の上昇はグリア細胞の細胞内浸透圧を増加させ、細胞内の水分量を増加させるので脳浮腫が生じる。

アンモニアはグルタミン濃度を上昇させて脳浮腫も起こすのだ。

アンモニアは脳細胞内の水分量も増加させて血液pHにも影響を与える。

NADH2+ : NAD++2H++2e-→NADH+H+  ニコチンアミド
NADH+H+=NADH2+ ミトコンドリアの呼吸鎖の電子伝達系
GABA : 抑制性の神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(ガンマ アミノ酪酸)


睡眠不足でダイビングすると、どうなるだろうか?

体の代謝機能低下により、体温の低下や血糖値低下及び内蔵機能低下により乳酸分解が遅れ、疲労因子や疲労物質の蓄積により、運動機能(筋肉の収縮と弛緩)低下や脳に於 ける思考力の低下及び感覚器反射の低下をきたす。

内蔵機能低下に伴い脱水症状も現れる。

二日酔いに於いても同じ様な症状となるが、二日酔いに於いては脱水症状等が顕著に表れる為に気を付けなければならない。

血中内にアルコールや分解後のホルムアルデヒドが残っている為に自律神経や交感神経、中枢神経に影響を及ぼす恐れがある。

判断力の低下や感覚器の機能低下があるが睡眠不足とは多少違い、体温等が高い。

二日酔いの場合は脱水状態の状態にもよるが、血中の水分量が少なくなる為に血液の粘度が上がり、スムーズに血液循環が出来なくなり、窒素の排出がやはり遅くなる。

起因となる条件は違うが、どちらも血液の循環が悪く、窒素の排出が遅い為に減圧症になり易い。

どちらの方が減圧症になり易いかというと、前者の方が特に掛かり易い。

疲労に於いての危険性は体温低下や血糖値低下に伴い、体温の保持の為 、末梢組織に於ける毛細血管への血流を阻害や抑制する為に窒素の排出が通常より遅くなり、減圧症に掛かる確立が高くなるので注意されたい。

筋肉の疲労と痛み
運動をし過ぎた場合は筋繊維の破断や傷みによっての筋肉痛が起きるが、筋肉を休ませる事で徐々に回復してゆく。

また、筋肉や生体の疲労感は乳酸の生成による筋肉内の血液酸化作用による疲労感や痛みを生じる。

脳内での疲労因子(アンモニア等)が関わり、神経を介して筋皮に痛みを生じさせたり、末梢の組織での水素イオンの関わった毛細血管閉塞による組織炎症での痛みもある。

やはり、皮膚型やT型減圧症に掛かり易い。

早期回復の為の対策  →【疲労と代謝 】にも記載.

代謝を助ける為には、高蛋白質及び脂質の多く含んだ物を摂取し、水分の補給として高電解質の多く含んだドリンクの飲用薦める。

しかし、疲労因子(大量の水素イオン)や疲労物質(乳酸塩やNH3)が多く残っているので身体を極力休める事に努力されたい。

二日酔いの場合はホルムアルデヒドを肝臓で分解するのではなく体外に放出した方が回復が早いので、電解質の入ったドリンクを 2〜3倍位に割って大量に飲用する。

DRYスーツの場合は不向き(-_-;)
しかし、普段のアルコール摂取後の飲用は余り薦められませんね!
結石等の障害が出る場合があるようです。

疲労時に於けるストレスとの因果関係
ストレスとして精神的に感じるとすれば、それは血糖値の低下並びに血液の酸化、そして脱水による血液粘度の増加であろう。

結果として体温の低下や内臓の不調が起きて筋肉の痛みや関節の痛みの信号として脳に伝わり気分が悪くなったり体調の不全を訴えるが、時として腹痛や下痢、めまいや吐き気として表れる。

時として、このストレスが疲労へと変わり、末梢組織への血流の阻害や抑制を行うと皮膚型やT型減圧症へと導かれてしまう。

また、2本目のダイビング時に於ける耳抜きの不調(低血糖、体温低下)も起きて来る為、当然として疲労度も増す。

体調が悪ければ、少なからず皮膚型、T型、U型の減圧症を誘発する為、注意が必要 !!

余談話1として、減圧中やギリギリ潜水の浮上中にオーバーキックやオーバーワーク等で筋疲労や関節への疲労を与えると、T型の減圧症になり易い(;一_一)

余談話2として、浮上中にオーバーキックやオーバーワーク等で身体への筋疲労をさせると嫌気性代謝での乳酸が産生され、大量の水素イオンが筋肉内と静脈内で生まれる。

結果、重炭酸イオン、重炭酸ナトリウム、炭酸ソーダと結合分解されて静脈内中にCO2と水素イオンH+及びH2Oが分離され、H2Oは静脈血液のpHを下げてアシゾースト化、H+は筋肉の収縮を阻害、CO2は静脈血漿中のCO2濃度を上昇させて、正常な肺換気 が行われない為、→身体はこの状態を感知して回避する為の状況を作ろうとして大量の血液を門脈を返して静脈中に送り込むが、この状態を簡単には回避出来ない!!!!!?????
     
陸上に於いては苦しさが倍増すると息を喘いで身体を止める動作へと進むが、水中でこの様な状態が起きると身体を休めると言う概念が生まれずに余計に回避したい願望が生まれる。

これが、苦しいが為にレギュレーターを外す及びマスクを外す行為なのだ。

苦しいが為に起こす、相反する行為そのものであり、その場からの回避・逃走本能が働いたが故の空しい行動なのである。

ただし、ディープダイビングに於ける窒素酔いに於ける陶酔からのレギュレーターを外す及びマスクを外す行為とは根本的に違います。

水中浮上時では、苦しくなったら動かない、楽になったら動くが最良の選択肢と言える。
  

 
潜水での脱水(重要


   a.疲労と代謝  ダイビングとカルシュウムCa2+の関係 

◎疲労に対しては色々な形で述べて来たが、ではその疲労を回復する為に体はどの様な生理機能をして行くだろうか! 考えてみよう。

まず、その前に筋肉の代謝と疲労因子について再度検証しよう ! (図を参照)

 この下の図は筋肉疲労時の状態を表す !

 アデノシン三燐酸(ATP) ⇄ アデノシン二燐酸(ADP)+無機燐酸(Pi)+エネルギー

血漿中のカルシュウムCa
2+
生体のカルシュウムCaの99%は骨組織にあって血漿濃度は2.3〜2.7m㏖/ℓ或は約5mEq/ℓで常に一定に保たれている。

血漿Ca2+濃度の調整に関するホルモンはパラソルホルモンカルトニンビタミンDもCaの摂取に必須でありDホルモンと呼ばれる。

血漿Caは、骨組織がCa2+を放出したり、反対に血漿Ca2+を結合したりし、食物中のCaを消化管(腸管)から吸収している。

また、腎臓から燐酸と関連してCaを排泄するなどの機序によってバランス良く調整されている。

パラソルホルモンは血漿Ca2+濃度が低下した時に分泌が増し、骨におけるCa2+の放出と、腎臓からCa2+の再吸収を促進する事によって血漿Ca2+濃度を正常値へと戻す様にと働く。

血漿Ca2+濃度が増した時にはパラソルホルモンの分泌が抑制される。

パラソルホルモン(副甲状腺ホルモン、上皮小体ホルモン)が過剰に分泌されると、骨組織からCa2+が血液中に過剰に放出されて、血漿のCa2+濃度は上昇する。

しかし、過剰に放出されると骨の中に嚢胞が生じ、嚢胞性線維性骨炎を起こしてしまう。

血漿中のCa2+と燐酸HPO42-とはその溶解度積が一定で在る様に変化する。従って、血漿のCa2+が増すと、燐酸HPO42-は腎臓から排泄されて尿中の燐酸が増し、血漿のHPO42-濃度は減少する。

また、パラソルホルモンは腸管からCa2+の吸収を促進するが、この時にビタミンDが必要となる。

カルシトニンは血漿Ca2+濃度が上昇すると分泌されて血漿Ca2+濃度を下げる様に働き、骨から血液へのCa2+遊離を抑制し、腎臓からのCa2+排泄を促進する。

結果として骨の形成を助ける事にもなる。


この図式は筋運動におけるエネルギー源ATP生産の為の分解と合成を表しています。

C クレアチン CP クレアチン燐酸 P 無機燐. G-6-P (ブドウ糖-6-燐酸) アセチルCoA (アセチル助酵素A)

アデノシン三燐酸(ATP) ⇄ アデノシン二燐酸(ADP)+無機燐酸(Pi)+エネルギー

筋小胞体のカルシュウムCa2+によって筋肉の収縮を行っているが、再取り込みを行っても全てを取り込む訳ではない。

通常、Ca2+は細胞外へ取り込まれており、細胞外から細胞内へ取り込まれてトロボニンやカルモジュリンに受容されると骨格筋や心筋、平滑筋の収縮が起きる。

筋肉以外の組織でもCa2+によって細胞の活動を調整しているし、また、酵素を介してたんぱく質を燐酸化し、細胞膜のイオンチャンネルの開放など種々の生理的反応を高めている。

血中の血糖値が低下して来ると、脂肪も分解され栄養素として投下される。

この時に血中のカルシュウム分を消費して脂肪を分解して行くが、血中や体液中にカルシュウム が不足して来ると骨髄や骨組織からカルシュウムの吸収を始めて血中に溶かして行く。

ADP(アデノシン二燐酸)の再燐酸化速度が低下し、ATP(アデノシン三燐酸)が減少する様な低エネルギー状態では、AMP(アデノシン3',5'燐酸)ディアミナーゼが活性化されるが、結果としてAMPが分解されてIMPアンモニアNH3の生成が高まる.

また、IMPディアミナーゼは激しい筋収縮に伴う乳酸生成による運動誘発性アシドーシス(pHの低下)によっても活性化される。

イノシン酸(—さん、inosinic acid)は、ヌクレオチド構造を持つ有機化合物の一種。
ヒポキサンチン(6-ヒドロキシプリン)と
D-リボースとリン酸各1分子ずつで構成されたリボヌクレオチドで、イノシン 5'-リン酸、イノシン 5'-モノリン酸、イノシン一リン酸などとも呼ばれ、IMPと略記される。

主に肉類の中に存在する天然化合物である。呈味性ヌクレオチドの1つであり、日本では鰹節に含まれるうま味成分のひとつ。

一般的にダイビングでの体の代謝率は通常の3倍と言われ、経験者であれば爪や髪の毛が伸びるには合点が行く。

しかし、カルシュウムCaの補充をしないと骨密度の低下が起きて骨租しょう症となってしまう。

しかし、骨密度が低下してくると爪が薄くなったり、爪が割れたり、爪の変形等が起きるし、髪の毛等もつやが無くなる。

ダイバーとて宇宙飛行士と同じで、適度な筋肉の疲労によってCaを吸収し、適切にCa2+イオンとして利用しなければ骨格や筋肉の維持が出来ないので注意しましょう!!

疲労の回復には

  1.クレアチンの補充(サプリメント)
  2.水素イオン(H+)の蓄積を防ぐ. 
  3.筋グリコーゲン量を増やす.
  4.低血糖を避ける.
  5.アミノ酸サプリメント.
  6.カルシュウムを程よく摂取.(ビタミンDの摂取及び太陽に当たり生成を助ける必要あり).
  7.アンモニアNH3を多く生成しない。及び水の摂取を程よくする!

よく見てみると乳酸を発生させない、また、発生させてもエネルギーの元であるATP生成を助ければ大丈夫な事が解る。疲労と代謝の項を良く読んで理解して下さい。

疲労と代謝では、内因性・外因性から来る精神的なストレスから起きえる身体の代謝によって身体の不調や身体保持機能、回避行動を伴った空気塞栓症(エアエンボリズム)や減圧症を不可抗力的に引き起こす可能性があるのです。注意しましょう !

-----------------------------------------------------------------------

b.疲労と水温

潜水反射作用(ダイビング・リフレックス)

水棲哺乳動物にはダイビング・リフレックスと言われる反射作用があり、当然、人間にもその作用が弱いにもかかわらず影響を及ぼしている。

この反射作用は心臓や脳への血流を確保する為、大量に血液を使う筋肉や内臓器への血流を極端に抑える作用がある。
ただし、この時に血液の再分布と心拍数の低下を伴う。

この作用は人間も持っていたが忘れ去られていた反射作用で、練習によっては活用が出来る様にはなるが、かなりの危険を伴う為に薦められるものではない。

通常では冷水に顔や頭を浸ける事によって引き起こされ、心拍数の低下や末梢血管の収縮を伴う血圧の低下が起きる事が知られており、時として心臓病の心拍数拍動過大の治療等にも使われている。

一番の効果的利用法は息こらえによる潜水であるが、失神等を含めた危険性をふくみ、また、反射効果後には極度の疲労を伴う事を忘れてはいけない。

スキューバダイバーでは手足の末梢血管や皮膚毛細血管を閉ざす事での低体温を防ぐ作用もこれに当たると思うが、周期的に血管の開放を行う事で血流を回復し、栄養分と酸素を送る事で壊死させない様な機能を発揮している。この事も相当な重度な疲労を伴う為、注意が必要だ。

この反射作用に水浸(イマージョン)の効果(血流量増大)も加わって、ダイバーが水棲人間の様に潜る事を可能としている。

手足の末梢血管や皮膚毛細血管を閉ざす作用は時として、皮膚型やT型の減圧症を呈する場合も有る為に、低体温化も起こしてはならないとされている。

低体温時、末梢毛細血管が血流阻害や血流抑制を受けていても筋運動は可能であり、この時の筋運動を嫌気性代謝による筋運動と言う。

この時に大量の乳酸を出す事で、疲労とダイビング疲労と代謝の項で述べている乳酸アシドーシスから来る水素イオンによる筋肉の収縮阻害、肺でのCO2排出が出来ず、また、肺でのO2の取り込みの出来ない最悪の状態(パニックや現状回避本能→レギを外す、水面へ飛び出す)を作り出す可能性がある。


     
周期的に血流を戻し、指の皮膚温度が上がっている。

種々の物質の熱伝導率

cal/u/hr/℃/p

物 質 名

熱伝導率

 水
 静止空気
 ウール衣料(正常値)
 ウール衣料(最大値)
 発泡ネオプレン
 硬質ネオプレン又は天然ゴム
 ゴム引き布地

 53
  2.3
  8
  3.4
  4.6
 16
 16

種々の物質の熱伝導率を表してみたが、水が一番熱伝導率が高い事に注意して貰いたい。

また、静止空気の熱伝導率が大変に低い。なんと、ウール衣料よりも熱伝導率が低いのだ。

この効果を利用したものがドライスーツであり、ドライスーツの中に空気を取り込む事で保温性を保つ事が出来るのだが、浮力が付き過ぎる、ウエイト量が多くなると言う理由で、この空気を利用しない講習や、ファンダイビングを行っている。

例えば、水面下ではドライスーツの空気を殆ど抜かなければ浮き上がる為、ギリギリまで抜いて居るが、結果的に体温の低下を誘い、トイレが近くなったり他の生理的な問題点を作って居る。

ダイビングが終了したら、ドライスーツの中へ空気を送り、空気の保温性で寒さをしのぎましょう(^^ゞ

体温の調整

人体は外部環境の一つである温度の変化に対して、体温を約37度一定に保つ機能を有している。

この体温調節機能は、代謝の結果、体内に生ずる熱(産熱)と、その放散(放熱)のバランスによって行われている。

産熱は体の色々な所で作られるが、特に骨格筋が活動する時、その産熱量が最も多い。
例えば、水中での安静時の酸素消費量は0.4ℓ/minで発生熱量は65㎈/u/hrに過ぎないが、0.8〜0.9ノット(毎時1.5km〜1.6km)の中等度のスピードで泳ぐ時には1.4ℓ/minの酸素を消費する一方で、225㎈/u/hrの産熱がある。

更にスピードを増して1.2ノット(毎時2.2km)となると2.5ℓ/minの酸素を消費し、400㎈/u/hrの熱を体内で作り出す。

           

産熱が代謝即ち化学的プロセスで行われるのに対し、放熱は人体と外部環境の温度差に基ずく物理的なプロセスによって行われている。

つまり、一般的熱移動の形式である伝導、対流、輻射のほか、空気中では皮膚表面からの発汗の蒸発による冷却作用が大きく作用している。

水中に於いては、汗の蒸発による放熱作用は無くなるが、空気と比べ水の熱伝導率はずっと大きい。

これは、水中に於いては体から急速に熱を奪う為、防寒対策の保温スーツ等を着なければいけない。

尚、水温20℃位であっても体温を奪われ続ける為、短時間で全身の震えであるシバリング(shiverring)が起きる。

この震えは寒くてブルッと来る震えで、オシッコを我慢し行きたい時にもしばしば発生する。

水中に居ると尿の生産が多くなり、膀胱にたまるが、膀胱に溜まった尿が冷えて来るとブルッとシバリングする。

自給気潜水時の水温の作用

水温が高過ぎると、潜水者は放熱が妨げられてうつ熱状態となる。

水温が低過ぎると、体温の低下に伴い色々な症状が現れて来るが、限界とするのは手の震え、体の震え、マウスピースを咥えていられないほどの唇の痺れ等がある。

詳しくは、直腸温度で見た体温低下時の状態を参照して下さい。

水 温(℃)

作   用

35
30
25
18〜21
15〜18
13〜15
10〜13

安静時うつ熱状態.
労作時うつ熱状態.
安静時1〜2時間で冷却.
裸では150〜210分の労作で消耗状態.
裸では40〜90分の労作で消耗状態.
裸では30〜45分の労作で消耗状態.
裸では15〜30分の労作で消耗状態.

21
15〜21
15以下

この温度以下では通常保温が必要.
毛の下着でも間に合う.
潜水服が絶対必要.


直腸温度で見た体温低下時の状態(下の図)

----------------------------------------------------------------

c.ダイビングに於ける脱水 (潜水での脱水)

1.一般的な脱水と起因する原因.


色々な原因によって体内から尿や汗として過剰に水分を排泄した時に脱水症状は起こります。体内への水分摂取量の減少によって、水分(体液)が欠乏した状態を言います。

体内での水分(体液)の割り合いは・・・?
年齢や性別によって多少は異なりますが、人間の体重の60%は水分と言われます。
その内、個別に重量換算し、水分比を抽出すると下記の数値となります。

脳  82%  骨格筋  76%  肝臓  68%  骨  20%  脂肪組織  10%

人間の体重の60%が体液(水分)で占められていて、その内、体液(水分)の2/3は細胞内にあって「細胞内液」と言われ、残り1/3は細胞外にあって、細胞を囲んでおり、「細胞外液」と言われます。

女性の場合は体重の55%が体液(水分)で、差の5%は体脂肪。いずれも個人差あり。

リンパ=間質液=血漿蛋白質を除いたもので、間質液(リンパ)が貯留すると浮腫みと言う.

この比率を体重60kgの成人で見てみると・・・

身体全体の60%の水分量は36ℓ 細胞内液が24ℓ 細胞外液が12ℓ

細胞内液や細胞外液の水分量が過剰、又は欠乏したりしない様に調節機能での血漿浸透圧や血行に於ける循環血漿量調整などが働いて水分の安定を保持しています。

細胞内液や細胞外液の体液成分の内、細胞外液が減少した状態を脱水と言います。
 
細胞内液細胞外液とは何だろう?

体液を構成している細胞内液と細胞外液の大きな違いは、その中に含まれている電解質の陽イオンと陰イオンの割り合いと構成にあるのです。

細胞内液はK⁺(カリウム)が主な陽イオンで、P(リン)やアミノ酸などが陰イオン。

細胞外液はNa⁺(ナトリウム)が陽イオンで、Cl⁻(塩基)が陰イオン。

良く見て頂くと、カリウムは細胞内液のみにあり細胞外液にはナトリウムと塩基イオンで構成されています。

細胞外液の内の1/4、全体重の5%相当が血管内を流れる血漿量に相当しており、残りの3/4、全体重の15%が細胞間液(間質液)として存在します。

ナトリウムは成分濃度が最も高く、細胞外液の浸透圧を維持するのに重要な役割を果たしています。

また、体内での食塩(ナトリウムや塩基)の量は、細胞外液量を一定に保つ為に必要な物質で、正常な細胞外液量を維持する為、尿細管などでナトリウムの再吸収や分泌が行われているのです。

細胞外液の内の1/4=3ℓ 全体重の5%相当が血管内を流れる血漿量に相当.
血液中の血漿量は3ℓ

細胞外液の内の3/4=9ℓ 全体重の15%が細胞間液(間質液)として存在.

細胞外液の濃度は、大体0.9%なので、「0.9%食塩水」を「生理食塩水」と言います。
0.9%とは精製水・蒸留水などの水1000ccに食塩(塩化ナトリウム)を9g入れたもの.

脱水には、細胞外液の水分とナトリウムの喪失の割合から、等張性、高張性および低張性脱水の3タイプに分けられます。

@等張性脱水は、水分とナトリウム欠乏とがほぼ同じ割合で起こっているもの。
A高張性脱水は、水分の欠乏の割合が、ナトリウム喪失の割合よりも高い状態。
B低張性脱水は、ナトリウム喪失の割合が、水分欠乏の割合を上回っており、純粋食塩欠乏とも呼ばれる。

脱水を引き起こす原因とは!?

多尿による排尿によって水分やナトリウムが喪失する腎性(腎臓性)脱水と、運動を伴う大量の発汗、水分補給不能等によって起きてしまう腎外性脱水とに二分されます。

腎性脱水:過剰な利尿剤の投与に伴う合併症として、日常的にも認められる事があります。

利尿剤により体内の水分と共にナトリウム、カリウム等の電解質も共に体外に排泄され低張性脱水の型をとる事があります。

また、糖尿病の罹患者で血糖値が不安定な時に、多量の尿糖排泄に伴う浸透圧利尿の結果、脱水を認める事があります。

その他腎性脱水には、尿崩症、間質性腎炎、慢性腎不全等の疾患でも認める事があります。(腎臓での水分喪失)

腎外性脱水:高温作業時における大量の発汗や、広範囲な火傷の際にも脱水を認めます。

また、意識障害に伴う水分補給摂取量の低下、消化器疾患時の激しい嘔吐などでは胃液や胃酸などの酸喪失を伴い、高度の下痢などでは水分喪失を伴って腎外性の脱水状態になる事があります。 (腎臓以外での水分の喪失)

脱水の症状

軽い脱水での自覚症状として倦怠感、疲労感、口・喉の渇き、めまい、頻拍尿量減少などが起こります。

その他の症状としては、皮膚、特に顔や前胸部、大腿部の弾力性、緊張感の低下が起こり、舌、口腔粘膜の乾燥なども更に認められます。

高齢者では、皮膚の弾力性の低下は皮下脂肪組織の減少と紛らわしい部分があるので注意を要します。

重症になって来るとチアノーゼ、意識障害、四肢冷感、乏尿、ショック状態に陥る事もあります。

脱水のタイプによっても現われる症状が異なります。

高張性脱水は、細胞外液量の減少が細胞内から水分の移動によって軽減するのでショック状態を起こしにくい。

低張性脱水では、高張性脱水とは逆に水分が細胞外から細胞内へ移動し、脱水を助長する為に、ショック状態に容易に陥るとされます。

2.ダイビングに於ける脱水(潜水中と潜水後)

ダイビングに於いて、一般の脱水症状を呈するのは何一つ変わらないと思われがちだが、ダイビングに於いて、体に掛かって来る運動量は陸上の2〜3倍位とも言われる。

これは、体の捻じれを含めた全身の運動で、1日に2ダイブのダイビングで凡そ3800㎉〜4500㎉の体力消費が有るとされる。

1ダイブ1時間であっても2ダイブなら2時間でこれ程のカロリー消費をするのだ。

とすると、それに伴って乳酸も出す事となり、乳酸の加水分解も起き、目に見えない汗や膀胱への貯尿も起きている。

これは、腎性脱水腎外性脱水をも考慮しなければいけない事となる。

尚、この拙稿【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】内で多く取り上げているオーバーキックとオーバーワークでの呼吸数増大や心拍数増大も、腎性脱水腎外性脱水を安易に引き起こす為に決して良いものでは無いと言える。

これに加えて、ダイビングでは水浸と言われる体を水に浸ける事での心理反射イマージョンでの利尿効果と、水深を増して潜る事での、水中に於ける中性浮力化によって起こる高圧利尿による排尿作用が有るのです。

共に腎臓から膀胱へと導かれますので、一種の腎性脱水と同じ効果が生まれ、脱水へと向かいます。

もう一つの原因として、スキューバダイビングの場合、スキューバのタンク内空気の乾燥度だが、その乾燥の度合いは99.8%以上と言われ、殆ど水分が無い状態ですから、レギュレーターから呼吸をする度に口腔内及び肺内の湿気補給で体内の水分は奪われて行くのです。

やはり、これも腎外性脱水へ向かう系統です。

水中や水面で動けば動くほど喉が渇き、喉がくっつく様な息苦しい違和感になって行きますが、口からレギュレーターをはずしてうがいをすれば、暫くはこの息苦しさから解放されます。

この喉の渇きは、水中に於いての緊張も働いて口元並びに顎に力が入っている事でも原因の元になっているので、口元や顎に力が入らない様に、更に顎を引く動作も、レギュレーターからの空気が喉元に当たる為に注意が必要とされる。

筆者の呼吸の仕方はレギュレーターのマウスピースを軽く咥えるが、咥えた時に口尻をゆるめて軽く海水(又は水)が入る様にしている。

つまり、タンクからの空気は殆ど湿気が無い為に、口の中には常に水分が有る様にしている事で喉が乾かないが、耳抜きの時には、この口の中の水は耳管へ送り出してしまう為に要注意となる。

また、顎に力を入れない様にレギュレーターのエキゾースト(排気弁)から排気をせずに口尻から排気をしている。

これは、マウスピースの噛み具合が大変に緩い事を表している。顎に力を入れない事で、緊張や筋肉疲労、脱水を低減しているのだ。

ただし、口の中に海水を引き込むのは良いのだが、この海水を飲んではいけない。

飲めば血中のナトリウム濃度が上がり脱水化が進む。

マウスピースを強く噛む事で顎に力が入り、更に肩にも力が掛かる事で、疲労感が増し、また、耳抜きも抜けない原因ともなっている。

特に、初心者や中級者に多く、ベテランであっても緊張した時にマウスピースを強く噛んでチップ(出っ張り)を噛み千切ったりもする。
これも、練習によって回避出来る様になる。

さて、ダイビングでの脱水についてまとめて見よう。

腎性脱水 運動過多による血流量増大での利尿と、水浸利尿と高圧利尿.

腎外性脱水 発汗、呼吸による口腔や気道の渇きと、体外への水分排気.

になるだろうか! 良く見ると初心者から中級者系の運動量の多い方がなり易いと気が付くし、それ以外でも、長時間潜水している方に当てはまりそうだ。

が、実は潜水での高加圧下では細胞内液、細胞外液での間質液が血漿内へ流入して外水圧平衡を取ろうと移動を始める為、実質では血漿量が増えて体腔の弱い所、及び関節内へと移動する。

また、血液中の血漿の量が増えた事での利尿効果も働き、膀胱へと導いて貯尿する。

当然として、尿意も催す。高加圧下では、外圧と身体内圧力が完全に飽和しない限りでは血漿と細胞外液、細胞の内液は不安定な状態となるが、血液はサラサラの状態。

潜水後、又は浮上後の体の状態では・・・。

潜水が終了して浮上を始めると、外水圧も下がって身体内圧力も下がり始めると体腔の弱い部分と関節へ充当されていた血漿は元の状態へと戻ろうとして、血液中へと戻り適正に組織へと配分されて行くが、膀胱へと導かれた水分(体液)は元へとは戻らない。

また、呼吸によって体内の水分を体外へ放出した分もあって、結果的に水面に近付く程、血液内の血漿(水分/体液)は減って行き、ドロドロの血液へと向かって行く。

この血液ドロドロの状態は脱水と同じで腎性脱水とも言う。当然として、ダイビング終了後に水分の補給は不可欠である。

腎性脱水と腎外性脱水の両方が潜水中では顕著に起きている事を表している。

潜水中にこの様な脱水状態を起こさない為には、中性浮力を確実に取り、また、運動量を極力減らす事が最良の方法だ。

ただし、高圧利尿だけは避けれない。
潜水中に脱水状態が出る場合は、この項の1の脱水の症状を見て下さい。

3.脱水での傷害と障害(減圧症誘発).

潜水での高加圧下では血液がサラサラなので、窒素の飽和以下、又は所定の無減圧潜水なら問題は無い。

しかし、浮上に際して脱水が起きていると血液がドロドロの状態、つまり、血液の粘度が上がる事で血液の流れがスムーズに行かなくなり、大静脈圧過大へと向かって行く。

また、浮上スピードが早くても、窒素の血管内への放出圧が高まり、同じく大静脈圧過大へと導いてしまうのである。

更に、浮上に際しての呼吸に於いて、意識的に排気をしなければいけないのと、浮上時にオーバーキックによるオーバーワークも心拍数の増加に結び付く為に、してはいけない行為とされる。

ここまでは、脊椎型・脳型・中枢神経型・メニエル型・チョークス型の減圧症に発症してしまう事を言ったが、細胞内液と細胞外液での関係で細胞外液中の血漿蛋白/アルブミンが尿意によって膀胱へ大量に導かれて減ってしまうと毛細血管壁が閉塞を起こし、細胞内液へ取り込まれた窒素が放出されない為にT型の減圧症発症へと向かってしまう。

これは、いずれも腎性脱水、腎外性脱水がいかに危険かを表している。

----ダイバーにとって重要です(減圧症関連)血液とは何! と一部重複--------

          
     リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)

浸透圧を考える!T型筋肉内減圧症 と関節内減圧症、無菌性骨壊死発症に関係します。

蛋白質(アルブミン)溶液と水とで考えた場合、蛋白質の粒子の大きさは水やナトリウムと比べて非常に大きく、分子量で示すと水18、ナトリウム23に対して、蛋白質のアルブミン粒子は69000と極めて大きい分子数値となる。

例えば、アルブミン溶液と水の間に膜を置いたとしますが、この膜に小さな穴が開いていて、水やナトリウムは通るがアルブミン溶液は通らない膜とします。

この膜の間には両方の間に等濃度になろうとする力が働きますが、水やナトリウムは通ってもアルブミン溶液は通れずに、代わりに水分子がアルブミン溶液に引き寄せられて等濃度になろうとします。この力を浸透圧と言う。

小さな穴の開いた膜を半透膜と言うが、毛細血管の血管壁もこれに当る。

蛋白質の事を膠質とも言い、蛋白質によって生まれる浸透圧の事を「膠質浸透圧」と言う。
血漿中には蛋白質の中で一番多いアルブミンが「膠質浸透圧」の元になっている。
(膠質=こうしつ)

毛細血管壁(半透膜)を介して細胞外部(細胞外液)の水分を血管内に取り込む作用を血漿内の蛋白質アルブミンが行っています。

身体に起きるむくみは血管内のアルブミンが少ない為、若しくは腎臓から尿の中へアルブミン(蛋白質)を排出する事で細胞外液を排出出来ずに体細胞にむくみが生じます。

体細胞にむくみを生じさせない為には、血漿中にアルブミンが(蛋白質)がバランス良くなければいけないとされるが、ダイビング中はイマージョンや潜水反射等で、水分を膀胱へ排出させる事も報告されており、当然、このアルブミンも大量に膀胱へと排出されると思われる。

アルブミンは他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担っていると、ここまでは良いのだが・・・・・。

この浸透圧調整に於いて、潜水中に体細胞組織に取り込まれた窒素は、この浸透圧調整によっては体細胞組織より排出されない可能性があるのである。

つまり、この浸透圧により毛細血管壁を通って排出されるべき窒素が出れずに体細胞組織に残り膨潤化すると筋肉型 や関節型の減圧症となってしまうのだ。

特に関節型では骨頭周辺の骨組織に痛みやかゆみ、鈍痛が有るが、これ以外に、骨頭軟骨や緻密質、海綿質、骨髄腔を含めた骨組織で無菌性骨壊死が起きて来る。

この無菌性骨壊死とて、元は骨細胞型減圧症と言われるT型減圧症なのである。

関節型であっても症状がひどい場合、又はひどくなくても繰り返し潜水を行って、周辺部位にその症状が拡大した場合は、関節型から無菌性骨壊死へと進化及び転化して行く事を知って置かなければならない。これは、職業として潜っているプロダイバーに特に多い。

つまり、アルブミン量が減る事で体細胞組織からの水分中(体液)に含まれた窒素は毛細血管壁を通れない事となる。

この作用は関節や骨組織内でも起きており、T型減圧症発症の筋肉型と関節型に及ぶもの、並びに無菌性骨壊死の原因と思われる。

さて、体組織や体液、そして脱水がいろんな状況下で起きる事が分かったが、ダイビングに於ける減圧症の発症にはもう少し語らなければいけない様だ。

それは、この体液の移動に伴ってもう一度トータル的に考えると説明が足りない事に気がついた。

脱水には3通り

@腎性脱水型、
A腎外性脱水型、
B腎性脱水型の血漿蛋白質低下での細胞膜閉塞性脱水(細胞膜=浸透膜)である。

このBの血漿蛋白質低下での毛細血管浸透膜閉塞性脱水では毛細血管を介して水分のやり取りが出来なくなるが、間質液に開口部を持つリンパ管から水分(体液)の排出は出来るが、一方的な放出となる為、飲水等での供給が無ければ体組織への水分供給は出来ない事である。

ダイビング後にむくみが無いのは間質液が貯留されないのでむくむ事は無いが、逆に細胞内液側に脱水が起きている事に気がつかないのである。

時として、この細胞内液側の脱水では重大な組織の壊死が起きる可能性を示しているし、軽く見ても、この症状ではチクチク感やかゆみを訴え、ひどくなると周辺部位の合同の痛みとしての鈍痛が起きるし、ひどい場合は絞られる様な激痛が走る。

Bの血漿蛋白質低下による毛細血管浸透膜閉塞性では、間質液が貯留されてむくみを生じるが、間質液層に開いたリンパ管によって間質液はリンパ節へと導かれ、異物等が除かれて後、リンパ胸管(リンパ総管)に戻ってから静脈中へ返される。

つまり、通常のルートでは無い形で窒素も通って排出される事となるが、下大静脈を通らずに内頚静脈と鎖骨下静脈で上大静脈へと入り心臓へと運ばれる。

リンパ液=間質液であり、血漿から血漿蛋白質を取り除いた体液(水分)図を参照.

脱水の回避の為の水分補給では、腸(小腸と大腸)で吸収される。単なる水でも大丈夫だが、ダイビングの疲労感によっては電解質タイプの飲料水をお薦めする。

大量に飲用する場合は、電解質タイプの飲料水を2〜3倍割して飲むと効果的だ。

呼吸法について 血液の循環 血液とは何? ダイビング中とダイビング後の血液の状態って

血圧 浮上時の重大問題!!

体の不思議 女性と男性 女性の生理から人間の体と情緒の関係.

女性の体は難し過ぎます。未だに編集中! 脱水(飲水中枢)に関る項も有り一読して下さい。

----------------------------------------------------------

d.ドライスーツ

◎最近では寒くなったらドライスーツと云う時代となり快適なダイビングライフとなってきた。
しかし、その使用法や扱い方はどうであろうか!!

もともとはプロのヘルメットダイバーやフーカー等で使っていた物をレジャーダイバーへと使う為に色々な問題をかもし出している。

一般的な使い方としてはドライスーツ内への空気の送気はスクィズにならない程度に空気を送り込むのだが、その水深に応じての微調整が必要となり、操作が遅いとスクィズが足の周りに起き、血行不良による冷えによって足のつりが始まる。

ウエイトの設定はどうであろうか?

ヘルメットダイバーとは違って、スキューバダイバーの場合は次の点に注意をしてウエイト設定を行う。

ジャケット及びロングジョンタイプの5mm厚のスーツを着た状態での中性浮力を取るのだが、この時にスーツの厚みの不均一やへたり等での浮力減少等もあるので注意をする。

この状態で得れたウエイト重量にインナー分及び保温と内圧調整用の空気層分の重量約3kg.を加算するが、インナーの厚みを増やす事でもウエイトを加算しなければならない。

これ以外で簡単に設定する場合は、体重10kg当たり1kgの設定をする。
要するに体重50kgであれば5kg+3s=8sとなる。

しかしこの8sのウエイトは腰には大変な負担となり、腰と足首や肩へと分散をするか、または何か工夫が必要となる。

足首はアンクルウエイト、肩はウエイトベストと呼ばれ、バランスの良い配分により水中での安定性を約束されるが、アンクルウエイトを余り重たくすると足からの沈み込みが早かったり、陸上での歩行に困難をきたす。

タンクの水中重量や空気の重さでのウエイト調整は特に気をつけたい。

ウエイトを軽く設定した場合は浅い水深でのコントロールに苦労する。

ウエイト設定での注意点は、保温層となる空気の量をどれ程までに確保するかに掛かる。

しかし、旧来より快適とされる空気の量は3リットル(ウエイト3s分)とされるが、短時間潜水が故の無視をする方向にある。

結果として、ウエイト量が軽くなる為に浮上間際の吹き上げが起きている。この事も減圧症やエアエンボリズムの発症を助長するものだ。
   
ドライスーツの練習と空気の調整

練習においてはやはりトリミングの練習から入らなければならない。
トリミングは中性浮力には欠かせない練習であり重要である。

水深が1〜1.5m位の所でBCの空気を極力抜き取った後に体を水平にして息を大きく吸ってからドライのインレットバルブにより送気を単発的に行い浮き上がる所まで送気をして行くが、呼吸が苦しく成った時は一時送気を止めて呼吸をし直す。

呼吸での浮き上がり調整が水平が0度、垂直へは45度〜50度位の範囲で行うことが出来て、尚且つ途中での停止保持が出来るように練習をし、最終的に両手を腰の位置まで下げて体を軽く浮かせられる様にし、軽いフィンキックで前進が出来るようにする。

浮いている状態での水平の保持は大変難しいので練習の積み重ねにより水平及び垂直の停止が出来るようになる。

悪い例としては、立ち泳ぎ状態や体が45度状態での前進は水の抵抗が有り、ましてや流れがある場合は前進もかなわない。

さて、ここまではマニアルタイプのバルブでの調整を対象にしていたがオートバルブ(自動排気バルブ)ではどうであろうか?

オートバルブでの調整は難しいものでは無く、腕の水平の位置では排気されず水平の位置より高い所で排気が出来るようにする

最初はバルブをストップの位置に置きエントリー後に腕を水平にしてオープン側にまわし腕が肩よりも高い位置で排気される様に調整を行う

ネックシールとリストシール(防水性)

リストシールにおいて、ゆるい場合はリストシールのO型のシールバンドで押さえるが、手首に力が入った時、腕内側の筋の起伏部分から水が入ってしまうので締め方に注意。

ネックシールもO型や調整の出来るマジックベルトのついたシールにて締め具合を調整するが、O型の場合は固定式の為、ほど良い締め具合が必要です。

ネックシールの場合、頚動脈を圧迫する為に長時間の圧迫は好ましくない。

頚動脈圧迫を続けると次の症状が出てしまう。

顔面への血行障害、内耳に対しての血行障害によるめまい、耳抜きが出来なくなる、酸欠及び二酸化炭素過剰による脳内圧の上昇に伴う気分の散漫、視力の低下、眼圧の増加、いらだち等のストレスの増加が始まります。

ドライスーツの寸法と大きさ、全体の縮みと劣化

ドライスーツを買う時には何年間使用するか又は使用出来るかの観点から選ばなければならない。

一番大事なのは年間に対するスーツの縮みと劣化があり、ネオプレンタイプ(クロロプレン)で0.6mm〜10mmの縮みがあるので3年で縦横3cm位は縮んでしまうが保管の仕方にもよる。

シェルタイプの場合はナイロン地を縫製し、内面をウレタンコーティング等のゴム質の防水を施してあり、長期に使用すると縫製面のほつれやしわの入った部分より漏水の恐れがある。
長く使う為には手入れが一番大事であり、保管場所にも注意を払いたい。

ドライスーツでの気になる事、注意点

プロダイバーが使っていても空気とウエイトのアンバランスによる落下や吹き上げがあり、落下とは崖の上から一気に落ちる感じで、圧障害によるスクィズや鼓膜の穿孔及び肺のスクィズが起き、吹き上げは空気の膨張によるエアエンボリズム、副鼻腔群や中耳腔のリバースブロックなどが起きる。

ネオプレンタイプシェルタイプでは浅い水深において潜降時や浮上時での注意が必要となるがどんなものだろうか?

生地形状が双方とも違って、ネオプレンタイプの方は保温等の生地空気層が多く、また着た時にも内部に多くの空気を保有する。

保温にとっては大変有り難いのだが、水面や浅い水深での空気の膨張や収縮に影響を受けて潜降しずらく、浮上時に浮き上がり易いので注意をしたいのと、深場でのスクィズは生地に収縮が起き、保温力が低下する。

もう一方のシェルタイプは生地に保温空気層が無く、内部のインナー部での空気保有だけとなり、水面からの潜降時に急潜降が起きる場合があり、浮上時に浮力がつきにくいが、より浅い水深に移動すると急浮上の懸念がおきてしまう。

どちらの対策も微妙な空気の膨張と収縮を覚えなければならないが、まずポジション(水平 、垂直)を自在に変えて浮力の可変練習が大事である。

快適に使う為には

1.練習においては水平と垂直のホバリングの練習.
2.
逆立ちしても元に戻す為の練習(逆立ちしたままでも水没せずに潜っていられる).
3.スーツ内の結露防止の為、スーツ内部の空気を乾燥空気に入れ替える.
4.頚動脈圧迫の回避法を覚える.(垂直から水平のポジションへ)
5.スーツ内の空気の調整を確実に行ないスクィズにならない練習をする。
6.フィンキックによるオーバーワーク、オーバーキックを回避する(キックによる足への負荷低減させる事で、30%のキック力で普通に移動出来る).

確実に使い方を覚えたダイバーは

a.ウエットスーツのダイバーより早く泳げる(移動できる)為、流れがあっても大差が無い.
b.空気を多く入れられる方は保温性が大きく取れる.
c.スクイズ等を起こさず、水没もほとんど無いので熱カイロが使える。
d.体を冷やさないのと、頚動脈圧迫が無くフィンキック数が少ないので足に対する負担も少なく体力の消耗が少ない.等々で利点がいっぱいある。

当スクールのドライスーツSPでの練習方法はより基本に対して忠実に行い、中性浮力での水平ホバリング、垂直ホバリングの練習を行い、尚且つ逆立ち浮上(約3〜5m程度の浮上)の練習、BCを使わずにドライスーツのバルブ操作のみでの水中移動及び水面移動を行う。(水面でのみ頚動脈圧迫回避の為にBCを使う)

また、拘束を受けるアンクルウエイトも潜水作業以外は使わないスポーツ潜水方式にて指導をしている。(使う使わないは本人次第)

一般的にはBCを使った指導をしているが、ガイドやインストラクターにおいては水中や水面での水の抵抗が大きく、また二重にバルブの操作を行う為か緊急時の対処が遅れているのが現状である。

レスキュー等に於いてもドライスーツが持っている浮力と能力を最大限に生かした使い方を工夫されたい。

当スクールのドライスーツSPの内容は國次 秀紀が作業ダイバーの頃に培ったドライスーツでの作業に必須なスキルと知識を網羅したものですので、他のスクールでは教えていません。

ドライスーツでの作業ダイバーに特有な吹き上げと落下の回避と防止及び、横への移動等はドライスーツ操作法に委ねられる為、ドライスーツを操作・使用するスポーツ及びプロの方への独特な講習内容なのです。

つまり、快適な体温の維持、快適な潜降と浮上のスピード調整、更に、快適な横移動と、浅海又は高深度での完全停止ホバリングが出来る技術です。

参考 ウェット&ドライスーツの項も参考に読んで下さい。

---------------------------------------------------------------------------

e.ダイビング後の異常な睡魔について

ダイビング中は異常と言う程の神経を使うものであるが、ダイビングでの海中遊泳も終わり休息時間やダイビングを全て終わり着替えてログ付け等をしていると異常なまでの眠気に襲われる事がある。

何故、この様な事が起きるのかを考えて見よう。

1.ダイビングに於けるストレス緊張がほぐれてホッとした為に疲れを覚え眠たくなる。
2.ダイビング終了後に血中溶存酸素量が減り筋肉疲労物質の蓄積と加水分解により眠くなる。

これは、乳酸加水分解によって大量の血液が使われる為に脳への血液供給が減る事で眠くなる。近い物として、昼食後に胃や腸へ血液が集中して眠くなるのと同じ状態となる。

また、血液の酸化に伴い溶存酸素量を陸上生活域に戻す為、一時期的に心拍数や呼吸数が増え、体温の上昇等に伴って眠くなる。

3.ダイビング後の体温の低下及び上昇に伴っての陸上生活域に戻す為の生理的ストレスにより極度の疲労感によって眠くなる。(時として、一過性の自律神経失調ともされる場合がある)

4.この他に血糖値低下による体温の低下、及び体温調節の為の産熱機能の低下も血糖値低下が起因する場合があり、1本目や2本目のダイビング後に高タンパク質の物を口にしたりして血糖値の低下に気を付ける事も疲れない秘訣である。k.疲労とダイビング参照して下さい。

疲労とダイビングより抜粋と
異常な睡魔に対しての加筆です!

疲労とは作業の継続により持続する能力が落ちる事を云い身体の疲労神経的な疲労とに分けられ、極度の緊張からの開放によって異常なまでの睡魔に襲われる(~_~;)

まず身体の疲労から説明すると、1日2ダイブとしてのカロリー消費は3500〜4000㎉ともなり、陸上のあらゆるスポーツと比べてもカロリーの消費は甚だしい。

これは、水中に於いて体温の低下に於ける産熱運動と水中で体重が軽減される為に体に対するひねりやねじれ等から体の運動量が増え、筋肉の運動によってエネルギー代謝が起き、熱の産生と二酸化炭素及び乳酸を生成する。

このCO2と乳酸CH3CH(OH)COOHが疲労因子となり疲労中枢に働きかけるが、酸素の消費量によっても神経的な疲労因子にもなりえる。

また、神経的な疲労は緊張やストレスでの筋肉の収縮が起こり酸素不足による乳酸生成の速度が速くなり、疲労中枢に働きかける場合と細胞内で酸性化が進みPHの低下によって筋細胞の機能低下が起こる事でも疲労が進みます。


ダイビングに於いての疲れの原因はどうであろうか?

一番の問題はフィンキックの多さであり、運動不足の筋力の低下でも疲労の度合いが違う。

また、ストレスによる体調の失調で疲労中枢に素早く働きかける為に疲れが一段と増す。

この他に血糖値低下によっても代謝が著しく低下することでの脳に対するストレスにより、疲れが増大する。

k-1.疲労と代謝の項も良く読んで下さい。

疲労の早期回復の為の対策と睡魔軽減では

ダイビング直前と直後には代謝を助ける為として、高蛋白質及び脂質の多く含んだ物を摂取し、水分の補給として高電解質の多く含んだドリンクの希釈飲用を薦める。
しかし、疲労因子や疲労物質が多く残っているので身体を極力休める事に努力されたい。

疲労物質である乳酸を分解する為に大量の水分と酸素を必要とする為に著しい代謝が始まり、二酸化炭素の量も体内に蓄積されて体温が上昇して行く事で眠気を誘う為に酸素の吸引を出来るだけする。つまり、体を休め、腹式の深呼吸等を行い体温の低下を誘う。

二日酔いの場合はホルムアルデヒドを肝臓で分解するのではなく体外に放出した方が回復が早いので、電解質の入ったドリンクを 2〜3倍位に割って大量に飲用し、トイレに行く回数を増やした方が効果的なのだ。
DRYスーツの場合は不向きなのでダイビング終了後に飲用(^_^;)

しかし、電解質の入ったドリンクの直接飲用は余り薦められませんね!(2〜3倍割りで)
原因として結石等の障害が出る場合があるようです。

◎注意
ダイビング終了後に体内の窒素によっての眠気は根拠の無いものである。注意をされたい。

ダイビングに於ける窒素が関わるものとして窒素酔いや減圧症が上げられるが、窒素酔いは水深30mを越える辺りから酒に酔った症状や人によっては視野狭窄や情緒不安な状態となるが、浅い水深へ5m程戻るとその症状も無くなる。

この原因は血中の溶存過多窒素が脳内で笑気ガス化(麻酔ガス)される為に症状が起きるとされている。

この時の酔った症状からダイビング終了後も笑気ガス(麻酔ガス)の睡眠効果が働いているとするのは間違いである。

また、この眠気が窒素過多とした減圧症の発症因果関係を否定するものである。

ただし、ダイビングの浮上後に体を多く動かして体温の上昇を来たす様な事が有った場合はこの限りでは有りません。

浮上直後は体内より多くの窒素ガスが肺より排出されており、体温を上げる事での窒素ガスの排出の阻害が起きて来る。

また、二酸化炭素と酸素のガス交換も阻害されて、体温が降下しずらくなるのである。結果的には息苦しさを覚え、気分の悪くなる方や風邪を引いた症状、頭痛を訴える方もいる。

この様な症状は窒素の排出勾配が緩くなる1時間位の間に起きる為、体が熱く、息苦しさを覚えた場合はウエットスーツを脱いで、胸や首筋を冷やしたり、深呼吸で軽くする事や回避が出きる。

確かに窒素ガスがこの様な症状に関わるが、本来はダイビング終了後は体を休める事に気を使うべきで、旧来の教えに反した結果として捕らえて頂きたい。

尚、浮上時の重大問題にも抵触する為、浮上時の重大問題  安全停止の意義と注意点!も読んで頂きたい。

減圧症の発症と原因、経過等は別の項で述べてあるので参照されたい。

 b.減圧症   i.気になる減圧症罹患  k.疲労とダイビング k-1疲労と代謝


f.ダイビング後の物忘れ

ダイビングも終わって器材等を片付けたり、時計やメガネを外して何処に置いたか判らなくなる場合が多々あるが、どうしてこの様な事が起きるのだろうか!? 考えて見よう。

ダイビングも終わり緊張がほぐれたから物忘れをすると言う方が居るがそれも一理あります。
しかし、生理的には違う要因が絡んでいるのである。

物忘れをすると言うのは脳に原因が有り、脳の中で何が起きているのだろうか?

その原因を述べて行くのと、物忘れ対策を考えよう。

物忘れの主要因は、脳に於いて色々な情報を保存したり、逆に脳の記憶域の中から呼び出す機能が滞る事で起きます。

脳の仕組みでは、主に側頭葉と前頭葉にあり、大脳辺縁系で起こる感情は、記憶の保存と検索及び記憶の引き出しに影響を与えます。

大脳辺縁系は、注意力と自覚をコントロールしている領域とも密接に連絡し合って、記憶の読み込みと引き出しのバランスを取って居るのです。

ここで、脳に対して影響を与えるのは脳を循環する血液と脳を安定させている脳脊髄液と言う脳や内耳、脊椎中を循環する特殊なリンパ液なのです。

特に脳の血管は毛細管を束ねた様な構造をしており、血中の酸素や二酸化炭素に敏感に反応し、毛細血管の収縮と弛緩をする事で脳の組織を守っているのです。

これは、脳に対するストレスの回避と安定に不可欠な要素なのです。

ダイビング終了後、強い緊張から開放されると脳はどの様な動きをするのであろうか!?

これは、ダイビングだけでは無く、緊張度の特に強い色々なスポーツにも当てはまるものなのです。

実は緊張が連続して起きると、脳脊髄液のリンパ液が酸性化してプラスイオン化する為に大量
の血液を脳へ循環させてアルカリ化(マイナスイオン化)させ様と働くからです。

しかし、この大量の血液を脳本体は必要とせず、拒絶的な反応を起こしてしまう。

この拒絶とは脳組織の血管を収縮させて各部位組織の守りに入るのですが、この作用によって側頭葉と前頭葉が影響を受け、更に大脳辺縁系で起こる感情と、記憶の保存と検索及び記憶の引き出し域に影響を与えます。

特に大脳辺縁系は、注意力と自覚をコントロールしているのですが、このコントロールも崩れ、記憶したつもりでも、とんでもない物忘れが起きてしまいます。

つまり、自覚の無い深い物忘れなのです。

さて、原因は脳脊髄液の酸性化なのですから早くアルカリ化してくれれば良いのですが、そう簡単では有りません。

つまり、体循環している血液の状態も知る必要が有るのです。

やはり、体循環している血液も酸性化していて、更に浮上後は血液の粘性も上がってしまうので水分の補給は欠かす事は出来ません。

また、特に物忘れの多い方は体を休めて疲労感を取る事も体には良い事なのです。

体を休めて水分を取り、深呼吸や酸素を吸う事も効果は有ります。

物忘れの激しい方は、時計やメガネ等は常日頃より決まった場所にしまう事が懸命です。

◎物忘れには窒素が関係すると言うのは間違った発想と考え方です。

R.血液の循環 R-1血液とは何?


g.水中ガイドとは

◎水中ガイドの本来の姿とは、得意とするポイントをゲストの力量に応じて案内をする事なのですがゲストの力量に応じた安全とダイビングでの満足 を提供する事が出来うる能力と力量を必要とします。

では安全への認識とガイドたる力量とはどの様なものであろう。

安全に対しては!

1.ポイントの地形と潮流及び海象を学び、特に観天望気をその土地の古老や漁師より教えてもらう事がとても大事である。

その土地の地形(山や平地の関係)により、風向きや低気圧と高気圧との移動の仕方及び急な低気圧の発生の仕方も相当違ってくる。

風によっても表層流が変化し、水面と水中での複雑な流れを作ってしまう。

エントリー、エキジットに於いては特に注意を払わなければならないが、ビーチの場合は波打ち際や足場の悪い所、ボートの場合はエントリー時に海面を確認し声を掛ける事で安全にエントリーする事を喚起する。

人数が多くなれば、潜降点にガイド又はスタッフが付き監視を怠らない。

エキジットも同じ様にサポートし、ガイド及びスタッフがゲストを前後で監視しながら声を掛けて、安全への配慮を怠らない。

2.ゲストに対する精神的配慮が必要となるがどの様なものであろう。

初心者とビギナーを比べると次の様な分岐点的要素が有るので述べたい。

まず初心者は講習が終わったばかりだと器材のセッティングや扱いに不安があり、間違ったセッティングやフィッティングをしてしまう恐れがあるので、それとなく確認が必要である。

水に対しては個々に不安要因は違い、特に呼吸の仕方や排気の泡を常に監視をする事で状態の把握をする。(残圧の確認が多くなると不安が増す)

また、エントリー時や浅い水深での行動には声をかけ注意を促す。

初心者の場合は時として説明を聞いていない事が多々あるので、声を掛け注意を促すが、聞いているかどうかの態度、しぐさや行動を注視する。

初心者は出来ないのが当たり前と思い、目視及び器材確認をするが不備が有った場合は本人に説明し、本人が自ら直す事が大事である。

ビギナーの場合と言っても10本〜20本のダイバーをビギナーとは呼ばず、せめて50本以上の方をビギナーと呼びたい。

海にも少しは慣れて水中での遊び方が分かってくると同時に自分自身の身を守らなければいけないと云う自覚を持ち、バディへの気持ちの配慮が外部の人間にも伝わって来る様になると初期の一人前と言ってもいいだろう。

しかし、基礎が無く、間の開いた50本以上のダイバーとなるとそうはいかない。

気持ちやレベルは他のダイバー(前述)と同じでは無い!!

事前に期間の開いている事への申し送りがあれば、それ相当に対処出来ると思うが、時として言わずじまいでトラブルが起き、ゲストに対しての不満の気持ちが増大してしまう。

こんな事が無い様に事前にプール等でのウォーミングアップや浅いビーチでの練習を是非して頂きたいものである。

ま、例外もあるのでこの限りではないが(^^)

さて、本題に戻りましょう。

通常は、水中ガイドといえばDM(ダイブマスター)、AI(アシストインストラクター)、IN(インストラクター)以上とかの方が業務又はグループ及びクラブの中で行っている。

しかし、最近では経験が少なくてもカードの発行が安易及び容易になった為にその技術レベルや知識レベルの低下が進み、考えなければいけない時代とも成ったのかもしれない。

ガイドともなれば、それに関連する知識や技術の習得も必要で、例えば船の操船や船体の修理、エンジンの整備等、高圧空気の充填業務従事、カメラの撮影、ビデオ撮影、潜水調査、潜水作業での軽作業業務も行えなければ一人前とはいえないのではないだろうか。

ただこれだけの事をこなそうとすると時間が掛かるので、業務研修という事で研修期間を設ければ良いのだが・・・。

また、レスキューに関しては水中よりの溺者の引き上げ方や、水面でのマウスツウマウス及び心臓マッサージ等も講習の中に入れるべきである。

難しいと思われる事が出来るガイドがプロやリーダーとしてオープンウォーター域を任されるのではないだろうか。

ガイドはイコールインストラクターでは無く、海やオープン水域でのプロフェッショナルガイドでありたい。

ガイドダイバー本人の保障

現在ではガイドに於ける身体の保障は労災補償しかなく、また労災保険に入っている事業所も少ないはずです。

潜水作業を行っている所位しか入っておらず、一般のダイビングショップ及びサービスでは入っていないのが現状です。

これは、スタッフのみしか入れず、オーナー等は入れませんので、経営者を身内や、妻にかえて適用を受けるしか有りませんし、入っても保険料が高い事が最大のネックとなりますが、入っておく事をお勧めします。

民間保険に於いても適用を受けれる保険が有るようですので確認をした方が良い様です。
   
指導団体等においては、自己の保険に入れる所もありますので確認が必要ですね。

ゲストに対しての保険

各指導団体によって多少違うものの、死亡、障害等の保険契約を結べますが、入っているかどうかが問題となります。
ガイドダイバーとしてのダイブマスター、アシストインストラクター、インストラクターがゲストに対する保険適用を各指導団体より受ける事が出来ます。

ただし、ガイドの注意も聞かないゲストの怪我や、重度の障害では、保険会社の調査にて支払額等が決まってきます。この時、ガイド側の責任内容でも変わります。

ガイドが一方的に悪い場合は請求されたほぼ全額が支払われますが、ゲスト側の過失責任が問われる場合は支払いも僅かとなります。この支払には警察での事故調書が必要となり、後遺障害等も絡んで来る為に慎重さが必要となります。

ゲストの自殺志願的ダイビングでのガイドへの負担と障害では慰謝料請求も出来ます。しかし、その事実を証明するもの、例えばダイコンのデーターや第三者の目撃確認調書が必要となります。

指導団体の保険に於いてはゲストの引率やスクール指導時の賠償保険です。
器材等の保証は入っておりませんので、別途に損害保険へ加入しなければ保証が出来ません。
また、過失が主催者側にある場合でのみしか保証されません。つまり、ゲストの置き忘れや自損は対象に入りません。

ゲストのオウンリスク的保険

現在では一般の生命保険に於いてもレジャーダイビングでの事故は対象として入っています。

しかし、ゲストが無謀なダイビングや自殺志願的なダイビングを行うと、生命保険会社から支払いを拒絶される場合があります。


h.誘発と偶発

◎ヒヤリハットの代名詞と云った方が当たっている言葉である。
ここでは海でのガイド及びリーダーのみを対象に話をしましょう。


誘発とは起きるべくして起きる事故及び危険誘発を指していて、普段何気なく行っているダイビングの中に気のゆるみから起きて来るのである。
いつ起きるのであろうか、少し提示してみよう。

a.エントリー時の注意喚起 足元の注意、ゲージ類の束ね方、足の運び等.

b.水面の移動 事前に流れ、進行方向、水面待機等の呼びかけ.

 c.潜降開始時 無策又はロープの場合は何を目安に潜降し、着底後にどの様に待機するか.

d.水中での移動 移動時にゲストの位置を気にして、その位置より上又は下への位置を取らない事。

ガイド又はリーダーに誘導されて全員が上に上がったり、下に下がったりするので、海底のライン読みを的確にする。

起伏のある地形では、その地形の中に道を見つけ、誘導する。
道を見つけられない場合はゲストの浮き上がり及び降下が起きる事を想定しゆっくりと行動する。

流れに逆らったり、無理な立ち泳ぎをさせると呼吸数が増え、また心拍数が上がり危険となるので回避されたい。

e.浮上時の安全停止は良いのだが、うねりがあった時は5mでは無く、7.5m以内での安全停止に切り替える必要がある。(安全停止の意義の再確認)

この時に中性浮力の練習と云って呼吸を止める様な動作をさせない。

安全停止が終わってもゆっくりと上がる事を定義つけたい。

f.水面浮上後の移動に際してよくよく浮力の確保を行い、ボートの場合は船上に上りきるまで、ビーチの場合は岸に上がり波打ち際から完全に離れるまでは気を抜かない。

的確に注意をし、喚起を促しても誘発は起きる物であり注意を払いたい。

偶発は不足の状態で起きるものでは有るが、多々誘発が寄与しているので注意を払いたいが、どの様な時に起きるだろうか?

a.水面において 

1.BCの浮力の確保をしていない. 
2.マスクやフィンを落とす.
3.エントリー時にゲージやオクトを引っ掛けてバランスを崩す.
4.ビーチにおいては足を取られて転ぶ(フィン無し).

b.水中では    

1.BCの空気が入りっぱなし. 
2.フィンが外れる.
3.タンクがBCから外れる. 
4.危険な生物を触ってしまう.

このb.の項目は全て偶発とは云えないので不備偶発とでも言える。
しかし、BCの操作ミスによる急浮上、急降下も起きているので注意したい。


i.ナビゲーション (コンパスとナチュラルコンパス)
                  

◎ この言葉は航海、航海術、航法のことを指しているが、単的に云えば水先案内人や1人ガイドとでも言える。

陸上においてコンパスナビゲーションはファミリー的な要素のレクレーショナルゲームの一つでもあるが、一つ変えると軍事目的やサバイバルへとつながってゆく重要性を帯びているし考古学、測量等も忘れてはいけない。

水中では水中考古学や沈船探査、漁場での網の位置、水中測量等で有用に使われている。

水中でのゲームは随分と古くからヨーロッパ等で行われアンダーウォーターコンパスと呼ばれ、日本ではアンダーウォーターナビゲーションと呼ばれてJUDF系団体やCMAS系団体で競技大会が行われていたが、既に25〜30年ほども経とうとしている。

コンパスについて

コンパスは場所や地域によって地磁気の影響を受ける為にハンドコンパスについては微調整をされた7〜8種類ほどが世界に向けて販売されている。(このタイプは誤差修正が利かない)
船用の大型のコンパスも出荷地域により調整をして販売されているが誤差等の修正用ネジが付いている。

コンパスは地球の地磁気の方向に引き寄せられる作用が有る。
この作用を使って方位を定め移動する事が出来る。
では、この作用を使う為には次の様な約束事が必要である。

1.北方向の確認は絶対。 
2.周囲に目印となる物が1〜2以上ある。

等の2つが有れば目標を定めて移動する事が可能となる。
精度を必要とする場合は3点以上の目印等を必要としてゆく。
リキッド封入タイプを使うが、水圧により磁針が引っかかる場合が有るので使い勝手に慣れて頂きたい。

陸上に於いて変針をする場合は、間違っても大した間違いにならない。
しかし、水中に於いては大した事の無い間違いが大問題になる場合がある。
水中という環境が気持ちの余裕を奪うために起きるヒヤリハット的な現象であるが、訓練により直す事が可能となる。
   
練習法(陸上編)
陸上では周囲の透視度(視界)が広い為、移動し易い。
しかし、富士の樹海の様な木が林立した場所や、谷及び傾斜地での移動は危険が伴う (上級者コース)。

ここでは平坦の地を使った簡単な方法を述べよう。

一人で行う場合と、二人で行う場合では方法が違って行く。

一人の場合、目標方向を定めた時に北方向との角度を確認する。
この時、進行方向の物体で垂直面と水平面を探す。
是は垂直と水平面を確認する事で足の裏の体重圧を確認し、安定して移動する為に脳に対して信号を送るものである。
この行為は真直ぐ進む為のものであり、大変重要な要素ともなる。

距離の測定に於いては目視距離の判読練習や歩幅の歩数による距離測定でも出来る様になる。

途中で角度を変える場合は、変更する角度と北方向に対しての角度を確認して後に移動を開始するのだが、変更点等を確認し元へ戻れる事を考慮しなければならない。

小さなコンパスを使いこの様に移動する為にはメンタル板等を使い筆記修正をした方がより正確で移動出来るし、その移動方法を平面でなく、立体的に把握する為の練習にする。(イメージング法)
    
二人の場合はどうであろうか?

この場合一人が目標方位を定める為に前進し、もう一人がコンパス角度と方向性を指示する。

つまり、先に行く人がドライバーでコンパスを見ている人がナビゲータの役目となり、ドライバー役は常にナビゲータ役の言葉を聞きながら移動をし、ドライバー役が一定の距離及び場所まで移動するまではナビゲータ役は移動を開始してはいけない。

これは、方向性の修正が出来、正確さを期する為に必要である。

水中での競技等では前述の場合と、二人とも交代でナビゲータ役を行う場合があるが、陸上でも休みながら交代し行うのがベストだ。

コンパスとメンタル板を使い納得しながら行ったほうが正確である。

練習法(水中編)

水中に於いては透視度(視界)等が陸上とは違い極端に狭くなると同時に平面ではなく立体化する事であろう。

それはバードアイ(鳥の目)の様な立体視化を必要として来る。

しかし、最初は海底を平面的に見て練習をしなければならない。

それはより正確に真直ぐ前進が出来る事と、コンパスを正確に読み取る為にコンパスを水平にし内部の磁針を安定化出来るかどうかから始まる。

岸において北方向と進行する為の目標角度を取りメンタル板等に記入し、帰ってくる為の角度も記入する。

また、万が一方向等を間違った場合の事を考慮し、陸上の位置関係をメンタル板に記入し帰路の修正が出来る様にしておく。

次は水中で方向を変える場合は90度の練習をし、直角の角度をコンパスだけではなく、体と手を使って90度の変針が出来る様にする。

水中に於いて直進性を高める為には陸上の練習で述べた垂直及び水平面を探すのですが水中では脳に対するストレス回避であり視野を安定して確保する為に不可欠なものとなります。

最初は往復路、次は四角形そして三角形と練習をしてゆき、確実に角度の維持が出来るようになったら多角形へと進めてゆきます。

進行方向を維持する為にはライン読みが大事ですが、海底の地形の変化を正確に読み取りデーター化する事が大事です。

このライン読みはセンターラインの右と左にアウトラインを引き、3本のラインを確認し進んで行く。

水中で泳いで行くとどうしても左右にブレが起きて来るので、このブレを逆に利用して前進すると以外にも真直ぐに進むので試して頂きたい。

透明度が悪くなればなるほど直進性が必要となるが、その為にもストレス回避の為の練習が必要となる。

ナビゲーションを確実に行うには中性浮力での水中を滑る状態を作りフィンコントロールによる横滑りの修正が重要だ。

体を安定する事により作られる精神的な安定と、より多くの周囲の情報によって、視界が広がって行く。

この情報は砂のリップルマーク、流れ、うねり、光と影、サンゴ系の向きなどが使われる。
(リップルマークで岸側と沖側が分かる)

慣れてくると平面ではなく、立体化したバードアイの様なポジションを作れる様になると、よりスムーズに移動出来るようになる。

イメージングによる仮想空間が自分の頭の中で描ける様に努力されたい。
ナビゲーションの延長線上に捜索やサーチアンドリカバリーがあるがより高度な技術を要求される。

海底の地形等で直進する為のコース上に水深の差のある地形が有った場合、心理的な作用により、より浅い方向へ無意識に進む事が報告されている。

水深に対しての恐怖心から来る不可欠的な回避行動が有る為、水深差の大きな地形を移動する場合は自問自答のスタイルで行うが、脳に対して声を出して命令形で指示を与える。この事で恐怖や不安の回避が出来る。

     この項目は別途に専門ページを製作したいと思います。 乞う御期待(^^)


j.移動フォーメイション

◎ダイバーになって一番困るのが水中での移動の仕方だ。

と、言ってもグループでの移動であり、3人以上10人程にもなると右に行ったり左に行ったりと大変忙しくなってしまうし、行きたい方へも行けないのが現状ではないだろうか!

先頭にガイド若しくはグループリーダー(インストラクターもあり)がいて順々に並んでいくのだが、少人数の場合に二列縦隊も有るが通常は扇形に広がり、先頭のリーダーを常に見れる様に並んでゆく。

フォーメーション(編隊)の行動には少なかれ約束事が有るので述べてみよう。

1.リーダー及びサブリーダーの場合

リーダーの動きは全員の動きを見る為に直進では動いてはならず、例えて言えば大型のトラックの様に内輪と外輪との差を十分に把握してコースを変更して行くが、その時の状況(流れ、濁り、海底の地形及びゲストのレベル及び呼吸時の排気量)に応じて変更する。

進むスピードは一番遅い方に合わせ、時として休む場所も確保しなければいけない。

初心者には直進的に動いてもらい、ある程度慣れた方にはジグザグに動くのが常である。(いろんなものを見たい為に)

サブリーダーは最後部に位置し、グループ全体の移動スピード及びフィンキックに無理がないかどうかを確認し、また呼吸による排気もチェックする。

時間を置いてゲストの残圧等も確認出きる様にしたい。

しかし、全体的な把握はリーダーが行うので、リーダーになる為の練習の一環である。

2.ゲストの場合.

水中で楽しく動く為には右にでも左にでも動きたいのが本音であろう。

しかし、ゲスト同士がぶつかったり、けったり、ニアミスも往々にしてある。
右手や左手側に仲間がいて、動けない場合は次の動きに変える。

@一度後ろに下がってより、行きたい位置へ入って行く。
A体を一度立てて、相手をやり過ごした後に行きたい位置へ入る。
B一度前進して相手に自分の位置を教えた後に行きたい方向へ行くが、この時に相手をフィンで蹴らない様な位置まで動いた後に移動する。

自分の位置を相手に伝える事が一番大事であり、不意に上や下を通ろうとすると、気が付いた相手も動きを止める為にぶつかる恐れがある。
   
総体的結論としては

ガイドリーダーが総体的にクループをコントロールし、サブガイド若しくはスタッフがグループが広がらないように及び不意な浮上ならびに降下を予防してグループとしてまとめる。

例えて言えばリーダーが羊飼いでサブ及びスタッフはシープドックの様でもある。

近々、移動の為のフォーメーション図を公開致します。

ガイドやクラブリーダーの引率の仕方と働き、サブやフォローダイバーの位置と動き方、水中でのゲスト誘導と楽しませ方です。(暫くお待ち下さい)


k.海でのサバイバル 

◎海洋での漂流時にどの様に対処したら良いのだろうか?
国内や国外において、多々起きているので考察してみよう。


1.原因としては

a.ビーチダイビングの場合、離岸流や潮流及びうねりにより沖合いへ出される。

b.ボートダイビングの場合、2枚(段)潮や3枚(段)潮により、浮上地点を見失う。

また、操船者がいなくてボートが流される場合と、エンジンが不調又は停止により、ダイバーを見失った場合に漂流が始まってしまう。

2.安全グッツ

a.シグナルフロート(他の名称レスキューブイ)
b.シーマーカー(海面着色剤)
c.ダイブアラート(同等品セフティホーン、ミニハンマーヘッド)
d.ホイッスル(水中と陸上で鳴る物もある)
e.ライト及びマーカーライト(長時間の点滅ライトもあり)
f.プラスチックミラー及びガラスミラー、
g.レーザーポインター(他にもスキューバレーザー)注意が必要
     
全てを必要する訳でも無いが、あれば安心の安全グッツ

3.漂流中に捨てて良い物.

a.最初にウエイトベルト


b.レギュレーター(タンクのエアが有り、海の状況が悪い場合は捨てない)

c.後の器材は捨ててはならない。

4.道具として使う物.

a.マスク、スノーケル、BCのインフレーターホースで真水を作る
 内部の空間を使い、結露水を作って飲用する。

b.BCはフロートとして使うがこの上に乗れる練習をする。
 昼間はこの上で寝、夜は起きている。

c.シグナルフロートはタンクバルブの所にくくり付け、バルブを少しでも浮かせる様にする。(シグナルフロートは立たせたまま)
シグナルフロート表面に5cm幅のアルミテープを両面(片面でもOK)張る事で、レーザーの反射板になる。

d.タンクはセンターキールとして使う(泳ぐ時に方向を決めたり、直進性を高める為に使う)

e.マスク、スノーケル、フィンは絶対に体より離さない。

5.危険な事.

a.サメの生息する場所では次の事に注意をする。

早朝と夕方は海中を覗き、常に監視をする事。

万が一、サメが来た場合はその行動を逐一監視し、円を描いているようで有れば、その円から離脱する事。

サメの習性としては、一度目は大きく円を描き周回した後にその円から離れ、二度目は円を小さくして周回するがこの時に目を閉じる様な仕草をする。(突っ込んだ時に目を閉じる仕草)

この後、円から離れるがいつ突っ込んで来るかは時間の問題!!

円から離れる事で、何回も繰り返すがあきらめてしまう。

この手のタイプ以外(ブラックテール)もいるので監視が特に大事である。
    
この他に水面での小刻みな音や水を切る音に対して大変敏感な為に注意を払わなければならないが、早朝と夕方は特に危険である。

ここでの防御はタンクとナイフしかないが、擬似体としてシグナルフロートがあり、ホイッスル(水中でも使えるもの)で脅かし、レーザーポインターでも応戦が出来、シーマーカーで煙幕を張る。

2.もう一つの危険はダツ

夜に水面近くを泳ぐが、特にライトの光に敏感で、光へと突っ込んでくる。
その為に夜は不必要に光を付けては行けないのだが、付けるとすると点滅で付けるか、単発でライトをつける及び頭上に向かって周囲に光が漏れない様に点灯する。


l.ログブック

◎ダイビングを始めると最初に潜水履歴を書く為のログブックが渡される。
各指導団体やスクールによって独自なものも有り、それなりに工夫がある。

ダイバーに渡される認定カードは指導する団体や指導員により技術や知識が違うために統一された認定カードとは言えません。

潜水ポイントでのダイブプランやコース等を記入する事も重要な一つです。
しかし、潜水履歴を記録して行く事によりレベルアップの状態や潜水での新たなる発見や情景が浮かんできます。

気候、海況、気温、水温、流れ、水中での景観や見た生物等々色々な各項目を記入する事で楽しかった事や辛かった事を記録として留め、また仲間や新たな人との出会いを書いてゆきます。
ログブックを見ると楽しかった事の思い出が回想して、つい笑ってしまう事がありますよ。

                           
                                    ダイブメモリーズ付属のログ


m.ドリフトダイビング

◎ドリフトダイビングの場合、カレントダイブと大差ないと思われがちだが、あえて2つに分けてせつめいしよう。

準備段階での注意.

@.器材の不備及び装着に対して、緩みが無いかどうかの確認。
a.マスクストラップ、フィンストラップ、タンクタイトベルト、レギュレーター、BCの装着のゆるみの点検.
b.安全グッツの装備と使用出来るかどうかの確認.

A.ダイブプランの上で約束事を明確に決める。
エントリーの順番、水面での移動、潜降、潜降時の耳抜き、着底又は水中での移動、ポイントでの行動範囲、浮上、水面待機、エキジットまでの取り決めを行い、1つでもミスがあった時の対処法を決める。
     
1.ボートでのエントリー法

流れが緩やかで有れば良いが、かなりのスピードがあった場合は声を掛け合い順序良くエントリーして行く。

サブリーダーが一番先にエントリーし、リーダーは最後にエントリーする。

2.水面の移動法(潜降も含む)

ばらけ無い(散らばらない)様に注意をし、全員がエントリーし終わったら声を掛けて注意を促し、潜降の準備をする。

しかし、流れが強い場合はBCのエアを抜き、エントリーしたらそのまま潜降し、サブリーダーが潜降時のディセントマーカーとして目印となる。

3.潜降法

サブリーダーがディセントマーカーとして初めに潜降し、送れてリーダーが潜降を開始し、合流時にリーダーが先頭へ出る。

4.水中での移動法

水中での障害物に気を付けて移動して行くが、水中での移動時のスピードを変える事を覚えなければいけない。
スピードアップでは体を立てて水の抵抗を受ける。
スピードを落とす為には体を水平にして、頭の方から流れを受ける。

5.浮上法

浮上時は体を斜めに立てる様にして水の抵抗で浮力を付けて浮上する。
ドリフトの場合は減圧停止の様な形態は取らない。
また、安全停止は少ない時間で済ませる様にする。

6.ボートでのエキジット法.

エキジットの時が一番危ないと言っても良いだろう。
ボートが流れの下側から入ってくるので確認をする。

この時、ボートは真っ直ぐ流れに向けないと不安定になり舵が利かないのでダイバー側が移動し待機する。

ボートはスクリューを回したままの状態でダイバーとの距離を維持をするが、間違ってもスクリューには足を持って行かないようにしなければいけない。

また、船に上がる際は状況に応じてフィンを取るか取らないかを決める。

外洋でのボートダイビングの場合はフィンを取らないで上がるのが正統派と言いたいですね!!


n.カレントダイビング

◎カレントダイブは水面と水中の一定の流れ、2枚(段)潮、3枚(段)潮での潜水法を指しており、ドリフトダイビングの中の一つのテクニックと言っても良く、またカレントダイビングの方がより難しさをも持っている。

ここの項では流れをいかに利用し、逆手にとって自分を守る為の技術と知識となるが、かなりの部分で説明不足となるのはやむ得ない。

また、この項での説明はボートダイビングでのアンカーリングを前提とするが、ビーチエントリーでの起き得る説明を最後の方でしたい。

1.ボートでのエントリー法と水面移動.
ボートを流れの中で係留すると、流れに沿って船が立つと言い、その中でのエントリーをしアンカーロープまで水面移動しなければならない。


どの程度の流れが有るかを判断しなければいけないが、目安となるものを述べてみよう。

潮の速さ.
海での流れの単位はノット(Knot)で表され、1ノットは1.8km/hourですが、これでは良く分かりませんので、もっと分かり易く表示しましょう。

1ノットは30cm/秒(sec)、1m/3(3.33)秒
1mで測ったほうが分かり易く、1、2、3と数え確認する。
この方法で、0.5ノットは50cm、0.3ノットは30cmとして確認する。
因みに、1.2ノット、1.5ノット、2ノットは3(秒)カウントで1.2m、1.5m、2mとして確認が出来る。

エントリー後の移動に際し、どの程度の流れまで対応出来るか考えてみよう。

初心者で体を水平に出来ないダイバーであれば0.3ノット位でも泳げなくなり、流されてしまう恐れがある。

0.3ノット以上の流れになった場合、サポートして泳ぐか、カレントライン等の準備が必要となる。

体を水平にし、泳力のある泳げるダイバーであれば、およそ0.6ノット位で有ろう。

これ以上の流れの場合は、特別に訓練を受けたダイバーでないと泳げないので、カレントラインが不可欠である。

特別に訓練を受けたダイバーでは1.2ノット程度までの流れに対して泳ぐ事が可能となる。

泳法はセンターキール(背泳)泳法と言って、タンクを水中に沈め、BCの浮力を最大限に使う事で直進性が増し、強い潮でも泳ぐ事が可能となる。

2.潜降法
通常、カレントがある場合は、ロープでの潜降か流れを利用した潜降法であろう。

ロープを使った潜降法は体が固定される為、マスク等が取れそうになるので注意が必要であり、BCの操作及び耳抜きの動作においても片手で行い、ロープから手を離す事が無い様に注意をし、ゆっくりと潜降する。

ロープ無し潜降の場合は、流れに頭を向け体を水平にしてフィンキックをし、垂直に潜降をして行くが、特に流れがさほど無い場合は、流されない様に気を使い垂直に潜降する様に心がける。

これは、水中での移動の際に不可欠な条件ともなり得る。

3.水中での移動法
水中に於いての潮の流れも複雑となるが、色々な角度で検証してみよう。

@シングルカレント
流れが上も下も同じで、同じ向きの流れだが表層が速く下の流れ遅い場合がある。

またこの逆もあるが、海底の地形及び地上の地形、海流と潮流で潮の速さに違いが生まれる。
      
Aダブルカレント(2段潮)
海流と潮流がぶつかる場所、潮流であっても島が入り組んだ場所、海中に暗礁の様な物や根の存在している場所、海水比重の違う水の移動、風による表層流と時間的な潮流の流れによって生まれる2段潮等があります。

◎対処法
上潮と下潮の流れをうまく使うと疲れないダイビングが出来るが、間違った乗り方をすると、やはり危険と成るので注意が必要。
      
Bトリプルカレント(3段潮)
ダブルカレントの多い場所で起き易く、特に大きな根の周りで起き易い。

複雑な潮が干渉しあって出来るが、やはり怖いのはダウンカレント及び沖出しの潮と云って深い方へ引っ張り込まれる様な潮の発生である。

場所によりその流れの方向性も変わるので細心の注意が必要。

◎対処法
2段、3段の潮の場合、危険なのは沖に向かう潮や、海底に落ちて行く潮の場合は回避しなければならないが、根に沿って迂回するか、又はわざとBCの浮力を一時的に消す為に排気し、一気に深い方へ潜降し根に沿って回避する。

また、急激な流れより逃げる為にはBCを一気に膨らまし、途中まで浮上するが、BC操作の熟知度が必要。(ダウンカレント参照)
      
※@〜Bでの流れは海岸線の複雑さや海底の起伏の複雑さによって様々に変化し変わるので注意が必要です。
      
◎この他の流れ、特殊な流れ.

@巻き流(渦巻き流)
流れのある中での突き出た岩礁や、半島状に出た地形の先端での潮のぶつかり合う事で水の回転が始まる。

水中及び水面でも起きるので注意をしたいが、水面の場合は水面の一部の範囲がざわざわと波が立つので確認が出来る。

浅い水深でのうねりによっても水が巻き、泳ぎのバランスを崩す恐れあり。

◎対処法
巻いているのは、その周辺だけなので、浮力を減らして体を安定し底を這うようにして、その場を離れる。

Aアップカレント(上昇流)
岩礁や根の側面に沿って昇って行く潮の事を指し、海流や潮流の流れを集束する為に異常とも云えるスピードになる場合があるので注意を払いたい。

◎対処法
部分的なアップカレントであれば良いが、水面まで上って行く潮であれば大変危険である。

BCの空気を一気に抜いて、岩礁や根に一杯まで寄って回避するか、間に合わない場合は緊急浮上の要領で上がって行く。(BCコントロールに注意が必要)
      
Bダウンカレント(下降流)
アップカレントの逆で岩礁や根に沿って下る潮と、暖かい潮が冷たい海水中へ落ちていく時にスピードが速くなる場合とがある。

前者は通常あっても不思議では無いが、後者は大変危険で急激な速さに成る場合がある。

前者は流されながら流れの外へ出るか又はBCを膨らまして浮上すれば回避出来るが、後者はBCの浮力を一瞬失うために体のバランスを崩してしまう場合があり、この他に体の冷えや体力の消耗等でも危険で、BCへ再度空気を補充しても相当量の補充となる為にいくらベテランと言えどもないがしろに出来ない。

◎対処法
下降流に捕まったと思ったら、次の事に注意して回避する。

力の強い流速域は一定の範囲のみなので、どちらかの方法で回避する。

a.BCの浮力を減らし、一度海底に降り、体制を立て直し、海底を這うようにして流れの外へ回避する。(浮力を最大に減らして又は調整して回避)

b.BCの浮力を最大にして、その流速域より回避する。
浮力を最大に付ける事で回避するが、体を水平にして浮力を保持し回避する。
浮力が不足する場合はウエイトをもはずしその流速域より脱出する。(危険の為、訓練が必要)

C河口流
海水と真水の比重の違いで、海水は上に真水は下へと入って行く。

満潮時は海水が河口を登り、干潮時は海水が引きながら川の水が海へ入って行く。

この時の水(真水、海水)の流れの強さにより微妙な流れの変化が生まれる。

この項で問題となすのは海面では海水浮力があり、水底では真水浮力が弱い事で立ち泳ぎの場合に足をすくわれて泳ぎのバランスを崩してしまう。

川よりの真水の流入が大きい程、低層流が早くなり危険。

満潮時の潮の河口上流への流入も流れが速くなり危険。

◎対処法
川の中央部が一番流速が早いので、中央部より外へ出る。

立ち泳ぎはせず水平に泳ぐ事に気をつける。

捜索等で河口で潜らなければならない場合は、河口底流を意識して潜り、戻ってくる場合は川の縁を移動するようにする。

D離岸流
読んで字の如くであり、ではどの様な場所に存在するかが問題となります。

a.弓状海岸線の中心付近(砂地であれば海底が凸凹状の沖側)

b.リーフ状及び離岸提の中心付近.

海水流入水の出口となる様な位置で、弓状であれば中心付近となり、海岸線の
地形に関係する場合もある。

c.海底の地形により発生する離岸流.

d.風によって起きる表層離岸流.

◎対処法
沖に出ながら、徐々に外側へ逃げる。

即座に潜降して、海底を這うように外に逃げる。
      
Eビーチ流(海浜砂流)
ビーチの海岸線に沿って1〜3つの流れが潮流等(時間により変化)で発生し、弓状の海岸線であれば、中央でぶつかり合い離岸流を成して行くが、是とは別に2つの海底流が発生する。

離岸流が海岸線に対し90度とすると、是は30〜45度の角度で低層流として沖に流れ出す。

ビーチの砂流に関しては、季節を追った砂の大移動である漂砂もある。    

F逆流(粘性流)
水の流速抵抗は空気よりも大きく、流れが強くなると、その流れに反した逆の流れが発生する。

時として、ガイドはこの流れを利用して目的地まで帰る事が出来る。

発生する場所は、流れと海底(岩場の壁面等にも)との間に起きるが、流れの強さで、発生する範囲も様々だ。

◎対処法
発生している逆流層の大きさを確認し、低層を移動出来る様にBCの浮力を調整し、水の抵抗を受けない様に、手を使って底を這うようにして移動する。

4.浮上法

◎ロープでの浮上
カレント中での浮上は、潜降時の注意と重なる部分があり、ゆっくりとBCの空気を抜きながら上がり、ちょうど吹流しの様な形で手を離さずに上がって行く。

手が疲れたら、足を絡めて安全停止等が出来る。
      
◎ロープ無し浮上
流れに体をぶつけることで浮力が付くので、気を付けてBCの空気を抜きながら浮上してゆくが、浮上のスピードコントロールは体の潮に対する抵抗で行う。

が、流れに乗った安全停止は大変危険で、余りお薦めできない。

5.ボートでのエキジット法.

アンカーロープでの浮上に際しては、浮上後に船に沿うように、又はカレントライン等で流されない様にして、はしごの所に移動し上がる。

この時に、フィンをはずして上がるか、または履いたまま上がるかを海況の状況で決める。

アンカーロープ無しの場合は、ドリフトダイビングと同じ上がり方。


o.観天望気 地域や地形での気象の変化が分かります。

昔から天気を読む時、山に掛かる雲や風を見ていたのですが、地方によって見方も違います。

相模湾周辺及び伊豆の観天望気です。


p.海洋気象と海況判断 工事中です。

海の水は透明なのに、なんで海は青いんだろうか?

私たち人間は、光の色を判別し識別する事によって、「色」を識別認知しています。
光には七色あり、赤いほど波長が長く、青くなるほどに波長は短くなります。

海の中には、水の分子をはじめ、色々な物質粒子が有り、外から入って来た光の波はこのような粒子に当たって散乱し拡散致しますが、波長の長い光はあまり散乱され無いのです。

つまり、海に入った光のうち、波長の長いものは、散乱されないで反射して外に出て行き、波長の短いものは散乱放射されて、砕けて海の中に広がり満たします。

結果として、波長の短い青い光が海の中を満たすので、海が青く見えるのです。

空の青さを反射しているから、海が青く見えるワケでは有りません。
------------------------------------------------------------------

1.低気圧と高気圧の発生と風    準備中


左の図は低気圧の中心が今どの辺に有るかを簡単に調べるものだ。背中に風を受け、左手の前方45°方向に低気圧の中心は有るので、風を時々受ける事で、低気圧の移動を知る事が出来る。

つまり、低気圧が向って来て居るのか、離れて居るのかが判る。

 

 



 

2.波と波浪の発生と伝搬

風が強くなるにつれて波の山と波の谷とが出来、風下へ向かってうねって行くが、更に風が強くなると波は大きく高くなって波頭はとがり前に崩れて白波となり、尚も強くなると海面は白く砕けた波のアワ(泡)に覆われて潜水等が不可能となる。
 
風浪の高さは波長の約30分の1で風の速さを毎秒m数で表すと波の高さはそれに0.17を掛けたものとなる。

例えば、波長100mの風浪の高さは約30分の1の3.3mで、毎秒10mの風によって約1.7m程の風浪が起きる。

一般的に大きな波は15m以上18mにも及び波長も500m〜600mにもなる。

通常、5mの波(波高値、平均2.5m)ともなると大きいと言う。

波は海面では猛威を振るうが海中に入ると急に小さくなる。
波の伝搬は波の回転によるもので大きくなるとうねりと言う。

この回転は波の高低(半径)を指しているが、海中に入ると水圧による水の密度の増加によって回転半径が小さくなる。

表面の高さ(半径)を1mとすると水深10mでは3分の1の0.33m程で、水深20mでは0.11m、水深30mでは0.037m、水深40mでは0.0112m、水深50mでは0.004mとなる。

台風の進む速さは10km〜で有るが、うねりは毎時30km位の速さで伝わって行く。

また、進行方向に対して一番強くなり、台風の先触れとして一早く伝わって来る。

1000kmの所に発生した台風によって、台風のうねりは720km/1日で伝わる為、33時間後にはうねりが到達する。

3.海水温

夏に於いては房総や伊豆半島・伊豆七島以南では23℃〜27℃以上となり、場所によっては水温が30℃以上にもなる場所がある。

冬、房総半島付近では12℃〜13℃位まで落ち、東京湾の浅海部では7℃〜8℃位まで下がる。

南極や北極では氷点下2℃位で空気の様に氷点下30℃以上には成る事は無い。

日本近海では四季により季節風が吹き、夏は黒潮の影響による海水温度上昇が有り、冬はシベリア付近での高気圧から北西の冷たく強い季節風が吹く事で気温も下がり、また親潮の勢いも増して水温も下がって行く。

水深に於いてはどうであろうか?
水面から50m位までは余り差は無く、50mから100mで急に温度が下がり、400mから500mで更に温度が下がるが、温度の急に下がる境を
躍層と言う。

尚、潮流等が速い場所では上下間で水温の著しく差の有る場所が起こる場合がある。

水温と疲れ

水温が22℃以下になると裸での潜水には適さなくなるが、これは人間の生理的能力が約40%も低下する事となる。この機能低下によって体の共調運動能力が失われる事で安全に対する責任が果たせなくなる。

水は空気に比べて25倍もの速さで体温を奪う為に保温は欠かせない。

参照 疲労と水温

4.海流と潮流.   準備中


q.陸上での器材セットアップ、水面での対応、水中での対応と危険.

ここでの項目は、海が荒れたり、流れやうねりが強い、濁っている水中において、自分の身の守り方と言いたいのだがその時々の海況によって対処も違うものである。
ダイビングを行おうとした時に起きる色々な状態と対処法を検証する。

1.器材のセッティング、そして点検項目.

何気なしにタンクとレギ及びBCをセットしていないだろうか?

セットする為には何よりもまずタンクに的確にBCをセットする事から始まらなければ成らない。

BCにおいてはタイトベルト(タイベルトとも言い締め付ける意味)が外れない様に締め付けなければ成らない。

このタイトベルトはナイロンベルトで作られていて水を吸うと伸びる難点を持っている。

乾いた状態でセットすると水に入ってからベルトが伸び、タンクがベルトからずれ落ちる可能性
が有る為に注意が必要である。

しかし、最初からベルトを濡らし延ばしてセットすれば落とす事も無い。

またBCのセットに於いてタンクとBCの取り付け位置の関係を述べよう。

この関係はタンクバルブの上端とBCのネック部分が同じ位置か又は凡そ1cm位上でセットする。(BCはメーカーにより0〜2cm位の誤差が有るので、まず確認と背負ってみる事)
  
2〜6までは編集が出来ていません。暫くお待ち下さい(^_^;)

2水面移動、潜降時、着底から移動、浮上に際し、水面に達した時.
3.定置網や刺し網
4.海草の多い海洋
5.釣り糸の多い海洋
6.総体的


r.ダイビングと薬
一般に薬と言うと塗布薬系と内服薬系とに分かれる。

塗布系と言うと軟膏や点眼、点鼻、点耳薬、湿布薬系が有り、内服薬系は服用薬と点滴や注射液が代表である。

この様な薬が、どの様にダイビングに影響するのだろうか? 考えてみよう。
その前に、薬として使う場合に留意している部分は薬の持続性と患部の保護が有る。

その為には塗布系では薬効を保持する為と雑菌より患部の保護も必要とする為、薬に増粘剤を混ぜて、塗り易さと薬が揮発しない、乾燥しない様にしてある。
また、その薬は皮膚及び粘膜を介してその患部の治癒治療を行う。

この方法は他の組織や副作用も少ないので有効とされるが、患部に対し継続的な治療を良しとする。

薬の効果は直接に血液へ注射・点滴をする場合に最大の効果を発揮する。

塗布薬・湿布薬系(軟膏、点眼、点鼻、点耳、湿布、温湿布、冷湿布)、座薬系(挿入タイプ)このタイプの薬では皮膚より薬効成分を吸収するがそれほどと言って強くも無く、皮膚の保護や殺菌を考慮した薬には違いない。

しかし、座薬と塗布した薬の吸引・吸収による効果は意外と強く、その薬効成分については注意をして使用しなければならない。

内服薬系(耳と鼻、胃薬、抗生物質、鎮痛剤、酔い止め、精神安定剤、消炎剤、その他)この中には口飲による物と、直接血管へ注射・点滴をする物も含まれる。

効用を上げればきりがない程に多くの薬が販売されている。しかし、複合して飲む事で毒性や副作用を生じる為、気を付けなければいけない。

さて、ダイビングに於いてどの様な薬が問題とされるのだろうか?

思考と判断、そして行動、人間の生理作用の殆どは脳の働きによって司っている事と言う事は脳に対しての刺激やその働きを阻害する薬となってくる。

痛みや頭痛は脳から発する異変を知らせる信号で有り、また喉が渇いたり、お腹が空いたり、疲れを訴えるのも信号を発している部位からの異常信号をストレスとして受けて脳が反応をしている。

この異常信号の元が風邪で有ったり、部位炎症で有ったりと様々で、これを治療・抑制しょうとして薬を飲む。

1.鎮痛効果の有るもの。 
2.睡眠効果の有るもの。 
3.精神安定効果の有るもの。
4.血圧昇降下系(血管拡張、縮小を含む)の薬物。 
5.部位炎症剤(臓器不全等)

この他にも有ると思うが、分かり次第追加する。

【「スキューバダイバー」自分の身を守る為の予備知識】 study-four_jからstudy-four_kへ