ダイビングレスキューに携わる関係者各位様

平成15年11月27日施行/平成25年4月03日内容刷新

スキューバダイビングに於ける新たなるレスキュープログラムの確立!!

今までのダイビングレスキュー法とは・・・

水中からの引き上げ方法の技術指導を受けていない? 教わっていない!!

 今までのレスキュー法とは、水面から陸上に速やかに引き上げ、心肺蘇生をする事に重点を置いたレスキュー手順が一般的とされ、水中から水面への引き上げに対してはさしたる注意も無く、口頭での指導や仕草による指導が現状でした。

この事は、呼吸停止者並びに心停止者への対処も遅く、且つ肺の中に空気が残留し、浮上に際してこの肺の中の空気が膨張を続けた結果、肺胞の破裂や破壊へと進んで行きます。【空気塞栓症(エアエンボリズム)の発症

図で参照すると、気道閉塞の場合(仰向け1例、うつ伏せ1例)は全て肺破裂・肺損傷・気道閉塞による窒息の危険性が付きまとい、乾性窒息から来る酸欠によって心停止へと進んでゆきます。


空気塞栓症(エアエンボリズム)では、空気泡による血液の閉塞を起こし、血液の溶存酸素低下による窒息死や脳障害の危険性を含んでいました。仮に助かっても身体への生命機能的(運動機能、脳障害)な後遺障害を起こしているのが現状なのです。

そして、気道開放の場合(仰向け1例)は、肺への浸水による湿性溺水(※注意:淡水と海水では違う)での呼吸不全・酸欠からの心停止へと向かいます。※肺水腫での窒息、血液の希薄化から来る生命維持機能低下・・・低酸素化。

今までのダイビングレスキュースキルでの対応とは、水面と陸上でのレスキュー法のスキル指導はすれど、水中から水面までのレスキュー法スキルや引き上げ法のスキルは殆ど指導されずに来たのには理由があるのです。

その理由とは、泳いでいる人がプールや浅い海(海水浴)での救助対象者であり、肺への損傷等を考慮していないのです。水泳に対する
レスキューですから、スキンダイバーやスキューバダイバーなど含まれません。

つまり、3mを超えて救助する場合、生命に対する安全は除外・度返視されているので、何もなく助かった場合は・・・ラッキー!! と言え、笑いたくても笑えない世界なのです。

スキンダイビング(Skin Diving)スキューバダイビング(Scuba Diving)は、一般的な生活環境とは外れた危険なスポーツや行動とみなされており、救助に際し、レスキューダイバーにも生命に及ぶ危険なリスクが大き過ぎると見なされています。

よって、出来る限りの救助を目的としてはいますが、3m〜5mの海底へと沈んでしまったダイバーの大半は助ける事は出来ない、仮に助かっても後遺障害が残るのではと、今日現在でも漠然と蒙昧的に危惧され続けているのです。

結論として、自らの生命は自分で守るダイバーで無ければ、誘発・偶発による潜水事故からの回避は出来ないのです。

あらためて、現状のダイビングレスキュー法を見直すと!

スキューバダイビングのレスキュー法指導指針.

A:水中から引き上げる際、顎(あご)を軽く持ち上げる状態で引き上げてくる。頚椎損傷に注意.
B:水面に引き上げたら、素早く浮力を確保して後ち、直ぐに呼吸の為の空気を確保! Mouse to Mouse/Air seal mask等での送気を行う。
C:素早く陸地あるいは船上へ上げて的確な心肺蘇生を行いつつ、消防等の救急車、医師への手配を行い、救急対応を任せる。
D:万が一、心停止に陥った場合、心肺蘇生を行い、あるいは有資格者による除細動器の使用をもって救助に当たる。
注意:D:に於ける除細動器処置は生命蘇生に対して危険な為、細心の注意を必要とする。
蘇生対象者の身体状態によっては除細動器が逆に心停止を促す。(ペースメーカー取付者、心音・脈拍の弱い方、身体への慢性的・秘匿的疾患等)
E:この様な一連の動作の内に地域担当の警察
(救急車を呼ぶと警察へ連絡確認有)や地域担当の海上保安庁に事故の発生を知らせる。

ダイビングレスキュー法の実技練習では

A:水面で溺れた・水面でパニックになったダイバーが対象として、ホールド(対象者確保)の仕方とキャリング(水面運搬)の指導をプールや浅い海(川もあり)で行う。(陸上・船上への引き上げ方法も訓練に入る)
B:水面と陸上・船上での救命措置を基本としますので、一時的心肺蘇生法(日赤法、アメリカンレスキュー法等)も含めた講習の日程は2日もあれば十分として行われています。

しかし、次の様な疑問点も・・・

A:水面に上げても、水面移動中に口・気道・肺に水が入るのでは!? (乾性窒息/湿性窒息)
水面に引き上げてより、陸上・船上に引き上げるまで10〜20分も移動しなければならない!?
実は、今までの例を見ると、陸上や船上に引き上げて心肺蘇生を行うまでに12〜15分以上掛かっており、レスキューを行った術者本人に聞くと7〜8分から10分程度と答える方が大半の様ですが、実際には倍掛ったと見るべきです。
B:体位による無意識な状態での気道閉塞と思われる窒息、肺浸水に於ける二次溺水は大丈夫なのか!?
 

そして、水中から引き上げたダイバーに対しては・・・

A:呼吸は?、脈拍動はあるか?、身体の状態?(顔の表情やけいれん等)、窒息?の確認、肺への浸水?の確認等を行う。(気道確保、肺への浸水の場合は水を吐かせる、また、トレンデレンブルグ体位(骨盤高位)を取って排水、心肺蘇生)

B:更に、一度肺浸水が起きると肺の中に水が溜まる二次溺水が起きる可能性が大で、目をそらし気を許すと、陸上に於いて溺水窒息による呼吸停止・心停止へと進みます。

trendelenburg position

一般のレスキュー法指導法に於いて、水中での対処法は指導せず、水底に沈んだ溺者や気を失った者の肺破裂が起きない様に気道の確保、及び肺の水没だけは起こさない様に注意して引き上げて下さいと口頭による指導。

この程度の注意や指導で、溺者や気を失った者を水底から引き上げる事が出来るでしょうか!? 
これでは怖くて自信が持てず、トラブルの起きた現場に居るのも気が引け腰が引けると思います!!

これまで水底・水中からの安全な引き上げ法を必要としつつも、答えの見つからない難題・難解な方法であり、これからのダイビングの世界には絶対必然的な課題でも有ったのです。

殆どのレスキュー法指導者が口に出せず答えられなかった案件。
水底・水中から安全に引き上げる自信と保証が無い。
事故者や溺者を最悪な状態(脳障害)へと導く可能性が有った為に、
レスキュー施術者やダイビング指導者自身が、水中からの引上げ法を自信を持って口に出して言える事では無かった。
水中からの引上げ法に関しては曖昧な返事・タブー視化(責任の転嫁・曖昧化)

助ける側も、助けられる側も、レスキュー法指導者も、共有的責任感と共に不安や恐怖が付きまとっていたのでは無いでしょうか!?

ダイビングツアーの引率者では、引率に於ける総合的安全管理、ダイビング講習の指導者では、適切な指導と安全管理が課せられており、引率指導・海況等による安全確保誘導等、細部に渡り注意を必要としています。ダイビングツアー引率者もダイビング指導者も共にレスキューダイバーに変わりはありません。

では、引率されるツアー参加者、講習を受ける生徒では、協力して危険回避をすべき義務が生じる事を忘れてはいけません。互いに協力し合ってこそ安全と義務は保たれます。
自らの生命を守りえる、自らに課した「事故は起こさない、生還する」約束的義務なのです。

 

 これからのダイビングレスキュー法とは・・・

気道開閉ポジション 引き揚げ時と停止ポジション rescue-diver_small

"左の図は気道自発開閉時"     "右の図は引上げ時と停止状態"
左の図の気道自発開閉ポジション設定では、講習による習得訓練が必要。

今回、紹介するレスキュー法の基本中の基本は、早い対処法で蘇生率も高く、肺の損傷や破裂も皆無。(適切な対処による)
水面まで引き上げての対処法では助かる命も間に合いません。1〜3分蘇生、5分蘇生が可能!!
(即対処)

高度技術とされてきた水底・水中でのレスキューと心肺蘇生法。(要訓練)
水底・水中からの確実・安全な引き上げ法。
(要訓練)
水面移動中や浅海移動中
(水面直下含む)のエアソース供給法。(要訓練)

水底・水中・水面直下・水面での心肺蘇生に関して指導指針プログラムが完成。(クラスにより指導に違いあり)
指導カリキュラムによって、既に指導致しております。
(下記参照)

術者(レスキューダイバー)によって意図的に肺・気道・口からの水の排出が行え、意識復帰したダイバーへとエアソース供給が可能。(水底・水中・海面)

水底・水中に於いて溺者の肺・気道・口の中の水を排出し、その水深相当のエア供給を行う事で蘇生率や生命の維持に関して飛躍的に伸ばす事が出来ました。(50m以上のディープ域では要注意=ディープレスキューダイバーの講習が別途あり)

 意識不明のダイバーが意識を戻した場合、パニックダイバーへと変身してしまいます(^_^;)

この様なダイバーに対処する為、セルフレスキューダイバーたる要素が必要となり、マスクが外され様が、フィンを外され様が、レギュレーターを外され様が、水面へ向けてよじ登り頭を踏みつけられ様が・・・、平然としていられるレスキューダイバーでなければいけません。

水中で肺への空気送気による水の排出(肺・気道・口の中)、あるいは肺換気を行った場合、浮上中でのエアソース供給は必要とせず、水面・浅海横移動時(顔が水没していても可能)でのエア供給が自在!!

水中から水面への引き上げ時、肺の空気膨張の排出を無理無く助けられる為、肺の損傷は皆無!! また、肺・気道への水の逆流浸水もありません!!

あらためて言い直すと・・・(*^_^*)
無意識者の水底・水中から水面へ向けての引き上げも無理なく安全に行う事が出来、また、浮上途中でのエアソース供給や、水面に達した後、水面や水面下を移動中(顔が水没していても可能)であってもエアソースの供給が可能。

天候が悪く、水面に波が有ってもエアソース供給が行え、水面・水面下(顔が水没していても可能)での心肺蘇生を可能としている全天候型の万能タイプ。(レスキューダイバー2では水底・水中での心肺蘇生訓練が含まれます)

ただし、水底・水中から無意識事故者や溺者を水面へ向けて引き上げる為には、スキル面での訓練・修練が必要となります。(作業ダイバー的要素を含む為です)
基礎・基本的なスキンダイバー及びスキューバダイバーの修得技術の欠落があってはなりません。

基本的な修得の技術と知識とは、自分自身の身を助け守り得るセルフレスキュー法の体得なのです。

このセルフレスキュー法を持ってこそ、この新しいレスキュー法は生き生きとその役割を果たします。

ただし、このレスキュー法の欠点は、術者のタンクからのエアソース供給が多少でも無ければ実現できず、また、溺者のタンクに供給エアソースが残っていれば尚更に心肺蘇生可能域を広げます。

溺者の引き上げ方法は、溺者のBCを使ったLiftBack浮上方式で、大変に危険とリスクを伴い、万が一にも手を放してしまうと、溺者だけが高速で吹き上がってしまい、エアエンボリズム(空気塞栓症)に陥ります。
LiftBackerたる術者が浮上スピードのコントロールを行い、溺者の気道開閉の手助けをしてのみ可能としているのです。

この時の、レスキューダイバーは緊急性を要し一般的な浮上方法に従わない為、減圧理論や浮上理論、そして、特に緊急急速浮上を行う場合は潜水生理学の知識、及び実施スキルを必要とします。

つまり、溺者(無意識者)を抱えて水深5mでの安全停止や、6m〜3mでの減圧停止は出来ないのです。

尚、万が一ですが直接浮上が出来ず、溺者・術者共に減圧症に罹患する恐れがあり、溺者と術者が減圧症回避の為の減圧停止を必要とした場合、供給のエアソースが溺者と術者に確保される場合に限って、いくつかの回避選択方法があります。(減圧用のチャンパーが近くに無い時)

 この新しいダイビングレスキュー法の内容とは・・・

rescue-diver big

1.レスキュー1ダイバー(レスキューTダイバー、エキスパートレスキューダイバー)

水底・水中からの引き上げを可能とし、パニックダイバー対処の為のホールド3態、垂直緊急浮上法3通りマスター、水面・水面直下での心肺蘇生、水面・水面下移動の為のエアソース供給を可能とする。

2.レスキュー2ダイバー(レスキューUダイバー、グランドレスキューダイバー)

水底・水中・水面での肺・気道・口からの水の排出、及び心肺蘇生とエアソース供給、水底・水中から水面への安全な引き上げ、垂直緊急浮上法4通りマスターの緊急性対応の万能型。

  2のレスキュー2ダイバーは1.のレスキュー1ダイバーを受けた方の昇級(上級者)コース。

3.レスキュー3ダイバー(レスキューVダイバー、グランドEXレスキューダイバー)

レスキュー2ダイバーを受けた後又は前に、ディープP-SPを受けた方だけが水深50〜60mでのレスキュー作業が可能ですが、適性の有無(水深制限)があります。

 

deep rescue-diver big

本格的なディープレスキューダイバー(水深50mを超え、水深90mまで)には条件があります。

ディープに於けるレスキュー作業の為、術者自らも減圧症罹患や生命の危機に曝される為、高圧生理学・潜水心理学・潜水解剖・運動学を学ばなければなりません。

また、減圧症罹患への回避と、減圧症罹患時の為の自己治癒潜水法を学ばなければなりません。

減圧症自己治癒潜水法・ディープ潜水学を学び、ディープでの検定試験に受かった者。(適性者、適任者等)

自己治癒潜水法では・・・減圧症、空気塞栓症(エアエンボリズム)、無菌性骨壊死とその他の治癒(ちゆ)に効果があり、今までに30名ほどがその恩恵を授かっています。その他の治癒(ちゆ)では減圧症自己治癒潜水法の内容をご確認下さい。

ディープ潜水学とは、潜水に特化した生理学、物理学、解剖学、心理学を含み、更に加圧理論、減圧理論、浮上理論等を含んだものを指します。

1.ディープレスキュー1ダィバー(ディ―プレスキューTダイバー、ディープエキスパートレスキューダイバー)
減圧症自己治癒潜水法のディープ潜水学を学んだ修得者でレスキュー1ダイバー資格者。検定水深は50m。

2.ディープレスキュー2ダイバー(ディープレスキューUダイバー、グランドエキスパートレスキューダイバー)
減圧症自己治癒潜水法のディープ潜水学を学んだ修得者でレスキュー2ダイバー資格者。検定水深は60m。

ディープレスキュー2ダイバーになると、水深60m以深での溺者へのエアソース供給法と心肺蘇生法の追加教育が有ります。これは、水深60m以深での溺者対処法とレスキュー作業に於ける窒素酔い・酸素中毒・筋運動での潜水生理学を認識する為の物です。レスキューダイバーの運動過多による減圧症罹患率が高くなる為、潜水生理・物理学での浮上に於ける窒素減衰比率に沿った減圧方法の指導も致します。

高深度での危険性
水深60m以深に於ける溺者への心肺蘇生処置ではエアソース源の高濃度酸素化により、溺者に対して酸素中毒による脳障害の危険性がある為、溺者への対処法と術者の諸事回避法の指導を受けて頂きます。更に、一般レスキューとは違い、高水深からの浮上方法と浮上手順も受けて頂きます。

ディープレスキューダイバーに於いて、受講し、検定に受かった方でも90mでのレスキュー作業が出来るとは限りません。適性者だけが適任者として可能としています。

 

安全な浮上を可能にするとは、高深度より浮上の為の緊急浮上訓練が必須科目となっており、減圧症発症を限りなく低減する浮上の為のスキルを覚えて頂きます。(一子・一族相伝スタイル)

水底・水中・浮上中や水面移動中に心臓への蘇生アプローチが出来る。

このカリキュラムが落ち着いて出来る為には、水中並びに水面に於いての安定したダイビングスキルを必要と致しますが、この内容に関してプロテックスジャパンのホームページ内よりレスキュー1レスキュー2のカリキュラムを参考までにご覧下さい。

重要【窒息・溺水からの生還とプロセス】1-A 1-B 1-C pdfファイル お読み下さい。

今回のレスキュー法に関しての正規マニアルが完成致しました。
レスキュー1レスキュー2の強化付則指導マニアル(知識編、スキル編)としております。

◎ダイビングレスキューの指導者には普及の為の最短コース等も準備しております。

1.
レスキュースキルの習得 プロレスキュー 1日間(実技 6時間、座学3時間) 特別コース

2.EXPERT
RESCUE DIVER トレーナー     2日間(実技12時間、座学5時間)

3.GRAND
RESCUE DIVER インストラクター  3日間(実技18時間、座学6時間)
*実技の中にはプール実習及び海洋実習も含まれ、講義には基礎潜水生理と潜水物理等を学び、
レスキューダイバー自身の身を守る為の講義も行われます。

*当面、2と3の指導者の為の講習は常時行われませんが、必要に応じての開催となります。

デモンストレーションを見たい、話を聞きたい等の場合は、まず事前にご連絡下さい。

     

 

PROTECS JAPAN

プロテックスジャパン

プロテックスジャパン  國次 秀紀

静岡県熱海市伊豆山387-2〒413-0002 http://protecs.waterblue.ws/
0557-80-3262 fax0557-80-3262 mailto:dive@protecs.waterblue.ws

所属団体 日本海中技術振興会(JCS)  常任理事 P-003


PROTECT JAPAN 日本職業潜水技術・能力育成共同体
Professional Scuba Diving Technical-Skill&Technical-Knowledge Education Community Team of JAPAN

英語表記:Japanese occupation diving technology / ability education community team.

本部 静岡県熱海市
 
2013.01.29カウンター設置